○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
引き続きまして、私もこの年金の記録問題、あるいは新しくできます新法人につきまして質問をさせていただきたいと思っております。
まず、この一週間で特にこの記録問題というものが大変に国民の中で関心というよりは、不安を感じたり、本当にどうしたらいいんだろう、自分の年金は元に戻ってくるのだろうかと、そういう思いを致す方がたくさんいらっしゃっております。
私自身も、この一週間だけでも本当に様々な声を聞かせていただきましたし、また地元の岡山に戻ったときにも社会保険事務所に行って、どういった相談がこの一週間あったのかと、そういったことも聞いてまいりました。まず、今真っ先に手を付けなければならないのは、国民に対してできる限り丁寧に事実関係を公表し、また相談体制の充実を図るべきだと私は思っております。
先週から二十四時間体制の年金相談体制というものがしかれました。この一週間で相談件数も全国軒並み多分増えていると思っております。また、その結果、平均待ち時間も、岡山では二十七分と聞いております。最長でも三時間待っている方もいらっしゃると聞いておりますが、実際のところ、この一週間、今回、日曜日初めて相談業務をしたということでありますが、まずどんな実施状況だったのか、簡単に御報告いただければと思います。
○政府参考人(青柳親房君) 年金相談につきましての実施状況のお尋ねがございました。
全国の社会保険事務所の来訪相談窓口につきましては、六月の四日から平日の受付時間を午後七時までに延長いたしますとともに、今委員からも御紹介がございましたように、六月の九日、十日の土曜、日曜につきましても、休日の年金相談を実施させていただきました。
このうち、六月の九日の土曜日の東京都内二十七か所の社会保険事務所の状況を代表例として御紹介をさせていただきたいと存じますが、最大の待ち時間の状況を確認いたしましたところ、最も長かったのが二か所でございまして、約三時間というものがございました。また、最も短かったのが約二十分という一応データが集まっております。なお、大変恐縮でございますが、それぞれの社会保険事務所で未統合の記録あるいは記録漏れという分類による件数はちょっと集計をまだ行っておりませんので、お許しを願いたいと存じます。
また、六月の十日の日曜日の業務開始から、社会保険業務センター及び二十三県、百三十の社会保険事務所におきまして社会保険のオンラインシステムの端末が使用できないという障害が発生いたしました。午前十一時前には復旧いたしまして、その後の御相談、対応可能な状態とはなりましたが、御相談にお越しいただきました皆様に大変御迷惑をお掛けしたことを改めておわび申し上げますとともに、今後こうした障害が生じないよう、あらゆる対策を講じることとし、窓口における対応に万全を尽くしてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○谷合正明君 窓口での相談体制の充実でございますが、例えばフリーダイヤルがなかなか掛かりづらいであるとか、あるいは相談員の体制も、初めて土日にやりましたから、今後どういうスタッフの配置をするかということも検討しなければならないと思いますが、いろいろ見えてきたものもあると思います。
特に、地域性もあると思いますね。移転、転職の方が多い地域では相談件数も多いでしょうし、また相談に掛かる時間も多いでしょうし、あるいは逆に、なかなか、もうすぐに年金記録も判明して安心して帰っていらっしゃるというケースも多く見られる地域もございます。
そうした中で、全国一律というよりは地域性あるいは事務所の状況に適時柔軟に対応しながら、今後も引き続き相談体制の強化、電話であるとか相談員の確保であるとか、そういったところに万全な対策をしていただきたいと思いますが、その点について見解をお伺いいたします。
○政府参考人(青柳親房君) 先ほど来お尋ねございますように、年金記録に対します国民の不安を解消して信頼を回復するという点では、国民のお立場に立って利用しやすい相談体制を取りまして、相談に対して丁寧かつ迅速に対応することが必要と私どもも認識をしている次第でございます。
まず、地域性についてのお尋ねもございましたが、全国でどのような体制を取りあえず取らしていただいているかということを改めて御紹介申し上げますと、六月四日からねんきんダイヤル、これは全国一律の電話番号でお電話をしていただく体制を既に取っているわけでございますが、このねんきんダイヤルによりまして、土日を含めた二十四時間の電話相談を実施をさせていただいております。
ただ、システムが動きません夜間の時間、あるいは特別にシステムを動かします第二土曜を中心とした日以外の休日につきましては、いったんお電話をちょうだいいたしまして、このお電話をお受けしてその必要な記録等を後ほどお送りをさせていただきます、いわゆるコールバックという体制でこの二十四時間の体制を取らせていただいております。
さらに、六月十一日からはフリーダイヤルで、ねんきんあんしんダイヤルというふうに私ども命名をさせていただいておりますが、料金無料のフリーダイヤルの専用窓口というものを新規に開設をさせていただいております。
また社会保険事務所等にいらっしゃいます来訪相談につきましては、この受付を通常ですと月曜日のみ七時までということで延長させていただいておりましたが、今般、平日毎日午後七時まで延長させていただく、そして土日につきましても休日の年金相談を実施をさせていただくという体制を取らせていただいております。
また、地域性のお尋ねがございましたので、社会保険事務所は全国に現在三百九の設置でございますので、これが設置されていない市町村もございます。したがいまして、こうした社会保険事務所が設置されていない市町村での出張相談の実施というのもさせていただきますし、あわせて、大都市の繁華街での臨時窓口による相談も実施をさせていただくなど、年金の記録相談体制の強化拡充を図らせていただきたいと存じます。
なお、先ほどお尋ねございましたように、この先日の土曜、日曜、こういった体制を初めて取らせていただきました。私も実は土曜日の日に渋谷で臨時に開設をしておりますブースに十時過ぎに出掛けて、職員の激励を兼ねて、あるいは様子、どのようなことになっているかなということを視察をさせていただきに参りました。
渋谷のブースは三か所のブースでございましたが、既に満員になっており、既に三、四名の方のお待ちになっておられる方もできておられました。これは通常、これまで休みの日に開設をしております休日の年金相談窓口は年金受給年齢間近な方が比較的多く、そういう方々がこれからの年金生活をどうしていこうかということで御相談をされるケースが多いわけでございますが、先日、土曜日に私が参りましたときには、年金受給年齢にはかなりまだ間のある方で、しかも女性の方、お待ちの方はすべて女性の方でした。こういう方が年金手帳をきちんとお持ちになって、正に、言葉適切かどうか分かりませんが、言わば真剣勝負ということで御相談になってきているということがこれまでの休日の年金相談とは随分様子の違うものだなということを私も実感をしてまいりました。
そうやって、この問題に大変御心配をされて、またそのためにわざわざ足をお運びいただく方々にきちんとお答えできる体制をつくるということを心掛けてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非、本当に、皆様、先ほど真剣という言葉が出ましたけれども、それに対する対応ということでございますので、万全な体制をしいていただきたいと重ね重ね申し上げます。
また次に、五千万件の問題が起きて以降、次々といろいろな事案が出されております。例えば一千四百三十万件であるとか、あるいは週刊誌等で一億件の記録がどうとかこうとかですね、いろいろあるんですが、いずれにしてもその数字が巨大なだけにその数字が独り歩きしているという印象は私持っているわけであります。
まず、その一千四百三十万件の問題について、厚生年金の旧台帳の記録一千四百三十万件でございますが、これは先週来、委員会でも質問もあり答弁もありますので、事実関係については簡単でいいんですが、この一千四百三十万件は、結局のところ、五千万件の記録問題で打ち出した政府のパッケージ対策で解決していくのか。さらに、その足りないところを別途それ以外の方途でやっていくということと私は理解しているんですけれども、それでこの一千四百三十万件は解決できるということでしょうか。
○政府参考人(青柳親房君) 事実関係簡単にという御示唆がございましたが、最初に少し触れさせていただきたいと存じます。
一千四百三十万件というふうに指摘されております記録は、厚生年金保険法が昭和二十九年に全面改正がございました。この二十九年の四月一日前に会社等を退職して資格を喪失した方の記録ということが大きな根本の性格でございます。
この記録は大きく分けますと二つの種類があるというふうに御理解を賜りたいと存じます。その第一は、この二十九年の四月一日前に資格を喪失した方がその後五年間、したがいまして昭和三十四年の四月一日ということになるわけですが、三十四年四月、五年間たってそれ以降にも厚生年金に再加入しなかったというような方である場合ですが、この場合には、多くの方が御不幸にも戦争などで亡くなられた場合、あるいは加入期間が短いままに退職された場合、あるいは結婚などで退職されて当時制度としてございました脱退手当金等を受給され、今日年金額には、そのしたがって精算が終わっておりますので年金額には金額に反映されない方、こういった記録が相当数あるものというふうに予測されます。
したがいまして、こういう事情から使用頻度が比較的低いと見込まれましたために、加入履歴はオンラインデータには電子化せずにマイクロフィルムに収録して管理をしております。しかし、オンライン記録にはその手帳記号番号とこの記録が別にマイクロフィルムのカセットでどういう番号のところで収録されているかというものが記録されておりますので、電子的にこれを言わば索引として利用することができるという状態にございます。
また、第二のグループの方は、昭和三十四年四月以降に厚生年金に再加入をされた、そこで再就職をされたという方々の記録でございまして、この方々の場合には二つの場合に更に分けられるわけですが、まず第一のケースとして、それまでの記号番号が事業主を通じて届け出されている場合でございまして、この場合には前後の記録が言わば統合されて管理されている形になります。また、何らかの事情で前の番号が事業主に届出、出されていない場合でありましても、この三十四年四月以降の記録内容それ自体はオンラインデータに、失礼しました、二十九年前の記録はオンラインデータに収録されておりませんが、先ほど申し上げましたように、まずはマイクロフィルムで管理されており、それからその検索が付けられているということから、年金裁定時には当然この記録を反映することができる状態になっております。
したがいまして、いずれの場合におきましても、年金を裁定いたしますときには、これを検索をするものあるいはデータに載っているもののいずれを問わず、これを利用することは可能な状態に置かれておるということでございます。したがいまして、この記録の取扱いにつきましては、私どもは社会保険庁で別途保管しておりますマイクロフィルムあるいは市町村が保有する台帳の記録と社会保険庁のオンライン記録とを突き合わせを行うということを既に公表しておりますので、こういったグループの中でとりわけ最優先で取り扱っていくべきものというふうに整理をさせていただいております。
○谷合正明君 分かりました。ただ、実際にその事業主が届出を適切に行わなかったケースとかどのくらいあるのかといったところが、数の把握がまだ分かってないところが、ここがちょっと一つ不安に陥らせる要因だと思いますので、早急にこの問題も対処していただきたいと思っております。
次に、時間もございませんので、一億件の記録が倉庫に眠っているという週刊誌報道がありましたけれども、これはもう間違いということでよろしいですね。
○政府参考人(青柳親房君) お尋ねの週刊誌の記事、年金台帳一億件倉庫に眠るということにつきましては、こういったものを社会保険庁が保管し、廃棄しているという事実はございません。
ただ、今ほど申し上げましたように、社会保険業務センターにおきましては、二十九年の四月以降に厚生年金保険に再加入した被保険者の方々は、今既にすべて電子データに管理をしておる方々ということでございますが、これらの方々に係る記録を紙の台帳で念のために保管をしているという事実がございますので、こうした事実が誤って伝わったとしかちょっと私どもには推測のしようがございません。
○谷合正明君 いずれにしても、その一億件というのはちょっと数字が誤っているということだと思います。
次に、特例納付制度でございますが、これも最近、報道によりますと、本来社会保険事務所がやらなきゃいけない業務なのに市町村が違法に代行していたという指摘がございますが、そのような事実は実際あったのか。そして、いずれにしても、その違反事実があったのかなかったのかにしても、いずれにしても混乱が起きているのは実際ありますので、そういった混乱が生じた背景、そして今後この問題についてどう対処をしていくのか、その三点について手短にお願いいたします。
○政府参考人(青柳親房君) お尋ねの件は、六月十日付けの朝日新聞の記事に係るものと承知をしております。この報道におきましては、国民年金の特例納付に係ります保険料の領収書には龍ケ崎市役所の領収印が押されているというふうに報道されておると承知をしております。
社会保険庁におきまして早速この事実関係を確認いたしましたところ、領収書に残された領収印は龍ケ崎郵便局の領収印でございました。特例納付は国が直接収納するという手続になっておりますので、社会保険事務所が収納するわけでございますが、当然国庫金を収納する窓口としては銀行でございますとか郵便局がございますので、郵便局の印があるということは正当に国庫金として収納されたというふうに私どもは理解をしております。したがいまして、報道された事案について市町村が法令に反する徴収事務を行ったというものではないというふうに理解をしてございます。
しかし、いずれにいたしましても、これまで年金記録をめぐる様々な相談の中で、本来制度の予定していない特例納付の保険料を市町村に納付したという旨の申立てを行う事例が散見されているということもまた事実でございます。したがいまして、御指摘がございましたように混乱が生じているということかというふうに認識をしておりますので、私ども、社会保険庁におきまして特例納付についての当時の事務処理の状況について可能な範囲で調査を行いまして、なるべく当時の実態に迫るという努力をさせていただきたいと考えております。
○谷合正明君 これから実態に迫るということでございますが、市町村と社会保険事務所の間の保険料がどういう行き来をしたのかといったところがあやふやになっているということでございます。
先ほど中島議員の方からも、覚書の分厚い資料を提出しての御説明がございましたが、やはりその中にも、ちょうど特例納付をしていた時期に結ばれた覚書、昭和五十四年に結ばれた覚書にも、オンライン化は社会保険事務所中心の考え方に立つものであり、将来にわたり市町村との間にオンラインを直結することはないと、いろいろ書いてありまして、原因を追求する際に、こういった実際現場で何が起きていたのかと、市町村と社会保険事務所の間の連携といったところにどういうミスがあったのか。私は今申し上げたところも一因ではないかなと思っておるわけでありますが、この点についてもしっかりと調査、検証していただきたいと思います。
次に、今、国民の皆様が一番関心を持っているものの一つが、保険料を支払った証拠が本人にも社会保険庁にもない場合どうするのかと。これは申立てを第三者委員会で判断するということでございますが、これまでの政府の答弁だと例示が余りにも少なくて、それは例えば客観的な事実、通帳であるとか雇用主の証言であれば広く記録を訂正していくということは分かるわけでありますが、それ以上の説明が余りなくて、実際どうなるんだと。実際、客観的な事実もない場合どうすればいいのかという声がたくさん寄せられております。
やはりここは本人が整合性のある説明をするとか、あるいは個人的な記録、手帳だとか家計簿だとか、そういったものを提示すれば、広くそれは第三者委員会で申立てを酌み取って記録を訂正していくという、そういうスタンスが必要であると私は思っております。
この第三者委員会、昨日からいろいろ、今月内にも設置していくという話もございました、総務省内に。これは大変関心のある問題でございますので是非前向きな答弁をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(新井英男君) ただいまの点につきまして御説明いたします。
第三者委員会の設置につきましては、昨日、総理より総務大臣に対し設置の指示があったところでございます。今月中の立ち上げに向けまして、速やかに第三者委員会のメンバー、また手続、また委員御指摘の点も含めまして詰めていくこととしております。
いずれにいたしましても、第三者委員会は、社会保険庁側に記録がなく、また本人も領収書等の証拠を持っていないといった事例について、本人の立場に立って申立てを十分に酌み取り、また様々な関連資料を検討し、記録訂正に関し公正な判断を示していくこととなるものでございます。また、第三者委員会の組織につきましては、総理指示におきましても、この委員会、国民の立場に立って対応することが求められており、申出を行う方々にとって利便性が高くなるよう、なるべく住所地の近いところで対応する必要があると考えております。
いずれにいたしましても、委員会の判断につきましては、個々の判断の間の整合性の確保が重要と考えておりまして、この点も踏まえまして第三者委員会の立ち上げに向けて検討していくこととしております。
○谷合正明君 個々のケースを判断していくということでございますが、例えば厚生年金で今加入している事業者は、百六十万ございますが、そのうち六万三千の事業者が実は厚生年金に未加入であるということでございます。
問題なのは、六万三千のうち、事業者が従業員から保険料を徴収しておきながら厚生年金に加入していないというケース。だから、従業員は払っているんだけれども、その保険料は国に来ていないというケースは、これはどういう扱いに、そういう方が申立てをされた場合、第三者委員会ではどういうふうに検討していくんでしょうか。
○政府参考人(青柳親房君) まずは、制度の運用の取扱いということでございますので私の方からお答えを申し上げますが、事業主の届出漏れが原因で厚生年金保険の被保険者資格が事実と相違しているというようなケースが今御提起ございました。
二年を経過していなければこの当該記録は訂正をされるということになろうかと思いますが、二年を経過している場合には事業主からの訂正届を受けて記録を訂正すると、これが一応ルール、手続のルールとなっております。
それで、事業所が従業員から保険料を徴収しておきながら厚生年金に加入していなかったという事例を全体像として把握することはなかなか困難な場合もあろうかというふうに存じますが、例えば厚生年金の加入手続を適正に行っていない事業主としては、厚生年金の加入手続を行わず未適の事業所になっているようなケースもあります。また、届出漏れ等により、その事業所は適用されておるわけですが、その個人の方について厚生年金に加入すべきであるのに加入していないものと、いろんなケースが考えられるわけでございます。
何よりもまず、この問題は、未適用の事業所を的確に把握するということによって、加入の指導あるいは事業所調査、職権適用という一連の対策を行うわけでございますし、あわせて、厚生年金の適用漏れが、届出漏れがないかということを行うことによりまして、まずは御指摘のような事例の解消もかなり程度図っていくことができるだろうと思います。
そこで、最後に、過去の厚生年金の被保険者記録が事実と異なっていた場合にどうかということになるわけでございますが、事業主の届出漏れなのか、それとも社会保険庁の記録管理に不備があったのかということを最後は事実関係として判断をしなければいけないというケースも想定されます。このようなケースにつきましては、今後、総務省に設置をされます第三者委員会において公正な御判断をいただきながら、その御意見を尊重して、最終的には社会保険庁として対応してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 是非、申立て側の立場に立った対応をお願いしたいと思います。
この一連の年金記録問題の解決に向けての大臣の決意をお伺いしたいわけでありますが、国民の皆様の感情は、やはり年金制度の仕組みというよりは、社会保険庁の体質を変えるべきだという声が昨日のNHKの世論調査でも圧倒的だったわけでございます。新しく新法人が今後法案が通ればできるわけでありますが、私は、その新法人が設立する前にもっといかにこのうみを出し切るか、これが本当に国民が願っていることではないかなと思っております。
今いろんな件で報道が、新たな事実報道していく、それで後手後手に回るということもありますが、一方で行き過ぎた、数字をあおるような報道も目に余るところではありますが、だからこそ、私は、しっかりと政府で事実を把握して、それを国民の皆様に公表していただいて、速やかに対処を打ち出し、実行していただくということに尽きるのではないかと思っております。
この年金記録問題、この解決に向けて、大臣の決意をお伺いいたします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回、本当にこの年金記録問題におきまして国民の皆様に不安を与えてしまったということ、大変これは申し訳ないことでございまして、おわびをしなければならないと、このように考えます。
この不安を早急に解消する必要があるわけでございますけれども、これにつきましては、私ども、今当面の問題としては、まず相談体制、これを本当にしっかりやっていって、国民の皆さんからいろいろ自分の年金記録等について大丈夫かという、そういうお問い合わせ、確認のお話がある場合には、それに対してしっかりと対応するということがまず第一だというように思います。
それから第二番目に、これまでいろいろと問題提起を受けまして、それで統合が十分できていないじゃないか、統合漏れが起こっているじゃないかと、五千万件を始めそういう問題があるわけですが、それとか、あるいは本当に記録の段階で、コンピューターに対して手書きの台帳とかあるいは名簿からしっかりと間違いなくコンピューターに入力がされたのかというような問題があるわけでございます。
そういうような記録の確かさというものをしっかりともう一回立て直すための仕事、これをいろんなメニューでもう既に明らかにしているわけでございますけれども、これに的確に対応する。もちろん統合の問題については、五千万件を始めとしてもう総理からの強い指示がありまして、これは基本的に一年以内に名寄せをして、そしてそういうものを踏まえて国民の皆様にお知らせをするということをやって御確認をいただくわけですけれども、やっぱりコンピューターに対して、本当に手書きのいろんな資料の入力というものが確かであったかというのをもう一回見直すと、この仕事は何しろ相手が台帳という紙の資料でございますので、かなりこれは時間が掛かると。
しかし、いつまでもいつまでもこれも掛けるわけにいきませんので、できるだけ我々としては手早くやらなきゃいけないということで計画を立てて、そしてやるということですが、その進捗の状況は半年ごとにでももう御報告をする、公表するということを言っておりまして、こういう今お約束しているこの記録を正しいものにしていくという作業をこれからやっていかなきゃいけない、こういう、これを的確にやっていくということでございます。
そういうことをやった後に、今委員も御指摘になられたように、この社会保険庁、やっぱりもう体質から大改革をしなきゃいけないということでございますので、是非、委員の皆様、また国会の御決議をいただいて、そしてこの法案を成立をさせていただきまして、二十二年一月まで、本当に二十二年一月のスタートの時点にはもうしっかりとした体質になって、そしてそういう新しいこの日本年金機構という組織で日本の国民の皆さんの非常に大事な年金の事業を運営させていただく、そういう体制を取りたい、こういうように考えているわけでございまして、これらの相談体制から、それからまた、いろいろお約束をした、記録を真正なものにするということの努力、それから新しい体質を、しっかり改革したそういう新しい機構でもって効率的でしかもサービスの質のいい、そういう機構をつくり上げていく、こういう仕事をこれからしっかり取り組んでいく必要があると考えまして、私もその問題に真剣に取り組んでいく決意をしているところでございます。
○谷合正明君 私も、平成二十二年一月にスタートする予定のこの新法人につきましては、しっかり、当たり前の仕事を当たり前にできる組織をしっかりつくっていただきたいと思っているわけであります。
今回、新法人と国の役割、責任、これについて、例えば新法人設立後も公的年金に係る財政責任、管理運営責任は国が負うとなっておりますけれども、この点につきまして、今も記録問題が次々に出てきているという中で、様々な問題が解決されずに残るのではないかと。
まず、新法人設立後の国の公的年金制度の責任について一般論としてどういうふうに見解を持っていらっしゃるのか、そしてまた、この年金記録、オンラインの記録と台帳をこれ突合するわけでありますけれども、この作業はまだ時間は掛かっていくとなったときに、この積み残った年金記録でありますとかいう問題をこれだれが責任と業務を引き継いでいくのか、ここしっかり明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この年金につきましての管理責任、それから財政責任というものは、これは厚生労働大臣が直接権限として持つものでございます。そういうことの中で、実際上の実務を今度日本年金機構という組織にやらせるという法律上の枠組みになっておりまして、何といっても第一次的な責任と権限というものは厚生労働省あるいは厚生労働大臣が直接に担うということになっております。
そういうことでございますので、したがって、この年金記録の問題、確かに今委員が御指摘になられたように、このオンラインのいろいろな資料と、そのオンラインのコンピューター上の記録の基になった紙の台帳、紙の台帳の中には写真で撮られて、いわゆるマイクロフィルムになっているものもありますが、基本的にそれはこの人間の手で書いたものが写されているだけですから、人手の掛かったそういう紙と本質的に変わらないわけでございます。そういうものが本当にぴったりと真正なインプットがされているかどうか、これを確かめる作業というのは、この紙の台帳、人の手によって書かれたものというのは非常に膨大にあるし、これを一々読み解いていくというのは、そんなコンピューター同士の突き合わせとは違うわけでございまして、時間が掛かります。
そうしましたときに、その仕事の責任というものが将来新しい機構になったときにうやむやになってしまうんじゃないか、こういう御懸念からの御指摘、御質疑かと思いますけれども、私どもはそのようには当然のことながらさせてはならない、こういうふうに考えておりまして、そのためには、やっぱり厚生労働省本省にこの管理機能というものを元々、この日本年金機構に対する管理ですね、そういうこの機能を持った部局というものを置かなければなりませんけれども、特にこの年金記録問題については、言わばその管理機能を持った部局の中に、言わばこれを専門に監視していく、仕事の進捗状況等を管理していく、そういう組織を設けることによって、厚生労働省本省がこの進捗管理等については責任を持つと、こういう体制にして責任体制を明らかにしていきたいと、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 年金については、年金制度の仕組みと、もう一つは年金の制度を運営していく問題、体制の問題、二つあるかと思います。今、昨今問題になっているのは、年金の運営の体制であるとかあるいは社会保険庁の体質の問題であると認識しておりますが、こういったものがこの仕組みそのものに不安を与える、波及しているというふうに私は懸念しているわけでありますが、まず確認しておきたいのは、三年前の年金改革におきまして百年間の給付と負担の姿を明確にしたと。それまで五年ごとに給付と負担を見直していたわけでありますが、この三年前の改革によりまして、例えば保険料の将来水準を固定し、その引上げ過程とともに法律上明記、給付水準の下限を法律上明記、標準的な年金受給世帯の給付水準は現役世代の平均収入の五〇%を上回る水準を確保すると、この考え方に今も変更はないということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 平成十六年の年金改正というのは非常に抜本的な改正でございました。そして、この年金財政の収支につきましても、法律でそのことをはっきり書いているわけでございます。
具体的に言いますと、例えば厚生年金の場合には、厚生年金保険法の第二条の四というところに書いてあるわけでございますけれども、この年金財政に係る収支については、その現況と財政均衡期間における見通しをしっかりと作成しなければならないということが書かれています。この財政均衡期間というのはしからば何年くらいなんだということを申しますと、その二条の四の第二項によりまして、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とするということがもう法律上はっきり規定をされているわけでございます。
したがいまして、この財政均衡期間というものを常に展望しながら財政収支のバランスを取っていかなければならないわけですが、何といっても将来見通しというのは難しいものですから、現実との間にとかく乖離が起きがちなんですね。それを、物すごく大幅に乖離が起きているからそれを直そうといったって、それはまあ難しいわけですから、この法律では、少なくとも五年ごとにその見通しを作成しなければならないということで、常に現実との乖離を少なくとも五年ごとに調整をしていく、こういうことがうたわれているということでございます。
そういう下で、委員が今御指摘のように、十六年の制度改正においては、この人口の見通しであるとか経済の変化というものを前提にして将来の見通しをして、五〇%以上の所得代替率、現役の、その当時の所得に対して五〇%は必ず年金の方で少なくとも裁定時には確保する、こういうことを見通すということを行いまして、これで持続可能な年金制度ができ上がりましたということを申させていただいたわけでございます。
さて、それが、今回のような記録問題が起きている現段階で、年金制度を動揺させたり、あるいは財政収支を変動させるようなことはないのかということでございますが、私ども、もちろんこれ、安閑としてそういうことが自然にでき上がるなどと申し上げるつもりはありません。もう懸命の努力をしなければならないんですけれども。
しかし、そういうことを前提にして財政計算そのもののことを申しますと、我々は、社会保険庁で把握をしている納付記録というもの、だから五千万件のものもちゃんと取り入れた形でもう既にこの収支の計算をしているということでございまして、これは何かちょっとわきの、枠外の資金であって、これを入れることによってすごく年金財政が豊かになるんじゃないかなんというような議論もちょっと逆に一部ありましたけれども、そういうことではなくて、これもしっかりした保険料としてカウントされた上で、そしてそれを基にした給付という考え方を明らかにしているところでございまして、私どもとしては、この納付記録の照合の結果、年金財政の枠組みが揺るぐというようなことは全くないというふうに考えている次第でございます。
なお、付け加えますと、昨年人口推計が発表されたことを受けまして、本年において年金の見通しをやや暫定的に試算をさせていただきましたけれども、そのときには、所得代替率は十六年の計算のときには五〇・二だったものが五一・六%というように改善を見た見通しとなっております。もちろん、これはあくまでも暫定的な試算でして、正規の専門的な検討を受けた後の検討というのは二十一年度までに行われるということは委員御承知のとおりでございます。
○谷合正明君 もう時間がございませんので、最後に私の方から申し上げたいのは、そうであるならば、制度が持続可能であるならば、特に私に近い世代、若い世代、学生世代、今本当にいろいろ話聞いていると、まあ年金に対しては信用していないんですね。私は、そういう会合で学生さんたち、若い人たちと話すと、もう年金、絶対入った方がいいと、そういう話をして入っていただくと。こういう国会議員の中、年金制度が危ないから、あるいは不祥事が多いから入らなくていいなんていう人はいないと思うんですね。
だから、私は、納付率向上対策も今回の法案に盛り込まれておりますけれども、本当にこれが実際に効果を上げるために、特に将来を担う世代に対して年金教育であるとか周知の徹底であるとか、私はそういうことをしっかりやっていただきたいと。今回の年金の機構法案も出ましたけれども、これで日本の年金制度は今回の国会で大きく意識改革したんだということを是非大臣の方からもアピールしていただきたいと。最後にそのことを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。