○谷合正明君 公明党の谷合です。
先週に引き続きまして、食料価格高騰問題の関連質問をさせていただきたいと思います。
この食料価格高騰問題につきましては、我が国としてもこれは当然国益にかなう取組課題でございます。また、国際社会の中でも先頭に立って取り組むべき課題であります。しかしながら、国内を見てみると、いろいろな意味で矛盾に近いような問題がございます。その一つが深刻な食べ残しの問題であります。
日本国内の食品廃棄物が約一千九百万トンでございます。年間の米消費量が八百万トンぐらいでございましょうから、相当大きな、大量な規模であります。この一千九百万トンというのは、二〇〇四年、世界で食糧援助をした、その食糧援助量の重量ベースでいいますと三倍にも上る大量の廃棄物が出たということであります。熱量ベースでは国内では供給された量の約七割ぐらいしか実際口にしていないと、あとは廃棄されているという計算になっているそうであります。その一方で、食べ残ししている割にはその一方で国内でメタボが進行しているという、何かよく分からない矛盾が生じております。今は地球温暖化対策ということで省エネということが盛んに言われておりますけれども、昨日の読売新聞なんかにはもう省フードといったことも考えなきゃいけないんじゃないかというふうに指摘されておりました。
例えば、食品加工、いわゆる業界から出る産業ごみについては肥料、飼料としてしっかりエコフィードみたいな形でリサイクルしていくという、有効に活用していくということをまずもって進めていくことが大事だと思います。
一方、家庭から出るごみというのが腐敗とか異物混入がありますので、なかなかそれを再利用していくというのは難しいということになってきますと、先ほどやはり食べ残しのそもそもの問題としては、食の何というんですか、生活というか、食生活の見直しもそうですし、そもそも世界を見渡したときに、食料危機で困っている人たちがたくさんいる中でこういう食生活でいいのかどうかということを真摯に反省する必要があろうと思います。
この食料の残渣の問題についてどう取り組んでいかれるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
○大臣政務官(澤雄二君) 御質問の趣旨が二つあったと思います。エコフィードの取組とそれから食生活の見直し、無駄な食料を残さない、この二つだと思います。
最初のエコフィードの取組についてお答えをしたいと思っておりますが、エコフィードは、言うまでもなく、食料自給率の向上のみならず、最近、配合飼料価格高騰しております。この対応の上でも重要な課題だと思って、農水省ではその推進に努めているところでございます。
現状でありますけれども、農水省の調査によりますと、平成十八年度に食品産業から排出された食品残渣千百三十五万トンのうち、二二%の二百四十八万トンが飼料向けに現在利用されております。委員が挙げられました千九百万トン、それは委員みずからもおっしゃっておりましたが、これは家庭用の生ごみもこの中には入っております。そして、この家庭用の生ごみは残念ながら現状では多くの異物が混入しているためにエコフィードの対象とはなっておりません。したがって、この家庭用の生ごみを将来どのようにエコフィードに活用していくかということは今後の大きな課題であろうというふうに思っております。
そして、昨年十二月に施行されました改正食品リサイクル法に基づく基本方針で、再生利用においては飼料化を最優先するということが決められております。これまでどういうことをしてきたかというと、食品関連事業者と畜産農家等のマッチングをしてまいりました。それから、食品残渣飼料化施設のモデル整備等をやってまいりました。これに加えて、今年度予算では、配合飼料メーカーと食品残渣飼料化業者が連携してエコフィードを生産、拡大する取組にも支援をするというところを決めたところでございます。現在、飼料化でいいますと先ほど申しました二二%でございますが、五年後の二十七年度にはこれを四五%に引き上げていきたいと、このように考えております。
二つ目の御質問の食生活の見直しに向けた取組でございますが、もう委員御指摘のように、日本では食料が豊富に存在して、もったいないという、食べ物を大事にする気持ちが薄れてきております。このため、農水省では、国民の食に関する感謝の念や理解が深まり、食品を大切にする機運が高まるよう、食育を推進する中で様々な施策を実施しております。
具体的に申し上げますと、食生活の改善などを図るための指針として食生活指針が平成十二年に定められましたけれども、これに基づいて、これまでも、買い過ぎ、作り過ぎに注意して食べ残しのない適量を心掛けること、賞味期限や消費期限を考えて利用することなどを幅広く広報普及活動を持続的に現在行っているところでございます。
また、命の大切さ、自然の恩恵、食にかかわる人々の様々な活動について理解を深めるための生産者と消費者との交流、教育ファーム、つまり農林漁業体験でございますが、先ほど話がございましたが、これも、大人も子供も農業漁業体験ができるという教育ファームを進めております。同時に、先ほど議論されておりました、一年間で百二十万の子供たちを農林漁業体験をさせるというプロジェクトも進めさせていただいております。
以上です。
○谷合正明君 もう一つ、国内問題として、特異な事情というのが、実は米が余っている日本が米を輸入して、一方で今世界で食料、米不足の危機になっているという問題がございます。
国内問題としては、我が国は言うまでもなく今農業者の減少であるとか耕作放棄地の増大、米の生産過剰といった問題もあります。消費の減少といった問題もあります。これは政策的に対応することが重要であります。米はそういう状態で、じゃ、麦が国際価格が高騰しているので麦が、農家が潤っているかというと、国内生産者の収入が増加しているわけではないということであります。
一方で、国際的な主要な食料である米、麦の需給が逼迫して、麦、米の価格が急騰していると。現時点で、国内での農業問題と国際的な食料価格高騰問題というのは、ある意味別の観点からしっかり取り組んでいく必要もあると思います。しかし、別の観点といいましても、日本の農業をしっかりと支え安定した営農が続けられるような施策と、現在直面している国際的な問題との整合性というものもしっかり図っていくことが重要でございます。
例えば、何が言いたいかというと、もう少し米を作りながら世界的な問題にも対応していけるというようなメッセージを発信できないだろうかと。もちろん生産調整という具体的、現実的な課題はございます。しかし、例えば今年は胡錦濤さんが来られまして、中国への米輸出解禁という話がありました。米については一般の主食とは別の用途として、米の輸出促進をすることでこの世界的な問題にも、米不足の解消にもつながっていく、行く行くは、というふうに考えております。
こうした日本の国益と世界的な問題への対応について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 日本のお米は本当に高いんですよ。なぜ高いかというと、技術は優れているんです。水田の基盤もかなりもう整ってきておりますから、機械も入りやすくなってきているんですね。非常に省力経営ができるようになっていますが、何としても、経営単位当たりの面積が小さいから、そしてまた圃場が分散錯圃でフルに機械が使えないというような状況の中で、私はコストが高くなっているというふうに思うんです。
ちなみに、もう委員も御承知のことですから申し上げますと、昨年ですね、昨年十一月、国がいろいろお米を買いましたね、備蓄用に。そのときがトン二十三万八千円なんですよ。しかし、実は、例えば台湾には輸出いろいろしていますが、台湾産の在来種はトン九万から十二万円ぐらいなんですね、台湾で。だから、台湾に輸出する、一番いっぱい実は輸出している先なんですけどね、台湾に輸出しても、台湾が今のようなことであります。それで、台湾産の日本品種の場合が、中には日本品種を作っています、三十万ないし四十万トンでいっていますから、輸送費を入れて何とか台湾には出せるのかなというようなことがあるんではないかと思っております。
中国は、十倍ぐらいの値段で売れているというふうに言われます。実は、私は昨年約一年掛かって中国と民民ベースの輸出ができるように努力をしてきました。温家宝首相ともそのことでお会いしましたし、向こうの植物検疫の担当の大臣とも非常に難しい交渉をしてきました。ようやく先般、胡錦濤さん来られるときに決着しようということで実務的な詰めをやって民民ベースの輸出ができるようになりました。
しかし、これは、輸出しているという部分は自給率の計算上はそれだけプラスに作用しますからおっしゃるとおりなんですけれども、中国側も見ておりますが、私どももそう思っていますけれども、これは期待しながら売り込んでいますが、富裕層の主として贈答用米に使われているんですね。一般にはとても、もしこれが民民ベースでいっぱい輸出するようなことになると、自給が下がって今のような価格じゃなくなると思いますけれども、しかし、どうでしょうかね、半分まで下がったとしてもなお日本のお米のベースでは難しいんじゃないかというふうに思います。
ですから、これからも日本食ブームがあります。そして、日本食ブームの基礎はやはり食材が日本のものであるということをレストランのシェフなどが言っておりますから、徐々に日本のお米というものがなじんでくるとそれなりの価格に見合った評価が得られるように徐々になっていくんじゃないかということを期待していますが、富裕層とか高級レストラン向けに今販売されるということからスタートをして、徐々に拡大をしていくことになるのではないかなというふうに思っていますが、これらは今後とも普及の推進に努めてまいりたいと思っております。
民間ベースにおける米の貿易輸出というのは、台湾が一番多いんですけれども、次は香港、そしてシンガポールなどでございます。そういう意味で、これからも努力はいたしますが、世界的な今の穀物需給の逼迫と価格の高騰に何らかのお役に立つほどの量に行くには程遠い状況にあると、残念ながらそう言わざるを得ないと思っております。
国内の水田を有効に活用していくということについて言えば、米がなじみやすいという意味でいけば、これから生産性上げながら、えさ用の米でありますとか、あるいはパン用の米粉によるパンだとかあるいはめんだとか、そういったような新規需要の方を開発をしていくことに力を入れたいと、こう思っております。
○谷合正明君 大臣の言わんとすることもよく分かります。その上で質問させていただきました。
来週は横浜でTICADⅣが、アフリカ国際開発会議がございます。そして、八月の洞爺湖サミットもこの食料問題が議題に上ろうかと言われております。六月上旬にはローマの食料サミットもございます。
先週は、私、同じ参議院のODA特別委員会の中で、参考人に来られたアフリカの大使であるとか、あるいはJICAの理事長の緒方さんから、いわゆるアフリカの農業問題についての話を聞く機会がございました。もちろん緊急支援的な対応ということはあるんですけれども、それ以上に、いわゆる中長期的な観点でアフリカの農業開発を支援していくということが大事ではないかという話もございました。
例えばネリカ米、これはニュー・ライス・フォー・アフリカですけれども、こういったネリカ米の品種改良であるとか、そのためにネリカ米だけやってもしようがないです、インフラ、かんがいだとか流通とかあるいは、食料を運ぶための道路も実際アフリカも整備しないと効率いい流通ができないわけでありますが、ところで、農水省で約五十億円、ODA予算を持っております。ODAは外務省とかJICAが基本的にやっているものだと思っていたんですけれども、農水省も五十億円持っていると。一体何をやっているのかよく分からないというふうに指摘されております。実際、この五十億円を有効に使っていく必要があろうかと思います。
私は、今回質問させていただきますが、実際に農水省のODAのメニューの中にも農業、農村、貧困問題への対応というのがあろうかと思いますが、農水省として一体何を今後されていきたいのか、この対応についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉村馨君) 委員御指摘のとおり、今年はTICADⅣ、それからFAO、サミットと、そういった重要な会議がありまして、アフリカの農業開発という問題は非常に重要なテーマになってくるというふうに考えております。そういう中で、アフリカを始めとする多くの開発途上国においては農林水産業が基幹産業になっておりますので、農村の開発や貧困の削減を図っていく上で農林水産業の振興が極めて重要であるというふうに考えております。
農林水産省といたしましては、先ほど委員が御指摘になりましたネリカの開発、こういったもの、そういった品種の普及、それから、かんがい整備、流通や水管理のための農民の組織化、人材育成等の取組、こういったことをこれまでもやってきております。今後とも、こういったことを通じて農業の生産性向上、生産拡大を支援していくことが重要であるというふうに考えております。
もちろん、これは私どもだけではできませんので、今後とも外務省やJICAなどの関係機関と連携しながら、我が国が有する技術を活用した協力を通じて途上国の発展に貢献していきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 もう時間でございますので、最後、このODAの問題は、農水省だけじゃなくて、ほかの省庁もたくさんありまして、もっと効率よく、連携すればもっともっと食料・農業問題に対応できると私は考えております。この点については、しっかりまたこれからも、どういう使い道をするのか等、この委員会でもしっかりと質問、追及していきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
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○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
政府提出の農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律案、いわゆる農林漁業バイオ燃料法案について質問をいたします。
バイオ燃料については大きく三つの目的、意図があるということであります。一つは、CO2を増加させないという大きな目的もあります。もう一つは、エネルギー安全保障上の、エネルギーを受け入れる際の多様化、また地域産業の振興という話も先ほど来ございました。
私の地元の岡山県も、真庭市、新見市がバイオマスタウンになっております。特に真庭については、従前からこのバイオマスについては非常に熱心に取り組んでまして、製材工場の残材からの燃料用エタノール製造実証とE3実証、これはもう既にやっているところでございます。
こうした中で、やはり地方の活性化を図っていくためにこれまでと違った視点での施策を講じていく、そういう意味でのこのバイオ燃料法案、非常に農林漁業の振興を図る上でも大切なものであるというふうに考えております。農林漁業に由来する資源をバイオ燃料の原材料として活用していくことを促進する法案の趣旨については賛成をするものであります。
まず、一点目にお伺いしますが、これまで、先ほど来出されている質問でありますが、食料それから飼料の供給とのバランスの確保についてのお尋ねであります。
実は、ある大手食品メーカーのトップの方が、バイオ燃料の原料として小麦やトウモロコシなどを使うことは世界の食料危機を加速することになると警告をいたしました。それによると、石油製品需要の増加分二〇%をバイオ燃料で代替すると食用に回す穀物はなくなってしまうということでもあります。
また、バイオ燃料についての懸念はほかからも表明されておりまして、二〇〇七年には国連の食料の権利に関する特別報告官が、食料危機の回避策としてバイオ燃料の開発を五年間凍結するという案を提唱しております。そこまで言っているわけであります。
バイオ燃料に関しては、もちろん今後は食料以外の原料を使った生産法の開発などが主流になってこようかと思います。
まず、そこで一点目、我が国は自給率が四〇%を切ってしまっているわけであります。まずは、麦、大豆といった作物の生産を振興することによっての農地の有効活用を図っていくことが重要ではないかと思っておりますが、まず、この食料、飼料の安定供給と国産バイオ燃料の生産拡大のバランスをどのように取っていくかについてのお考えをお聞かせください。
○国務大臣(若林正俊君) 委員がおっしゃるとおりだと思います。食料、そしてまたえさを通じて畜産物という食料を作るということが最優先さるべきものというふうに考えているわけでございます。
したがいまして、日本型のバイオ燃料生産拡大対策と銘打っておりますけれども、方向性としてはセルロース系の原料でバイオエタノールを生産していくということを方向付けとして持っているわけでございまして、そのほかは、今委員がおっしゃられました、元々、木質系のペレットなどを作ってそのペレット利用をしていくとか、あるいはまた畜産の方で、廃棄ふん尿からだけではありませんけれども、それでガスを燃料に使うとか、いろいろな方策があるんですけれども、エタノールとの関係で言えば、やはり食料と競合を来さないということを政策の推進の方向としてそれを定めていきたいと、それを推進していきたいと思っています。
ただ、先ほども議論がありましたけれども、そういう木質系のバイオエタノールの生産システムを確立するためにはどうしても、まだ大変幼稚な、インファントの状態ですから、糖質系のエタノール製造システムという知見を得なければならないという意味で、五万キロリットル以上やる予定はありませんけれども、そういう糖質系のものを対象とするものをこの法律では対象にしてスタートを切らざるを得ないというふうに考えております。
○谷合正明君 食料価格高騰の要因としてこのバイオ燃料ブームがあるということも一因だということで委員会質疑でやり取りさせていただきましたが、今の大臣の答弁で、まずは日本型のバイオということで食料、飼料と競合しないバイオ燃料の生産拡大を図っていくという話でございました。
こうした我が国の方針というものをもっともっと国民の皆様に知っていただくということが大事であろうかと思っております。国際会議でアピールするという以前の話として、国民の皆さんにどのようにこの理解を得る努力をされてきたのか、またどのように取り組んでいくかについての説明を、御答弁をお願いします。
○政府参考人(吉田岳志君) バイオ燃料の生産拡大につきましては、本法案による措置のほか、平成十九年度から開始しております大規模実証事業と併せまして、平成二十年度予算におきまして、食料供給と競合しない稲わらや間伐材などの未利用バイオマスを有効に活用しました日本型バイオ燃料生産拡大対策、これを新たに開始いたします。あわせまして、平成二十年度税制改正措置におきまして、バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置の創設などの様々な支援策を講じることとしておるわけでございますが、今委員御指摘のように、これを国民の皆様にどう理解していただくかということでございます。
これらの支援策につきまして、関係者への周知と理解醸成を深めることを目的に、四月下旬から五月中旬にかけまして、全国九ブロックにおきまして日本型バイオ燃料生産拡大対策に向けての対話集会というものを開催してまいりました。大変盛況でございまして、関係者に対して支援策の説明を行いますとともに、バイオ燃料やバイオマスの活用の促進についての意見交換、活発な意見交換を行えたと思っております。
バイオマスの活用につきましては、バイオマスの賦存状況等が地域によって大きく異なっております。そういったことから、地域の実態を踏まえて進めることが肝要というふうに考えておりまして、バイオ燃料の施策の推進に当たりましては、こういった現場の様々な声、これをよく聞いて進めてまいりたいというふうに思っております。
今後とも、より分かりやすくきめ細かな説明を通じまして国民の理解の増進に努めますとともに、本法案による措置、補助事業や税制措置などを総合的に実施をいたしましてバイオ燃料の生産拡大を図ってまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 国民の皆様から具体的にどういう御意見があったのか、すべて承知しているわけではありませんが、地域の実態、実情に合わせた形の進め方というのが大事であるということがいろいろ説明会の中で分かってきたという話でございました。
こうした国民への対話というか、国民の皆様との意見交換を踏まえるような形で、大臣におかれましては、食料サミットであるとか国際会議の中で、まさにこのバイオ燃料と食料、飼料とのバランスの問題についての、我が国、サミット議長国として世界をリードしていくというような発信というものが大事であろうというふうに考えておりますので、まず大臣に、この情報発信、国外に向けた情報発信についての取組について、あるいは御決意についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 洞爺湖サミットで、会場あるいはプレスセンターなどのエネルギー、これも、自然エネルギーそれからバイオエネルギーをベースにしたようなことをいたしまして、できるだけ日本の姿勢というものを広く理解できるような状況の環境の中で、日本型バイオ燃料はこういう方向で臨むということをアピールしていきたいと、こんなふうに考えているわけでございます。
議長国というのは、議長国が全体を環境をつくりながらリードしていくということはあるわけですが、議長国が余り自分の意見でそれでリードするというよりも、いろんな意見をそこで出してもらった中でいくと。ただ、我が方はこういうことを考えているということで会議を進めていくことになるんだろうと思っております。
○谷合正明君 分かりました。
次に、耕作放棄地の活用についての質問をさせていただきます。
基本的には食料、飼料と競合しない形で進めていくわけでありますが、しかしながら、今我が国国内においては埼玉県の面積に匹敵する耕作放棄地がございます。また、不作付け地も含めた遊休農地というのはたくさんあるわけでございます。こうした現在利用されていない農地にバイオ燃料の原料作物を作付けすることができていくのであれば、農業振興だけでなく、国土の保全といった面でも有用ではないかというふうにも考えております。このバイオ燃料が適切な方法で生産拡大が図られるのであればということであります。
そこで、例えば、じゃ耕作放棄されている現場にこれがすぐに簡単にできるかというと、高齢化に伴う労働力不足であるとか農産物の価格の問題等もございますので一朝一夕にいくとは考えておりませんが、こうした原料作物の耕作放棄地への作付けについてどのような展望を持っているのかについて、考えをお聞かせください。
○政府参考人(吉田岳志君) 耕作放棄地を利用したバイオ燃料原料作物の作付けについてのお尋ねでございます。
耕作放棄地の利用に当たりましては、先ほどから議論がございますように、所有者や担い手、畜産農家などによりまして食料、飼料の生産が行われること、これが最も望ましいということは言うまでもないと思っております。
ただ、地域の条件によりまして、食料、飼料の生産を行うことが必ずしも合理的でないという場合も考えられますので、こうしたケースにおきましては、代替作物としてバイオ燃料用の作物の生産が位置付けられるものであるというふうに考えております。これによって農地を農地として有効に活用できるんであろうというふうに考えております。
ただ、このような場合でありましても、バイオ燃料用作物の作付けに当たりましては、低コスト生産が必要不可欠でございます。そういったことから、当省におきましては、機械化一貫体系等の確立によります低労働力生産システムの構築、それから農薬や肥料といった資材の投入量が少なくて、そして多収穫が期待できる品種の育成、こういった研究開発に取り組んでいるところでございます。
今後とも、こうした取組の推進によりまして国産バイオ燃料の生産拡大を通じた農林漁業の振興を図ってまいりたい、このように考えております。
○谷合正明君 実は、バイオディーゼルの方なんですけれども、ジャトロハという何か植物があるそうでありまして、今我が国としてもその開発、開発というんですか、どういう土地でこれが利用可能なのか。特に、アフリカだとかいろんなところでこのジャトロハという作物が干ばつや害虫に強く特別な手入れを必要としないものでありまして、種子からの搾油効率が高い上に、非食用のため、大豆、トウモロコシといったバイオ燃料と違って価格高騰につながらないというような利点があるというところまで出ているわけでありますが、こうしたことも、国内に適用するとかあるいは国外への技術移転であるとかということも進めていただきたいなと思っております。
そこで、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大についてのお尋ねなんですが、二〇三〇年には六百万キロリットル、これは可能性としての数字だということであります。これには前提条件があって、革新的技術開発が行われることと。三点の革新的技術があって、一つは収集・運搬コストの低減、一つは資源作物の開発、もう一つはエタノール変換効率の向上でございます。
まず一点目お伺いしますが、この収集・運搬コストの低減を本当にこれはどのように図っていくのか。本当に地域地域に行きますと、私たちの地域にはこんなにたくさんの未利用のバイオマスがあるんだと、ここにすごく期待しているわけでありますね。この収集・運搬コストの低減が図られると。これバイオマスだけじゃなくて林業全体の話かもしれませんが、この点についての取組についてお尋ねいたしたいと思います。
○政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。
今御指摘のように、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のためには、原料となる未利用バイオマスを低コストで安定的に供給すること、これが不可欠でございます。これらの未利用バイオマスは収集・運搬コストが高いと、そのために利用が進んでいないというのが現状でございます。
そこで農林水産省では、間伐材あるいは稲わら等の未利用バイオマスにつきまして、効率的に収集可能な農業機械あるいは林業機械、そういったものの開発ですね、それから収集・運搬システムの構築に係る研究開発、結局個々の技術だけではありませんで、それをどう組み合わせて地域でシステムとして根付かせていくかということが大変重要であろうということを考えておりまして、そういった研究を進めることというふうにしてございます。これらの研究開発を通じまして、間伐材あるいは稲わらなどのセルロース系原料からの大幅なバイオ燃料生産拡大に向けた実用化技術を確立してまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 私はもう一つ、やはりエタノールの変換効率の向上の技術開発が一番大事であるというふうに考えておりまして、今世界的に研究開発競争が行われている中で、ここに力を注いでいくことが本当に国策にかなっていると私は思います。これは、技術分野、技術研究開発は我が国得意分野でございます。その意味で、この技術開発の重要性について、新品種の育成も含めてこの変換効率の向上と資源作物の開発について、この二点について現在どのように取組が行われているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。
バイオ燃料の生産コストを低減させまして化石燃料と生産力をもたせるというためには、今御指摘のありました、先ほど申し上げました生産・収集コストの低減と併せまして、資源作物の開発ですとかあるいは燃料変換技術の開発、こういった技術的な課題を解決することが必要でございます。
そこで、今やっておることでございますが、具体的に申し上げますと、独立行政法人を中心にいたしまして、平成十九年度から多収穫で病害抵抗性等を有します新品種の開発や、直播栽培等の省力化が可能な栽培技術の開発を開始をしてございます。
また、稲わらなどの原料を効率的に収集するシステムやセルロース系原料の低コスト燃料化技術の開発、実証など、民間企業等による取組に対する支援を実施することとしているところでございます。
また、今、これ経済産業省等とも協力をしながらバイオ燃料技術革新協議会というものを立ち上げまして、その中で、コスト目標を明確にしまして、それぞれの技術ごとにどういった課題があって、それをいつまでにどうやって解決するかといった個々の工程管理も含めた検討をしておるところでございます。
さらに、この法案におきましても、こうした研究開発に係る計画認定制度を設けておりまして、認定計画に基づき育成された品種に対する種苗登録等の減免といった支援措置を講じることとしております。
今後とも、関係省庁と連携しながら研究開発の加速化を図ってまいりたいと考えております。
○谷合正明君 やはり革新的技術開発というふうに称されているこの三つの分野、本当に力を入れていく必要があると思っております。特に、再三申し上げますが、このセルロース系原料の効率いい糖化、ここを本当にどうやってやっていくのか。これがもうできれば、我が国の将来って本当に大きく変わるんじゃないかというふうに私は思っております。
最後に、残されている時間、大臣に、改めてこのバイオ燃料という新たな取組の実施に当たって、法案そのものだけでなくて、先ほど来言っているこの研究開発の推進、この辺についてのしっかり取り組んでいくんだという最後、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。また、さらにその推進の意義について、これを国民に十分周知していくことも必要であろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 私、このバイオ燃料の農林水産物由来の開発というのは、農林水産業に新しい分野を開くことになるんではないかという、そういう期待を掛けております。
農業分野は、もう比較的身近なことで非常に分かりやすいわけですけれども、新作物もございましょう。あるいは、今まで副産物で捨ててしまったようなものを有効に利用するということもありましょう。あるいは、規格に外れているためにそれがそれなりに評価されなかったようなものを有効に利用するということもあると思うんですね。
それから、林業については、もう委員が先ほど御指摘になりましたように、森林整備に伴って生じてまいります間伐材あるいは枝打ちその他の今までですと林地にそのまま残してきた林地残材、それから、製材をしたときに出てくる言わば製材残渣ですね、こういうようなものなども利用可能になってくるというふうに思うんですね。
それから、海の方が意外と海藻類でもう何とも邪魔者であったような海藻が原料に使えるということが言われておりまして、海の方も、それは場所は限られてきますけれども、そういう海藻類を原料に使うというようなことも可能になってくると。
それらはいずれも農山漁村の地域資源でもあるわけですから、そういう眠っている未利用のあるいは低利用の資源を使って地域の活性化にもつなげていけるような、そういうバイオインダストリーというようなものを立ち上げていくことが必要なんじゃないかというふうに思うわけでございます。
その際に大事なことは、何といっても、委員も強調しておられますセルロース系の原料を糖化すると、糖分にしてそれでエタノールにしていくということになるわけですが、これは酵母が、酵母、エンチームですね、これがどういうのが一番いいのかというのが大変難しい課題になっていると承知しております。
技術的なことはよく分からないんですけれども、先ほどお話ししました、昨日、総合科学技術会議、これはもう各大学の、あるいは日本学術会議の会長とか、そういう人たちがこのメンバーになっている会議なんですけれども、そこで国としての技術開発の先端的あるいは革新的技術開発の重点を何にするかということをずっと議論してきたんですね。
いろんなテーマが挙がっていますけれども、その中に我々が期待をしているこのことがテーマに挙げられ、そして、具体的にこういうものなんですよということをその学者が説明をされたモデルになったんですね。装置持ってきていまして、総理も出ておられたんですけれども、こっちに稲わらがあって、これだけの稲わらをこういうふうに酵母で、これ実験室の話ですけれども、こうやって、段階を踏んでいくと最後はこれだけのものができます、この稲わらの量でこれだけのエタノールが生産されているんですという、実感がわあっと伴ってくるような、そういう装置もそこで御披露になりまして、しかし、それをやるためにはどうしても先端的な、ゲノムの活用による先端的な酵母とでもいうんですかね、その発見というか開発、育成ということが大事なんだということを強調しておられました。そこのところに国としても集中的に研究資源を投入をして研究開発を加速させていくという姿勢で臨んでいきたいと、こう思っております。
○谷合正明君 ありがとうございました。
以上です。