○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
私もこの度の東北地方太平洋沖地震によります被災に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げて、質問をスタートさせていただきたいと思います。
選抜高校野球の開会式で私の地元の岡山の創志学園の主将の選手宣誓を聞いていまして、大変私感動いたしました。高校二年生なんですかね、新二年生、つまり生まれた年、十六年前に、阪神・淡路大震災の年に生まれたと。今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいですという選手宣誓で始まりました。被災地では全ての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。人は仲間に支えられ、大きな困難を乗り切ることができると信じています。私たちに今できること、それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。頑張ろう日本。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓いますと。すばらしい内容とすばらしい声の力だと。私たち国会議員、立法府に身を置く者として今できることは何かと。精いっぱいこうした委員会の質疑の場、また現場現場で戦うしかないというふうに、私自身もその選手宣誓に力をもらいました。そのことを冒頭紹介させていただきたいと思います。
最初に与謝野大臣にお伺いしますが、この度の震災の被害の試算額を公表されました。直接的被害額が十六兆から二十五兆円だというふうに試算をされたということであります。ただ、これは原発事故あるいは計画停電の影響を試算にはまだ含んでいないというものでございます。
先ほど玄葉大臣の方からは、目の子で、もし原発とか含めるともう少し増えるという東北三県の数字を例に出して言われましたけれども、与謝野担当大臣としては、こうしたまだ含まれていない影響について、定量的にとらえることは難しいわけですけれども、どのように今感じておられるのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 十六兆から二十五兆という数字はいわゆる壊れたもの、ストックで失われたものの数字でございます。経済に対する影響というのは、被災した場所でつくり出していたGDP、国全体のGDPの何%ぐらいをつくっていたのかというと、おおよそ四%から五%があの地域の生産でございます。したがいまして、この四%から五%の全部が失われているわけではない、これはおおよそ三分の一程度だろうということですから、影響は一%から二%ぐらいの間だと思います。
阪神・淡路の場合はここまでの計算で済んだのですが、今回は違います。今回は幾つもあと考慮しなきゃならぬ要素があります。それは、生産業に上手に電力が供給できるのかという問題。これがよくまだ計算ができていない。
それから、実は東北ではいろいろな産業の重要部品を作っているということが分かった。自動車が例えば操業停止をしている。あるいは、のり、ボンドの会社が物を供給できない。アメリカの会社がiPadを作れない。そういうサプライチェーンの一種の破壊というのが今後GDPにどう影響してくるのか。
それからもう一つは、特異的なものは放射線による直接の被害、それから風評による被害、こういうものもマイナス要素です。
それから、もう一つのマイナス要素は、やっぱり国民が日常の活動を自粛ぎみに行うと。レストランには行かない、高級なおすし屋さんなんかは今がらがらだと。そういう言わば国民の心理的な冷え込み、消費者マインドの冷え込みというのも経済の全体には影響を与えてくる。ただ、これがまだ初期の段階なので完全には予測はできていませんが、マイナス要素になるということでございます。
ただし、阪神・淡路のときは年間通じてGDPはプラスになったということでございます。
○谷合正明君 丁寧な御説明ありがとうございました。
いずれにしても、実態がまだまだとらえ切れていないということでございます。
その上で、当然、阪神・淡路大震災を上回る大災害であるということは、これはもう事実となっております。また、原発事故を機にして電力不足も、これも関東地方にも直撃していると。国民生活、産業経済、また、先ほど消費者マインドと言いましたけれども、文化とかそういった面にも影響を及ぼしかねないということでございます。
その意味では、逆に言うと、この国民生活、産業経済、文化や希望、こういったものをいかに高めていくのかということが問われていて、一世紀に一度とも言っていい難題に直面しております。東日本あるいは今回日本そのものだと思いますが、この復興そのものが国家戦略であると思います。復興の定義、国家戦略の定義はさておき、私たち公明党としても、いち早く災害復興特別措置法の早期成立を図り、復興に向けた予算や政策の司令塔の役割を果たす復興庁、復興担当大臣を設置してしかるべきであるということを申し上げてまいりました。
この点について、玄葉大臣に御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(玄葉光一郎君) まず、冒頭、谷合委員から高校野球の選手宣誓の話がございました。私は残念ながら聞くことはできませんでしたが、今、谷合委員から御紹介をいただいて、今回の震災でそれぞれ被災をされた方々、被災地の方々が非常に秩序を持って冷静さを保ちながら対応されていると、これは三県のことばかり今日申し上げましたが、確かに東日本全体でございます。
同時に、いや、地元だからということで申し上げるわけではなくて聞いていただきたいんですが、東京都で飲み水に一部暫定基準値を上回るというだけであれだけの騒ぎになっている状況の中で、原発周辺の方々の不安というのはその何千倍、何万倍だというふうに申し上げても過言ではないと思います。そういう中でも秩序を持って冷静さを保っている日本人を私たちはやっぱり誇りに思うし、同時にそれを世界に発信をしていっていい話だというふうに思っていますし、どこかの段階で力強く歩み出す日本をきちっと発信をしていくということが大切だと、そう思っております。
その上で、先ほど御指摘がありましたけれども、まさに国家戦略的位置付けを行いながら東日本の復興を進めていくということが大事だと。その体制の在り方については、私はいろんな考え方がまだあり得るというふうに思っているんです。例えば、それぞれの省庁の一つにするという考え方も確かにあるでしょう。一方で、例えば本部的なものを持って、そこで言わば調整するということもあるのかもしれません。
ただ、いずれにしても、一番大切なことは、いわゆるその実現する力を持つ、そういう組織、体制というものを考えていかなければならないし、同時に日本全体の英知を結集する、そういう体制を考えなきゃいけないし、実はこの話は、言うまでもないことでありますけれども、東日本だけではなくて、じゃ、関西を始めとする西日本でどういう役割をこれから果たしていかなければならないのか。
もっと言えば、例えばこれから東海、南海、東南海といった地震の予知ということがあったり、あるいは首都直下型地震ということがあったり、そういう様々な予測がある中でどういうふうにこの東日本の復興というものを考えていくのか。そういうかなり深い議論をしながら、トータルに判断をしていかないと私はいけないというふうに考えておりまして、その中で体制の在り方をでき得るだけ早く固めていかなければいけないのではないか。
同時に、事態が進行中である被災者の皆さんの心情も同時に配慮する必要があるということの難しさの中で、しかし、そういった人たちにもやはりでき得るだけ早く夢とか希望とか、当面の生活のことをきちっと国家として考えていく。これは自治体とか、当然その地域の皆さんの考え方というのは何より大事なんですけれども、阪神大震災のときは地域から上がってきたものを言わば国が追認するような形だったんですね。それとは私は今回は様相は異なると思っています。そういうことをきちっと考えながら判断をしていかないといけないのではないかというふうに考えております。
○谷合正明君 率直なお言葉ありがとうございます。実現する力を持つ体制というものを是非早急に立ち上げていただきたいという思いがしております。
私自身も来週早々、岩手の釜石、陸前高田、大船渡等を回ってまいりたいと思いますが、現地からも、やはり隣り合わせの市でも全く状況が違ってニーズも全く違うと、是非そういうところもきめ細やかにしっかり見てほしいという声も預かってきて、そんな思いで私も来週行ってまいりたいと思っております。
ところで、私の持ち時間が少ないものですから、次にちょっと技術的、細かい話ですが、移らせていただきます。
災害救助法に関してですが、先週土曜日に厚生労働省が通知を発令いたしまして、県にですね、災害救助法の弾力運用をすると。例えば、ホテルとか旅館を受入れ自治体が借り上げた場合もそれは国庫の負担対象になりますという話でありました。
私は、早速関係の地方議員等にお伝えしました。当然、土曜日の発令ですから日曜、月曜のこの連休、祝日にはまだ伝わってなかったという意味では情報が非常に現地では有り難がられましたが、一方で、ところで原発半径三十キロの圏外の人は対象になるんですかという問いが来るんですね。
ちょっと私も素朴に疑問に思ったんですけれども、調べたら、これは当然、例えば福島県は全域で災害救助法が適用されていて、当然どなたも避難された場合にその受入れ自治体は災害救助法による国庫の負担対象になる。確認の意味で言いますけれども、それでよろしいですよね。
○政府参考人(清水美智夫君) 今御紹介いただいたとおりでございまして、災害救助法が適用された市町村、今回の福島県の場合で言いますれば全市町村でございますが、その方々が避難された場合には災害救助法の救助の対象になるということでございます。
○谷合正明君 これは、ただどこまで避難者を受け入れるかは自治体の判断によるところもあるので、例えば遠く離れた大阪とか岡山では、実際の運用上半径三十キロで区切ったりして、例えば公営住宅に、あなたはちょっと三十キロ以上の方なので断るという例も実際あったそうなんです。
一方で、今週の政府の中の各政党との震災の実務者会議の中で藤井首相補佐官が、半径二十キロ、三十キロの間の方の自主避難の方を対象にする災害救助法も別途検討したいというような旨を言いました。恐らくは混同しているわけですね。政府も混同しているし地方自治体も混同している。ですから、ここは、先週土曜日に通知出されたかもしれませんが、この部分についてしっかりやらないと、私は、現場現場で、遠く離れたところに行けば行くほど問題が生じると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、被災者生活再建支援法につきましてお尋ねしたいと思います。
現在、被災者生活再建支援法の基金残高は五百三十八億円。この度の地震・津波被害の規模に対応できるのかという率直な疑問、疑問というか課題があると思います。二十四日の緊急災害警備本部の発表した全壊戸数、この時点でもう一万八千戸あるわけですね。単純に掛け算して、三百万円掛ける一万八千戸で五百四十億円ということは、もう基金の残高と相当する額でございます。
ということは、私の問題意識としては、現行の被災者生活再建支援法というのは、特措法を作るか、あるいは基金を積み増さなければならないと思います。ただ、積み増すときに、国の負担は二分の一ですという現行のルールのままでいくべきではないと思います。この点について、担当の方からお話をいただきたいと思います。
○政府参考人(小滝晃君) 御指摘のように、今回の災害では、住宅被害の全容は、現在依然として全貌を把握できないほどの被害が出ている状況でございますが、現在の被災者生活再建支援基金の基金総額では対処できない可能性があるのではないかといった指摘がもう既に多々なされているところでございます。
そこで、どう対処していくかということでございますけれども、この被災者生活再建支援制度は、全国の都道府県が相互扶助の観点から基金を拠出して運営をしているという都道府県主体の制度になっておりまして、国が全額を負担するということになると必ずしも本制度の趣旨にそぐわない面も出てくるという面もございますが、被害の状況や本制度の趣旨も踏まえながら、支援金が円滑に被災者に支給されるよう検討していく必要があるというふうに思っているところでございます。
○谷合正明君 時間になりましたので、最後まとめますけれども、ほかにも、先ほど出ました半壊世帯、これどうするのかという課題であるとか、三百万円の支給で十分なのか、あるいは自宅が全壊していないけれども長期にわたって避難されている方も現実におられます。そうした方の生活再建はどうするのか。様々な課題がございまして、これは政府に全部丸投げすることじゃなくて、我が党としてもこの被災者生活再建支援法の在り方についてはしっかりと検討させていただきたいと思っております。
そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。