○谷合正明君 公明党の谷合です。
まず、今日の午前中にも質疑がありましたが、先週総務省から改善勧告が出されました輸入食品の検査についてでございます。
まず、総務省によるこの指摘事項について、それは総務省の指摘事項というのはどういったものだったのか、それは全面的に正しいものなのかどうか。また、そういった問題が起きた原因についてはこれからも原因究明されていくんだと思いますが、現時点についてどのように原因を把握されているのか、農水省と厚生労働省それぞれにお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(佐藤正典君) 御説明を申し上げます。
今般、総務省から輸入農畜水産物の安全性の確保に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を受けたところでございます。そのうち当省関連の内容といたしましては、輸入検査の適正化として検査を法令、通達に則して適正に行うよう指導すること、抽出数量の記録を徹底し、確認、点検、監査を実施すること。それから、検査の公正性及び中立性の確保といたしましては、検査の抽出に際して家畜防疫官が自ら抽出を行うこと、検査現場への移動に際しまして公共交通機関や防疫官自らが確保した移動手段の利用を徹底すること。さらには、業務実施体制の見直しといたしまして植物防疫所の出張所の統廃合を行うこと等を指摘されているところでございます。
○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
今般の総務省の行政評価・監視結果における指摘事項は、検疫所の輸入検査時の一つであります年度ごとに定める輸入食品のモニタリング検査計画について、検査の総件数は計画件数を上回っているものの、計画件数を達成できていない個別の品目、項目があることから、その原因分析及び改善策の実施を求めているものでございます。
その原因といたしまして、どうしてそのような個別の項目、品目の乖離が出るかということでございますが、モニタリング検査を行う中で違反が発見された場合などには検査率を引き上げて検査強化を図るということでありますとか、あるいはモニタリング検査の計画そのものが前年度、前々年度実績を踏まえて策定しておりますけれども、市場動向の変化に伴って実態に沿った検査が行われることから実施年度の輸入実態と適合しなくなることがあると、こういうようなことで、当該年度におきまして実際の輸入実態や問題の発生状況に応じた柔軟な対応が必要となっていくために、そこで実施内容が変更になりまして、そのために乖離が生じるということが一点ございます。
さらには、品目によりましては、貨物の搬入場所が遠隔地となった場合に人員のやりくりが困難となってしまう場合などがあると。さらには、これ私ども本庁の方の反省点でもございますが、検査計画が未達成の場合の原因の精査というものを毎年行って、その対応を次年度どうするかというような取組がなされていなかったこと等が理由であるというふうに考えております。
なお、総務省からの輸入食品の検査についての指摘につきましては今申し上げたようなことでございまして、いわゆる業者との関係についての指摘につきましては一切受けておりませんので、併せて申し添えさせていただきます。
○谷合正明君 動物検疫所と植物検疫所で指摘されたことについての、これは原因についてはただいまどのように承知されているんですか。
○政府参考人(佐藤正典君) 補足して御説明を申し上げます。
幾つかの点について御指摘いただいておりますけれども、例えばバルクで穀類が来ます場合に、その検査につきまして、パイプで吸い取るような形でやっておりますけれども、その吸い取る初めのとき、それから最後のとき、二回やれというふうに規則はなっております。これにつきましては、過去の経験則上、酸素といいますか空気に触れている上部に通常害虫がいるということで、その上部だけ検査をいたしましてやっているもの等がございまして、むしろこれは通達の方を改正する必要があるだろうというふうに思っております。
それからもう一つは、監査の仕組み、輸入検査についての監査の仕組みを検討すべきではないのかという御指摘を受けておりまして、これにつきましてはその検討を開始するというところでございます。
それからもう一つ、検査の抽出につきまして、業者の方々に協力を願っていて、そこに、場所に持ってきていただくというようなことが行われていたようでございます。それで、検査の効率性ということでやったようでございますけれども、これにつきましては、きちんとした形で抽出をさせていくということで、またその合理的あるいは効率的な方法についてはしっかりとした調査をやりまして、更に科学的なといいますか、その方法についても検討しなければならないというふうに思っているところでございます。
また、交通機関の利用の問題につきまして、港湾地帯でございますのでなかなか公共の交通機関がないようなところが多いわけでございますけれども、これにつきましても、輸入業者の自動車に同乗していた者があるということで、これにつきまして精査をいたしまして、適切であったかどうか、やむを得ない場合であったかどうか等々につきまして詳細に精査をいたすこととしているところでございます。
以上、しっかりとした対応をやっていくつもりでおるところでございます。以上であります。
○谷合正明君 今回の指摘を受けてどういうふうに改善していくかという話なんですが、今おっしゃっていただいた回答の中には、通達そのものを改正すべきじゃないかという話もあれば、不適切だったのかやむを得なかったのか、この辺を調査していきたいという話もあるんですが、今言える段階で結構なんですが、まず農水省の方から確認しますが、指摘事項を受けてどのように今後改善していくべきと考えていらっしゃるのか。動物検疫所あるいは植物検疫所の体制、もし総務省が指摘されるとおりにやらなきゃいけないんであればもう少し人員を増やさなきゃいけないとか、あるいは効率化しなきゃいけないとかいう問題があろうかと思いますが、この点について今言える範囲でお答えください。
○政府参考人(佐藤正典君) 御説明いたします。
今般、総務省から動植物検疫につきまして、輸入検査の適正化あるいは検査の公正化、中立性の確保等につきまして勧告を受けたところでございます。これらを真摯に受け止めまして、植物防疫所及び動物検疫所の検査業務の適正化に努めるとともに、防疫官の増員あるいは配置の見直し等を含め、検査体制の更なる充実強化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷合正明君 質問しますが、厚生労働省におきましてもどのように今後していくかという問いなんでありますが、昨年の十二月にも食品の安全について私、藤崎部長に質問させていただきました。そのときは、人員の問題以外に、検査の機能を検査項目を拡充したりだとか、必要な最新の検査機械を導入するとか、あるいは緊急的に多くの検査が必要になった際に外部に委託できるようにするとか、いろいろな工夫をして重点的、効率的な監視体制が取れるようにしていきたいという話だったんですが、まずどういったところから改善するのか。
そして、私が思うに、やはり結局人員の問題なんだと思うんですね。特に食品衛生監視員については、過去、輸入食品数の増大に比例する形で監視員も増員しておりますが、一人当たり監視員が検査する数量というのが余りにも大きいと思いますので、この点についてはやはり抜本的に強化しなきゃいけないというふうに私は考えておるんですが、この点についての御見解をお伺いします。
○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
まず、今般の総務省よりの勧告を受けてどういう対応をするかということでございますが、まず、総務省からの勧告が公表されました昨週の金曜日、五月二十三日付けで、検疫所に対しまして、モニタリング検査計画の実施に際し計画実施に支障がある場合には速やかに報告を行うよう通知をいたしたところでございます。
そして、今後どうしていくのかということでございますが、まずは、先ほど申し上げましたように、年度途中での計画の変更というものが余儀なくされますので、この点につきまして、実施年度の輸入実態を踏まえた定期的な見直しが可能となるように計画を弾力化するということを行っていきますとともに、年度終了時には必要な検査が行われていない原因を究明して改善策を講ずるということをきちんとやっていきたいというふうに考えておりまして、モニタリング計画と実績が整合するように正しく努めていきたいというふうに考えております。
さらに、今先生から御指摘いただきました人員の増が必要なのではないかということでございますけれども、私ども、これまで様々な努力をして、人員の増を確保しつつ様々な機器の導入等々をやってまいりまして、輸入検査が万全に行えるようにやってまいりましたが、やはりきめの細かい対応を、モニタリング検査を行っていくということに関しましては、どうしても食品衛生監視員の増と、確保というものが必要でございますので、平成二十一年度の予算要求に当たりましては、今般の様々な事案等々を勘案しながら、一層の人員の確保に努めて輸入食品の安全性確保に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 いずれにしましても、輸入食品の安全性の確保、また農業生産の安全の確保、これも両省においてはしっかりやっていただきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
林業の話なんですが、林業再生のための新生産システムについてなんですが、これは私、新生産システムは非常に大事であるということで、そんなふうに思っております。
この林業について国会で何度か質問をさせていただいて、その上でまた現場に戻って製材所等で話を聞いてみました。
そこで、この新生産システムが、これは平成十八年度ですかね、からスタートして、五か年計画で全国十一か所のモデルでやっているわけでありますが、御承知のとおり、日本の林業の全体構造として、零細な製材所であるとか、非常に流通経路も効率性に欠けていたりとか、そういった問題もあるので、例えば新生産システムということで、大ロットで安定的な木材供給体制の確立を通じるためのシステムをまずはモデル的に十一か所でやるということであります。川上、川下一体となって大規模な加工施設と直結した木材の安定供給体制を確立するわけですが、これは行く行く恐らく全国展開されていくという想定だとは思います。
そこで、現場で話を聞いていると、この新生産システム、例えば製材所、大体年間で五万立米、流域で五万立米ないと対象になってこないということで、私が行った鳥取の若桜町というところの製材所は、かつて町で八つ、五つあった製材所が合併、統合して造られた製材所ですが、年間でかつて三万立米、今は一万五千立米ということでございます。しかし、それではなかなかそれは新生産システムに入ってこれない中小製材所にランクされるわけでありますが、この新生産システムを進めると、負の側面としてそういった中小の製材所に木材の安定供給が図られないのではないかと。山元の木材がどんどん例えば十万立米以上出すような製材所にどんどん集中してしまうのではないかという懸念を持たれておりますが、この点について木材の安定供給にどう対応していくのか、確認をさせてください。
○政府参考人(井出道雄君) 今委員からお話がありましたように、林野庁におきましては、平成十八年度からこの新生産システムを全国十一か所でモデル的に実施してきております。
しかしながら、さらに、平成十九年度からはこの新生産システム関係の大規模な加工工場だけではなく、全国各地におきます原木のユーザーの需要動向に対応するためということで、各都道府県ごとに、森林組合系統でありますとか、素材生産業者団体でありますとか、大規模林家等の原木供給者や都道府県、国有林を構成員とします国産材の安定供給協議会を設立をいたしました。この協議会の体制の下で、間伐等を施業を集約化、低コスト化することによりまして、効率的な原木生産を促進するとともに、民有林、国有林を併せた原木供給可能量を各都道府県の協議会ごとに取りまとめ公開するというような事業をやってきております。
こういった取組によりまして、国有林とも十分に連携をした上で、中小の製材工場を含む地域の需要者のニーズにこたえて安定的に原木供給がされる体制を全国的に構築をしてきているところでございます。
○谷合正明君 現場に行くと、製材所が全国でどのくらいあるか私分かりませんが、半減ぐらいするんじゃないかというぐらいの危機感を持っておると。もちろん意欲あるところは生き残りを懸けていろいろな意味で効率化を図っていくということで、今まさに必死になって頑張っているわけでありますが、この新生産システムになかなか流域として入ってこないような地域、これどうするのかと。中小の製材所等は現実に町村の、私が行った若桜町なんかは一か所あるわけですが、そこに大きな地場産業になっているわけでして、この意欲ある中小の経営体について、これどういうふうに配慮をしていくのか、もちろん新生産システムということで国を挙げてやっていくということは必要であると考えていますが、一方でどうしてもモデル地域に入ってこないような地域、こういった地域への配慮をどうしていくのか、この点について確認をさせてください。
○政府参考人(井出道雄君) 林野庁といたしましては、中小製材工場を含む木材産業に対する政策の基本といたしましては、需要者のニーズに対応した品質、性能の確かな製品を安定的に供給できる競争力の高い加工体制を構築していくことが必要だと考えております。
このため、この新生産システムによりまして、モデル的に大規模な加工体制の整備を進めている中におきましても、中小の製材工場につきましては、例えばですが、乾燥、仕上げ等を行う中核工場に対しまして、一次加工を行った製材品を安定的に供給する等によりまして、中核工場と連携する重要な役割を果たすことが期待されております。
具体的には、この新生産システムの取組として、岡山県におきましては、地元製材業者十三社が中核となる工場に原料となる間柱、ラミナ等を供給している事例がございますし、この新生産システムに当たっておりません栃木県では、十五程度の中小の製材工場が一次加工としての粗びきを行った上で、連携する三つの拠点工場におきまして製品の乾燥、仕上げを行うという役割分担をすることによりまして、品質、性能の確保と安定供給を実現している事例もございます。
このように、林野庁としては、乾燥、仕上げ加工等を行う中核工場と、連携をします意欲ある中小工場に対しましては、品質管理技術の向上に向けた専門家による技術指導でありますとか、加工施設の整備に必要な資金の借入れに対する利子助成やリース料の助成等を実施しております。
また、これとは別の観点で、中小の製材工場と森林所有者、工務店との連携によります、顔の見える木材での家造りといった特色のある取組も推進することも重要でございまして、このような家造りの普及に対しましても支援をいたしているところであります。
今後とも、こうした施策の展開を通じまして競争力の高い加工体制を構築する中で、意欲ある中小の製材工場の取組についても支援していきたいと考えております。
○谷合正明君 是非きめ細かい対応をしていただきたいというふうに思っております。
もう一つ、路網の整備なんですけれども、やはりこれは一番大事なポイントなんですが、林道の開設延長に比べると、我が国の場合、作業道、作業路の開設延長が少ないという、現実問題としてありました。ここ数年では、林道に比べて作業道、作業路の開設延長を三倍から四倍に増やしていったということなんでありますが、先日、鳥取の傾斜地のきついところに行きましたけれども、国道とか県道、市町村道、走っているわけですね。例えば国道から直接作業道とかを入れたいんだけれども、規制で、例えば国道のわきに四メートル水平の場所を確保しなければ作業道とかを入れられないとかいろいろな規制があって、作業道、作業路をもっときめ細かく増やすために、何か規制がもしかしたらあるのではないかというふうに私思い至りました。
林道がなければ作業道ができないのかという問題もありますし、今実際に、国道、県道、市町村道という実際にネットワークがあるわけでありますから、その辺りを具体的に、その地域地域の実情も踏まえての路網整備というのを是非やっていかなければならないと思いますが、この点について林野庁としてどう考えていらっしゃるのか。
○政府参考人(井出道雄君) 間伐等の森林施業を着実に実施していくためにはやっぱり高性能の林業機械を入れていかなきゃなりませんので、そういった効率的な作業システムに対応し得るよう、既設の公道等の整備状況も踏まえながら、林道と作業道の適切な組合せによりまして路網整備を進めることが必要であると考えております。
このため、従来から林道整備に当たりましては、計画段階におきまして公道、農道との効率的な連絡のために必要な調整を図るとともに、国道や県道等との作業道を直接つなげる場合も含めまして森林整備事業等の補助対象として路網の整備を進めてきているところでございます。しかしながら、作業路、作業道の場合には傾斜がきついとかそういった問題がございまして、国県道と直接につなげる場合には安全上の問題もあるということで、それは若干の構造上の規制があるということは事実でございます。これはやはり安全確保という面もございますので、そういった点からもやはり慎重に検討する必要があると考えております。
いずれにしましても、作業道、作業路を今後かなりの勢いで増やしていかなければなりませんので、今般、可決成立させていただきました森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法に基づく市町村交付金も作業路網の整備等にも活用できるということにいたしたところでございますし、こういった施策を通じてこの路網整備を更にしっかりとやっていきたいと思っております。
○谷合正明君 是非、慎重に検討する中で、知恵を出して路網整備を推進していただきたいと思います。また、これ自治体によって規制の概念がまた違ったりしますので、この辺も林野庁としても実態を把握していただきたいというふうに思います。
最後になりますが、また今度は漁業の話なんですが、先日、広島のカキ養殖業の方とお話しする機会がございました。まず一点、細かい話の要望を受けたんではありますが、細かいとはいえ、これは国のマターだということでお話しさせていただきますが、それはカキ養殖業のカキいかだを海面に浮かべるわけでありますが、このカキいかだを、成長段階のカキの場合、えさとなるプランクトンの多い身入り漁場と呼ばれる海域へ運ぶために移動することが結構、いかだごと移動することがあります。また、台風が近づくと、比較的波の影響を受けない避難場所へいかだを移動したりします。その都度、実は漁業の方はいかだ運行許可申請書というのを、ここでは広島港長に毎回申請しなきゃいけないんですね。移動するたびに申請しなきゃいけないということで、しかも瀬戸内海でありますから、離島の方が結構多いわけです。わざわざこの申請書を持って、判こをもらうために本土まで行って、毎回これを申請して、チェックは判こだけ普通に押されるだけだと。
ここら辺をもっと簡素化できないかという要望があるんですが、是非今日、前向きな回答をお願いします。
○政府参考人(米岡修一君) お答え申し上げます。
カキいかだの運行につきましては、港則法第三十四条におきまして、いわゆる「特定港内において竹木材を船舶から水上に卸そうとする者及び特定港内においていかだをけい留し、又は運行しようとする者は、港長の許可を受けなければならない。」という規定がございます。
先生から御指摘ございましたように、今、広島港におきましては平成十九年、カキいかだの係留、運行の許可件数が四千二百三十九件ございます。この実情もよく把握した上で、今後、手続の簡素化につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 そんなに四千件もあったとは知らなかったんですが、これは本当に困っているんですよ。このために行くんですよ。こんなのファクスでいいじゃないかという話もあるし、申請期間をもう少し延ばしてくれという話があって、この話は現場ではなかなか進まないんです、これは国の話だということで。漁師の方が国の事務所へ行って話をしても、国の事務所では本当に新入社員というか新入職員の人が対応するだけで全くらちが明かないということなので、是非これ現実を踏まえて対応してください。よろしくお願いします。
○政府参考人(米岡修一君) 手続等につきましては、もちろん最近では電子システムによる申請手続というか、オンラインシステム等もございます。もちろんコンピューター関係というのは年齢によって使える方といいますか、それはいろいろございます。先生御指摘の点につきましては、ちょっと部内で検討させていただきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 以上です。終わります。