○谷合正明君 公明党の谷合です。
まず、障害者施策の憲法と位置付けられますこの障害者基本法の改正につきまして、長時間議論を尽くされてこられました障害を持つ当事者の皆様、また法案の修正提案者、そして関係各位の皆様に敬意を表したいと思っております。
その上で、まず質問に移らせていただきますけれども、今回の東日本大震災におきまして、高齢者、障害者の所在把握が個人情報の保護の観点からなかなか進んできませんでした。消防庁や内閣府が要援護者名簿の作成や共有方法を周知しておりますけれども、これを更に進めて今回のような災害時に早期に対応すべきではないかと思いますが、消防庁の答弁を求めます。
○政府参考人(原正之君) 災害時の要援護者対策につきましては、あらかじめ市区町村とコミュニティーが一体となって避難支援体制を確立しておくことが重要であると考えております。
このため消防庁では、内閣府を中心に取りまとめましたガイドラインを参考にしまして、要援護者の対象範囲や対策の取組方針を示した全体計画、また要援護者名簿や個別計画を整備するように市区町村に要請をしているところであります。
平成二十三年四月一日時点において、東日本大震災の被災地の一部を除いて調査した結果、要援護者名簿を整備済みと回答した市区町村の割合は五二・六%、さらに整備中を含めますと九四・一%となりまして、前年度、一年前から比較して五・九ポイント増加をしております。また、その要援護者名簿を整備済みと回答した市区町村では、九一・四%の団体が民生委員あるいは自主防災組織等に名簿を提供するなどして情報共有すると回答しております。
私どもとして、こうした動きを加速化するために、関係省庁と連携して先進的な事例の周知などを図ることによりまして、要援護者名簿の整備、それらの情報の共有といった市区町村の要援護者対策を更に支援してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 要援護者名簿の対象範囲につきまして質問いたしますが、要援護者名簿の登録要件を緩和し、重度障害者のみでなくて、避難所では暮らしにくいという軽度発達障害者も対象にすべきではないかと思いますけれども、その点はいかがでございますでしょうか。
○大臣政務官(阿久津幸彦君) 障害者や高齢者などの災害時要援護者の避難支援に当たって、あらかじめ要援護者名簿の整備をしておくことは防災の観点からも極めて重要と考えております。
災害時要援護者の避難支援ガイドラインでは、市区町村において要援護者名簿の対象者の範囲の考え方を明確にし、避難行動要援護者や被災リスクの高い者を重点的、優先的に進めることとされております。
ガイドラインでは、対象者の例として身体障害一、二級、知的障害療育手帳Aなどを示しておりますが、これはあくまで参考事例であり、登録要件を限定しているものではなく、各市町村において地域の実情に応じて対象者の範囲を明らかにすることが望ましいと考えております。
国としても、地方公共団体における上記以外の取組事例を紹介するなどして、その促進に努めているところであります。
○谷合正明君 是非推進をしていただきたいと思っておるんですが、実際に家族の方の本当に悲痛な叫びというものをたくさん聞いてまいりましたので、よろしくお願いいたします。
それでは、第三条に、可能な限り、地域社会においてほかの人々と共生することを妨げられないとありますが、二十四時間の介護が必要な障害者の場合、現状ではほとんどの市町村で必要な介護制度が提供されておらず、地域で暮らすことが困難な状況にあります。どんなに障害が重くても地域で自立して暮らせるよう、国、地方公共団体が具体的な施策を講じるべきと考えますが、いかがでございますでしょうか。
○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、重い障害がありましても地域で安心して生活ができるようにその地域のサービス基盤の整備を進めると、これは重要な課題であるというふうに認識しております。このために、これまでも都道府県、市町村におきましては、これまでの自立支援法に基づきましても、地域のニーズの調査それから当事者の御意見を踏まえまして、その地域地域で自治体ごとの必要なサービスの量を定めていくという障害福祉計画を策定をいただきまして、その基盤整備を進めていただいておるところでもございます。
これを支援していく中で、例えば今年度の予算におきましても、障害者の地域移行・地域生活支援のための緊急体制整備事業という百億円の中でこれを計上いたしまして、地域生活のために必要となります住まいの場、その重点的整備、グループホーム、ケアホーム等の整備量も自治体では具体的に挙げておられます。これを達成するための整備を支援をする、あるいは今先生御指摘のように、夜間も含めました緊急時の対応ということが非常に大事でございます、あるいは緊急一時的な宿泊等の場も必要であろうというふうに考えております。これらを総合的に進めるような地域づくりの体制づくりを支援をしていくこととしております。
また、昨年の十二月に議員立法で成立をさせていただきました現行自立支援法の改正案におきましても、グループホームを利用する場合の家賃補助、こういうものを盛り込んでもいただきました。それから、そういう住まいとともに、地域で暮らすために一番大事な相談支援体制、そういうものの強化ということも盛り込んでいただいたところでございます。
厚生労働省といたしましては、このようなこれまでの施策、あるいは今回の基本法改正の理念をしっかり踏まえまして、重い障害のある方でも地域で安心して生活できる体制づくりを引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 次に、この基本法には選挙における配慮というものが盛り込まれております。
私は、この選挙に関して実は内閣委員会で何回か取り上げてきたテーマがありまして、それは公職選挙法と後見制度の問題でございまして、ちょうど一昨日も内閣委員会で成年後見制度を、後見類型に入ると公職選挙法の第十一条で選挙権及び被選挙権を有しないということの欠格条項に当たりまして、選挙権がなくなるわけですね。この点について法務省に質問したら、それを欠格条項として維持するのかどうか、どういう趣旨で欠格条項とする必要があるのかというのは、それぞれの法律を所管する省庁において責任を持って判断されると。
公職選挙法を所管する総務省として、この欠格条項を維持する必要があるのか、また今後も維持するのか、この点について答弁をお願いします。
○副大臣(鈴木克昌君) 御答弁させていただきます。
今議員おっしゃったように、公選法第十一条は、成年後見人について選挙権及び被選挙権を有しないとされておるところであります。
これは、以前は、繰り返しになりますけれども、民法改正以前、平成十一年でありますけれども、禁治産者についてはその要件が心神喪失の常況にある者であるから、行政上の行為をほとんど期待できないため、選挙権及び被選挙権を有しないこととされておりました。
平成十一年の民法改正により、禁治産者は成年被後見人と呼称が変わり、その定義は、心神喪失の常況にある者から、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に改められたわけであります。その対象者は一致するものでありまして、選挙時に個別に能力を審査することも困難でありますので、従前の禁治産者同様、選挙権及び被選挙権を認めないこととされたものであります。
現行制度については一定の合理性があるものと考えておりますが、現在、成年後見人制度を利用することで選挙権を失うのは違憲だとして、選挙権があることの確認を求める訴訟が三件提起をされているところでもあり、総務省といたしましては、これらの訴訟の動向について注視しつつ、必要に応じて適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○谷合正明君 これまでですと、事理弁識能力を欠く常況、常の状況にある者というのは当然投票できない、だから欠格条項として残ってもこれは仕方ないんだみたいなトーンだったと思うんですが、私が聞いているのは、なぜ欠格条項として残す必要があるのかと。選挙に行けないんであればそれは行けないでいいじゃないかと、なぜそれをわざわざ国民の選挙権という基本的な権利であるものを制限する必要があるのかというところでございまして、その明確な立法趣旨というのは今日まで示されてきておりません。そういうことを考えますと、私は、この公職選挙法の第十一条の一の成年被後見人のこの欠格条項というのはなくすべきであると考えます。
そこで、細野大臣にお伺いしますけれども、障害者基本法の理念、それは、障害者に対して、障害を理由として差別することそのほか権利利益を侵害する行為を禁止する観点から、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮がなされなければならないということに私は反していると、今の状況というのは反していると思っております。
まず、このように選挙権除外されていたことを御存じであったのか、また除外されていることに対してどう思われるのか、そして今後は人権の観点から改善すべきではないかといった点について御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(細野豪志君) 知っていたかどうかということについてなんですけれども、知的な障害を持っておられる方で投票しておられる方は私の周りにもたくさんおられたので、ちょっと整理ができていませんでした。どういう方ができていてどういう方ができていないのか、今回この法律を見て、そして御質問いただくということで勉強させていただいて、そこで明確に自分の頭の整理ができたということでございましたので、何らかのそこで線が引かれているというのは存じ上げておりましたけれども、はっきり認識したのは今回ということでございました。
問題は、必要かつ合理的な配慮、これが内容ということになろうかと思うんですけれども、まずは障がい者制度改革推進会議の差別禁止部会、ここはもう当事者の皆さんも入っておられますので、そこで御議論いただくことが必要ではないかというふうに思います。そういった中での御意見を踏まえて、あとは選挙制度の在り方に関する議論ですので、もちろん総務省も所管をしておりますが、何より議会の政治そのものにかかわる各党各会派の議論ということになろうと思うんですね。ですから、まずはこの差別禁止部会の方で様々なそういったことについての御意見をいただいて、それを踏まえて議会として判断をするということであれば、議会としてのアクションということも場合によっては期待をされるところなのではないかというふうに思います。
若干ちょっと奥歯に物挟まったような言い方で恐縮ですが、谷合委員のおっしゃっている問題意識は非常に重いものというふうに受け止めさせていただいております。
○谷合正明君 枝野官房長官も、直感的に変えられる余地があるんではないかと思ったと答弁されてはいるんですが、しかし、これは一段時限の超えたところでの検討が必要だとも言われておりまして、私もその辺は重々承知した上で質問させていただきますが、当然立法府としてこれはやらなきゃいけない課題だと思っておりますが、しかし、だからといってこの状況をそのまま放置していいというふうな政府の判断にはならないとも思っております。ですから、この点を改めて今日の質疑でも取り上げさせていただきました。
ちょっと時間がもう中途半端でございますので、今日はそのことの思いを述べさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございます。