○谷合正明君 公明党の谷合正明です。私の方から都市再生法について、まず質問をさせていただきます。
午前中の参考人の質疑の中でも、参考人の川口市長の方から、大変まちづくり交付金につきましては使い勝手のいい制度であると、おおむねどの参考人の方もそういうような評価だったとは思います。
私の住んでいます岡山県におきましても、倉敷が平成十七年度から二十一年度までの計画期間で今、倉敷駅周辺地区整備というものが行われております。倉敷も全国的な観光ブランドの美観地区というようなものがあるんですけれども、駅周辺におきましては密集市街地を多く抱えておりまして、高齢化だとか空洞化によりまして人口が減少して、空き屋あるいは低未利用地が増えております。そんな中で倉敷も、伝統的な建造物と調和する都市空間の確保でありますとか美しい都市景観の整備、そういったことを目指してこの交付金を受けているわけでございます。
しかしながら、おおむね評価がいいわけでありますが、都道府県別に例えば平成十八年度の交付金の交付額を見てみますとやはりいろいろな差がありまして、鳥取県なんかは交付額が三千六百万円ほどだったと思いますが、東京都は百四十八億円ということで、必要以上に大きな差があるのかなと思いました。
今後、まちづくり交付金を自治体にとってより使い勝手のよい制度とするために充実強化を図っていくべきだと思うんですが、今回どのような措置をとられているのか、まずお伺いいたします。
○政府参考人(中島正弘君) まちづくり交付金、現時点で全国六百六十四市町村、千百二地区で活用いただいております。従来から制度の充実強化を図ってきたつもりでございますが、今回、平成十九年度予算案におきましても所要の国費の額二千四百三十億円を計上しますとともに、制度改正としまして、地場産品の開発、情報発信のセンターとしてのまちおこしセンター、さらに子育て世代の活動を支援する子育て世代活動支援センター、この二つの施設を基幹事業として追加をしたところでございます。
また、小規模の自治体においてはまちづくりに関する情報やノウハウが不足するという面もあることから、平成十六年度に創設されました都市再生機構による都市再生整備計画、つまりまち交の計画の策定支援業務、今回法律でこの延長もお願いしているところでございます。さらに、今後の展開でございますけれども、ちょうどまち交も早いところは三年を迎えまして、ちょうど二十九地区でございますが、十八年度事業完了地区ではその事後評価が行われます。
そのような評価も踏まえまして、またまちづくり交付金を使っている自治体の自主的な相互情報交換のネットワークがございまして、まちづくり交付金情報交流協議会というのでございますが、ネット上でいろんな情報交換をしていらっしゃいまして、こういった枠組みを活用いたしまして私どもとしても十分に交付団体の情報を取りまして、意欲のある市町村が地域の実情に応じてより的確に事業を実施できますように環境整備になお努めていきたいと、このように思います。
○谷合正明君 では、今の質問と関連します。
いかに地方の開発というか地方の再生を図っていくかということなんですけれども、今、国土交通大臣の認定を受けました民間都市再生事業計画の件数というのが全国で二十四件ということでありますけれども、半数以上が東京都で占められておりまして、そのほかの地域も大体大都市を含んだ地域でございまして、唯一香川県であるとか、丸亀のところはちょっと違うのかなと思ったんですが。
いずれにしましても、この大都市部におけます民間の都市開発の効果を地方にも波及させていく必要があるわけでありますけれども、地方におけます民間都市開発事業のその立ち上げ、支援についてはどう考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
○政府参考人(中島正弘君) 東京などを中心に大都市圏は、この法律でも緊急整備地域の民間都市再生事業認定などのスキームあるいは都市計画の特例などを使いまして、民間活力を中心にして都市再生を図るという手法が割とうまくいっていると思います。地方都市部についてはそれだけでは不足だろうということで、先ほどお尋ねのありましたまちづくり交付金などの制度をやや遅れて導入して、それをまた活発に使われているということだと思います。
残る課題は、今委員から御指摘のあったように、地方都市においてその民間の活力をどう開放していくのかということだと思います。これはやはり規制緩和だけではなかなか難しい面があると思いまして、そのやはりまちづくり交付金の事業と連携を取って民間の都市プロジェクトを立ち上げると、こういった方向が必要なんではないかと思っています。
その意味で、二年前から、緊急都市整備地域と別に、まちづくり交付金の事業区域内でも民間のプロジェクトを認定するという仕組みを導入していただきまして、これ、まだ日が浅いといいますか二年弱でございますので、実績も五件と少のうございますが、このような事業についての問い合わせなども結構来ておりますので、今後こういう制度を活用して、是非とも、地方都市でも広範な都市再生が行われるように支援を継続してまいりたいと思います。
○谷合正明君 そういうどんどんいい制度ができております。また、問い合わせも多くあるということで聞いて安心したわけでありますが、どんどん、地方によってはなかなか知られていなかったりしますので、そういう周知のほどをよろしくお願いしたいと思います。
次に、密集市街地に関して質問をさせていただきますが、まず、能登半島の今回の、このたび起きました地震について質問させていただきたいと思います。
今回、やはりどこでも地震が起こり得るということがもう本当に分かった地震だったと私自身も思っております。先ほどの質疑の中でもありましたが、今回、その密集地であるとか、密集市街地、重点密集市街地なんかが該当してはいなかったということではあるんですが、だからといって、まあ良かったとかいうことでもなく、本当、どこでも備えをしなけりゃいけないなと思ったわけであります。
今回、その大きな地震は、冬柴大臣も大臣になって恐らく初めてのその大規模地震ということもあると思います。是非大臣にも現場を訪れていただきたいと思うわけでございます。同僚議員の魚住議員もその日のうちに輪島市の門前町、一番被害の大きかった地域に足を運んでおります。
特に、その中で道路の復旧が要望が多くございます。特に能登有料道路、先ほどの質問の中にも被害の状況なんかがございましたが、これはもう金沢市と能登半島を結ぶ大動脈であると。さらに、生活産業道路でもあるかもしれませんが、観光を基盤にして、地域もございますので、そういった面からも早期復旧が待たれるわけでございます。
その能登有料道路の北側半分のルートにおきましてはゴールデンウイークをめどに何とか部分開通したいというようなことをちょっと報道でも聞きましたけれども、よりもっと、もちろん第一には、安全確保が第一ではございますが、この点につきまして、まず現状とこの回復のめどについて確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(宮田年耕君) 今般の地震で能登有料道路、十四か所で被災をしております。全長、金沢から穴水まで八十三キロの、県公社の管理の有料道路、自動車専用道路でございますが、そのうち四十八キロが今の被災で通行止めになっております。特に北半分、震源地に近い北半分で十四か所のうちの十二か所の大きな被害が受けておりまして、南半分は二か所ということでございます。
南半分の方は被害が二か所ということで軽微でございますので、今月中に仮復旧、通行止め解除、これは二車線で行います。五月のゴールデンウイーク前に本格的な復旧をこの南部分、具体的に申し上げますと、七尾市に通じる柳田インターチェンジから徳田大津インターチェンジの間二十一キロ、これは、今申し上げたように、本格復旧をゴールデンウイーク前に行います。
被害の甚大でありました北半分、徳田大津インターチェンジ、七尾市にございますが、そこから穴水町の穴水インターチェンジまでの間、二十七キロございます、これは五月のゴールデンウイーク前までに仮復旧、通行止め解除、これは片側一車線になります。大きな盛土の滑り、崩壊が起きております。そういうことで大規模な復旧になりますので、仮復旧も五月の連休までに一車線ということでございます。
本格的な復旧につきましては、県の方で三月二十六日に検討委員会を設置されておりまして、学識経験者の意見を聴きながら検討を進めて、できるだけ早い本格的な復旧を目指す予定というふうに聞いておりますが、今申し上げましたように被害が甚大でありますので、検討委員会の御指導を得ながら復旧工法を決めて早急な開通を目指すということでございます。
引き続き、県、公社と密接に連携を取りまして、早期復旧に向けて適切な支援をしてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非、早急な回復をしていただくように重ねて要望させていただきます。
次に、密集市街地の高齢者対策といいましょうか、いわゆる居住確保ということについて質問させていただきます。
今回の密集市街地整備法改正案の中で、いわゆる受皿住宅の整備に関する内容が大きく二点あるかと思います。その目玉とも言うべき新たな地区計画制度を創設するということがうたわれてございます。
午前中の参考人質疑の中で参考人の方が、これからは居住確保とともに福祉政策ともしっかり連携してやっていくことが大事でありますと、住宅政策、福祉政策をしっかり連携してやっていくことが、高齢者にとっての安心して住み続けることのできるようなまちづくりの配慮が必要であるということがございました。
今回、密集市街地におきまして新たに創設する地区計画制度の内容というのはどのようなものであり、また具体的にどのような効果が見込まれるのかといった点について、福祉との連携という点ももしございましたらお聞かせいただきたいんですが、なければ、これは通告しておりませんので結構ですが、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(中島正弘君) 最初に私から、容積を移転する地区のことを御説明申し上げます。
何度も議論が出ておりますように、密集市街地の整備のためには、受皿住宅を円滑に整備するということが非常に重要でございます。種地があるような場合は非常にうまくいくわけでございますが、そこにまず造って順番に動かせばいいということでございますが。
そういうのがない場合、あるいはあってもその量が十分でないような場合に、そこに容積率を、将来とも容積率を使わないようなことが見込まれる地域、典型的には、神社とかそういうのが典型的な例でございますが、そこまででなくても、低層の住宅を保存すべきところとか、そういう地区の容積を若干これから整備しようとする種地、あるいは話がまとまってアパートを建てる地区に移転をしまして、その前提としてやっぱりインフラが要るんでありますが、インフラの整備を連動して容積を移転するのが通常のルールなんですが、今回の地区の特徴は、インフラの整備が確実だということを見込んで、その前にまず移転をして人を移動させて、容積を移転した先に高容積の住宅を造ってそこに収容して、それ以降、道路の整備などをしていこうということでございます。
すべての地区でこれが使えるということではございませんけれども、条件の合ったところでは、この制度も使って少しでも密集地区の整備が進めばと、このように思っております。
○政府参考人(榊正剛君) 従前居住者用の賃貸住宅の整備を行うというのが法律上の事柄でございますけれども、当然のことながら、従前居住者用ですから、今現在住んでおられる方がそこへ移っていくための住宅を整備するということで、ここの地区については高齢者が大変多いということでございますので、こういった受皿住宅の整備については福祉施設と合築も可能だということでございます。したがいまして、地域におけるニーズに合わせまして柔軟に施設整備をやっていくことができるのではないかと考えております。
私ども、介護がしやすい良質な高齢者向けの賃貸住宅の整備に対する補助制度というのを持っておりまして、今年度から厚生労働省と国土交通省の連携をいたしまして、高齢者専用賃貸住宅、これは介護保険制度の特定施設の対象とすることができますよと、こうなっております。したがいまして、こういった制度をうまく活用しながら、従前居住者用の賃貸住宅の整備と一緒にそういったものも整備していくことが可能でございますので、それは地域の実情に応じて、そういうことをきめ細かい配慮をしていけばというふうに思っておるところでございます。
○谷合正明君 分かりました。
もう一つの、いわゆる受皿住宅の整備に関する内容のもう一点目でございますが、都市再生機構の従前居住者用賃貸住宅に関する業務特例というものが今回盛り込まれているわけでございますが、実際に、具体的にどういう効果を見込んでいるのかということをよろしくお願いいたします。
○政府参考人(榊正剛君) 実は、現行法では公共団体が委託すれば都市再生機構ができるというふうになっておりまして、委託をするということは、お金といいますか資金面の負担は公共団体がやるよという大前提で委託になっているわけです。ところが、公共団体が財政事情があって資金余力が十分でないというような場合には委託できかねると、こういう状態になります。したがって、密集市街地の整備を早くやろうとか円滑に実施しようと思いましても、公共団体の財政事情が悪いと都市再生機構の出番がないと、こういう状態になるわけです。
今回の場合は、都市再生機構が要請があれば出ていけるということになりました。従前から、こういったような密集市街地について都市再生機構が豊富なノウハウを持っておりましたので、いわゆるコンサルタント業務をやってはおりましたが、自ら事業実施はしていないというような感じに実はなっていたと。そういう意味で、今回の法律改正ができれば、そういうコンサルタント機能と事業の実施機能を言わばセットでもって現地に入れると、こういうことになろうかと思います。
○谷合正明君 今、都市再生機構の、これ従来は委託だったけれどもこれからは要請で従前居住者用賃貸住宅の整備を行うということができるとあったわけでありますが、実際にその整備を行います都市再生機構さん、今日お越しいただいておりますけれども、実際に地方公共団体から要請があった場合にどのような方針で整備を行っていくのかということを、まず決意を含めて聞かせていただきたいと思います。
今日、参考人の方もこれは大きな制度転換ですと、その意味でURさんには是非積極的に行っていただきたいというお話がございました。
○参考人(松野仁君) お答えいたします。
私ども都市再生機構は、密集市街地の整備改善につきまして、これまで五十六地区において取り組んできております。具体的な中身でございますが、地元の合意形成あるいは計画策定等のコーディネート業務、これを十三地区、それから大規模種地を活用した道路、公園等の整備あるいは建物の不燃化促進事業、これを十六地区、それから木造賃貸住宅の建て替え支援、あるいは公団賃貸住宅を供給するという、公団時代も実施しております、これが四十八地区ございます。また、防災街区整備事業の事業化に向けました権利者調整、これも今二地区実施してきているところでございます。
こうした取組をしてきておりますが、今お話がございましたとおり、この法律におきまして、地方公共団体からの要請に基づいて、従前居住者用賃貸住宅の建設等の業務が新たに機構の業務として位置付けられようとしております。
機構としては、要請を行う地方公共団体と緊密な連携を図りながら、それぞれの密集市街地の実態あるいはその整備方針に応じて、必要な従前居住者用賃貸住宅について国庫補助制度を活用いたしましてその整備を図ってまいりたいと思います。これまで養ってきました私どもの権利調整あるいは計画策定、公共施設整備のノウハウも活用して密集市街地の整備改善に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。
最後に、冬柴大臣にお伺いいたします。
重点密集市街地が全国で八百ヘクタールあると。しかしながら、これまでの最低限の安全性確保に向けた進捗状況というのは三割でしかないということで今回の法改正に至ったわけでございます。
図らずも、今回、能登半島の大規模な地震もございました。やはり地震というのは場所を選んで起こるものではないなと、どこで起きてもおかしくないということを改めて思ったわけでございます。さはさりとて、やはり八千ヘクタールのこの重点密集市街地、これを平成二十三年度までの解消、これが大きな目標であるかと思いますが、それに向けての取組、決意いかんということと、併せて今回の地震に対する大臣の取組の決意を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(冬柴鐵三君) まず、おっしゃいましたように、今までの隘路を今回の改正で、今までるる述べてまいりましたけれども、相当程度解消できると思いますので、更に事業を加速させて地区の特性に応じた対策を最大限に講ずることで、平成二十三年度までに重点密集市街地の八千ヘクタールについては最低限の安全性を確保できるように努めてまいるという決意でございます。
それから、今回の地震につきまして、私も一日も一刻も早く地元へ駆け付けたいわけでございますが、今日もこのように国会が、日程がありますし、しかしながら何としても今週の中には行きたいと、そして現場も見せていただき、そしてまた、国土交通省の職員もたくさん行っておりますので激励もし、そしてまた被災者の方にも直接お会いして激励をさせていただきたい、お見舞いも申し上げたいと、こんな気持ちでおります。何とかしても行きたいというふうに思っております。
○谷合正明君 今日も明日もあさっても我が委員会あるわけでありますが、時間をこじ開けていただいて、是非現地で苦しむ方を激励していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
質問を終わります。ありがとうございます。