○谷合正明君 公明党の谷合です。私、最後になります。
今日は、山本参考人、また冨田参考人、本当にありがとうございます。
私から、まず山本参考人に御質問をさせていただきます。
まず、ハイチでのこの度の御活動、大変にお疲れさまでありました。私もちょうど地震から一か月後の二月の十二、十三と現地に行きまして、国際緊急援助隊の医療チーム、JICAのチームはもう帰国しておりましたけれども、自衛隊のチームの方にも話をさせていただいたり、現地でいろんな話をさせていただきました。
緊急ステージは、これは当然やらなきゃいけないんですが、今後の課題として、この三月三十一日にニューヨークで、国連でハイチの復興支援の国際会合があるわけですが、日本として四千五百万ドルのたしか二国間の支援をもう既に表明しているんですが、そこでハイチの中期的な視野に立ちますと、本当にハイチ政府のガバナンスをどうしていくかという大きな問題を抱えている中で、どこにこの私たち日本の税金を使って援助を集中していくのかということが求められているのかなと。ハイチも、もうどの分野もどのセクターもすべて足りないといった状況でありますから、やはりそこで日本としてどういった分野にフォーカスを当てるのか、さらに国際保健の分野としても、日本の強みというか比較優位をはっきりするために、どこに今後焦点を当ててやっていくことが大事なのか。
私は、今回、ハイチの復興へのかかわり方というのが、今回山本参考人からもMDGsに対する日本国民の認識、日本の認識がまだまだ広がっていないということがありますので、このハイチへのかかわりいかんによっては、まさにこのMDGsの認識というものも広げることもできるんだと思いますし、やはり一つはその試金石になっていると思っておりますので、その点について御意見をいただければと思っております。
○参考人(山本太郎君) これもあくまで私的な所感というか感想なんですが、今回、今御指摘もございましたように、政府のガバナンスが非常に弱くなっている中で各国がドナー会合をやって、復興に向けてかなり大きな資金をつぎ込むことが決まっている。その多分状況はすごく歓迎すべき状況だと思うのですが、一方で、今回の場合でいえば、ハイチの援助資金吸収能力というか、今の状況で資金だけが大量に投入されても、恐らくそれを吸収する能力がないんだろうと個人的には思っております。
でも一方で、そうは言いつつも現場で活動しているハイチのNGOというのは確実にあって、そこは草の根的にそうしたNGOがどんどんできてきている。だから、多分必要なことは、政府のラインを通したGGの中からだけで資金を入れて吸収能力がなくなっちゃう資金を入れるよりも、現場で活動しているNGOにどういうふうにその資金を届けていくかという形の援助を日本が模索できるといいのかなという気はしております。
もう一つの点で、国際保健で何をするかということですが、中長期的な復興には、やっぱり先ほどから出ていますHIVあるいは結核の支援というのが非常に重要なんだろうと考えております。そこには日本の比較優位も私自身はあると考えておりまして、そうした支援を行うことは非常に重要だろうと。
もう一点、ハイチには三十年以上にわたって日本人のシスターであり医師である方たちの活動が続いておりまして、そうした活動には非常に高い評価が現地でも与えられていまして、そうした活動等を支える形の支援もあってもいいのかなという気はしております。
○谷合正明君 大変にありがとうございます。
私も現地でずっと長年活動されている方にも国内でお会いさせていただきましたし、むしろ、そういう方があってこそ今回の日本の緊急援助隊が本当に評価も高く活動できたんだなと思いまして、両方に私は感謝を申し上げたいわけでありますが。
次に、冨田参考人にお伺いしたいと思います。
CSRあるいはBOPビジネスについてでありますけれども、やはりODAだけでは今回のMDGsの達成に向けては限界があるというのは私も認識を同じにするわけであります。
そんな中で、実は私はNGOで活動してきた出身の人間として、企業の方との連携というのが、これができるんであれば非常にNGO側としても、日本の国内のNGOを含めて、これからの活動が広がりが出てくるんだなと思っております。これは何も資金面だけじゃなくて、やはりどうしても企業さんの方がよっぽど抱える顧客が多かったりという意味では、私は資金量だけじゃなくて活動にも大きな広がりが来ると思っております。
その中で、先ほど参考人の方からも、ただ、そうはいっても、NGOといってもいろいろ規模もまちまちだし、なかなかすぐに連携といかない場合もあるという話がございました。
そこで、今後、参考人の方からもパートナーシップが重要であると、政府、企業、NGOのパートナーシップと言われましたけれども、この点について、改めまして、特にNGOに対しての、連携をするに当たってNGO側に対する要望であるとか、あるいはそういうパートナーシップをつくる上での例えばフォーラムみたいな場が必要だと思うんですけれども、今のままだと単体のNGOと単体の企業、個別で交渉しているようなものですから、その辺、もう少しスムーズにできるような仕組みづくりというのも必要だと思うんですが、この辺りをちょっと総括的にお話をいただければと思っております。
○参考人(冨田秀実君) この課題は、常々、我々もいつも感じているところではありますが、最近、日本のNGOでも非常に積極的な取組がなされつつありまして、特に国際貢献系のNGOさんがたくさん集って一種のフォーラムをまさしく形成している場もございまして、その中に企業のメンバーも取り込むということで、実は私どももそのフォーラムの中に参画させていただいて、様々な情報交換や意見交換というのをする段階までは確かに来ているというふうに思います。
ただ、そこから更に本当の意味で踏み出してきちんとした連携事例をつくっていく、ここが多分次のステップになるのではないかと思いますが、集まりますとどうしても議論の焦点がぼやけたりする傾向が非常にあると思いますので、これは多分、企業とNGOの連携もそうですし、例えばJICAさんのような政府機関と企業との連携も全く同じような問題だとは思うんですが、何かやはり明確な課題設定をある程度して、それに基づいて具体的に解決をしていくには、それぞれの組織が持つ持ち味、資金面だけでなくて、やはり持っている技術であるとかノウハウであるとかそういうところも含めて、どういったものが問題の課題解決につながるのかという視点でもってきちんと議論をしていく。言ってみれば、よく我々の世界でもオープンイノベーションという言葉を別の意味合いで使ったりするんですが、もう少しそういった意味で、ある特定の目的に対して広いパートナーを募って具体的な話をしていくような、ファシリテーションができるような場をつくっていく、こういうことがあると、その中から、なかなか時間の掛かるプロセスだと思いますが、着実な形で成果が期待できるんではないかなというふうに感じます。
○谷合正明君 時間が参りましたので、終わります。