○谷合正明君 公明党の谷合です。
今日は、耕作放棄地についてまず質問をさせていただきます。
耕作放棄地については、先ほどもございましたが、これ平成十九年、昨年十一月に「農地政策の展開方向について」ということで、五年程度をめどに耕作放棄地ゼロを目指していくという大胆なプランが発表されました。
そこで、今耕作放棄地も、私もいろいろ話を聞いてびっくりしたわけでありますが、分類がしっかりこれまでできていなかったと。例えば、農振地域でどのくらい耕作放棄地があって、また優良農地として元に戻せるような農地はどのくらいその中に含まれていて、そういう分類、仕分がなかなかできていなかったという、統計上ですね、話を聞きました。
今、昨年から耕作放棄地の調査を開始したというところでございます。その調査に当たりましては、これは市町村の役割というのが大きいというか、市町村が基本的にはやっていくわけでありますが、そこで、市町村においてその調査を進めるということと解消計画を策定するということがまず平成十九年、二十年に求められているわけでありますが、市町村の農政担当のマンパワーなどを考えた場合に、全国的に、いろいろ市町村といってもいろんな人口規模もございますので、本当にうまく実効性が確保できるのかという心配もございます。市町村によっては農政担当職員が少ないとか、少ないというか、もう三人しかいないとかというふうなところもありまして、市町村の事情でかなり差が出てくるのではないかと私は考えておりますが、この辺りの円滑な実施に向けてのどのような手だてを講じられているのか、この点について確認させてください。
○政府参考人(中條康朗君) 委員の方から耕作放棄地の実態調査の進め方、あるいはその対策についての御質問でございます。
委員の御指摘の中に、調査で必ずしもこれまで把握されていないというような御指摘ございましたけれども、一応私ども統計を取っておりますが、そのときは農家の意向調査でやっておりまして、現地そのものを一つ一つ確認していないというところが実は問題でございました。
それで、今回耕作放棄地の実態調査を行おうとしているわけでございますけれども、この実態調査につきましては本来市町村農業委員会が中心となって実施するものというふうに考えておりますけれども、御指摘のとおりこれらの組織の人員も削減されておりますことから、関係者が市町村農業委員会を支援して一体となって実施することが重要であろうというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますと、本調査を円滑に実施するためには、まず地域の実情に詳しいJA、農協とか土地改良区の職員の協力を得ることが重要であるというふうに思っておりまして、全国農業協同組合中央会あるいは全国土地改良事業団体連合会に対しまして本調査の支援をお願いしたところでございます。
また、国の機関、この場合例えば地域の農政事務所でございますが、こういった国の機関及び都道府県の職員が市町村単位に設置されております調査チームの打合せに参加をいたしまして、調査に必要な地図を提供いたしますとともに、一部の地域におきましては実際に現地調査に参加すること等もしております。
耕作放棄地解消計画の実効性を確保するためには、不在村の地主あるいは土地持ち非農家の協力を得ることが必要不可欠と考えておりまして、不在村地主との面談などの取組を支援する担い手アクションサポート事業、それから農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、こういった既存の予算も積極的に活用してまいりたいというふうにも考えております。
このような調査体制の整備、それから各種事業の活用につきまして、実は昨日、五月二十一日時点でございますけれども、三十八都道府県におきまして、その県内の市町村への説明会を終えたところでございまして、今後とも地域の御意見を丁寧にお伺いしながら、円滑な調査実施等、耕作放棄地対策、解消計画の着実な実行に努めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○谷合正明君 今のお話の中に不在村地主との直接面談という話もございましたが、本当に地方に行くと、地方から都市部に住居を移したという土地持ち非農家が結構いらっしゃるわけでありまして、その連絡先を調べていく、そしてさらに協力要請を直接面談で面接して行っていくという作業ということなんですが、ちょっとそれ具体的に、場所が離れている中で具体的にどういうふうに進めていくのか。A地点とB地点と、市町村と農協が、だれがどういうふうに連携を取って直接面談に行くのか、また具体的に、個人情報などの事情がある中でどうやってその理解と協力を求めていくのか、その点についての実効性の確保についてまた御確認させてください。
○政府参考人(中條康朗君) 先ほども申しましたように、全体の計画につきましては、これは市町村農業委員会と相談、それが中心になってやっていただくということに対していろいろと支援をする、関係団体ですとか国、県なり市町村が支援をしていくような体制を取っていきたいというふうに考えておりますが、多くの場合、市町村の方で、地元の関係の方々、地縁血縁で不在村の方がどこにいらっしゃるかという情報をお持ちだというふうに考えておりまして、問題は、そこへ行く人をどう確保するか、それからそのための予算をどうするかということでございまして、これはひとえに、市町村任せというわけにはまいりませんので、私どもの方も、私どもの持っております予算をこれについて割り当てていきたいというふうに考えておりまして、そういったことから、いろんな対策を組んで市町村が対応できますような、そういう形を取ってまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 当然、人が移動して、またその交通費もいろんな意味で掛かるわけでありまして、その予算を計上されておるんですか、もう。
○政府参考人(中條康朗君) はい。
○谷合正明君 そうですか。しっかりその辺の細かいところの配慮もお願いしたいというふうに思います。
さらに、耕作放棄地対策の中で、今年から農地の面的集積を図るという意味で、委任、代理で農地を集めて再配分する仕組みのモデル事業があろうかと思いますが、十の市町村で展開していくというふうに聞いておりますが、これを全国展開をしっかりしていくべきだと思いますが、この展望について御確認させてください。
○政府参考人(高橋博君) 農地の面的集積のお尋ねでございます。
この事業は、耕作放棄地にとどまらず、今分散錯圃しております農地を何とか担い手にまとめてあげていきたいという趣旨で行っているものでございますけれども、これに関しましては、先ほども大臣からお話がございましたが、農地制度の改革、見直しについて、農林水産省といたしましては、先般の経済財政諮問会議におけます総理の御指示も踏まえながら、この秋を目途にその改革プランをまとめることといたしております。
その改革プランの具体的内容の一つ、検討の事項といたしまして、昨年十一月に実は農林水産省で取りまとめております「農地政策の展開方向について」という中で、農地の面的集積を促進する新しい制度、仕組みの在り方についても検討することとしているところでございます。
このため、平成二十年度におきましては、このような分散錯圃しております農地をいかに担い手等に面的に集積をしていくのか、その仕組みをモデル的に実施をいたしまして、効率的な制度、仕組みの設計に向けた点検、検証を行いたいということでございます。
すなわち、この面的集積の本年度のモデル事業を実施することによりまして、例えば、集落の中で実際に農地をどのような形で面的にまとまった形で集積をしていくのか、現場、地主さんあるいは担い手を含めた関係者への働きかけをどうしていくのか、農地所有者、地主さんから貸付けの委任、代理を受けるということ、それから担い手に対しましてその貸付け等を行っていくこと、それぞれの各段階におきまして具体的あるいは現実な課題が、どのような問題点があるのかも明らかになってくるというふうに考えております。
これについては、実際に事業を実施する段階で関係者へのアンケートあるいは聞き取り調査、そういったことで問題点を抽出をしてまいりたい。それをきめ細かく検証した上で、現在制度的に検討しております農地制度の改革、見直しの中につなげてまいって、これを踏まえた上で、今委員御指摘のとおり、全国的な展開を視野に置いた、より広範かつ効率的な取組につなげてまいりたいというふうに考えておりますので、この点について御理解いただきたいと思います。
○谷合正明君 分かりました。
もう一つ、耕作放棄地の対策という直接の目的ではないかもしれませんが、中山間地域等の直接支払制度がございます。平成十二年度から、基本的には条件不利地域の不利を補正するための施策ではありますが、ただ、ねらいとしては、中山間地域の耕作放棄の増加に歯止めを掛けていくというねらいもあるわけであります。
この中山間地域直接支払の制度が今第二期で、平成十七年から二十一年ということでやっております。この後、二十二年度以降どうなるのかというのが現場に行くと必ず聞かれる話であります。
私は岡山とか回るわけでありますが、都道府県、今、中山間地域直接支払制度の協定数、全国で二万八千ありますけれども、一番多いのが広島県で、トップファイブに広島と岡山と島根が入ってくるわけですね。中国地方って本当に、その中山間地域で、さらに傾斜のある条件不利な地域がたくさんございます。必ずこの制度は継続すべきであるというふうに私も現場に行って言っておりますし、そのためにはまず中間年評価というのがあるので、そこでしっかり検証するということで現場の農家の皆様には伝えているわけであります。
そこで、今、市町村そして県の段階で素案が出てまいりました。六月中に国としての取りまとめをするわけでありますが、既にもう県段階の素案が出ておりますし、私は、この制度は大変評判のいい制度でありますし、直接支払ということで本当に喜ばれております。
この素案についての簡単な感想でもいいですし、また、今後の展開をどうしていくのか、副大臣に是非御答弁お願いしたいと思います。
○副大臣(岩永浩美君) 私も、中山間地域の直接支払については、今、谷合委員と同じように、共通の認識を持って、今後とも引き続いてこれは継続していくべきではないのかと私自身も思っております。
今御指摘いただいたように、平成十二年度から実施している直接支払制度、これは、平成十七年度から生産性の向上や集落営農化など将来に向けた積極的な取組を促す新たな対策に移行してやってまいりました。この結果、耕作放棄地の発生防止や農業の多面的機能の維持増進、集落機能の活性化などの面で大きな効果を発揮して、農家や地方公共団体から非常に高い評価をいただいていると私たちも認識をいたしています。それは、谷合委員と共通の認識だと私も思っております。
平成十九年度には交付面積が約六十六万五千ヘクタールと、対象となる農用地の約八割で実施されていることになり、交付金を活用して農業機械の共同利用や担い手への農地利用集積など、これまで以上に積極的かつ質の高い取組が実施された報告を聞いております。
この制度の継続に関しては、まず、現在の対策が着実に効果的に実施されているのかどうか、その成果が都市の住民も含め広く国民の方々に理解されることが重要だと考えており、この件については、要するに、中山間地域の皆さん方になぜそういう直接支払をするのかという都市住民の皆さん方の誤解がないように、国土の保全のために、あるいは自給率の向上のために大変生産性の低いところで御努力をいただいている、そういう認識を都市住民の皆さん方にも広く理解していただくことが大変大切なことであると思っております。
いずれにしても、この制度の在り方や継続の必要性について、現在第三者委員会の意見も聴きつつ、六月末に取りまとめを予定している中間年評価の結果を踏まえて今後の継続等々について検討してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非継続するように、今後財務省にしっかり働きかけていただきたいというふうに思います。
最後に、大臣に質問させていただきますが、昨年十二月に公明党の地域活性化推進本部で過疎集落実態意識調査を行いました。
その中で、集落に入っていくと、冠婚葬祭や田畑の管理など、共同体機能維持のための自治会役員の兼務、継続が高齢住民の負担になっており、公務員派遣の配置による役員任務や運営業務の代行、学生インターンシップや過疎集落協力隊など、若者ボランティアの制度化などの人的支援ということで、そういうような提言を意識調査を踏まえてさせていただきました。
過疎集落協力隊、仮称でありますけれども、例えば新規就農というか、就農というのはかなり意識的にも条件的にもハードルが高いですから、まずその前段階として、例えば若い人たちに農村地域を知ってもらうという取組が必要じゃないかなと思っております。
例えば、これは青年海外協力隊というのは実際に外務省持ってやっておりますけれども、こういうのも農水省で、要するに数は少なくてもいいとは思うんですが、まずはモデル的にやっていただくというのが私は若い人たちにとっての農村地域を知るファーストステップになるんじゃないかというふうに思います。そうした方々から行く行くは地域おこしであるとか就農につながっていったりとか、またあるいはその地域に住み着いたりということもあると思いますし、あるいは農水省の職員として就職というか、公務員採用に受かって、またその仕事ができたり、そんないろいろなパターンがあろうかと思うんですね。
まず、大臣に、この考えにどういうふうに率直に思われるか、私の質問時間、四十八分までなので、残りの時間で答えてください。
○国務大臣(若林正俊君) 公明党が過疎集落対策について、また過疎地域について大変に熱心に取り組んでいただいておりまして、昨年の暮れに過疎集落実態意識調査をやられました。大変精密な調査でございまして、それに基づいて今年の二月に提言をいただいて、私がお受けしたわけでございますが、このことにまず敬意を表したいと思います。十一項目にわたって大変具体的な提案がなされておりますが、その提案の中で、今委員がおっしゃられました過疎集落の協力隊など若者、ボランティアの制度化などの人的支援策ということの御提案がなされているわけでございます。
この若者のボランティアを積極的に推進するということにつきましては、確かに若者にとっては自らの生き方を考える機会となるばかりでなくて、農山漁村においても農作業の手助けになるというだけではなくて、その地域の人たちがそういう若い人が入ってくれることによりまして、その地域の価値を見詰め直すという機会が与えられる、また勇気付けられるというようなことで、地域の活性化に重要な役割を果たしていくものと考えているわけでございます。
具体的には、農林水産省が持っております事業に広域連携共生・対流などの対策というものを持っておりまして、都市と農山漁村の交流活動の一環として、都会の若者などが長期に滞在して行う農業ボランティア活動などに対して支援を行うという事業がございます。この事業は予算的には九億余ということになっているわけでございますが、この事業の一環として既に大変すばらしい活動が事例としてございます。それは緑のふるさと協力隊と称しておりまして、NPO法人であります地球緑化センターというところが中心になってボランティアに呼びかけて、ボランティアとして、若者に限りませんけれども、今お話ありました海外協力隊の経験者、そういう人たちも参加をいただいて、農林業の作業の手伝いだとかあるいは直売所だとか、いろいろございます。そういう観光施設や販売施設などでお手伝いをするというような具体的な活動を現にしていただいております。
そういう意味で、この制度を更に拡充をして、これは押し付けてやるというよりもボランティアでございますから、公募して手を挙げてもらうという仕掛けになっておりますけれども、これはPRしなきゃいかぬと思いますね。そういうPRを積極的にしていきたいと思います。
さらに、基本的には委員御承知のように過疎法がございます。そういう過疎法の中で過疎地域全体をこれからどうしていくかという課題があるわけでございまして、政府では、昨年ですけれども、地方再生戦略というものを立てました。その地方再生戦略の一環として、農業関係につきましても元気の出る農山漁村の振興という事業を起こしております。そういうような事業の中で、地域リーダーの育成とかそういうことと関連して、今言われたボランティア活動も積極的に参加いただけるような仕組みをつくっていきたい、こんなふうに思います。
○谷合正明君 ありがとうございました。