○谷合正明君 公明党の谷合です。引き続きまして質問させていただきます。
まず初めに、このモーターボート競走法の目的、趣旨の中で公益事業というのはどのように位置付けられているのか、ちょっと確認させてください。
○政府参考人(冨士原康一君) モーターボート競走法におきましては、モーターボート競走は船舶関係事業の振興等の公益の増進に関する事業の振興とそれから地方財政の改善のために実施をされるということになってございます。モーターボート競走、刑法で禁止されている富くじ発売行為を行っているわけでございまして、この刑法の違法性の阻却の根拠としてこの二つが求められていると。したがって、この二つをしっかりやっていかなければならないということでございます。
○谷合正明君 先ほどから出ていますけれども、その公益事業が結局できなくなってしまえばそもそもこのモーターボート競走自体の存続意義というのがなくなってくるわけでございますが。
今回改正がありますけれども、振興会いわゆる日本船舶振興会への交付金の見直しが三・三%から平均二・六%ということなんですが、この二・六%という数字ですね、これもいろいろな紆余曲折があったと思いますけれども、この二・六%にした理由というのはどうなっているのか、またそれはほかの公営競技と比べてどうなっているのかについて聞かせてください。
○政府参考人(冨士原康一君) 二・六%、どういう経緯でということでございますが、まず、現在、その一定の売上げに対して掛けられます交付金率という表自体が非常に昔作られたということで、その間の言わば価値の引き直しというのをやらなければならないということで今回行いました。さらに、売上げの低い事業者、これについては、事業者といいますか施行者ですね、施行者、これについては、やはり経営が非常に厳しかろうということもございまして、そこについては特段に低い交付金率を適用していくということで調整を行いまして、最終的には現在の三・三%が平成十七年度の売上げベースで試算をすれば二・六%というところまで下がるということになったわけでございます。
ほかの公営競技でございますが、例えば競輪、オートなんかは現在三%ぐらいになってございます。ただ、これらについても今回見直しを行うという方向で法的な手続が現在進行中というふうに承知してございまして、各競技で微妙にそれぞれの置かれた状況に応じた相違が出てきているというのが現状でございます。
○谷合正明君 それで、日本船舶振興会の助成金ですね、これは船舶関係事業の振興であるとか、あるいは社会福祉の公益事業の振興に使われているわけでありますけれども、この使途についてはどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(冨士原康一君) 船舶振興会に対する助成金の使い方でございます。
基本的には交付金が二つの種類に分かれてございます。これは一号交付金というのと二号交付金というのが分かれておりまして、施行者から日本船舶振興会にお金が振り込まれるときに、一号交付金として振り込まれるものと二号交付金として振り込まれるものがあるということでございます。一号交付金につきましては、造船関係技術の研究開発でありますとか航行の安全確保等、いわゆる船舶関係の事業に対してそれは充てると。それから体育でありますとか社会福祉等一般的ないわゆる福祉分野にお金に充当するものとして二号交付金が支出されるということでございまして、今回の見直しを行いまして大体半々ぐらいの割合でそのお金が日本船舶振興会に振り込まれるということになります。
平成十八年度の日本船舶振興会の予算を見てみますと、いわゆる船舶関係、船舶・海洋関係の事業の振興に対しまして百二十五億円が予算として計上されております。それから体育あるいは社会福祉等につきましては百二十一億円が計上されていると。これが十八年度の予算でございます。
○谷合正明君 それで、今回交付金の見直しがございまして、実際交付金が減るわけでございまして、この公益事業ですね、この業務に支障が来すのではないかと。船舶関係がこの平成十七年度ベースで計算すると約三十五億円減る、また体育、社会福祉、そのほかの公益事業の振興についても約二十八億円減るというふうにお伺いしているわけでありますが、こういった減収の影響をどうカバーしていくのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(冨士原康一君) これはやはりモーターボート競走全体の売上げが落ちてくる中で非常に頭の痛い問題でございます。かつて、平成三年当時二兆円の売上げ、二兆円を超える売上げがあったわけでございまして、このときの交付金は七百億円を超える規模でございました。その当時から比べるともう既に半分以下に、交付金。したがって、日本船舶振興会の助成の規模もそれに応じて縮小してきているということでございます。
その中で、やはり重点化といいますか、絞り込みといいますか、より公益性の高い事業へ特化し集中していくということをやっぱり努力をずっと継続しながら今日に至っておるという状況でございます。そしてまた、今回、やはりモーターボート競走全体がうまく機能するように、持続可能な事業として今後ともいわゆるその公益振興あるいは地方財政への寄与ができるような形に今回立て直していこうということで今回の法的措置が行われるわけで、その中でやはり日本船舶振興会としてもそれなりの負担とそれからそれに伴ういろんな苦労あろうかと思いますけれども、それはやっぱり受け止めて、したがって、お金は間違いなく二百数十億のお金が入ってまいるわけでございますから、それが有効に使われるようにこれから努力をしていただかなければならないということでございます。
○谷合正明君 かつて私もNPO団体に所属していましたけれども、そのときも、十年ぐらい前は、海外で緊急、まあ災害が起きたときはこの日本財団さんから一千万円ぐらいぽんと助成が出ていた時代もございましたけれども、言わば現場で、まあ社会福祉だとかいろいろNPOありますけれども、かなり影響あるんじゃないかなと。意外に周知ができていないところもあると思います。実際に、今年、来年から減るのかと。これまで受け取ってきたものが一気に絞り込まれるとか、実際、業務の影響というのがございます。この交付金の見直しというのは致し方ないと思いますけれども、私はそういう意味では周知というところも大事だなと思っております。
また、この重点化というところもどういったところに重点化するかというのは本当に大事でございまして、もう何年もずっと審査基準がよく分からないのに通っているところとか、いろいろなところもあるんじゃないかなと。だから、この助成金の在り方というのは、審査基準の透明性を含めまして、これは非常に今後大事であるなと思っております。
この透明性を確保すべきということは、この平成十八年のモーターボート競走事業活性化検討委員会の中でも指摘されております。「助成金交付事業のより公正な実施のため、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の規定を振興会が行う助成金交付事業にも準用できるようモーターボート競走法を改正することが求められている。」と。
今回の法改正におきましてどのような措置がとられているのか、聞かせてください。
○政府参考人(冨士原康一君) 今回の法律改正におきまして、助成金が適正に使われるということを確保するために、今回の法律では、日本船舶振興会というのを指定法人化するということで船舶等振興機関というふうに整理されているわけでございますが、船舶等振興機関に対しまして業務を公正かつ効率的に実施する義務付けをしております。それからまた、助成金を受領する者に対しまして、助成金の交付目的に従って誠実に事業を行うようこれまた法律的に義務付けを行ったということでございます。
先ほどの透明性の確保ということでございますが、言わばこの日本船舶振興会というのは民間の財団法人でございます。財団法人が補助を行う、民間に対して補助を行う、民民の関係になってございまして、いわゆる補助金適正化法というのは国の支出に対して適用されるということからいきますと、これをこのまま準用することはできないというのが現在の法的な整理でございます。
一方で、実質的に、これに実質的に同等の規律を日本船舶振興会それから日本船舶振興会から助成を受ける者に対して求めていくというのは、これは私どもの方がやらなければならないというふうに思っておりまして、私ども、船舶等振興機関に対しまして、事業計画、船舶振興等業務規程ということで、言わばその補助金の執行の仕方あるいは事業計画、事業報告、収支予算、収支決算等について広範な評価権限を、認可権限を持っておりますので、それを用いながら、やはりその辺は実質的に補助金適正化法に準ずるような形で補助金の、助成の執行が適正に行われるように指導してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。NPO団体が全国でもう三万団体を超えておりまして、小規模なところが圧倒的でございまして、今回もモーターボート法というところだけでございますけれども、ほかにもいろんな、縦割りでございまして、もう少しうまくコーディネートできないのかなという思いは持っております、この助成金事業に関して言えば。
もう一つ、違う質問ですけれども、今回交付金の猶予制度というものが導入されますけれども、特定の施行者、赤字団体等にとりましては救済となるわけでありますけれども、先ほど冒頭で質問させていただいたとおりのモーターボート競走法の趣旨、交付金を全国的な見地から公益振興に充てるという、その辺の趣旨との整合性というのはどうなっているのかと。よろしくお願いいたします。
○政府参考人(冨士原康一君) 今回導入を予定しております交付金の猶予制度でございますが、これは、これを通じて経営改善を目指すというのはもちろんでございますが、猶予された交付金につきましては経営改善後にこれは交付される、言わば交付の繰延べでございます。したがいまして、このモーターボート競走の収益による社会還元ということに最終的には充てられるというふうに考えてございまして、基本的にはモーターボート競走法の趣旨に反するものではないというふうに考えております。
○谷合正明君 ほかの公営競技におきましてはこの猶予制度が既に導入されているわけでございますけれども、ほかの公営競技のその活用状況についてどうなっているのかと。また、今回のモーターボート関係ですけれども、この交付金の猶予制度をたちまち導入するような施行者というのはあると考えていらっしゃるのか、ここはちょっと通告していませんでしたけれども、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(冨士原康一君) 既に競輪、オートレース、それから地方競馬におきまして、私どものモーターボート競走に先行いたしまして交付金の猶予制度が導入されてございます。それぞれそれなりに活用されているというふうに承知をしておりますが、数はそんなに多いわけではございません。現在のところ、競輪で一例、オートレースで四例、地方競馬で一例の交付金猶予事例があるというふうに聞いております。
具体的にモーターボート競走を行っている施行者についてこの交付金の猶予制度を求めるところがあるのかどうかということでございますが、今のところ使いたいという希望を直接私どもは聞いておりません、そこはですね。今現在、この交付金の引下げとそれからその他の措置も並行してモーターボート競走の活性化のために動いておりまして、基本的にはそれで、極力その範囲で対応していただきたいということを私どもは考えておりますが、これから先どうなるかは確たることを今申し上げられる状況にはございませんけれども、現時点でそういう希望は私どもは承知していないということでございます。
○谷合正明君 これまで話ししました交付金の見直しであるとかあるいはその猶予制度、ございますけれども、やはり第一義的には施行者のその経営改善努力がなければこれはどうしようもないことでございまして、効率的な運営であるとか魅力あるサービスを提供していくと、そういったところのそもそもの改革がなければ、さらに、何年後か分かりませんが、何十年後かにまた交付金の見直ししなきゃいけないとか、そういうような事態になるのではないかなと。
ファンサービスも一部形骸化して、形式化しているところもあるというふうに聞いておりますし、例えば開催経費の中で人件費だとか選手費、管理費が占める割合が高いところほど収益率が低いと。先ほど議論でもありましたけれども、そういう傾向でございまして、やはりその交付金の見直しとか猶予制度というのは二次的な救済措置でございまして、真っ先にその経営改善努力をしていただかなければならないと思っているわけでありますが、この辺りについて、いま一度今後の取組についてお聞かせください。
○政府参考人(冨士原康一君) 先生御指摘のとおりでございます。
今回交付金を見直し、それから交付金の猶予制度を設けるわけでございますが、これはある意味で今年から来年にかけて大きな違いは各施行者に生じますけれども、それがまた新たな前提になっていくということでございまして、やはり今後モーターボート競走を持続的に本来果たすべき責務といいますか役割を果たしてもらうためには、やはり競走自体が活性化していかなきゃならないということでございます。
したがいまして、今回、私ども各般の当面の経営状況改善のための措置は法的に講じますけれども、やはり最も大事なのは、前に向いてどういう対策を施行者なりモーターボート競走会なり当事者がやっていくのかということでございますし、私どもとしてもそういう努力を支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷合正明君 最後に、大臣にお伺いいたしますけれども、先ほどの平成十八年度のモーターボート競走事業活性化検討会の中でも、モーターボート競走事業を取り巻く環境は大きく変わっていると、モーターボート競走事業の側においてもその仕組みや発想を大きく変えなければならないと指摘されておりまして、これから五年間掛けて、今売上げが九千七百億円、五年間掛けて一・二兆円に上げていこうという目標を掲げられておるわけであります。その中で、開催経費については二十億から二十五億円削減させていくとかいう、書いております。
今後のモーターボート競走の振興のために必要な改革について大臣の御所見を伺いまして、質問を終わりにさせていただきます。
○国務大臣(冬柴鐵三君) モーターボート競走に関するメーンプレーヤーというのは、施行者である地方公共団体、それからモーターボートの競走の実施機関でありますモーターボート競走会と今回合併されますけれども、それから船舶振興機関ですね、この三者がメーンプレーヤーだと思うんです。
我々は、先ほど局長からもるる説明しましたように、主催者である施行者は収益の改善について努力をしてもらわなきゃいけませんし、今回の改正によって、随分長い間その方法が変えられなかったわけですけれども、勝舟券の種類を考えることによってファン層を広げるとかそういう努力もしていただかなければならないと思いますし、それから、地方公務員が今までやっていたようなPRといいますか広報活動というようなものにつきましても専門家に委託をして、そしてそういうものがファンを広げる一つの手段として努力をしていただかなければならないと思います。
また、モーターボートの競走会等におきましてもより公正で魅力ある競走の運営ということに努力をしていただかなければなりませんし、振興会におきましては見直しによって交付金の額が少なくなるわけですけれども、しかし、その原点は、そういうものが公益的なものに使われるんだというようなところをもう一度原点に戻っていただいて、そして、それを透明性を確保しながら、本当に先ほど委員も言われましたように、そういうものを交付する層についても社会の動きに敏感に反応していただいて、いろんなボランティアとか活動についてもそういうものが行われるようなことも考えていただいて、真にそういうものが役立っているんだということの国民の理解を得られるように努力をしていただきたい。
我々国土交通省としましては、それら三者に対して適切な指導と申しますか、監督をしながら、今申し上げたような方向に進むように頑張っていきたいという決意でございます。
○谷合正明君 終わります。