○谷合正明君 公明党の谷合です。
私の方からまず佐々江局長の方に質問をさせていただきますが、朝鮮半島の非核化という目標でございますが、これは当然のごとく中国、韓国の連携というものが、まあ協力してもらうということが非常に重要なわけでございます。六か国協議も来月には開催されるというような報道もされております。
しかしながら、韓国にしても、核実験直後は太陽政策を見直すという雰囲気もあったわけですが、その後、太陽政策にやはりもう一度回帰していくような、民情としてそういうような雰囲気もあると。一方、中国の方も北に対する毅然とした対応というのもあったと思うんですけれども、一方でやはり北への影響力ということも、確保ということですか、やはり中国と韓国の北朝鮮に対する圧力は日米の圧力とやはり温度差というのはかなりあるんではないかと思っております。
先般のAPECの中、安倍首相が、韓国、中国それぞれ両首脳会談をされてまいりました。北朝鮮がこの六か国協議に向けて、参加することだけじゃなくて、具体的にどういう成果を見せるかということが大事だということで話があったと思います。その中に、中国、韓国との、我が国と協力強化というものを進めていかなければならないと。今後どのように我が国として中国と韓国、この二か国に対して協力強化を進めていくのかというところを、実際、APECの現場にも行かれておりました佐々江局長にお伺いをしたいと思います。
次に、河相局長の方にお伺いしたいんですが、先ほどお話の中に、日米の協力、防衛協力がいろいろ進展しているというお話がありました。
先日、参考人質疑の中、伊豆見参考人の方から、日米の安全保障体制という点において、今後、日米防衛協力のガイドラインの見直しというものが、考えてしかるべきではないかというようなお話がございました。これは九七年にガイドラインができておりまして、九七年、できた当時というのは、九・一一のテロ事件ももちろん起こっておりませんでしたし、北朝鮮のミサイル能力という点におきましてもその当時は余り議論にならなかったのかなと思うわけですね。伊豆見参考人が言うには、ガイドラインをしっかりと、まあアメリカ側が日本を守ると、日本が攻撃を受けたときはアメリカは必ず北朝鮮に対して報復するというような文言が必要ではないかというようなことを言われておるわけなんですけれども、細かい部分はさておいて、この日米防衛協力のガイドラインの現時点での役割と評価についてのお話をお伺いしたいと思います。
以上です。
○政府参考人(佐々江賢一郎君) 日本と韓国、中国とのある面で違い、あるいはその中でどういう協力を進めていくかというお話でございますけれども、これはどちらの方角から見るかということもあると思いますけれども、私は、日本と中国と韓国がそれぞれ置かれた地政学的な位置と申しますか、違うわけでございますね。
韓国はちょうど三十八度線で接しておって、北との間で常に緊張状況の中で来ていて、冷戦が終わってから何とか緊張緩和に向けて平和統一したいということに非常に大きな重きがあるのは事実だと思うわけでございます。その中で、御承知のように、ずっと冷戦時代やってきた方策ではなくて、かじを切って御承知のような太陽政策になったわけでございますが、その結果として、その結果として北が核実験をやるような状況にまでなってきたということについてどのように評価をするのかということについては、韓国内でも御承知のようにいろいろ賛否両論があるということでございます。
また、中国につきましても、今先生がおっしゃられましたように、中国自身は我々と同じように北朝鮮の核保有は容認できないと。なぜなら、これはそういうことになるとこの地域の不安定要因になるということは明らかで、それは中国は朝鮮半島も含めて安定的な状況が望ましいというふうに考えているわけでございますから、その点について、やはりある面では我々と利益を共有化しておりますけれども、しかしながら、北朝鮮が非常に追い詰められていくようなことも中国にとっては困る状況に場合によってはなり得るということも考えておることも事実だろうと思います。
そういう意味で、他方、我々の方は、日米と言うと語弊がございますけれども、伝統的な意味で我々の利害、関心、これは拉致問題もございますし、ミサイル、核、これが直接安全に影響を及ぼすと、直接的な形でですね。そういう意味で、非常に北朝鮮に対する思いとか脅威感というものは非常に強いものがあると。そういうことである種の若干のいろんな対応について少し力点の置き方だとかニュアンスの違いが出るのは、私はある面で当然じゃないかというふうに思っております。
しかしながら、重要なことは、大局、大きな方向で一致しているということが重要であるというふうに思っております。特にアプローチにおいて、つまり圧力を掛けながら、圧力というのは、先ほど言いましたように、国連決議でございますけれども、これについてはみんな一致しているわけでございますね。その中で対話を通じてやる、つまり六者協議でやるということも一致をしております。そして、その中で取りあえず最も、今この核実験という問題が来たので、とにかくこの核の廃棄のためにまず北朝鮮に特定の措置を要求すると、とるべきだということについても一致をしております。
したがいまして、いろいろと進んでいくに従って当然利害関係、あるいは調整をしなければいけない問題は私はあって当然だと思いますけれども、今のところ、特にAPECの会議では、私は非常に大きな成果だと思うのは、日本と韓国、あるいは日本と中国、それから日米韓という首脳の会談もございましたけれども、あるいは外相会談もございましたけれども、非常にこういう基本的な点で一致したと、かつ、それを外にアナウンスできるようになっているということは非常に重要なことだというふうに思っております。そういう意味で、できるだけいろんな機会を通じて、この日米、それから中韓と協議をする、情報をお互いに交換すると、その過程を強めながら北朝鮮に一丸となって当たっていくと、これが王道ではないかというふうに思っております。
○政府参考人(河相周夫君) 今御指摘がございました九七年のガイドライン、これを一体どういうふうにしていくのか、これの見直しの必要性は出てくるのかという御質問でございましたけれども、実は、昨年来、2プラス2のプロセスがございました。昨年の二月に最初に2プラス2、外務大臣、防衛庁長官がワシントンへ行って開いたわけですが、昨年の二回目の2プラス2、十月のちょうど二十九日にやはりワシントンで開きまして、防衛協力の部分についても意見の調整、集約をしたところでございます。
その中の部分をちょっと紹介させていただきますと、その中で、やはり九七年の防衛協力のための指針、これについて今後どうしていくかという議論はその中で、日米間、事務レベルも含めて議論をいたしまして、基本的に、御指摘のとおり、九七年以降、テポドンが飛んだ、そして九・一一のテロがありました。そして、最近に至って更なる北朝鮮のミサイル発射があり、核実験があったわけでございます。後の二つのミサイルの発射、核実験はもちろん昨年十月以降に起こった更に追加的なディベロプメントなんでございますけれども、この中で日米で合意していますのは、安全保障環境の変化も十分に踏まえた上でこのガイドラインに基づく検討作業を引き続きやっていこうということで一致をしておるところでございます。
ですので、ガイドラインの見直しというのがどういうことかという定義、考え方次第だと思いますけれども、日米の事務当局若しくは政治レベルも含めまして、九七年にできたガイドラインというのをベースにしながら、その後のいろいろな環境の変化に応じた、それに適した対応をしていかなくてはいけない。
そして、このガイドラインの下で具体的にどこでどういう紛争があったかということを必ずしも前提にしないわけですけれども、我が国の近傍においてゆゆしき事態が起こったときに米軍がどういう行動を取るか、そしてその中で自衛隊を始めとする日本の政府がどういう行動を取るか、どういう協力をするかということは常に不断にその見直しをし、その状況に見合ったものにしていく努力が必要だというふうに感じているところでございます。