○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、ジャワ島の中部地震の方から質問させていただきたいと思います。
政府におかれましては、このたび、十一億円の無償資金協力並びに支援物資の決定、また国際緊急支援隊の派遣、並びに今般、自衛隊の医療支援の派遣といったことを迅速に決定していただいたと。そういったことに対しましては、高く評価したいと思います。また、現地の大使館の方におかれましても、日本大使館員が即座に現地入りする、またジョグジャカルタの方には連絡事務所を建設する予定だとも聞いております。そういった迅速な対応が今必要だろうと、そのように私も思っております。公明党の方も、日曜日に対策本部を立ち上げまして、昨日、冬柴幹事長、また本委員会の委員でもありますけども高野委員が現地に入りまして、本日現地入りする予定でございます。
いずれにしましても、この迅速な支援、また緊急支援だけでなくて、例えば被災を受けたところには、世界遺産に指定されている仏教遺跡でありますとか、あるいはヒンズー教の寺院があるとか、そういった文化財の修復といったことを含めて復旧・復興支援に積極的に貢献していただきたいと、そのことをまず要望させていただきます。
質問をさせていただきたいのは、やはり初期の情報収集というものが大事であろうと。迅速に対応しているのは、もうこれまでの蓄積で大分そういうことができているんだろうと私も思います。ただ、初期の情報収集におきましては、これはまだまだ改善の余地があると思っております。特に、情報収集するための人数が現地で足りているのかとか、あるいは現地に早速入っているNGOなどと情報のシェアリングはできているのか。緊急物資を提供するということだけじゃなくて、情報収集を支援するといったことも考えられるのではないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。
○政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。
今先生の御指摘のありました情報につきましては、それが極めて重要であるということはまさしくそのとおりだと思います。
〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
その観点から、先ほどもお話がありましたけれども、地震が発生した二十七日にジャカルタの大使館に対策本部を設けるとともに、大使館員三名及びJICAの職員をジョクジャカルタの方に派遣いたしました。それで、現時点では、ジョクジャカルタの方には館員が六名、それからJICAの職員も駐在して、情報収集それから支援活動に努めております。
それから、NGOの方でございますが、既に日本のNGOは八つ現地に入って活動をされておるということで、現地の政府の事務所と緊密に連携を取りながら活動をしております。今後、更にNGOの方で現地に入るという情報もございますので、引き続き緊密な情報の交換、収集というものに官民合わせて努めていきたいと思っております。
以上でございます。
○谷合正明君 しっかりやっていただきたいと思います。
次に、対中国円借款について質問をさせていただきたいと思います。
まず、外務大臣にお伺いいたしますが、中国の円借款の供与につきましては、昨年、日中両国間で、オリンピックの年、二〇〇八年、開催前に打ち切るということで合意をしているわけでありますけれども、平成十七年度分の円借款の供与については今年三月末ですね、通常三月末に閣議決定するのを、これが見送られたというわけでありますが、まずこの見送られた理由について説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、対中国の円借款につきましては、日中関係取り巻きますいろいろな事情がありまして、これを受けて政府内部の調整にいろいろ御意見を拝聴させていただいて、その結果として年度内の供与の決定というのを見送ったというのが背景です。諸般の事情をいろいろ勘案したというように御理解いただければと存じます。
○谷合正明君 その後の報道では、五月以降に対中円借款の閣議決定を行うというふうな報道も一部出ております。無償資金協力についても、これも打ち切る方針が固めたというふうな報道もあります。
まず、こういったことを今後決定するのを、恐らく海外経済協力会議、新設された海外経済協力会議でそれこそ戦略的に判断されていくんだろうと思いますが、五月八日に第一回目の会議がありましたが、この会議の中で対中円借款のことですとか無償資金協力の打切りについて議論されたのか、またあるいは、今後、対中ODAについてどのように取り扱っていく予定なのか、この点について官房長官にお伺いいたします。
○国務大臣(安倍晋三君) 海外経済協力会議の中で議論した中身につきましては、相手国との関係上、外交上の機微に触れることがあります。また、閣僚間の自由な意見交換を活発化させ、機動的、実質的な審議を推進する観点から、審議内容は非公表としているところでございますが、今委員御下問の対中円借款につきまして、では、この協力会議におきまして、海外経済協力会議におきまして議論するかどうかという御下問でありますが、今後、海外経済協力会議において対中経済協力を取り上げる方向で考えております。
その際には、日中関係全般を総合的に勘案をし、環境やエネルギー等の戦略的な視点を踏まえつつ議論をしていきたいと、こう考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
そこで今、日中の関係全般について考慮するということでありましたが、先日、カタールのドーハで日中外相会談がございました。その際、日中関係の改善の流れができつつあるということで、そういうコメントを外務大臣の方からいただいていると思います。
この三月に閣議決定見送りとした際の理由として、今外務大臣の方から諸般の事情というような御答弁ございましたが、実際にこの日中関係の改善の流れができつつあるというふうに、この日中外相会談の後、そのように言われております。これはつまり、この円借款の閣議決定ができる素地というものが醸成されてきたという認識として承っていいのか、その点について外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 遠く十一時間半掛けて会ったことになるんですけれども、その会議の結果がまあ従来の感じとは少し変わってきたものになりつつある、流れができつつあるなというのは、正直な実感ではあります。
これまでありました日中外相会談という、かなりとげとげしかったりぎすぎすしていたものとは大分変わっていたというのが過去何回か同席した人の評価ですから、そういった形になってきていると思いますので、状況としては少し改善しつつあるとは思いますけれども、それが直ちにこの円借款のあれに直ちにつながるかどうか。これは先ほど官房長官の言われましたいわゆる経済協力会議等において検討させていただきたいと存じます。
〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
○谷合正明君 いずれにしましても、見送りについても理由が求められるわけでありますし、また再開に当たってもこれまた理由が求められるわけであります。それ相応の、それが公表できるかどうかは別としてロジックが必要だと私は思います。国民が注目している、ある意味注目をしてしまったというか、注目しているこの円借款の問題についてはやはりタイミングというものが大事だと思います。
あと、円借款につきましては、今は環境と人材育成といったところに、あるいは植林だとか、そういったところにもう限定されているわけでありまして、そういったことも総合的に考えていただいて、いずれにしましても、私個人としては、もうそろそろ決定していただいていいのではないかと、そのように思います。
今、海外経済協力会議についてお話が出ましたが、これは原則非公表だということは重々承知しておりますが、ただ余りに情報がないもので、幾つか確認させていただきたい点がございます。
まず、この会議は、第一回目の会合が五月八日に開かれましたが、今後どういったペースで開かれていくんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋三君) 本会議につきましては、外交日程を勘案しつつ機動的に開催することを基本としておりますが、当面はおおむね月に一回程度を、一回程度を目安に開催する方向で検討をいたしております。
○谷合正明君 この会議につきましては原則非公開となっていると。これは海外経済協力に関する検討会の報告書の中でそのように提言されたわけでございます。外交上の機微に触れることもあるので、先ほど言われたとおり、その審議内容というものは原則非公開だと、非公表だということでございますが、ただ一方で、国民に開かれたODAという考え方もございます。
第一回目の開催につきましては、本当に日時と場所と議題と出席や、もう簡単に書かれたようなものしか公表されておりませんでして、私はもう少し何か情報あってもいいのかなと思うんですね。
特に、海外経済協力に関する検討会、同じ報告書の中には、この海外経済協力会議の審議の結果は適切な形で国民に報告されるべきと書いてあるわけでありまして、少なくとも事後の報告につきましてはもう少し詳しいものを出してもよいのではないかと思うんですが、この情報公開の在り方について、官房長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋三君) この海外経済協力会議を設置をした目的というのは、先般、有識者によるODAの在り方の懇談会におきまして司令塔機能を持った会議を設けるべきであると、それは官邸の中に置いて、そしてそこで基本的に、総合的にODAについてそこが司令塔となって、そこでしっかりとした戦略的な議論をしていくべきであろうと。もちろん、人類の理想を追求をするというこのODAの本来の大義がありますし、目的があります。そして、それと同時に、国民の税金を原資としている以上、国益との関係、その中では戦略的な使われ方がしているかどうかという観点から率直な議論、協議をしていこうということで、この会議が発足をしたわけでございます。
そして、その中身について非公表の部分が多いということにつきましては、先ほど申し上げましたように、相手国との関係、外交的機微にわたった議論もしていこうということもございますし、その中で自由濶達な議論をしていくことによって初めて戦略的なこれは議論も深まっていくのではないかと、こういうことでございます。
しかしながら、もちろん我々といたしましても、国民に対して政府が決めていく方針について透明性を担保しなければいけないという義務もございますので、会議の開催日程と議題については前日に公表をいたします。また、会議後、官邸のホームページにも掲載をしているところでございますし、私の方からも記者会見におきまして中身について申し上げることもあるわけでございます。しかしながら、安保会議もそうで、安全保障会議もそうでございますが、この中身につきましては、正にこれは外交上の機微に触れる点も多々ありますので、そこはどうか御承知をいただきたいというふうに思うわけであります。
例えば、ODAを出していくに際しまして、先ほど申し上げましたように、環境やエネルギーという視点も大切でありますが、それとまた例えば、自由や民主主義あるいは基本的人権の状況等々についての議論ということも行うわけであります。そしてまた、我が国との現在の関係等々についての視点もあるわけでございますが、こうした議論というのは、やはりこれはすべてを公表してしまいますと、これは大変機微な問題でございますので、そういうところにつきましては公表は差し控えさせていただきたいと、このように考えているところであります。
○谷合正明君 分かりました。ただ一方で、もう少し詳しいものを情報提供していただきたいということは要望をさせていただきたいと思います。
最後に、対アフリカODAについて質問をさせていただきたいと思います。
まず、外務大臣にお伺いしますが、このゴールデンウイークに小泉総理がアフリカに行かれまして、その前の年でしょうか、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増ということを表明しているわけでございます。このように、アフリカの支援というものが大変関心が高まっておりますが、実際、現時点でアフリカへのODAの予算の目標額ですね、どれくらい達成しているんでしょうか。
○副大臣(金田勝年君) 昨年四月のアジア・アフリカ首脳会議、ジャカルタにおいて開かれました首脳会議におきまして、小泉総理は、今後三年間で対アフリカODAを倍増し、引き続きその中心を贈与とする旨を表明しております。
これは、このアジア・アフリカ首脳会議開催時に確定しておりました二〇〇三年の我が国の対サハラ以南のアフリカODA、対サブサハラ・アフリカODA実績約五・三億ドル及び対アフリカODA実績八・四億ドルという二〇〇三年の我が国の実績を基準値といたしまして、これを二〇〇七年の実績においてそれぞれ贈与を中心に倍増をしていくという趣旨であります。
なお、今、現時点でどれぐらい達成したかという御質問であります。
二〇〇五年分の数値はまだ集計されておりませんけれども、二〇〇四年の数値につきまして申し上げますと、サブサハラで六・五億ドル、アフリカODA実績九・四億ドルという数字はございます。二〇〇五年分の数値はまだ集計されておりませんけれども、いずれにしましても、本件国際公約の実現に向けて引き続き対アフリカ支援に取り組んでまいる所存であります。
○谷合正明君 今お話がありましたが、実際、今後、今、歳出歳入一体改革ありますけれども、ODAの予算額というものがやはり厳しい目で見られているわけでございます。大幅な増額というものが難しい中で、このアフリカへのODAの額倍増というのをどうやって行っていくのか、そういったことをちょっと端的にお答えしていただけますか。
○副大臣(金田勝年君) 御指摘のとおり、非常に厳しい我が国の財政状況の中であります。
平成十八年度の政府のODA予算は、一般会計については七千五百九十七億円、対前年比マイナス三・四%となっておりますが、十七年度補正予算三百四十五億円を合わせてみました場合には七千九百四十二億円となりまして、ほぼ前年度並みの水準を維持できたというふうに考えておるわけであります。
繰り返しになりますが、厳しい我が国の財政状況でありますけれども、責任ある国際社会の一員としての国際公約の実現に向けて引き続き努力をしていきたいと、このように考えておる所存であります。
○谷合正明君 そのアフリカの支援の中で、今アフリカに対するマラリア対策支援というものがございます。平成十七年度におきましては、このマラリア対策支援の一環として防虫剤をしみ込ませた蚊帳を配布していると、二百五十一万帳をアフリカに配布したという実績を外務省さんの方からデータをいただきました。
外務大臣は特にアフリカに、二年間でしょうか、住まわれたということでよく御存じだと思いますが、マラリアを予防するためには結局蚊に刺されない、そのためには蚊帳だとかといったことを現地では実際に使って予防しているわけでございますが、今、日本政府が取り組んでいるのは、その蚊帳に防虫剤をしみ込ませて蚊帳の中に入ってこようとする蚊を殺すという、そういった新しい形の蚊帳を開発して配布しているわけでございます。
これを妊婦だとか子供がいる家庭に優先的に配布するといったことをやっているわけでございますが、一見すると聞こえはいいんですが、ただ、私自身アフリカに過ごしていた経験からすると、蚊帳の中にずっといるということはなかなか大変な暑さの中難しいですし、また、その蚊帳に防虫剤と言っていますけれども、実際の成分は殺虫剤でございますので、そういった殺虫剤が付いている蚊帳の中でずっと暮らしていくというのは、これは本当に乳児だとか妊婦にとって安全なのかといった素朴な疑問がございます。もし私がアフリカに赴任するのであれば、家族には、子供にはまだちょっと怖くて使えないなという思いがあるわけですが。
ただ、アフリカのマラリアというのは大問題でございますので、その意味でこの防虫剤をしみ込ませた蚊帳を配布しているんだろうということは推測するわけでありますが、この安全性についてどれだけ外務省さんの方で認識をされているのか、この点についてお伺いさせていただきます。
○政府参考人(佐藤重和君) お話ございましたとおり、アフリカのマラリア対策、この蚊帳でございますが、そこに殺虫剤をしみ込ませてと、それでその効果が長もちするようなものということで配布をしてきているわけでございます。
我々、長期残効型の蚊帳と言っておりますが、この蚊帳につきましては、世界保健機関、WHOの定めた基準に従いまして、人の長期間にわたる使用というものを想定をして安全性評価というものが実施をされておりまして、そういう意味でその安全性というものは確認をされているというふうに承知をいたしております。
○谷合正明君 安全性について承認されているというわけではありますが、実際、その使用注意の中には、もし手で蚊帳を触ったら必ず手を洗うようにというようなことが書いてあります。アフリカというのは、大臣も御案内のとおりに、やはりまず、何というんでしょう、衛生、すぐにじゃ手を洗える環境にあるのかとかいったことを考えると疑問があるわけでございます。特に子供なんかは絶対、触った手、これを口に入れたりですとか、そういったこともあるわけでございます。
もう少し私は、これは日本が大々的にやるマラリアキャンペーンであるんであれば、こういった安全性についてしっかりと検証していただきたいなと。WHOが認めたとか言われていますけれども、本当にどれだけ、だれがどのように認めたのか、どういう基準で認めたのか、これもまだまだはっきりしていないところもございます。WHOが認めたからといってじゃ本当に大丈夫なのかといったこともございますので、そういったことを考えていただきたいと思います。
また一方で、この一つの蚊帳は、コスト的にも七ドルから十ドルというふうにお伺いをしております。非常にアフリカの中では高額な単価だと私は思います。何もこのタイプの蚊帳は絶対駄目だと言いたいわけじゃないんですけれども、アフリカではやはり普通の蚊帳もローカルマーケットで売られているわけでありまして、そういった普通の蚊帳も使うようなマラリア対策支援もあってもいいんじゃないかなと私は思いますので、この点、重々外務省の方で検討していただきたいと思います。
その点御要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます