○谷合正明君 公明党の谷合正明です。七十七歳の草川議員に続きまして、三十二歳の私が質問をさせていただきます。
まず初めに、パネルを見ていただきたいと思います。(資料提示)これでございますが、このパネルが示す意味を御存じでございましょうか。答えを言う前に、一つ別 のパネルも用意させていただいておりますので、そっちの方も示したいと思います。(資料提示)こちらがそのパネルでございます。これは、カザフスタンのセミパラチンスクの核実験場の周辺住民に対する診療を行っている、そういう、日本人医師が診療活動をしている、そういう写 真でございます。先ほどのマークにつきましては、これは国際ボランティア貯金制度のこのマークでございます。
私、衆議院でこれまで百時間、そして参議院の方でも六十時間余りこれまで質疑を、議論をしてまいりましたけれども、この国際ボランティア貯金制度につきましては一つも話題に上っていなかったと思います。私は、このボランティア貯金制度について、この点につきまして絞りまして質問をさせていただきたいと思います。
この制度は、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律、長い名前でございますが、通 称ボランティア貯金法に基づきまして平成三年一月からスタートをいたしました。
目的は、国民参加による草の根の援助活動を支援し、そして開発途上国の地域の人々の福祉の向上、それに寄与することを目的としたものでございます。仕組みとしましては、通 常貯金や通常貯蓄貯金の貯金者がその受取利子の寄附を日本郵政公社に委託して、そしてその郵政公社がNGOや民間ボランティア団体に寄附金を配分するという制度でございます。
例えば、現在の金利は〇・〇〇五%でございます。一千万円を貯金し、かつ利子の一〇〇%を寄附すると仮定いたしますと、単純計算しますと年間四百円の寄附金が発生いたします。
これまで、現在のボランティア貯金制度の貯金の加入件数は二千七百十三万件を数えております。寄附金の配分総額は現在まで約百八十一億円に上りまして、世界九十二か国地域で援助事業に配分されてまいりました。今年は総額八千六百万円が配分されまして、アジアを中心とする世界二十二か国・地域におきまして、医療、教育、そして職業訓練など様々な分野の援助活動に活用されてまいりました。先ほどの写 真がその一つの活動の様子でございます。
しかしながら、この国際ボランティア貯金制度が民営化後も存続するのか、果 たしてなくなっていくのかと、貯金者の方や支援を受けているNGO団体から心配の声が上がっております。実際、私も議員になる前に、民間のNGO団体でこの制度を活用させていただきました。この制度のおかげで、アフリカのケニア、ジブチで活動してまいりました。そういう意味でも、この点について、まず竹中大臣にお伺いいたします。
国際ボランティア貯金につきましては、民営化法案でどのような手当てがされているのか。そして、私は、民営化後の郵便貯金銀行がこのような国際ボランティア貯金のようなサービスを行うことが望ましいと考えておりますが、竹中大臣の見解をまずお伺いいたします。
○国務大臣(竹中平蔵君) 谷合委員から今、二点御質問があったかと思います。まず最初に、現在の国際ボランティア貯金につきましては、これは郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律という法律がございまして、それに基づきまして、今委員おっしゃいましたように、通 常郵便貯金の預金者がその利子の全部又は一部の、民間海外援助団体に対する寄附を公社に委託するという制度でございます。
今回の法案についてなんですが、これは先ほど申し上げましたボランティア貯金につきましては、いわゆる整備法の附則の中で、これは民間、民営化後の郵貯銀行に、民間の企業でございますので、政府が特定の個別 商品の提供を義務付けるということはこれは民営化の趣旨にそぐわないということ、一方で、しかし平成十八年度分の寄附金が発生するという事実があるということから、この承継法人でありますところの独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構にその事務を行わせることを内容とするところの経過措置を設けている、これが今回の法律の中での取扱いでございます。
次に、民営化後、これがどうなるのかということでございますが、これはどのような、民営化後、どのような金融商品、サービスを提供するかというのは、一義的にはこれは経営者の判断ということにはなりますが、委員の御指摘の国際ボランティア貯金につきましては、一部の民間金融機関におきましても実は類似をした寄附委託付きの預金商品を取り扱っているところであると承知をしております。
したがいまして、郵便貯金銀行においても、これまで郵政公社が社会貢献の一環として提供してきたサービス、またそれによって培われてきた信頼感を維持していくということは経営にとっても重要と考えられますので、こうした点を踏まえてしかるべくしっかりとした判断が行われるということを期待をしております。
○谷合正明君 つまり、二〇〇八年四月一日以降は郵便貯金銀行の経営判断によっていくということだと思うんですが、このボランティア貯金は、かつて年間で最大三十億円の寄附金が発生をいたしました。しかしながら、現在では超低金利ということで六千万円以下になってきております。
しかし、私は、この制度は金額で測れないものがあると、つまり普遍的な使命と価値がこの制度にあるんではないかということを考えております。実際、そういう財産があるというふうに確信をしております。一番大きい財産というのは、まず何よりも二千七百万件、人数でいいましても二千万人以上の方が加入していて自発的に寄附をしていると、税金による、ODAによる開発協力ではなく寄附による協力であるということ。そして二番目に、真の意味で国民参加型の国際協力であるということでございます。そしてまた、第三番目に、実際、何を援助したかというよりも、そういう二千万人以上の方々が例えばスマトラ沖の大地震等で、実際、遠い海外で起きた災害あるいは貧困に対して悲しみの共有を持つということが、これは私はこの国際ボランティア貯金制度の大きな財産であるというふうに確信をしております。
実際にこの制度、貯金者が平成二年度発足当時は約二百十三万件の加入者でございましたが、現在はその十倍以上に増えております。定額貯金の口座数がどんどん減っていく中でこれは私は非常に評価していいんではないかと。
そこで、生田総裁にお伺いをいたします。企業の経営人として、総裁はこの民営化後の郵便貯金銀行がこの国際ボランティア貯金のサービスを行うことについてどう考えているのか、お伺いをさせていただきます。
○参考人(生田正治君) お答えします。
今既に御説明ありましたように、金利が下がってきているんで随分集まる額は減っているんですけれども、それだけ非常にやはり価値は大きいと思います。先日も贈呈式やりまして、額は小さいんですが、皆さん本当に喜んでくれました。私どもは、こうした理念に照らしましてこれを大切にしてきているわけでありますけれども、当然、企業というものは民営化しましても、民間会社もみんな同じですけれども、いろんな社会貢献ということは尊重いたします。
したがいまして、私はこういう非常に質の高い貢献というのは必ず引き継いでくれるものというふうに思っておりますし、新しい経営陣の新しい経営理論の中に取り入れてもらえるように私も努力をしたい。まあ、まず余り努力しなくてもつないでくれるだろうと思っております。
○谷合正明君 お答え、ありがとうございました。
先ほども、今話の中にありましたように、社会的貢献、企業のCSRとかあります。あるいは、フィランソロピー、社会的な慈善活動といったものを、これから民営化後も生活者の目線、そしてこの世界の目線というものを持っていっていただきたい。私はそういうふうに期待をしているわけでございます。
最後に、小泉首相にお伺いいたします。
伺う前に、実際、この国際ボランティア貯金の援助活動を受けてフィリピンの子供が感謝の声を寄せているんですけれども、その声をまず引用させていただきます。
それは、「私たちは国際ボランティア貯金の加入者の皆さまのご支援によって沢山の知識を身に付ける事ができました。また、人前で話したり、手紙を書くこともできるようになりました。私たちの夢は今後もこのプロジェクトが続き、バリウェット集落に住む人々の生活環境が向上していくことです。日本の皆さま、ぜひ一度私たちの集落にいらしてください。皆さまのご支援に感謝しています。本当にありがとうございました。」、こういうメッセージがフィリピンの子供たちから届いているわけであります。
私は、冒頭、竹中大臣に質問をいたしましたが、同じ質問を小泉首相にお伺いしたいと思います。民営化後の郵便貯金銀行が国際ボランティア貯金のような普遍的な価値、そして使命があるサービスを行うことが私は望ましいと考えております。これに対する見解を伺いたいと思います。あわせて、この制度が果 たしてきたこの評価というものもお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も郵政大臣のときにこの国際ボランティア銀行を知りまして、これはなかなかいいアイデアだなと。また、多くの方々から喜ばれているということを聞いております。
今企業は、民間におきましても、社会活動といいますか福祉活動といいますか、あるいは文化活動、スポーツ活動、いかに企業の収益だけでなくて地域社会に、あるいは多くの人々に寄与することが必要かということを考えていると思います。義務付けるわけじゃありませんけれども、今あるようなこの国際ボランティア銀行、あるいはこの国際ボランティア銀行に触発されてまた何か別 のいいアイデアを開発して、いろんな面で貢献できるような商品が開発されるということを期待しております。
○谷合正明君 終わります。