○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
自民党さんと民主党さんの委員の皆様の質疑を聞いていると、まだまだこの法案の不十分なところがあるのかなと率直に思ってしまったわけでありますが。
私の方から、まず全体的な話から質問させていただきたいんですが、この水産業における水産加工業の位置付けということでまず大臣に伺いますが、もちろん水産加工業というのは重要なわけなんですが、魚介類の国内消費仕向け量が平成十八年には九百八十二万トン、そのうち四百四十一万トンと約四五%が食用水産加工業に向けられておりまして、水産物の最大の仕向け先となっております。消費の面からいいましても、この水産物を加工品の形で摂取することがいかに多いかということで、生産と消費の橋渡し役をしっかり担っているんだろうなというふうに思います。
具体的に水産加工品、かまぼこですとか干物、つくだ煮、それからツナ缶とかかつおぶしとか塩辛とかもういろいろございます。水産加工業につきましては、漁業地域におきます基幹産業として地域経済の中心を成している例が多々ございます。実際に私も、中国地方を回っていると、やはりこの水産加工業が町の活性化のためには、ここが元気にならなければ元気にならないんだというようなお声をたくさんちょうだいしているわけでございます。
そこで、まずこの水産加工業、水産業のみならず日本の社会全体にとって必要不可欠なものであり、その振興というのは大変重要なものであると認識しておりますが、大臣のこの水産加工業、水産業における位置付けと今後の施策の展開方向についてお考えをお聞かせ願います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員が今御指摘になり、御説明をいただいたことと私は全くその認識を共有しているものでございます。
お話しございましたように、水産加工業は国内漁獲物の最大の仕向け先なんですね、約半分を占めていると。ですから、漁業生産と車の両輪という形で漁業、水産を担っているものということでありますから、両者が共に発展していくということが大変重要であるというふうに考えております。
しかしながら、近年、世界的な水産物需要が増大をしておりまして、原材料の供給事情は非常に苦しくなって、国内加工業者にとっては非常に苦しい状態になってきつつあります。これらの情勢変化に的確に対応して水産加工業の振興を図っていくということは大変重要であると考えております。
子供たちの魚食離れという中にも、それは親の問題もあるんでしょうけれども、骨を取ってやらないと子供が食べにくい、食べたがらないなどということも聞きますし、丸ごとあるいは骨ごと食べるなどというようなそういうこともだんだんとなくなってきますから、その意味では、浜でできるだけ食べやすいような形の加工を加えて、水産物の需要を拡大していくというようなことも大事なことになってきているというふうに思いますし、また付加価値を高めて売るということはこれまた大事だと思うんですね。それだけ加工地域が生産基地と近接しているところが多いわけですから、地域の活性化にもつながっていくというふうに思います。
農林水産省としては、昨年三月に水産基本計画を策定をいたしました。その中にありますように、水産加工業の経営基盤の強化、安全対策を進める、消費の拡大といったようなことを総合的に政策を展開することにいたしまして、今回のこの法律改正による長期かつ低利の融資措置に加えまして、強い水産業づくり交付金による水産物の加工処理施設の整備などに対する支援でありますとか、あるいはHACCP方式の導入などによりまして、衛生・品質管理体制の整備に対する支援でありますとか、消費者ニーズに基づく新たな需要の創出といったような施策を総合的に展開をすることによりまして水産加工業の振興を図ってまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
今、大臣の答弁の中で世界の水産物の需給の動向の話にも触れていただきました。まさにその世界の水産物の需給動向が我が国水産業へどのように今後影響を及ぼしていくのかという点について質問させていただきたいと思います。
水産物の自給率は、ほかの品目に比べて高いとはいえ、平成十八年で五九%となっておりまして、約四割が外国産に頼らざるを得ない形になっております。まさにこの世界的な水産物の需給動向が我が国の水産物の供給体制に大きな影響を及ぼすと言われるわけであります。
近年、欧米、中国で世界的に水産物需要が増大しております。国連の食糧農業機関の予測によりますと、一人一年当たりの食用魚介類消費量が、一九九九年から二〇〇一年の十六・一キログラムから二〇一五年には十九・一キログラムに増加するものと見込まれていると。我が国の恐らく魚介類消費量というのは伸びは予測されてはいないのかもしれませんが、世界的に見ると中国とかで大きな増加が見込まれているわけでありますね。さらに、海洋水産資源の半分がいっぱいいっぱいまで利用されているという中で、漁獲量が飛躍的に伸びる見込みもない状況となっていると。
こうした中で水産資源の争奪戦となっておりまして、この争奪戦において日本が買い負けてしまう状況になっていると言われております。今年の年明けのニュースで話題になったのが築地の初競りの大間のマグロですかね、マグロが香港のすし業者さんに買われてしまったという。マグロはまあ高級魚ではありますけれども、こういうような形でどんどん世界、グローバル経済の中で我が国の水産の食料事情が大きく影響されているわけでございます。
そこで、世界の水産物の需給動向と、それが我が国産業に与える影響についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(山田修路君) ただいま委員からお話がありましたように、まず魚介類の世界の消費の動向でございますが、中国のお話がありましたけれども、中国のみならず欧米諸国でもやはり増えている状況でございます。この三十年間で見て、アメリカでは魚の消費量一人当たりで一・五倍、またEU十五か国で見ても一・三倍ということで、極めて一人当たりの消費も増えております。これは、健康志向ということもございますし、それからBSEや鳥インフルエンザ等の影響もあって水産物に需要がシフトしているというようなこともあろうかと思います。また、人口も非常に増えていきますので、世界の水産物需要は非常に高くなっていくというふうに見込まれております。
一方、これも委員からお話がありました、資源の状況は極めて世界的に見るとやはり悪い状況になっておりまして、資源が悪い中で需要が多くなるということで需給状況は将来的には逼迫し、あるいは価格の上昇も見られていくであろうと思われます。
また、買い負け現象のお話もありました。こういう状況の中で、やはり我が国としては我が国の利用可能な資源をできるだけ利用していくと。そのためには沿岸域での管理、また国際的な管理をしっかり行って永続的に再生産が可能なような形で水産資源を活用していくということ、また、足腰の強い水産業をつくっていくということが重要であると考えております。
水産基本計画では自給率目標六五%ということで設定をしております。こういったことは、今言いましたような総合的な対策をやることによって達成をしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 水産物の需要の増大は、先ほども申し上げましたとおり水産加工業にも大きな影響を及ぼすことが当然懸念されるわけでございます。
必ず水産加工業の場合、加工業である以上原料調達をしなければならないわけでありますが、先ほど言った我が国の水産自給率からすると、水産加工業もある程度海外原料に頼らざるを得ない面もありまして、まさにこの影響を被るわけであります。
実質、国際的な需要増加に伴いまして輸入価格が高騰しております水産加工原料というものもあります。カツオ、スケトウダラ、サバ、こういったものが高騰しておりまして、結果、例えばかつおぶしでは価格高騰が一〇%から一五%あり、ちくわなどでは五%から一五%上がっていると。いろいろなファクターはあろうかと思いますけれども、こうした中で本日は水産加工資金法の改正案を審議しているわけでありますが、この法律の背景事情に世界における水産物の需要の増大を追加したということは、まさに今答弁されていることを踏まえているんだと思います。
そこでお尋ねしますが、水産加工原料の供給状況と安定的な確保のための対策について農水省としてどう考えているのか、お尋ねいたします。
○政府参考人(山田修路君) ただいま委員からお話がありましたように、水産加工業にとってはその原材料の確保というのは本当に重要なことでございます。
製品出荷額に占める原材料費の割合は六割ということで、六割を超えるような状況でございます。一方で、お話がありましたように資源の状況ですとか、そういった影響もあって、漁獲量は減少しております。こういうことを考えますと、水産物の需要の増大等もありますが、加工業にとって原材料の確保というのは極めて難しくなっていく可能性があるということでございます。
これに対しまして、水産庁といたしましては、当面の対策といたしまして、安定供給契約を締結するというような形で産地と加工業者との連携を強化していくというようなこと、あるいは、今現在の時点では利用の度合いが低いような水産資源を原材料とした水産加工品の開発普及を進めること。また、今回の改正でお願いをしております長期低利の加工資金の貸付けを行っていくというようなこともございます。また、やや長期的な視点に立っては、やはり国内外を通じた水産資源の管理の徹底あるいは資源回復措置の強化ということで、資源全体を増やしていくということも重要であると考えております。
○谷合正明君 水産加工業におきましては原料確保というのはまさに命綱でございまして、我が国水産加工業が健全に発展していくためにも、今答弁していただいた内容についてしっかりと対策に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、水産加工資金の融資実績等、またそれをどう評価しているのか、また、今回また五年間延長していくわけでございますが、その加工資金を維持する積極的な意義というのはどういうものなのかということについて最後質問をさせていただきたいと思います。
融資実績についてはもう質問で出ております。
最後に、改めて本法律を五年間延長して水産加工資金を維持する意義、また、これをどうやって積極的活用を図っていこうと考えていらっしゃるのか、この点について、最後大臣に御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員も御承知のとおりでございます、我が国の水産加工業というのは、その多くが零細な事業者でございます。したがいまして、設備の近代化などを図る場合に多額の資金を調達しなきゃなりませんが、一般の金融機関から調達することは困難な場合が少なくありません。
そういう意味で、委員も御指摘になりました、原材料の供給事情が悪くなっていく、あるいは製品の販売環境も悪化するといったように、水産加工業全体から見ますと設備投資意欲というものが減退をしてきているということが言えるわけでございます。そういう意味では、この水産加工資金の融資実績を見ても、以前と比べて低水準になっているわけでございますが、一方で多くの水産加工業者の経営体質を強化するということが大事になってきているという事情を念頭に置きまして、我が国の水産加工業について近代化を図り、拡充をしていく、経営を強化していくということを進めていく上において、この水産加工資金法に基づきます長期低利の融資措置の適用というのが大事であります。
これを、従来から、制度金融でありますから全体としてできるだけ、制度金融というのは、民間がまず対応することを期待をしながら抑制的に運営されるということを全体として、制度金融全体としてこれが基本になっておりますのと、今回御承知のように、行政改革の中で官から民へという流れの中で農林漁業金融公庫を全体の政策金融公庫というふうに切り替えていくということでございます。
こういう流れがございますので、水産加工業者の体質強化資金としてこの水産加工資金は大事な資金でありますが、例えば十年以上の長期の貸付けに限るといったようなこと、あるいは大企業を排除するというようなことも今回の見直しとして加えたわけでありますし、また魚粉などのものも明確に対象にすることを明らかにするといったような見直しをしたところでございます。その意味で、この制度金融、政策金融でありますことから、それらの環境条件の変化、状況というものを見ながらこの資金の適用を考えるという意味で、五年という期間を限って、そして五年を経過したときの実績、状況、必要性、改めて見直して、またその時点で次なることを考えていくという仕組みにしたものでございます。
○谷合正明君 ありがとうございます。
一分ほど余っておりますが、終わります。
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○谷合正明君 公明党の谷合正明です。午前に引き続きまして、よろしくお願いいたします。
まず、今日は二日前の大臣所信質疑で聞けなかった点から進めさせていただこうと思っております。
森林データベース及び森林境界の確定の話から質問をしたいと思います。
効率的な森林整備を進めるためには施業実施の団地化が不可欠であるということで答弁がずっとあるわけであります。団地化を図るためには、山林の所有関係の情報整備というものもこれまた重要でございます。
現在、我が国の私有山林の所有構造で、在村者、不在村者別の面積割合を見てみますと、不在村者の私有林面積割合は増加しておりまして、平成十七年には二四%を占めております。不在村所有者は自らが林業の担い手にはなりにくい特徴があるわけでありまして、また、不在村所有者が増えていきますと、自分の山に入ることが少なくなるために所有林地の境界が不明確になるという問題もございます。民有林の間伐を行うためには所有者の了解を得ることが必要でもありまして、境界が確定していない森林では間伐が進まない一因にもなってまいるわけであります。
現在、都道府県レベルで森林GIS、地理情報システムの導入が進められております。森林の図面情報、森林簿などの台帳情報、施業履歴などの個別データを一元的かつ継続的に管理し、森林経営の効率化や企画立案に資するものであります。
採算の取れる林業を確立するためには、よく例に、引き合いに出されます京都府の日吉町の森林組合の例のように、森林調査を行って、森林情報をきちんと整備して、不在村所有者の山の境界を確定していくわけでありますが、これに基づいて、不在村地主等の小規模所有者に対しても間伐を含めた施業提案をできるような体制を整えていくことは重要であります。
林業競争力の強いフィンランドでは、サラリーマン、年金生活者が私有林の六割を占めております。その多くがいわゆる不在村所有者であります。我が国の所有構造と共通点が多いわけでありますが、この所有構造を克服するシステムがフィンランドでは構築されていると伺っております。その最大の武器がデジタル化された森林データベース、またこれをベースとした長期森林管理計画でございます。
そこで、まずお尋ねいたしますが、現在、都道府県における森林GISの取組状況はどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(井出道雄君) ただいま委員からお話がありましたように、森林整備を計画的かつ適切に進めるためには森林情報システムを整備していくということが重要でございます。
現在、各都道府県におきまして、森林所有者とか樹種、面積などの情報を明らかにしました森林簿というものがございますが、この森林簿と地図情報を一元化しました森林GISというものを整備を促進をしておるところでございます。現在、四十四の都道府県でこの導入が進められておりまして、各種の森林計画の策定ですとか、今お話がございました所有界の把握、あるいは間伐などの森林整備に活用されているところでございます。
○谷合正明君 前回は、国土交通省さんにも来ていただいて、地籍調査について質問をさせていただきました。森林境界を明確にするということとともに、その地籍調査も同時にやはり、これは国土交通省のマターでありますが、しっかり進めていかなければならないと思っております。
しかし、その林地分野におきます地籍調査は四〇%ということであります。山の所有者が高齢化していると、不在村所有者も二四%に現在上っているということを考えますと、これを進めていこうとするにはかなり力を入れて取り組まないといけないと思います。
この点については、国土交通省だけじゃなくて、農林水産省との連携が非常に重要になると思っております。
この地籍調査あるいは森林境界の明確化について農林水産省の取組をお伺いいたします。
○政府参考人(井出道雄君) 森林の境界の明確化についてでございますが、林野庁といたしましても、例えば森林整備事業を実施する際には事業区域を確定しなければなりませんので、その際の測量等は支援の対象といたしまして境界の確認を行っておりますし、また、森林組合が、今お話のあった日吉の森林組合のように、施業を集約化するためには境界測量が必要でございます。そのためにも支援を行っております。さらには、森林整備地域活動支援交付金制度というものもございまして、これも施業の実施区域を明確化するためのくい打ちなどの作業についても助成を行ってきているところでございます。
また、御指摘のありました国土交通省所管の地籍調査あるいは山村の境界保全事業の内容が森林組合等に十分に理解されまして、地籍調査による森林境界の確認が円滑に実施されますよう都道府県の担当者とも連携を図っているところでございまして、今後とも、この境界の明確化に向けて林野庁としても国土交通省と協力して適切に取り組んでいきたいと、このように思っております。
○谷合正明君 いずれにしても、あと私は数年が山だと思っておりまして、これ、手遅れになりますと情報整備というのはなかなかもう進まないものだというふうに危機感を持っております。こうした声というのは実際、森林関係者、林業関係者の方に聞くと必ず出てくる話題でもございます。どうかひとつ農林水産省としても本腰を入れて取り組んでいただきたいと思います。
次に、花粉症対策についてお伺いをいたします。
私、花粉症なんですけれども、大臣、副大臣、政務官はそれぞれ花粉症でないというふうにお伺いをしております。大変結構なことだと思いますけれども、現在、日本国民の約一六%が杉花粉症であると推測されております。患者数は一千八百万人から二千三百万人と推定されておりまして、有病率一〇%とした場合の年間医療費が二千八百六十億円、労働損失は年間六百五十億円とも言われております。
これは、杉花粉は文明病だとも言われているんですけれども、そうでもなくて、杉は樹齢三十年に達するころから花粉生産力が強くなると。つまり、今ちょうどその花粉を出す杉が増えてきているということでございます。花粉生産量の強い杉林の面積が増えておりまして、緩やかではありますが今後も花粉の飛散量は増え続けていくというふうに予測もあります。また、杉だけではなく、杉から十年ほど遅れて植林が広まったヒノキも杉同様に花粉生産力が強まる樹齢に次々と達しております。
そこで、この花粉症対策でございます。今後の花粉症対策をどのように推進していかれるのか、まず、大臣の御決意をお伺いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 今委員がお話ございました花粉症の被害とそれに伴う波及的な損害というのは、もう大変な損害料になっているというふうに承知いたしております。
国民からも花粉発生源としての対策強化の要請が非常に強まっているという状況を踏まえまして、昨年、林野庁内に花粉発生源対策プロジェクトチームというのを設置いたしました。そして、花粉発生源対策などにつきまして検討を行いまして、八月末にその検討結果を取りまとめまして、平成二十年度予算においてこのプロジェクト対策として措置を講じているところでございます。
このプロジェクトにおきましては、まず、杉花粉発生源の調査を踏まえまして、首都圏などへの杉花粉の飛散に強い影響を与えると推定されております杉林の少花粉の杉林や広葉樹林などへの転換を図るというのが第一であります。
二番目は、少花粉杉などの苗木をまず供給しなければなりません。そのような苗木の供給量を、平成十八年度は実は十一万本でございますが、長期を要します平成二十九年にはおおむね一千万本、十一万本を一千万本に大幅に増大するということのための供給体制を整備するということに取り組むことといたしておりまして、今後とも花粉発生源対策の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 今、苗木の供給量の目標が出されました。一千万本、平成二十年から二十九年度にかけて十年間で一千万本供給していくという、これまでの実績に比べますと大変大きな数字、これは大変私も歓迎したいわけでありますが、この苗木の供給量を、これを、技術的な問題がいろいろあるんだと思います。
これまでは一千万本じゃなくて百万本が目標だったと思うんですけれども、苗木の供給量を増やすための具体的な対策というのは現実にどうなっているのか、確認させてください。
○政府参考人(井出道雄君) 御指摘のように、十一万本を一千万本に増やすというのは、従来ベースの苗木の生産サイクルではこれは全然間に合わないわけでございますので、新たに様々な技術的な検討を行いまして新たなチャレンジをしようといたしております。
一つは、ミニチュア採穂園と言っておりますが、採種する木を小面積に従来の四倍ぐらいまとめて植えまして、木の高さを一メートルぐらいまでに抑えるという、小さな木に作りまして、それによりまして、そこにいわゆる植物ホルモンであるジベレリンを散布して花を付かせるのを促進する、着花促進をするということで早期に大量に種子が生産できるというような仕組み。あるいはマイクロカッティング技術と申しまして、二、三年たった苗木から、その穂先から穂を取りまして、それを挿し木にして増やしていくということで、従来ですと、この採種園とか採穂園というのをまず十年ぐらい掛けて造成をして、それから取っていくということでありますので、準備運動がすごく時間が掛かったんですが、そういう準備運動を省略することによってこの二十九年度で一千万本というものを達成したいということでございまして、それに所要の予算を二十年度予算で大幅に拡充したところでございます。
○谷合正明君 ありがとうございます。
過去の委員会質疑録を読んでいましたら、平成十一年から十七年の間で、七年間で花粉の少ない杉、あるいは無花粉杉を四十一万本植林したと。一方で、杉全体の植林の数はこの同じ七年間の中で一億四千万本だったということで、わずか〇・三%ぐらいですかね、一%に満たないと。これもっと抜本的に増やすべきだという話がございました。これは一千万本にしますと、単純には比較できませんけれども、〇・三%が約五%ぐらいの比率になるんだというふうに、この植林に関して、杉植林、全体の植林の五%はこの無花粉か花粉の少ない杉になるわけでございます。
じゃ、この五%でしっかり先ほど言われた首都圏とか、そういう具体的に地域を出されましたが、十分これ対応できるのかどうか、この四大都市圏ですね。首都圏、愛知、大阪、福岡・北九州でまず取組を進めると。さらに、私は、その地域だけじゃない方も花粉症に苦しんでおりまして、余裕があれば、しっかり発生率が高いそのほかの大都市も支援していくべきだと思っておりますが、若干この一千万本と、このターゲットとする地域のこの相関関係というか、このバランスがよく分からないものですから、ちょっとそこを質問させていただきたいと思います。
○政府参考人(井出道雄君) 委員から過去の実績等について御紹介がありましたが、最新の数字でいいますと、現時点では、一年間に供給されています杉の苗木というのは約一千五百万本でございます。ですから、先ほど申しました平成二十九年度に一千万本が達成できれば、約三分の二が少花粉杉等になるということになります。年間一千五百万本必要でございまして、二十九年度には一千万本を作れれば、少花粉杉でですね、ですから単年度では三分の二が少花粉杉でカバーできるということになります。
そういう目標を持ってやっておりますが、当面は、やはり花粉症の被害を受けていらっしゃる方の多い大都市圏域の周辺から攻めていくということでやっていかざるを得ないということでございまして、そのために首都圏、中京圏、京阪神圏、九州北部の四大都市の周辺で今この発生源の調査の事業をやりまして、それを踏まえた形でこの少花粉杉を展開していくというふうに考えております。
○谷合正明君 分かりました。是非四大都市圏に加えて、三分の二がカバーできるのであれば、もっと広げられそうな感じも、印象もしないでもないので、是非、別に岡山だけじゃないですけれども、ほかの地域も含めていただきたいなというふうに思います。
次に、都市農業について質問をさせていただきます。
食料・農業・農村基本法には、国は、都市及びその周辺における農業の生産振興に必要な施策を講じることが明記をされております。
農業全般の施策を推進するに当たりまして、私は、消費者に最も身近な都市農地を守り、そこにおける農業を活性化する観点というのが非常に大事だというふうに思っております。大規模農地の担い手を確保育成するということも基本でありますが、その周辺に都市農家のような多彩で意欲的な中小農家がたくさんいて初めて日本の農業が成り立っているという現実も直視しなければならないと思います。
そこで、澤政務官に質問をさせていただきますが、この都市及びその周辺における農業の重要性の認識なんですが、今食料自給率は三九%ということで、世界的規模で食料争奪戦が激化していると。消費地に近い都市農地は、万が一の場合に食料供給の生命線ともなるんじゃないかと。実際にはキューバなんかはまさに都市農業というのはこの食料確保のための位置付けであります。さらに、地産地消のかなめと位置付けるべきであると思っておりますが、この都市農業の重要性をどのように認識されているのか、お伺いいたします。
○大臣政務官(澤雄二君) 最初に、済みません、私、花粉症でございます。
都市農業につきましては大変重要であると思っております。そして、その重要性というのは年々増しているというふうに考えております。
その主な理由は五つございます。
一つは防災であります。
言うまでもなく、オープンスペースというのは避難場所になりますし、延焼を防ぎます。それだけではなくて、都市農家が持っている、所有している井戸ですね、これはいざというときに生活用水、飲料水に大変有効であるというふうに期待をされています。
二つ目は環境であります。
もちろん、農地の緑が環境にいいというだけではなくて、都市においてはヒートアイランド現象、これを抑止する力も持っております。
三つ目は教育でございます。
先ほどから議論されておりますけれども、食育にとって農地というのは大変重要な役割を持っています。それから、給食の話も出ておりましたが、最近、地場の野菜を給食の材料に使うという自治体も増えてきております。
それから、四つ目は雇用であります。
今団塊の世代が大量に離職をしておりますが、この人たちも最後は土に触って死にたいと思っている方がたくさんいるということでございまして、この団塊の世代の雇用、それから担い手が少ない都市農業にとっても非常にいいマッチングをするだろうと思います。
それから、これも議論されておりますが、地産地消の意味で、最近都市農業の野菜が大変人気がございます。直販所の売行きも大変良くなってきております。ですから、新しい市場と流通を起こすことになるだろうというふうに思います。このような重要性がありますので、今委員が御指摘になりましたように、食料・農業・農村基本計画においても位置付けがされております。
今、都市部において一生懸命頑張っておられる農業者の皆様の実情もよく踏まえながら、都市農業の振興に当たりましては都市政策などとも関係していることから、農水省としては国土交通省などと関係府省とも連携をして、都市農業の重要な役割が発揮できるよう努めてまいる所存でございます。
○谷合正明君 大変ありがとうございます。
雇用の面も今答弁していただいて、まあ、そういう視点もあるのかなというふうに私も思った次第なんであります。是非、澤政務官におかれても都市農業を実際にやっていただいて、その話をこの国会の中にも反映していただきたいというふうに思っております。
都市農業の中で、農業体験農園という取組がございます。市民農園と体験農園というのは似ているようでちょっと異なるわけですね。都市農業振興という角度で、今、農家、現場から歓迎されておりますのが農業体験農園でございます。この体験農園は、元々東京都練馬区で農業者と行政が知恵を絞って生み出されたものでございます。我が党もこれを積極的に推進いたしまして、全国展開されるようになった経緯もございます。
この体験農園の普及の現状、また一般的な市民農園との政策的なすみ分けに関しての見解を聞かせていただきたいと思います。
○大臣政務官(澤雄二君) この農業の体験農園につきましては、私も、今御指摘のように練馬区で非常に盛んでございますが、東村山もよく取り組まれておりますね、視察に行かせていただきました。
この農業体験農園は、都市住民にとって、農業の初心者でも安心して農作物栽培ができるということとともに、利用者同士や農家とのコミュニケーションの形成にもつながるというメリットがございます。また、開設する農家にとりましても、安定した農業経営に役立つというメリットがあります。都市農業振興の面からも非常に有意義な取組であると考えております。
このため、農林水産省としましては、平成十九年度から広域連携共生・対流等対策交付金を活用しまして農業体験農園の整備を支援するとともに、農家にとって有望な農業経営の選択肢の一つであることについての全国的な啓発、農園開設や運営についての具体的なノウハウなどの研修や現地指導などに取り組んでいるところでございます。平成二十年度においても、引き続きこのような取組に対して支援を行っていきたいと考えております。
ちなみに、平成十九年度にはこの研修会や現地指導を十九回開きまして、市町村の農政担当者や農家の方、九百五十名に対して説明会を行いまして、新たに稲城市やつくば市等でこの春から九つの農園が開設される見込みとなっております。
○谷合正明君 分かりました。
是非、この体験農園の魅力を自治体の関係者にも、そして農家の方にも知っていただくための周知活動を是非よろしくお願いしたいと思います。
最後に、我が党は都市農業振興プロジェクトチームを三年前に立ち上げました。それ以来、先ほど政務官も言われましたが、東村山等、現場視察を行って、ヒアリングを重ねてまいりました。都市農業の課題をあらゆる角度から検討した結果、やはり、この都市農業を今後支えるためには、今、都市農業においても、農業従事者の高齢化あるいはリタイアによって、ある時期を境に一気に衰退してしまうのではないかという懸念もあるわけですね。抜本的な対策を確立するためには、農水省だけでなくて、やはり国交省だとか財務省などの所轄を総合的に、税制なんかを含めた抜本的、総合的に見直す必要があると考えております。個人的には、こうした関連法を一括して見直す工程であるとか都市農業新法を実際制定すべきだというふうに考えておりまして、その点、この場で提言させていただいて、私の今日の質問を終わらせていただきたいと思います。
終わります。