○谷合正明君 公明党の谷合です。
本日は、食品表示の改善とそれから監視体制の強化についてを中心に質問をいたします。
まず初めに、食品表示につきましては、これはもちろん消費者にとりましては食品を選択する際の最も基本的かつ重要な情報源でございます。以前でありましたらよく表示を見て購入すれば安心というのが一般的であったわけでありますが、しかしながら今年は、今年一年の世相を表す漢字一字表すとすれば、これが「偽」であるとかあるいは「嘘」という漢字が出てきた等に明らかなように、今年はたくさんの食品の偽装問題が出てまいりました。食品表示が本当かどうか分からないといった声、あるいは表示を信じて買うと危険といった著しい不信感へと変わってしまったのではないかというふうに懸念をしております。間違っても制度はあっても守られていないということにならないよう、表示制度の実効性確保に向けた一層の努力を政府に求めたいと思っております。
そこでまず、昨日の報道でも発表された食品Gメンについて質問をいたします。
我が党も、食品Gメンについては、大規模事案に対応の特別調査官を新設、増員するということでマニフェスト等、選挙戦等、中で訴えてまいりました。昨日、この食品Gメンにつきましては、地方農政事務所にいる約二千人の食品表示担当職員の中から、東京十人、大阪七人、そして福岡三人、合計二十人配置するということで発表されましたけれども、まず、この新たな取組というのは具体的にこれまでと何がどう違うのか、他省庁あるいは地方の関係行政機関との連携をどう図っていくのか、この点について大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(若林正俊君) 福田総理の指示によりまして、生活安心プロジェクトというのを立ち上げております。その中で、食べるということについての安心の確保というのが課題になっておりまして、国民の声として、食品表示の偽装事件が繰り返し発生をしているために大変安心できなくなってきた、食品表示については消費者がもっと安心できるようにしてもらいたい、行政の方も監視指導体制を厳しくしてほしい、そういう要望が各地から上がっております。農林省の食品表示地域フォーラムや生活安心などの意見、インターネットなどでも多数寄せられているところでございます。
そういう状況を受けまして、今委員がお話しいただきましたように食品表示の特別Gメンというものを設置いたしまして、食品表示に関して広域で重大な違反事件が発生した際に機動的に調査を実施することができるように新たに二十名規模でこのGメンを設置するということを来年度の組織要求に出しているところでございます。これによりまして、不適正な事案については迅速にかつ的確に対応が可能になるものと考えているところでございます。
昨日開催をされました先ほどの生活安心プロジェクトの議論をしているわけでございますが、生活安心関係の閣僚会議で決定をされました緊急に講ずる具体的な施策の中におきましても、不適切な食品表示に対する監視を強化するために、農林水産省を始め関係省庁や地方の関係機関が連携をして情報の共有を図る食品表示連絡会議などを設置するということを決めたところでございまして、農林水産省としては先ほどの、今まで講じてまいりましたJAS法によります指導監視体制を更に強化をいたしまして食品Gメンを設置するほか、関係行政機関との間で、中央、霞が関レベル、さらにブロックの地方農政局レベル、そういう各レベルにおきまして政府の関係機関や都道府県の担当機関との連携を深める協議会を設置するなど、そういうネットワークをしっかりとつくってまいりたいと、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 そこで、その偽装防止対策として今最も効果を上げていると言われているのが関係者からの内部告発であるというふうに言われております。実際、農林水産省内にも食品表示一一〇番を開設されましたけれども、当初は月百件程度の情報提供だったのが、六月のミートホープ事件以降、十月からは赤福の問題も発覚したこともあり、今七百件余り情報提供が寄せられていると。
この内部告発について、大切な視点というのは三つほどあるのではないかと思っております。一つは、その内部告発、正に公益に資する情報と位置付けていくと。情報提供者を解雇等々の不利益からしっかり守ることというのも必要であろうと。また、ミートホープ事件でも問題になりましたとおり、情報を提供しても、当時、農林水産省の出先機関と北海道庁との連携不足が原因で十分生かされなかったという事例もございました。この連携ということも大事であろうと思っております。
また、この食品表示の規制にかかわる法律自体がなかなか複雑で、今、食品衛生法であるとかJAS法であるとか、あるいは公正取引委員会、そして経産省と四つの省庁等にまたがっており、賞味期限、消費期限の違いの複雑さから分かるように、なかなかこの制度が複雑になっておると。実際に、その情報提供者、現場の自治体職員にも少なからず混乱があるというふうに指摘をされております。
この点につきまして、今有識者の間で、省庁横断的な公益相談センターのような組織の設置や食品表示制度、表示法制と所轄官庁の一元化を進めるべきといった指摘もございます。
まず質問させていただきたいのは、この公益通報制度の改善について省庁横断的に検討すべきであると、それが情報提供に基づき迅速で的確な対応を図るために必要であると思っておりますが、この点について、現在内閣府、どういうふうに見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(竹林義久君) 公益通報者保護法の関係でございます。昨年の四月から施行されております。
私ども内閣府におきましては、公益通報は、従業員の方々が内部に通報する、あるいは外部の場合には行政機関ないしはマスコミ等々への通報が可能でございますけれども、そうした場合に、行政機関に受け付ける場合の関係につきましては、「国の行政機関の通報処理ガイドライン(外部の労働者からの通報)」ということで平成十七年七月に関係省庁で申合せするとともに、公益通報関係省庁連絡会議を設置しまして、関係省庁間の密接な連携、情報の共有に努めているところでございます。
また、この公益通報につきまして、処分権限を持たない行政機関に従業員の方が通報された場合につきましては、当該行政機関は通報者に対しまして正しい行政機関を教示する義務がございまして、これを支えるために、内閣府のホームページ上では通報先の検索が可能になるようなデータベースを設置しまして、全行政機関が通報先、教示先に対する情報を共有する体制を整えております。
このほか、内閣府におきましては、公益通報者保護制度相談ダイヤルを設置しまして企業の担当者あるいは労働者からの相談に一元的に対応するとともに、関係省庁連絡会議を開催するなどして相談事例の共有など横断的な連携に努めているところでございます。
○谷合正明君 次に、解凍の表示の義務付けについて質問をさせていただきたいと思います。
これは赤福の問題で明らかになったわけでありますが、いったん工場から出荷され、再び工場に戻ってきた製品を冷凍保存し、後日、解凍日を製造日として再出荷していたということが判明したと。しかも、解凍した製品にもかかわらず、生ものですからお早めにお召し上がりくださいと表示がなされ、消費者を混乱させたということで、製造日を二回付けるという行為が、一つの商品に製造日は二回ないとの立場を取るJAS法には違反すると。しかしながら、直接人の健康へ危害を加えたのかどうか、それを旨とする食品衛生法では問題ないということでございました。
少なくとも、ただ、消費者に誤解を与えないということであれば、この解凍という表示、今は生鮮の水産物には取り入れられておりますが、このJAS法で解凍日の表示を段階的に義務付けていくことは可能であろうと私は思っております。畜産物関係は今自主的にやっておられるというふうに伺っておりますが、この点について、今後の動きについて農林水産省の見解を伺います。
○政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。
お話しいただきましたように、水産物、これにつきましては有識者から成る検討会で審議をいただきまして、水産物品質表示基準、これを作成いたしまして、平成十二年七月からこれに基づき表示が行われております。この中で、生鮮の水産物を冷凍後解凍した、このものにつきましては、御指摘のように解凍との表示を義務付けております。
この表示を義務付けていることにつきましては、冷凍を経ていない生鮮水産物、これと、いったん冷凍後解凍したものとの間には、味、価格に差があると、こういった一般的な理由に加えまして、冷凍したか否かで、刺身にするかどうか、こういった調理方法を変えるということが多いという水産物特有の事情がある、こういったことを踏まえまして、消費者が水産物を選択するに当たって解凍表示が必要というふうに判断したことによるものでございます。
一方、加工食品でございますが、水産物のような調理方法の変更につながるといった特有の事情がないといったことから、解凍との表示を義務付けていないところでございます。
なお、消費者の商品選択のためにはもちろん事実に基づく正確な表示がなされるといったことが重要でございまして、御指摘いただいたように、いったん冷凍して解凍したものをあたかも作りたて、このように表示することは消費者の誤認を招くものでございまして、JAS法に基づく品質表示基準に違反することとなるわけでございます。このような不適正な表示が行われないよう監視指導を徹底いたしまして、消費者の信頼確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 いずれにしても、私は段階的にこれは進めていくべきであると思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、食品業者間取引における表示義務付けにつきまして、これは既にミートホープ事件をきっかけにしましてJAS法の加工食品品質表示基準を改正して、来年四月から業者間取引においても製品情報等を記す規格書などに原材料の記入を義務付けることになりました。これはこれとしていいわけでありますが、果たして、この業者間取引というのは非常に多段階にわたることもありまして、実際にその不正行為をどのようにチェックしていくのか、また今の監視体制でいいのかどうかといった問題があると思います。
この施行までまだすぐというわけじゃないというふうに聞いておりますが、この実際の運用についての強化体制、これについて農水省に確認をさせていただきます。
○政府参考人(町田勝弘君) 食品の業者間取引に表示義務を課するということで適用範囲が拡大されるわけでございます。これに伴いまして、監視対象となります事業者が増加するといった業務量の増加が見込まれているところでございます。
このため、平成二十年度に監視指導体制の強化といたしまして、先ほど大臣からお話をいただきました食品表示特別Gメンの設置に加えまして、まず本省段階ではこの業者間取引に関して、効率的な調査を行うための専門官を増員、これ六名増員したいというふうに考えております。また、各地方農政局段階におきましても、関係機関と連携調査を統括する、そういった立場の専門官を七名配置したいといった所要の要求をしているところでございます。
こうした体制の強化に加えまして、御指摘いただいたように、大変多様化、複雑化しております加工商品の流通実態、こういったことを踏まえた調査あるいは現場での適切な助言、指導、こういうことができる職員の体系的な育成、こういったことにも努めてまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 是非、制度はあっても守られていないとか守られない、そういったことがないようにしっかりしていただきたいと思っております。
次に、輸入食品の監視体制の強化について厚生労働省にお伺いいたします。
やはり食品偽装問題とともに今国民の中で関心が高いのは、この輸入食品の安全性の確保についてということだと思います。近年、輸入食品は一貫して増加しておりますが、とりわけ特徴なのが、加工食品の輸入割合が増えたことを反映して、その重量の伸びよりも件数の伸びが際立っていると。例えば、平成元年から平成十八年までの間で、重量ベースでいいますと輸入食品は一・六倍の増加であるのに対して、件数でいいますと二・七倍の件数の増加であるということであります。
これに対して、全国の三十一の検疫所で食品の検査に当たる食品衛生監視員は、輸入件数の増加割合に比例して増員されてきたと。これも平成元年から平成十八年の間で三・五倍に増員になりまして今は三百十四名ということなので、この監視体制、人員という意味では強化に向けた努力が払われているというふうに評価したいと思うわけでありますが、実際、百八十五万件の輸入件数が昨年あったわけでありますが、大体書類審査で審査されて、命令検査、衛生検査、モニタリング検査という、実際に検査する件数というのは大体二十万件だというふうに言われております。
これから問題になると思われるのは、先ほど申し上げたとおり、種類が増えてきているということ。新しい食品、材料がどんどん輸入されているということ。実際に、食品輸入で違反になる対象となるのは、大体、初回輸入時に違反件数というのは違反になるものが多いということを考えますと、新しい食品、材料が増えてくることに伴って初回輸入時における違反件数も増えてくるのではなかろうかと。実際、食品輸入を手掛けている企業、個人の会社の数というのは、実は実態が把握できないというふうにも指摘をされております。
そういう意味におきまして、このマンパワー以外の監視体制の強化であるとか効率的な検査実施に向けた取組状況について伺います。
○政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。
我が国の食料自給率は、熱量ベースで約四割とされておりまして六割を輸入に頼っておるわけでございますので、輸入食品の安全確保は本当に大切だと私ども考えております。そういう中で、先生御指摘のように重点的、効率的な対応が必要であると考えております。
一番ポイントになりますのが、私どもの対応としましては、毎年監視指導計画というものを輸入食品作っておりまして、それを基に重点的、効率的な輸入食品の検査でありますとか、あるいは輸出国に対しまして輸出するに当たっての検査体制でありますとかあるいは安全管理につきましてどのようにしているかということを二国間協議を通じていろいろとその改善を求めていくと、こういうようなことを組み合わせて対応することにいたしております。
また、あわせまして、検疫所におきまして、人員の問題以外に、検査の機能を検査項目を拡充し、また必要な最新の検査機器を導入いたしますとか、あるいは緊急的に多くの検査が必要になった際に外部に委託をできるような体制を取るとか、このような様々な工夫をしながら、先生御指摘のような重点的、効率的な監視の体制が取れるように心掛けておるところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも輸入食品の安全性を確保するために引き続き頑張ってまいりたいと思います。
○谷合正明君 もう最後になりますが、大臣に質問させていただきますが、これまで食品表示の改善について質問を続けてきたわけでありますが、しかしながら、食品表示を改善することとともに、実際に食品を選択する上で、食育という言葉ありますけれども、一言で言い表すならば、食べ物を取捨選択する力を養うことであるというふうにも言われております。
今、日本のGDPが五百兆あるとして、そのうち八十兆円は食料の消費に充てているというふうに言われております。国内生産は十兆円と。要は、七十兆円海外からのものを消費しているという国が我が国でございまして、私は、食品表示といった消費者利益の保護に資する制度の充実強化というのはもちろん重要だとは思うんですが、一方で食生活の健全性を取り戻すということも大事であろうと思っております。
ちょっともう時間がありませんので、最後に大臣に一言、両面にこのバランスが大事だと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 全く同感でございまして、一言で言えば、賢い消費者といいましょうか、食料の、毎日のことでございますから、その選択に当たって、例えば偏りのない食事、栄養のバランスを取るとか不規則な食事をしないようにするとか、よく言われます生活習慣病の増加などの問題に対応するためにも、消費者の方々がやはり食品に対する知識などをしっかりと身に付けて選択ができるように、賢い消費者になってもらいたいという思いがございます。それはやはり教育だと思います。委員が御指摘の食育運動といいましょうか、国民運動を推進していくことが大事だと思います。
農林省は、御承知のように、食の生産から流通、さらに消費といった一連の流れを担っているという特色を持っております。この特色を生かしながら、幅広い関係者と連携をしながら、今後食育を推進していくということに力を入れてまいりたいと考えております。