○谷合正明君 公明党の谷合です。
先日書店に行きましたら、書店に行きまして地図が売られているコーナーへ行きまして、まあ観光ガイドだとか並べられているようなところですけれども、こういう声がありまして、その方は浜松の方だったんですけれども、四月一日から政令指定都市になって、そういう移行したばかりということで楽しみに書店に来て、自分のところの地図がどうなっているのかと、そうしたら、反映された、いわゆる政令指定都市になった名前が区になった地図がなかったということですね、そんな声を聞いたわけでありますが。
基本的に国土地理院の基本測量の更新を受けて、その更新情報を利用して民間の地図業者が最新地図なんかを更新して発刊するかと思うんですけれども、昨今、市町村合併が頻繁に行われておりますけれども、行政界が変更されるに伴いまして国土地理院ではどのように更新をされているのかということと、今回の法改正でいわゆる更新間隔の短縮を図るわけでありますけれども、いわゆる測量成果のインターネット提供によってそういった行政界の更新情報はどのように早く回っていくのかというところをお聞かせください。
○政府参考人(藤本貴也君) 今、先生のお話は、私どもの地理院の地図の更新が結果として民間の地図も早くやっていくということで、そういう意味で、こういういろいろな更新を早くしたらどうかと、こういう御趣旨ではないかと思いますが、市町村合併があったりした場合は、本来なら直ちにいろんなものを改訂をし、我々の地図を改訂しないといけないというふうな思いもありますが、いろんな諸データを集める中で、必要な段階、ある程度いろんなデータが集まった段階で更新をすると、こういうふうなのがこれまでのやり方でございまして、特に今回の市町村の大合併、これは同じ時期に集中的に起こりましたので、こういう合併の結果を直ちに今の紙の地図とかそういうものに反映させるというのはなかなか厳しいというのが実態でございます。
特に、今我々が刊行します紙の地図は、それをもちろん印刷をする、現行を修正しまして印刷をする、そして流通経路に乗せまして各書店に配付をする、もし更新になった場合は古い地図は全部回収しまして新しいものと交換をする、こういうことをしなくちゃいけないわけでございます。そんなことで、できるだけそういう中でお安く皆さんに提供しないといけない、こういうふうに思っております。
そういう意味で、地図ではいろんな、市町村合併の問題以外にもいろんな変更点ございますけれども、そういうものにつきましてもできるだけ早く更新をしたいとは思っておりますけれども、ある程度そういうものを見ながら、そういうデータが蓄積された段階で更新をしていくというのが今の現状でございまして、一般的には都市部で大体三年から五年ぐらいということでございまして、山間部は割と地勢の変化が少ないんで、長いものについては十年から二十年ぐらいというのもございます。そんなような状況が現況だということでございます。
そこで、先生のお話の今回のインターネットによる提供ということになるわけでございます。インターネットに提供になりますと、先ほど言いましたような流通経路に流して皆さんに、本屋さんにお出しする、あるいはそういう古いものは回収する、こういう手間が相当省けるわけでございまして、地図に反映すべきいろんな諸条件が出てきましたら、それを我々は入手いたします。その後、データ整備をいたしましてそして提供するということになりますんで、今の時代、入りますと遅くとも六か月後ぐらいにはユーザーの皆さんに提供できるように、六か月じゃないですね、数か月後ぐらいですね、失礼しました、皆さんに提供できるようにやっていきたい、こんなように思っております。
それが結果として災害対応とか、その他もろもろにもいろいろ役に立つんではないか、あるいはそういう民間の方がいろいろ修正するにもお役に立つんじゃないか、こういうふうに思っております。
○谷合正明君 分かりました。数か月というところでございますので、できる限り、ネット社会でございますので、そういう時代に合わせた迅速な更新をしていただきたいと思います。
それで、私が住んでいる岡山県におきましては、避難場所などの防災情報ですとか子供たちの通学路の危険箇所の情報を国土地理院の持っているその地図上に情報を重ね合わせて表示したおかやま全県統合型GIS、地理情報システムが昨年六月から運用が開始されておりまして、利用も町内会等も含めて約三十近くに上るということでございますが、まだ都道府県によってはこういったGISはすべての県には普及していないというふうに聞いております。今回の測量法改正によって、そういう地方公共団体におきますGISの取組に対してどのようにこれが、法改正が役に立っていくのか、この点について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(藤本貴也君) 先生お話しのGISの関係でございます。
地方公共団体におきましてITが非常に進んで全般的にきたかということを踏まえまして、いろんな地理情報をこのGIS上でできるだけ簡単に検索をできる、あるいは電子化をしていって皆さんに提供するというものが随分進んできておりますけれども、まあ縦割りというわけじゃないんですが、各県を見ましても、県の中のそれぞれの業務単位あるいは組織単位にいろいろ作っておられて、一本化されているというのはなかなか、おっしゃるように岡山は割と進んでいるようでございますけれども、GISの導入は割と進んでおるんですけれども、いわゆる統合型ということであります、県一本で提供するという形になっているのはまだ四分の一ぐらいというふうに伺っております。
今回の測量法改正におきまして、インターネットによる提供というようになります。そうなりますと、デジタルないろんな地図というものがこれからももっと普及する、あるいは促進する。一方では、私たちといたしましても、一番問題は白地図といいますか、GISの基になる白地図が共通のものにならないといけない。そのために、我々も県と協力をしながら共通な白地図になるようなものをできるだけ早く整備をしていきたい、あるいは余りばらばらにならないように基準というものをきっちり作っていきたい、こんなように今考えておるところでございます。
○谷合正明君 是非そういった取組が促進されることを期待いたします。
続きまして、国際協力の分野についての質問に移らせていただきます。
かつて、NHKの「プロジェクトX」の中にも、アフリカのギニアで、国土地理院というか測量士の方が地図のない国で一から地図を作ったというストーリーで報道があったわけでございます。当時、ギニアもフランスから独立して希望に満ちあふれていたわけでありますが、独立した当時、フランスが国の重要資料のほとんどを本国に持ち帰ったと。その中には国土基本図、地図も含まれていたと。地図がないためにギニアの開発は行き詰まり、道路、鉄道、農地、新たな国土開発のめどすら立たなかったということで、日本が一九七七年にODA約十億円の予算を提供して、足掛け四年掛けてこの地図を作ったという話でございます。
確かに、私もアフリカでありますとか発展途上国等よく行っておりましたので、その国に行くたびに現地の本屋に行って地図であるとか地図帳を探すんでありますけれども、大体地図を売っている国というのは、地図帳を売っている国というのは余りないんですね。あるとしても、ヨーロッパの国が発刊している地図帳があったり、その国独自が発行した、発刊したものというのはめったにありませんでした。そういう国が多いんだろうなと、今でも。
最近は、中央アジアですか、旧ソ連から独立した中央アジアですとか、あるいは東ヨーロッパ等でもやはり独立した、新興独立国というのが増えております。いわゆる地図のない国というのがあるではないかと。地図のない国は幾らあるかといっても、それは数字として出てくるものではないんですが、そういった地図が整備されていない国であるとか、あるいは国土地理院に準ずる機関がないような国とか、そういった国というのはあると私も実感として分かるわけですが、その実態はどうなっているのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。
○政府参考人(藤本貴也君) 地図のない国、あるいは地図を整備するための専門的な組織が特にどうなっているか、こういうことでございますけれども、その辺はちょっとつぶさになかなか把握私どももできておりませんで、個別に、海外に行った連中がそこはどうだとかというふうな話がございますけれども、なかなかここで御報告できるほどしっかりしたデータはございません。誠に申し訳ございません。
ただ、先生のギニアの例と似たような話でありますけれども、ユーゴスラビアがこれも独立をいたしまして、これが独立した際に、やっぱり地図がしっかりその独立した各国に配置されていなかったというふうなことで、正確な地図がやはりこれは非公開というよりそもそもないという状態がございまして、これらの国はそれぞれやっぱり国土地理院というような、そういう地図を作成する機関もあるいはノウハウもなかった、こんなことがございました。
そんなことで、我々としてもそういうところに対していろんな技術協力をさせていただいたりというようなことはこれまでやらせていただいておるところでございます。
○谷合正明君 それ、どういった技術協力をしているのかという、幾つか例を挙げていただければと思うんですが、お願いします。
○政府参考人(藤本貴也君) そういう地図ができていないところでございます、各国によっていろいろな事情が異なりますんで、JICAを通じてのODA等での支援というようなことになろうかと思いますけれども、その前段といたしまして、相手国においてどのような地図が要るのか、あるいはどういう技術が必要なのか、あるいはどういう機材が要るんだろうかと、そういうふうなものにつきまして、まず事前に行って評価をしないといけない、向こうの事情を調べないといけない。そんなことで、そういう地図の作成、技術移転に関する事前調査、こういうような形での協力をやっている。あるいは、それがあるとしますと、専門家が向こうに行きましていろんな技術協力をさせていただく、あるいは向こうの国からお越しいただいて、日本で研修をさせていただいたというふうなこと、今でも毎年こちらにお越しをいただいて、そういう研修なんかもさせていただいております。
○谷合正明君 分かりました。
そのほかに、緊急援助的なものもあると思うんですね。例えば、海外で発生した災害、直近でもソロモン諸島で地震が起きました。また、記憶に新しいところで、先ほど大臣の方から話もありましたとおり、二〇〇四年の十二月に起きたスマトラ沖の大地震、あるいは二〇〇五年の十月のパキスタン北部の地震、こういった地震に対して、国土地理院としてはどういう対応を取られてきたのか教えてください。
○政府参考人(藤本貴也君) 海外で大きな災害がありますと、我が国としてもいろいろな形で応援をするということになろうかと思います。その際には、当然、現地でどういう状況になっているかというのをまず調べないことにはそういう対応が見えてこないということになるわけでございます。
私ども地理院の方としましては、測量とか地図の分野を預からしていただいておりますので、主に自然災害に関しまして、被害の範囲がどういう形になっているのか、そういうものを取得をするというふうなことで防災対策に生かしていきたいというふうにしてやっております。
とにかく、衛星なんかを活用しまして、どういう地殻変動が起こっているか、こういうようなことも把握をさせてもらい、そしてそれを基に、地震なりあるいは火山の噴火に伴う地殻変動、これがどうなっているのか、あるいは地下でどういう状況が起こっているのか、あるいは具体的な地図も余りないわけでございますから、ある程度大ざっぱにではありますけれども地図を提供するとか、こんなことによりまして救助ですとか復旧対策、こういうものに生かしていきたい。
先ほどちょっと申しました、人工衛星から画像を撮りますと、地震の起こる前と後で画像を撮りますと、どの程度隆起をしたかというようなものも解析をすると出てくるわけでございます。そんなようなことで御協力をさせていただいているということでございます。
例えば、二〇〇四年のスマトラ沖の地震のとき津波の被害地域をある程度とらえていくとか、あるいはパキスタンのときでは断層だとかあるいは地すべりがどこで起こったとか、そういうようなものも早めにとらえて皆さんで共有をしてそういう対策を立てるための材料にさせていただく、こんなことをさせていただいております。
○谷合正明君 そういった技術協力というか、自然災害の直後の協力といったところが、実は回り回るってことはないですけれども、我が国の防災に対しても非常に有益ではないかと思います。例えば、ソロモンの地震のときも、結局同じ太平洋の地域として日本、我が国を含んだプレートの動きが分かってくるではないかと。
そういう意味では、国土地理院の宇宙測地技術を活用した海外協力というのは、実はそこで得られた技術や成果というのは我が国の防災に役に立つのではないかと思うんですが、この辺りどうでしょうか。
○政府参考人(藤本貴也君) 先ほど、先生からもお話ありましたけれども、宇宙測地技術、これを用いましていろいろ海外での現状把握をさせていただいておるということを申し上げました。
こういう技術の中には国土地理院で中心的に開発をした技術、そういうものもいろいろございまして、先生おっしゃったとおり、海外でいろいろそういうものを経験をいたしますといろんな事例も増えてきます。様々な条件の違うところでのデータも把握できるというふうなことで、解析技術のいろんな精度の向上、こういうことにも役立つのではないかと思っております。
それから、先生もお話がございますソロモン諸島の件でございます。世界の海溝沿いで発生する巨大地震であります。これを、解析を通じまして、日本の海溝で起こるであろう東海地震とか東南海地震、そういうものに、いろんな発生メカニズムを検討する上でも、いろんな形で役に立つというふうに思っております。
○谷合正明君 もう一つ、国土地理院さんが今リードして行っている国際協力事業の一つに地球地図プロジェクトというものがございます。これは一九九二年に当時の建設省が提唱したものであると聞いております。つまり、地球環境問題の解明のために地球全体の信頼できる地理情報が不可欠ということで、当時そういう提唱があったわけでございます。この地球地図プロジェクトの概要というんですか、目的等はどうなっているのかと。
また、昨今、例えば中国から黄砂が我が国にも結構来るなということ分かってきたわけですが、そういった自然災害などの、災害というか自然環境の変化、こういったものが分かってくるのではないかなと、影響評価なんかできるんではないかなと思うんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(藤本貴也君) 先生のお話で、今パンフレットを見せていただきましたが、我々は地球地図プロジェクトという名前でこれを呼んでおりまして、特に地球環境にいろんな意味でお役に立つんではないかと、こういうようなことで、平成四年に提唱させてもらって、そして平成六年には地球地図国際ワークショップというのを日本で開催をし、そして平成八年に地球地図国際運営委員会というのを設立させていただいた、こういう経緯がございます。
内容的には、先ほど言いました地球環境への影響ということで、先ほど来のお話のように、地図もきちんと整備をされていないわけでありますから、世界全体についての一元的な、統一的な地図というものはなかなか存在しないというので、共通のデータを蓄積をしようということで、八項目のデータで、共通のものをこの世界地図の中にデジタルで落とし込めるようなものを作っております。すべて申し上げるとあれですけれども、今の黄砂の話ございましたんで、植生だとかあるいは土地利用だとか、土地の被覆状態がどうなっているか、そういうようなものを八項目でございます、それを地図にそれぞれ各国データを作って持ち寄ると、こういうことにしておるわけでございます。
現在、百五十六か国が参加をしていただいております。国連加盟が二百か国弱だと聞いておりますので、かなりの国の数が参加をいただいております。
私ども、この事務局を担当させていただいておりまして、途上国に対するいろんなデータ整備の応援もさせていただいております。引き続きこのプロジェクトの推進、頑張ってまいりたいというふうに思っております。
○谷合正明君 それで、今百五十六か国が参加ということなんですけれども、この資料によると、昨年、二〇〇六年の七月時点では、その参加国は多いわけでありますけれども、データを実際公開しているというところまで行った国というのは二十二か国にとどまっているということで、最新の進捗状況とその完成のめどというのはどうなっているのかという、お願いします。
○政府参考人(藤本貴也君) ただいま現在ですと二十八か国になっております。全体の面積で四分の一ぐらいでございます。今、公開準備中と、一応データ作りまして、データのチェックを今している、これが七十九か国ございまして、合わせまして百七か国、全体で面積で七割ぐらい、ここまでの整備のめどが現在立ってございます。
まだ提出いただいていない残りの国、五十か国余りございますけれども、そういうところにはできるだけ早く提出をしていただくようにお願いをしておるところでございますし、そうはいってもなかなか間が埋まってこないということもございますんで、一方では、完全なデータにはなりませんけれども、我が方で少しお手伝いもしまして、その部分のデータをまあ完全なものではないんですが作りまして、できれば今年度中ぐらいにはある程度全体がそろうような形には持っていきたいなというふうに思っております。
○谷合正明君 是非それを楽しみに待っております。
最後に、大臣にお伺いいたします。
先ほどの北澤委員と同趣旨の質問になるわけでございますが、国際協力の分野で国土地理院の果たす役割というのは非常に大きいなと。
そこで、私もいろいろな国行って感じてきたことは、ODA一つ展開するに当たりましても、この地図というものは本当に基本中の基本で、これがない限りはもうこれどうしようもないなと。国土地理院の方にお伺いしましたら、日本のこの測量技術というのはどうなんだと、世界の中で。これはもうトップクラスですと。しかも、その測量技術だけでいえば、例えばフランスだとかドイツもありますけども、防災というところと兼ね合わせてみると、これは非常に我が国独特というか我が国しか持っていない知見でございますと。正にそのとおりだなと。
今、スマトラですとかソロモンとか、アジア太平洋地域での災害というのはやはり多発しております。私は、そういう意味では、アジア太平洋地域であるとかあるいは先ほど例示いたしました中央アジアの地域などの新興独立国を中心に我が国の協力というのを是非やっていただきたいなと思っております。
しかも、その技術協力というのは、後々、日本が引いたとしてもその国に生かされるような協力であるとか、あるいは地図作成というのは本当に縁の下の力持ちみたいな陰の仕事でありますので、なかなか日本がやったという貢献のアピールというのは難しいかもしれないんですけれども、是非日本をアピールできるような、そういった地図の協力というのをしていただきたいと。最後に御所見を伺います。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 我が国において、本当に歴史も先ほど来いろいろと話がありましたけれども、この測量技術というものは大変先端を行っておりますし、そして最近のIT技術というのも取り入れてすばらしい成果を今得つつあると思います。そういう技術を、今、谷合委員がおっしゃるように、今から国土を開発を進め発展していこうとしている国に提供するということは非常に大事だと思います。その場合に、国土の状況を正しく把握する必要がありますし、地図の整備されていない開発途上国等における測量・地図作成分野における我が国の国際貢献、これは大変重要だと私は認識をいたしております。
したがいまして、これまでも国土地理院は、測量・地図作成分野についての専門家の派遣とかあるいは研修員の受入れなど、大変技術協力を行って大きな実績を上げていることは事実でございます。地図に落とし入れますと、ほとんどのアフリカ、東南アジア、中央アジアあるいはヨーロッパにまでそのような足跡が残っているわけでありまして、非常に私は誇るべき成果だと思っております。
したがって、今後も、測量・地図作成分野の国際貢献には、わずかな予算と少ない人員の中ではありますけれども、工夫をして是非そういうものにこたえていきたいし、そしてこの技術で、環境問題、そういうものについても世界をリードしていきたい、このように思っております。
○谷合正明君 終わります。