○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、今日は、三月五日に起きました明石海峡沖の船舶衝突事故についてお伺いいたします。
昨日、私も神戸市の漁業協同組合の方に行かせていただきまして、現場の方を視察させていただきました。三月五日に事故があったわけでありますが、現時点で、沈没した貨物船籍から油の流出状況というのはどうなっているのか、把握しているところを聞かせてください。
○政府参考人(影山幹雄君) 私どもが現段階で承知しておりますこと、あるいは対応状況について御説明申し上げます。
去る三月五日、明石海峡航路東口付近におきまして貨物船の衝突事故があり、先ほど御紹介いただきましたように、ゴールドリーダー号というベリーズ船籍の貨物船が沈没いたしたところであります。
沈没しました同船には推定で約七十七トンの燃料油等が搭載されておりまして、同船から当該燃料油が流出いたしておりますけれども、海上保安庁では直ちに巡視船艇及び航空機を出動させるとともに、関係機関あるいは地元自治体などとも連携しまして、当該流出油の防除作業を行ってきております。
現状でございます。現在も航空機等によりまして海上保安庁で継続的に調査を行っておりますが、沈没位置付近で認められる浮流油は当初よりもかなり減少してきておりますが、まだ若干でありますが、出たり出なかったりという日がございます。
海上保安庁では、ゴールドリーダー号から流出した油を迅速に防除するため引き続き浮流油の状況を継続的に調査するとともに、関係機関、地元自治体等とも連携しまして、流出した油の防除措置を講じていくこととしておるところでございます。
○谷合正明君 配付させていただいた写真には、細かい写真ですので分かりづらいかもしれませんが、下の方にある写真について油が浮いているのが分かると思いますが、これが三月十八日ですから、おとついの時点でこういう状態であります。実は、三月五日に事故が起きて、三月十三日には海上自衛隊が沈没した貨物船の船体調査を行いました。その際には燃料タンク付近で油の流出がないことを確認ということで、いったんはそこでもう大丈夫かなという話もあったわけでありますが、その後、やはり日々このように油がぽこぽこ浮いてくるという実態でございます。
漁協の要望の第一点は、この油をしっかり抜き取っていただきたいと。沈没した船を引き揚げない限り、これはなかなか難しいわけであります。実は、漁を再開したくても、まだまだこのように油が浮いている状態でありますと、なかなか完全に回復したという宣言が出されないものでありますから、いわゆる取引等についても買いたたき等も一部あるというふうに実際昨日お伺いをいたしました。
実際に、今説明していただきましたけれども、油を抜き取るとか、あるいはその沈没した船を引き揚げるとか、さらにはもうダイナマイトで爆破してほしいと、そのぐらいまで漁師の方は言われているんですが、こうした、技術的に今どのように可能なのか、お聞かせください。
○政府参考人(影山幹雄君) お答え申し上げます。
確かに、おっしゃるとおり、沈没船を引き揚げれば一番これはベストなことでございますが、実際のことを申し上げますと、沈没した位置の水深が八十三メートルと大変深うございます。また、現場海域の潮流も最大で約六ないし七ノットと非常に速いということもございまして、私どもの承知している限りでは、同船の船体撤去は技術的に困難であるというふうに聞いておるところでございます。
したがいまして、油の流出状況を継続的に今後も調査しつつ、地元関係者の方と情報交換を行いながら、必要な油防除措置を行っていくということが現実的な対応ではないかというふうに考えておるところでございます。
○谷合正明君 要望の二つ目は、実際に漁業被害は受けていると。ノリについては全面撤去をいたしておりますので、一帯のノリだけの被害でいいますと四十億ぐらいあるということであります。
そこで、十分な賠償が得られるのかどうかという話なんですが、船主責任保険、油濁基金等ございますが、これらの制度は今回どういったふうに働くのでしょうか。
○政府参考人(春成誠君) お答え申し上げます。
ただいまの御指摘のいわゆる損害賠償保障についてのお尋ねでございますけれども、こういった燃料油を排出した場合の責任関係につきましては、私どもの油濁損害賠償保障法というのがございまして、およそ我が国に入港いたします百トン以上の外航船舶につきましては、これらを保障する保険契約に入っていなければ入港することができないという制度になってございまして、本件船舶につきましてもそうした保険契約に入っておるわけでございます。
しかしながら、今委員御指摘の船主責任法というのがございまして、これは国際条約に基づくものでございますけれども、一定の損害までを超えますと船主責任についてはこれを免れるという制度になっておりまして、簡単に申しますと、仮に損害額がこの船主責任限度額を超えますと、その部分について船主に対する責任の追及がなかなか難しいということになります。もちろん本件は、御案内のとおり原因者が明快でございますので、明らかでございますので、当事者間による交渉、あるいは裁判ということも考えられようかと思いますけれども、そこで行われると思いますけれども、その超えた額につきましては、この部分は船主は責任を免れるということでございます。
○谷合正明君 船主責任保険については上限が決まっているということなんですね。油濁基金については今お答えありませんでしたが、原因者不明の場合にその基金が発動されるわけでありますが、今回その原因者が特定されておりますので、油濁基金は発動できないということであります。
そうしますと、今回の事故の教訓としましては、仮に四十億の被害があったとして、船主責任保険では五億から七億円の保障だと。やはり被害の大きさに比べますと保障が少ないわけでございます。これは制度上若干欠陥があるのではないかというふうに私は考えております。
特に、現場は特定航路に指定されております。全国で十一か所あります。瀬戸内海中心にあるわけでありますが、こうしたところは交通、いわゆる船舶の量も多くて危険があるということで特定航路になっているわけであります。じゃ、そこで事故が起きたときに、油が流出した、じゃ、ノリやカキの水産業者に対しての被害、これ保障、今後新たな基金なんか検討した方がよろしいんじゃないでしょうか。
○政府参考人(春成誠君) 委員御指摘の船主責任を超える部分のいわゆる保障の取扱いということについて、新たな基金の創設が必要ではないかというお尋ねでございます。
船舶につきましては、世界の海域を移動しているということもございまして、従来より、こういった責任あるいは保障に関する制度というものが国際的枠組みの中で決まってございます。そういう国際的枠組みの中では、いわゆる燃料油に関しまして、責任限度を超える額についての基金というものについての国際的な条約あるいは枠組みというのは現時点では存在してございません。したがいまして、将来的な課題であろうかと思っております。
○谷合正明君 これは昭和四十三年、今から四十年前の国会議事録なんですけれども、私が生まれる前の話ですが、衆議院の予算委員会でまさにこういう話がありました。タンカーがある種の事故を起こし、それによって生じた油が相当広範囲にわたって漁業等に損害を与える、しかも、そのタンカーの所有者と申しますか、責任者がさして資力のない場合に、この大きな損害をどう処置するかというふうな問題であろうと思います。この問題につきましては、運輸省の内部におきましてある種の保険的な制度によってそれをカバーしていくというふうな考え方を現在検討している状況でございますというふうに当時の運輸省が回答しているわけであります。今から四十年前でございますが、やはり同じような事故が今回起きました。
改めてお伺いいたしますが、新たな基金というのは検討していくべきじゃないでしょうか。
○政府参考人(春成誠君) 先ほど御答弁申し忘れたわけでございまして、申し訳ございませんでした。
いわゆるタンカーにおける油の損害につきましては、委員御指摘のとおり大きな被害も発生するという国際的な御議論もございまして、そうした油濁損害防止法に関する基金の創設に関する条約というものが既にできてございます。一九七〇年代にできてございまして、それによりましていわゆる世界的に起きます大きな、よく新聞等を騒がせますような大きなタンカーによる海難事故における油流出事故、ナホトカ号などもそうでございましたけれども、それをてん補する基金ができてございます。
しかしながら、今御指摘のとおり、いわゆる燃料油でございますので、燃料油の流出に関するそうした制度がまだないということでございまして、これは今後の課題だと思っております。
○谷合正明君 じゃ、同じ質問を水産庁にお伺いいたします。
○政府参考人(山田修路君) ただいまお尋ねのありました漁業被害についてでございますけれども、本当に今回漁業者の方、大変苦しい立場にあられるということを私ども大変心配をしております。
ただ、当事者がはっきりしておりますので当事者間で解決されるということが原則でございますけれども、農林水産省としても漁業共済あるいは融資制度を活用して被災された漁業者への支援を行っていきたいと考えております。
なお、新しい基金についてのお尋ねでございます。これについては、第一義的には海運行政の観点から検討されるべきものと思っておりますけれども、被害、特に漁業者、被害に遭うわけですが、漁業被害だけでいいのかどうか、あるいは原因者負担の原則あるいは船主責任保険などの既存の仕組みとの関係、あるいはその基金の原資をどうするのかといった様々な問題、また、ただいま国土交通省からお話がありました条約上の問題もあろうかというふうに考えております。
○谷合正明君 いずれにしましても、今回のはもう事故ではなくて災害なんですね。そういう意味では現場の被害状況に対する国の認識というのが私は小さいと思っております。もう安心して漁を再開できないというのが漁師の、現場の方の本音でございます。私は、一刻も早く、この省庁の縦割り、この谷間のやはり問題であると思っております。たらい回しにせずにしっかりと検討していただきたいと、そのように考えております。
次の質問に移らせていただきますが、ジョブ・カード制度について前回の予算委員会で私は質問いたしました。
その際、このジョブ・カード制度、これは主にフリーターや子育て終了の女性の方が使う制度でありまして、企業の現場で職業訓練の機会を得てその履修を証明されるジョブ・カードを受け取る制度でございます。この制度のかぎとしては、この制度の周知の徹底と、もう一つは参加企業拡大の取組だということであります。
この点について、現在どのようになっているのか説明してください。
○国務大臣(舛添要一君) まず第一点の周知の徹底の方ですけれども、これは全国規模の事業主団体に中央ジョブ・カードセンター及び地域ジョブ・カードセンターの設置、運営を委託し、このジョブ・カード制度の周知、普及を図ることとしております。
それから、企業の拡大の方ですけれども、具体的には地域ジョブ・カードセンターは国、県、労使団体、教育界などの関係者を参集し、コンセンサスを得てジョブ・カード制度の普及方針を策定し、これを踏まえて周知、普及に向けた関係者の積極的な取組を促進する。さらに、職業能力形成プログラムに参加する企業の開拓、それから訓練のコーディネートなどを行うこととしておりまして、こうした取組を通じましてジョブ・カード制度の周知を徹底させるとともに、協力企業を拡大していきたいと思っております。
○谷合正明君 このジョブ・カードという名前が、なかなかちょっとカードという名前が付いておりますので分かりづらいんですね。実は制度としては様式一から六の紙がファイルとして、全体でこれジョブ・カードというわけであります。そういう意味では、カードというふうに名前付けるのであれば、最終的にいわゆる職業能力証明書を受け取る方には実際に本当にそのカードを配付するとか、魅力ある制度にしていくべきだと思うんですが、この点についてどうでしょうか。
○国務大臣(大田弘子君) なるべく使う人にとって分かりやすい、使いやすい制度にすること、それから、技能の履修証明としての質を保つということが非常に大事だと思っております。
今の先生の御指摘はまさに前者の方で、魅力ある制度にということで、ありがとうございます、貴重なアドバイスを。現在、今試行段階ですので、ジョブ・カードというのは厚生労働省のホームページからダウンロードできるようになっておりますが、今後の内容の充実あるいは利便性の向上につきましては、なるべく多くの方に活用していただける魅力あるものになるように、ジョブ・カード推進協議会というところで検討を開始することにしております。この推進協議会には、関係省庁、産業界、労働界、教育界などの代表者に集まって、使いやすいものにする検討をしていただきます。一回目を来週の火曜日に開くこととしております。
それから、先生おっしゃったカード、やっぱりカードというのをだれしも想定いたしますので、そのような小型のカードの発行につきましてもこれから前向きに検討をしてまいります。
○谷合正明君 もう一つ、やはり大学、専門学校等でのこの制度の拡充というのがあると思うんですね。実践型教育プログラムというのも実はこのジョブ・カード制度に入っております。この実施校拡大について、取組について、大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(渡海紀三朗君) 先生御指摘の実践型教育プログラム、これは大学とか専門学校で教育研究のノウハウを活用いたしまして編成をしているプログラムでございまして、受講者の職業能力の形成ということを目的にしております。これが修了すれば、先ほどから話題になっているジョブ・カードのこの記載というものがなされまして、それが就職活動に大いに役に立つということでございまして、文部科学省といたしましては、十九年度よりこの支援のプログラム、再チャレンジ支援推進プランというものを実施しておりまして、今年度、今、十九年度で二十五億二千七百九十八万、二十年度で二十六億八千七百六十万ということで支援をいたしております。
今後とも、同プログラムを着実に実施することにより大学とか専門学校でこの実践型教育プログラムというものが推進されるように取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○谷合正明君 同じ若い世代に共通、ジョブ・カード制度を今取り上げましたが、もう一つ、この三月、四月とやはりはしか対策について十分措置がなされているかということが大事かと思っております。昨年、はしかが大流行いたしました。十代から二十代の青年層を中心に多く見られて、しかもワクチンの在庫が足りなかったということが大きな問題を引き起こしたわけであります。今回、その反省を踏まえてどのような措置をとったんでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 昨年六月、こういう点につきまして、谷合議員を始め公明党青年局の皆さん方から要望書をいただきました。
その第一点は、この予防接種の計画的推進ということでありましたけれども、それにつきましては、二回接種の対象となっていなかった生徒等についても二回接種を行うことができるように、平成二十年四月一日、もうすぐですが、より麻疹及び風疹の定期の予防接種の対象者に中学一年生、高校三年生に相当する年齢の者を追加すると。
二番目の御要望事項ですけれども、発生状況の速やかな把握をやってほしいと。この点につきましては、麻疹の発生状況を的確に把握するため、麻疹の発生届出を従来の定点報告から全数報告に充実強化することにいたしました。
公明党の皆さん方の三番目のこの御要望事項は、麻疹ワクチン及び麻疹風疹混合ワクチンの十分な確保ということでありますが、この点につきましてはワクチン製造会社に対して定期接種対象者の増加に十分対応できるよう増産を依頼したわけでありまして、こういう諸施策をやりながら十分のこの対応をやってまいりたいと思います。
○谷合正明君 今回、五年間の緊急措置として、新たに中一と高三生に対する定期接種が始まるわけでございます。はしかの流行を防ぐためには予防接種率は九五%以上にするというのが目標になるわけでありますが、このようにワクチンは確保したということになりますと、今後は学校を通じた取組が重要であります。文部科学省の取組についてお伺いをいたします。
○国務大臣(渡海紀三朗君) はしかというのは幼児性の病気だというふうなことで我々も理解をしておりましたが、昨年、高校とか大学で大流行したと、学校閉鎖なんということもありまして、先ほど厚生労働大臣からもお話しになりましたように、中学一年、高校三年生を対象としてこの予防接種を奨励するということでリーフレットを作成しておりまして、年度内に各市町村にまで到着するように今準備を進めておるところでございます。
また、学校が効果的な対策を進める上で必要な情報というものを具体的にまとめました学校における麻疹対策ガイドラインというものを作成をいたしまして、学校に配付するように取り組んでいるところでございます。
今後とも、厚生労働省と連携を図りながら、その対策を進めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 今回問題なのは、二十代前半もやはりかかっているわけですね、昨年。そこはやはり任意接種となっているわけであります。四月、大学の入学シーズンでありますが、まさにこのリスクの高い時期でございます。そうした中、この二十代前半に対する対応というのはどのように取られるのか、この点について確認をさせてください。
○政府参考人(西山正徳君) 今のお尋ねでございますけれども、二十歳代前半の方々は、学生さんだけではなくて就労されている方、様々な状況がおられまして、一律に予防接種の対象として市町村が実施するというようなことはなじまないのではないかと考えております。
他方で、今先生御指摘のように、大学等の学生においては集団感染等のリスクがあることも考えられ、また昨年は今お話にありましたように集団感染が起こったというようなことで、私ども厚生労働省は、学生の方に対しましても、インターネットテレビやポスター等を通じて麻疹の特性や予防接種の必要性等について情報提供を行うというようなことで麻疹の予防接種を推奨していきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 いずれにしましても、日本ははしか輸出大国として、二〇〇四年の統計では年間八千七百件、二位が、二位というか二番目がフランスで、これは四千四百件、ということは二倍以上かかっているわけでございます。お隣の韓国でははしか輸出大国であったわけでありますが、これは実際にもうはしかゼロになりました。しっかり日本もこのはしかゼロに向けて取組をして、強化をしていただきたいというふうに訴えさせていただきます。
最後に、携帯電話の話をさせていただきたいんですが、携帯電話の回収、リサイクルについて、まさに今、都市鉱山が注目されておりますが、携帯電話には例えば金が、携帯一台に〇・〇二グラムの金が存在しているとも言われております。貴重なものなんですね。実際、年間で今五千万台携帯が出回っておりますが、しかし回収率がだんだん低くなっていると。今、六百六十万台で、六年前は一千三百六十万台あったと。しかし、この回収率上げていくために、私は、経産省としても法改正を視野に入れながら取り組むべきだと思いますが、最後にこの点について大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘のように、直近の数字だと六百六十二万台でありますから、かなり減ってきているわけであります。
都市鉱山という言葉が随分聞かれるようになりました。それは、御案内のとおり、リサイクルという視点で考えると日本は資源小国ではなくて大国ではないかという点であります。携帯電話からは一トンで四百グラムの金が取れると、普通の鉱山からだと一トンで五グラムだそうでございまして、こういう視点をしっかりと見詰め直すことが大事だと思います。
そこで、資源有効利用促進法の見直しについて、携帯電話の自主的な回収、リサイクルを促進する対策について検討していかなければならないというふうに思っております。このユーザーへの回収の徹底をいかにして図るか、これをしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 じゃ、関連質疑を。