○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
村木参考人におかれましては、本日、本当にありがとうございます。また、お疲れさまでございます。
私の方から、調書の問題と、また検察という組織の問題について、二点伺わさせていただきます。
まず、調書につきましては、本当に事実と異なる大量の調書が出たという話と、そして、一般的にはその事実と違う調書にサインをしなければいいじゃないかと思われるに違いないというふうに参考人が言われましたけれども、まさに私なんかもそんなふうに思っていた節もあるんですけれども、今日のやり取りを聞くと、本当に根が深い問題だなと、単純な問題ではないなと改めて再認識させられました。
参考人の方からも言及がありましたが、最高検の調査で、全国の検事のうち約二六%が実際の供述と異なる調書を作るよう指示された経験があると。指示されるまでもなく自分が自発的にストーリーを作るというケースも間々あるんだろうと推測されるわけでございまして、言ったとおりのことを調書に書いてもらえるかというと、ほとんどそれはむしろまれと思った方がいいのではないかなと思っている次第です。
そこで、調書だけに頼る捜査はこれは駄目だということは分かりつつも、この調書の在り方について、調書の作成の在り方につきましては取調べの全面可視化だと。録音してテープを起こして、それをそのまま調書にするぐらいにしないと駄目なんじゃないかなというふうに極端に私は思うわけでありますが、まずその調書の作成についての在り方について、改めて参考人のお考えを伺いたいと思います。
○参考人(村木厚子君) 冒頭、いかようにも作れるという実感を持ったというふうに申し上げたとおり、やはり取調べという検事さんの土俵の中で、なかなか自分の言ったことを調書に書いていただくというのは大変難しいというふうに思います。
今回のように厚生労働省で十年、二十年勤めた職員、社会的なトレーニングができている職員でも、後で考えてみると全く事実と違う調書にサインをしてしまっているということを考えると、本当にやはり調書は大変怖いものだと思いますし、それから先ほど法務大臣が言ってくださいましたが、今の日本の司法制度の中ではその調書というのが大変裁判でも重視をされてしまう。特信性という、法律の条文だけ読むと例外的に書いてあることが、実はそっちが原則であるかのような実態があるという中で調書が抱えている問題点に向き合わない限り、このタイプの冤罪というのはなくならないというふうに思っております。
その意味で、私も冒頭申し上げたように、やはり仕組み全体を改めてほしいというのが私の願いでございますが、そうでないとしたら、調書を使うとすれば、やはりそれが適正なものであるという証明をする責任を検察にきちんと負っていただきたいということでございます。その意味で全面的に録画、録音しておいていただきたい。御本人が私が言ったとおり書いてくれましたということを認めておられるんだったら、調書そのまま採用されても問題がないわけですから、争いがあったときには必ずそれが適正に取られたものだという証明を誰かがしなければいけない。それは検察が負うべきだというふうに考えております。
○谷合正明君 もう一つの質問が組織の在り方でありまして、最後に参考人から検察庁は極めて閉鎖的な組織だという御指摘がございました。私も昨年の秋の臨時国会のこの行政監視委員会でこの組織の在り方について質問をさせていただきました。
主に二つありまして、一つは、この国会に検察の方にお越しいただいて、組織の在り方、行政の組織・人事の在り方について説明していただくべきではないかという点と、もう一つは人事の在り方ですね、キャリアシステム、まさに検事の方しか検察庁にはいないというようなこの人事の在り方、この点について指摘をさせていただきました。
改めて、参考人は厚生労働省とか内閣府等で勤められているわけでありますけれども、検察のどういうところに閉鎖的あるいは特殊な組織と考えているのか、その特殊性を変えていくために、特に検察が国民に対して説明責任を十分果たせるような組織にしていくためには何が必要なのかというところを、最後、お聞かせいただければと思います。
○参考人(村木厚子君) 私が検察が非常に閉鎖的だなと思うのは、私ども厚生労働省とか内閣府におりますと、必ずそのトップは大臣、副大臣、政務官がおられて、その方々と御相談をして方針を決めるということを頻繁にやるわけですね。必ず、要するに役人以外の方が組織の一番上におられて、その方々と議論をしながら決める。それから、地方自治体とか民間企業からたくさん出向、人事交流のような形で外部の方が来ておられる。もうそれだけでも全くそのやはり役所の空気も変わりますし、必ずチェックが働く。役人的な発想だけでは駄目だということを知らされるわけですね。
検察の場合は、余りに政治と近いときっと問題が起こるような特殊なお仕事でしょうし、それから、たくさんの外の方が組織の中に入ってこられるという仕組みが元々ありませんので、相当意識的に外部の方と一緒に仕事をする仕組みをつくらないとうまくいかない。それは、公務員になれば守秘義務が掛かるわけでございますので、いろんな職種、人材を中に取り込むこともできますし、あるいはほかの省庁でやっているような政策評価だとか、そういった形で外の目を入れるということもあろうかと思います。
それから、まさに先生がおっしゃられたように、国民に対する説明責任ということが少し軽視をされやすい組織だと思います。というのは、扱っている中身をしょっちゅうオープンにして国民に説明をすることができないというのはそのとおりですが、そういう仕事の特殊性があるために、先生さっきおっしゃられたような組織だとかの在り方だとか人事だとか、これについて説明責任があって説明をするというのはほかの役所と全く同じわけですから、そういうことまで閉鎖的になって、しゃべれませんということはないはずでございます。
そういうところでは、やっぱり守るべき秘密の部分と、それからきちんと説明責任を果たしていく部分を仕分をして、国会あるいは国民に対する説明責任、透明性というのをもっと強化をするということと、きちんと公務員としての守秘義務を掛けながら外の人たちを組織の中に取り込んでいくというようなことが非常に大事になるんではないかというふうに考えます。