○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、本日は道州制につきまして基本的なところを安倍官房長官にお尋ねしたいと思います。
まず、今なぜ道州制なのかというところなんでございます。
道州制につきましては過去何度も議論をされておりまして、そして、今再びこの道州制が脚光を浴び、その必要性が求められております。しかしながら、実際その必要性というものが国民にしっかり伝わっているのかといったところが、まだまだ私はそこが不十分ではないかと思っております。
安倍官房長官の御地元は山口でございまして、私は岡山ということで、同じ中国で、中国も中国州なのか中・四国なのか、あるいは州都はではどうなのかとか、いろいろなことが関心を呼んでいるわけでありますけれども、今どちらかというと区割り案が独り歩きをしているような感じでございます。
この道州制の必要につきまして、まず国民に分かりやすく説明していただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋三君) まず、御質問に答える前に、政府としての、基本的に、この道州制についての基本的な考え方、スタンスについて御説明をさせていただきたいというふうに思います。
道州制に関しては、先月末、第二十八次地方制度調査会において「道州制のあり方に関する答申」が決定され、総理に提出をされました。
答申では、道州制を、広域自治体の在り方の見直しによって国と地方双方の政府を再構築するものであり、地方分権の加速、国家としての機能の強化、国、地方を通じた力強く効率的な政府の実現に有効な方策としているところであります。その上で、道州制の導入に関する判断は国民的な議論の動向を踏まえて行われる必要があるとし、政府は引き続き幅広い見地から検討を進めるとともに、国民的な議論の深まりに資するよう適切な役割を果たすことが必要とされているところであります。
このため、政府としては、今後様々な機会をとらえ、道州制に関する国民的な議論を喚起するとともに、答申に関連する課題について幅広く検討を進めたいと、このように考えているわけであります。
道州制については、今申し上げましたように、政府は基本的にこうしたスタンスで検討をしていくわけでありますが、近年、市町村合併の進展の影響や都道府県を超える広域行政課題の増加といった社会経済情勢の変化を踏まえまして、現行の都道府県制度のままでこれに対応していくことが可能か、さらに都道府県が一層の地方分権の推進の担い手としてふさわしいかどうかが問われているというふうに認識をしております。その中で、今後国民的な議論を進めていかなければいけないと、このように考えております。
○谷合正明君 国民的な議論に資するようなというような話がございました。そこで今、広域的な課題に立ち向かうにはどうすればよいのかというような問題提起もありました。
そこで、都道府県ですね、都道府県合併では、じゃそれは不十分なのかといった声もございます。地方制度調査会におきましては、広域的な行政に対応する、地方制度調査会におきましては道州制の導入が適当との答申でありました。広域的な行政に対応するためには、例えば今、北東北三県の取組などを見ますと、むしろこの都道府県合併による方が実現性が高いんではないかと言われておりますが、こういった都道府県合併では不十分なのでしょうか。
○国務大臣(安倍晋三君) 現行の都道府県制度の課題への対応に関しては、平成十六年の地方自治法の改正により整備された都道府県の自主的合併手続の活用も期待をされているわけでありますが、一方で、都道府県合併が行われても国と都道府県の事務配分が当然これは変更されるわけではないということでございまして、今回の地方制度調査会においては、都道府県制度に関する問題への対応にとどまらず、広域自治体を通じて国と地方双方の政府を再構築することによって我が国の新しい政府像を確立するとの見地に立つならば、その具体策としては道州制の導入が適当という認識が示されているわけでありまして、県との合併により広域的な問題には対応が可能になるわけであります。
まあ中国地方にも、田村先生の、これは鳥取県と島根県、それほど大きな県ではありませんから一緒になった方がいいんじゃないかという議論がないわけではないわけでありますが、しかしそれであっては果たして今までの権限と同じであって、この今市町村の合併を行っている中において中核的な自治体が誕生し、県から中核的な自治体に権限が移譲され、より身近なことは身近で解決をする。他方、道州制により国からいわゆる道州に権限が移譲したらどうかということも含めて、これは大きな意味での国の在り方全体を再検討するという意味においては、この道州制について議論することが有益ではないかということではないかと、こう思っております。
○谷合正明君 国と地方の役割分担、在り方というのもしっかりと今後議論していく必要があるんだということだと思いますが、この三位一体の改革に対する意見として、国から地方への権限の移譲が不十分であり、例えば地方の自由度が高まっていないのではないかという声が多いわけであります。これまでの国と地方の関係をそのままに道州制を導入しても、この権限移譲が進まず、地方分権というのはなかなか進展しないんじゃないかというふうに考えられるわけであります。
地方分権というのは時代の趨勢でございまして、やはり道州制を導入する場合には大幅な権限移譲というものがどうしても必要になるんではないかと。国と地方の役割分担について十分な見直しを行いまして、道州が自己の責任の下に地域の特性に応じた効果的な政策を行えるような、地方分権に根差した真の道州制を目指すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(安倍晋三君) ただいま御指摘の点でございますが、地方制度調査会の答申におきましても、広域自治体の在り方の見直しによって国と地方、双方の政府を再構築するものであり、地方分権の加速、国家としての機能の強化、国、地方を通じた力強く効率的な政府の実現に有効な方策となり得るとの認識が示されております。
これを実現するためには、地方にできることは地方にという理念の下、国、広域自治体及び基礎自治体の間の役割分担を体系的に見直して、そして都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことが必要になるものであると、このように認識をしております。
○谷合正明君 大幅な権限移譲の裏の関係とも言えますけれども、一方でやはり税源と財政調整をどうするのかという問題も出てまいります。
道州制になりますと都道府県よりも行政区画が広がると。ただ、その各道州間の財政基盤の格差というものは依然として大きく残るのでないかと、そのように容易に推測されるわけでございます。実際、東京、あるいは東京を中心とした南関東といったところでは自前の財源で十分なのかもしれませんけれども、中国地方ですとかほかの道州ではやはり現状の税の配分では難しいというところがございます。
道州制の導入に当たりまして、やはり税源の偏在性の少ない地方税の充実を図るとともに、もう一方で道州間の財政調整というものを図るための制度が必要になると思われます。答申におきましては、こういったことは検討をする必要があると書かれているんですけれども、それ以上のことが余り書かれておりません。官房長官の見解をお聞かせください。
○国務大臣(安倍晋三君) 道州制における財政調整制度は、道州制の区域の在り方のほか、国からの事務移譲に伴う地方の財政需要の変化、これに応じた地方税制の在り方など、様々な制度設計と併せてその内容を検討する必要があり、現時点で財政調整制度の内容を申し上げることは難しいというふうに思います。
一般的には、現在の都道府県の区域に比べてより広い区域となること、御指摘のように偏在性の低い税目を中心とした地方税体系の構築を目指すことになること等により財政力の格差は縮まるものと、こう期待をされるところであります。
しかし、それでもなお税源は東京を始めとして大都市に偏在をするわけであります。谷合委員も私も中国地方でございまして、中国地方はなかなか厳しいのが現状なんだろうと、このように思っているわけでありますが、地域間で大きな格差があることが予測されることから、地方制度調査会の答申においても、税源と財政需要に応じた適切な財政調整を行うための制度を検討すべきと、このようにされております。
いずれにいたしましても、まずは道州制そのものについてしっかりと国民とともに議論を進めていく中において、この問題についても議論していかなければいけないと、こう思っております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
続いて、道州制になった場合に、住民と行政の間がますます広がってしまうのではないかという懸念が生じているわけでございます。
市町村合併に対する批判の一つにこのことが挙げられております。住民と行政の間が広がったと、旧町村の役場のスタッフが、職員が減り、身近なことをこれまで相談していたものがなかなか相談しづらくなったというような声もあるわけでございます。この点に関しましては、総務省などで、例えば地域自治区の創設等、その溝を埋める取組もなされております。
この市町村合併に続きまして都道府県も道州になってしまいますと、この住民と行政の間がますます広がるのではないかという懸念がいずれにしても生じるわけでございます。例えば中国地方におきましても、同じ域内を移動するに掛かる時間の方が東京に出る時間より長かったりとか、そういったことはよくある話でございまして、こういった住民と行政の間の広がりについての懸念についてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(安倍晋三君) 今委員が最後におっしゃった、まだ今では道州制というものができていないわけであって、このそれぞれの地域、いわゆる広域地域のインフラも道州制に合わせたインフラではないということでございますから、例えば、まあ私の地元の下関から島根県に出ていく時間と、距離的には近いわけでありますが、東京に行く方が全然近いということも事実であろうと、このように思うわけでありますが、しかし、これは、道州制が形作られていく中において、また形作られた後の更なるインフラの整備の仕方、あるいは広域の経済圏をどのように発展させていくかということを進めていく中において新しいこれはインフラの整備、交通体系も進んでいくんではないかと、このように思います。
道州制を導入する場合には、都道府県から市町村へ、また国から道州への大幅な権限移譲を行うことによって、住民に身近な行政は市町村が総合的に担い、広域の圏域における行政は選挙により選ばれた長や議会を有し、住民のコンセンサス形成の仕組みを備えた道州ができる限り総合的に担うこととなるというふうに考えられるわけであります。その場合には、地域における政策形成過程への住民の参画が拡大するとともに、行政に対する住民の評価や監視が実効あるものとなり、自己決定及び自己責任を基本とした地域社会が実現されるのではないかと、このように考えられているわけであります。
○谷合正明君 北海道の道州制特区について確認をさせていただきたいと思います。
道州制に関しましては、北海道の道州特区法案の行方というものが非常に注目されております。小泉首相におかれましても、この道州制の理解を深めるためには北海道が一つのモデルになると、そのように言われております。今国会での特区法案の提出に向けて、これまで調整が難航しているとも言われておりましたが、昨日協議があり、昨日からの報道によりますと、政府・与党は今国会に特区法案を提出することで一致というふうに報道にもあります。
政府はこの北海道道州制特区についてどう考えているのかと。別の報道にも、北海道に限定して補助率をかさ上げする北海道特例の見直しについては、道選出議員らの反対論に配慮する方向で調整すると書いてあります。そのような方向で今考えていらっしゃるということでしょうか。
○国務大臣(安倍晋三君) この北海道の道州制特区につきましては、総理から、道州制を考えてみる上で、もう既に道として単位として存在する北海道で、これはもし地元の皆様がそれをやりたいということであれば、それはいわゆるモデル地区としてこれは試みる価値が十分あるのではないかと、こう総理もおっしゃり、この検討が進んできたわけでありますが、道州制を北海道においてモデル的に進めるため、総理が以前から支援するとおっしゃってきた問題であります。平成十六年八月の北海道からの提案を受けて、政府部内で検討を進めてきたところでございます。
また、この問題については与党の調査会等において度重なる議論がなされてまいりました。その中で、昨日、自民党道州制調査会の伊吹会長を始め関係の閣僚が集まりました。伊吹会長からは、党の道州制調査会及び北海道小委員会において北海道における道州制特区の問題についてこれまで議論されてきたことを踏まえ、取組の方向について考え方が示されたわけであります。これに関して、与謝野大臣からは、基本的には伊吹会長の考え方に沿って政府内での調整が進むよう協力する旨発言がございました。また、北側大臣からは、北海道関係者との意見調整を北海道知事が責任を持って行うのであればおおむね異論はないという、こういう発言があったわけであります。私の方からも、内閣府を中心に政府内の調整を進めるとともに、北海道とも十分に調整をする必要があると、このように申し上げたわけでございます。
また、内閣府のたたき台におきましては、北海道特例を五年から縮小し最終的には他の都道府県のレベルを検討すると、こうしていたわけでありますが、この取扱いにおきましては党でも相当これは議論になったわけであります。北海道知事からも見直しを強く要望されている点であるものと、この見直しというのは内閣府案の見直しということでございますが、と聞いております。会談の中におきましては、昨日の会談の中におきましては、一定期間後に法の施行状況等を踏まえつつ必要な見直しを行うことでどうかという考え方が示されたわけでございます。
○谷合正明君 道州制につきましては、冒頭に官房長官の方からも言われましたが、やはり国民に資するような、国民に分かりやすいような議論を今後国会の中でも展開してまいりたいと思いますし、政府の方にもよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、薬物対策について質問をさせていただきます。
今日の委員会でも藤井委員の方からこの薬物対策の話が出ました。私の方からは、この薬物依存者、中毒者への専門的治療の充実、そういったことについて厚生労働省の方にお伺いしたいと思います。
我が党におきましては、従来から脱法ドラッグ対策ワーキングチームというものを立ち上げてまいりまして、薬物乱用防止のための各種施策の充実を訴えてまいりまして、例えばキャラバンカーなどによる啓発活動、また今般は薬事法改正も今国会で提出されようとしておりますけれども、違法ドラッグが流通しないような仕組みというものを訴えてまいりました。
しかしながら、この予防や取締りだけでは十分かというと、そうではないと。全国には薬物乱用者は二百万人ぐらいいるというふうに言われております。
そこで、やはりこの予防、取締りだけでは不十分だと、実際にその依存症になった方のケアというものが必要ではないかと、そのための専門的治療の充実を図るべきだと考えますが、厚生労働省の方の見解をお伺いします。よろしくお願いいたします。
○副大臣(赤松正雄君) 谷合委員が御当選以来、この問題に一生懸命取り組んでおられるということはよく承知しております。
薬物依存者につきましては、地域においては精神保健福祉センターや保健所などで相談等に対応しておりますけれども、国立精神・神経センターにおいて医療機関や精神保健福祉センター等の医師、看護師に対して研修を行い、薬物依存の診断、治療、予防に携わる人材の質の向上に厚生労働省としては努めているところでございます。また、厚生労働科学研究におきまして薬物乱用・依存者の実態把握と治療などを含む対応策に関する研究を行っております。
一方、先ほど御指摘ありましたように、専門的治療体制の充実ということに関しましては、薬物専門病棟の整備費について保健衛生施設整備費補助金の対象としているところでありまして、今後とも都道府県の要望を踏まえつつ、その整備にしっかりと努めてまいりたい、そんなふうに考えております。
○谷合正明君 終わります。