○谷合正明君
公明党の谷合正明です。
まず、私から初めに、国産材の安定供給のために森林組合のマーケティング能力をいかに側面 支援していくか、そのことについてお伺いさせていただきます。
先月の二十二日に国産製材工場の大手二十七社が集結しまして、国産材製材協会が設立されました。含水率や強度等を明示しました品質、性能の明確な製品をプレカット工場や住宅メーカー等に安定供給しまして、国産材のシェアを拡大する、それがねらいの一つだと聞いております。この二十七社には私の地元の岡山からも複数参加しております。また、その協会の会長も岡山のメーカーの会長だということでございます。そういうわけで質問するわけではないんですけども、この二十七社の年間の原木消費量 は国産原木消費量全体の一割を占めております。乾燥材につきましては同じく四分の一を占めております。森林組合サイドも、このような大規模な需要者に対しまして素材を安定供給していくことが今後必要になってくるわけであります。
そこで、今回、森林組合法の法制度で規制を様々緩和するわけでございますが、しかしながら実際にそれを生かしていくのも森林組合でございます。このように、森林組合、先ほど話も出ておりますけども、販売面 で濶達な組合がある一方で、常勤理事のいない組合が過半数を占めていると。そういう現状もありまして、地域によってはマーケティングあるいは営業活動を行う余裕がない組合が多いのではないかと心配されるわけでございますが。
そこで、今回、政府としまして、森林組合の販売能力等につきましてどのように評価しており、また、質問が若干重複するかもしれませんが、販売能力等の向上のために人材をどのように育成していこうとするのか、その点について伺います。
○政府参考人(前田直登君)
御案内のように、森林組合、我が国の森林整備の中核的な担い手でありますが、国産材の供給という面 におきましても重要な一角を担っているところでございます。
このような国産材の安定的な供給を図っていくというためには、やはり一定のロットを確保するとともに、製材業者あるいは中小工務店などいわゆる川下の木材の需要者の動向を踏まえまして、それに対応した的確な販売を行っていくということが重要であるというふうに考えております。
このため、今回の改正案におきまして、木材販売の員外利用制限の緩和を図る、あるいは製材業者や中小工務店などの准組合員資格の付与、こういったことを行うこととしているわけでございまして、川上、川下の連携がより進むんではないかというように考えている次第でございます。
また、今お話ございましたように、このような木材の販売に当たりましては、人材の育成、経営能力の向上を図るということが大変重要であるというように考えておりまして、このための研修あるいは経営指導、こういった取組の強化に努めてまいりたいというように考えております。
○谷合正明君
木材業者等がその准組合員になることによって得られる効果もあるということで、しっかりそういった効果 が発揮されるように十二分に施策を展開していただきたいと思います。
そこで、人材ということで新規就業者のことにつきまして質問をさせていただきます。
先ほども話がありましたが、この林業就業者は激減をしております。森林組合におきましても作業班員が減少しまして、高齢化、半数が六十歳以上ということで、そういう現実がございます。私も、昨年、この現実を目の当たりにしたのは、風倒木の処理をいかに進めるかということについて現場に入ったときに、いろいろな施策は講じられるんだけども、結局、森林組合、組合員が不足していて手が回らないと、そういう現実、直面 したわけでございます。
しかし、一方で、私のような若い世代で林業に対するあこがれというものが非常に高まっております。Iターン、また、あるいはJターン、他産業からの転職者を中心に新規の林業就業者というものは増加傾向にあると聞いております。また、林業従事者だけでなく、森林ボランティアといった、そういうすそ野もかなり広がっております。
平成十三年の農林水産省の調査によりますと、この新規就業者の九割が就業先の経営基盤の強化を通 じた通年雇用化、あるいは社会保険への加入促進、技能の早期習得等に対する支援を望んでおります。言わずもがな、この林業というのは非常に高度な専門経験を要するものでございますし、また危険度もかなり高いものでございます。そういったIターン・Jターン者が山村に定着して林業を続けていく上で重要なことは、山村全体でそういった新規就業者の不安、戸惑いといったものをどう解消していくかということが大事ではないかと思います。
そこで、新規就業者数の推移と定着率につきまして、新規就業者を増加、そして定着させるために森林組合が果 たすべき役割について、まずお伺いします。そして、山村全体で必要なハード、ソフトの受入れ対策についてどのように進めていくのか、その方針について伺います。
○政府参考人(前田直登君)
お話ございましたように、森林の多面的な機能、こういった機能を持続的に発揮させていくという上でも森林を適切に保全整備するということで、その担い手として新規就業者の確保、そしてその定着というものは大変重要というように認識いたしております。
このために、平成十四年度補正予算から緑の雇用担い手育成対策事業、これを実施いたしまして、林業の担い手の確保、育成に努めているところでございます。
こういった中で、例えば和歌山県などにおきましては、都会から三十代の若夫婦と子供さんが入ると、そういって山村自体がまた活性化していくというような場面 も見られるわけでございます。そういった中で、近年、新規就業者につきましては二千名強であったものが、平成十五年度には四千三百名余りということで大きく増大したというような状況にございます。そして、そういった中で、今、森林組合のお話ございましたけれども、我が国の森林整備の中核的な担い手でございます森林組合、この緑の雇用におきましても研修生の八割を受け入れるといったようなことで、林業の新規就労者全体の中でも七割が森林組合に就職いたしておりまして、今後とも森林組合が新規就業者の確保、育成に積極的に取り組まれていくことを期待しているところでございます。
そしてまた、これらの新規就労者等林業の担い手の定着に向けまして、今お話もございましたけれども、いろいろ就労状況の改善、就業環境の整備、こういったものを図りますと同時に、山村の居住環境の整備、こういったものを推進していくことが重要というように考えておりまして、さらには山村地域で森業、山業といったような新たな産業おこし、こういったものも含めまして就労の場を確保していく、さらに生活環境改善のためのいろんな施設整備、こういったものにも取り組んでいくというようなことで鋭意推進を図っているところでございます。
○谷合正明君
続いて緑の雇用対策について質問する予定でございましたが、先ほど出ております。是非、平成十八年以降も引き続き継続していただけるように要望をさせていただきます。
次に、森林組合の合併につきまして質問をいたします。私もその森林組合の合併につきま して、合併促進について、今後の対応について伺う予定でございましたが、この件につきましても松下委員の方からございましたので、質問を飛ばします。
子会社につきまして質問をさせていただきます。森林組合の子会社につきまして、今回の改正案で、組合財務の透明性を確保し行政検査を充実させるため、行政庁の報告徴収や検査の対象にこの組合の子会社を追加することとしております。その子会社等の報告徴収や検査については、特に必要があると認めるときはその必要の限度においてのみ認められると書いてあります。
この本改正案で新たに対象となった森林組合の子会社は、今、全国で五十三あると。木材製造、土木関連等となっております。この子会社につきましては一部ペーパーカンパニーとして利用されたり、あるいは赤字体質によりまして親会社の経営を圧迫するといった問題も一般 的に見受けられるところでございます。
そこで、森林組合の事業、経営にとりましてこの子会社はどのように位 置付けられるべきなのか、そのことについてお伺いいたします。
○政府参考人(前田直登君)
森林組合の子会社につきましては、建築ですとか土木、造園、製材加工など、こういった事業を行っているわけでございまして、その設立あるいは運営、基本的には個々の森林組合の自主的な経営判断にゆだねられております。
このような子会社によります事業の拡大、これにつきましては、組合員ですとか地域のニーズに応じた事業の実施を通 じまして、組合員の利益の増進に資するといった反面、いわゆる親会社になります森林組合の経営、これに影響を及ぼすということから、子会社の経営の健全性、これの確保には十分配慮していくことが必要というように考えている次第であります。
このため、今回の改正案におきましては、子会社の業務・会計状況につきましても、森林組合の経営に密接に関係しているということから、その当該子会社の経営悪化、これが親会社とも言うべき森林組合の経営の悪化を招くおそれがあると、そういった場合など特に必要があると認めるとき、そのときには行政庁による検査等が行えるようにするものでございます。
○谷合正明君
続きまして、話題を国産材のラベリングにつきまして、その話題を変更しまして質問に移らせていただきます。
先日、昨日ですけれども、報道で「国内産木材に生産履歴」という見出しの記事を読みました。林野庁は、公共事業などに活用するために政府が調達した国内産木材に生産地などを明示する履歴制度を導入する方針を固めたと。海外で計画以上に樹木を切る違法伐採による木材を流通 から排除するシステム開発を進めているが、政府調達でその輸入材だけにそれを、合法性を求めるのは不公平だということでそういう判断したと、そのように書かれているわけでございます。
私は、以前、違法伐採について質問をさせていただきました。このときはこの国内のラベリングにつきましては質問していませんでしたが、このラベリングについては本当に今後の重要な施策であると、私も賛成の意を表するものでございます。
この違法伐採対策のみならず、このラベリングによる履歴制度が国産の木材の生産地を明確にし、国内産の需要拡大につながるのではないかと、私はそのように期待をしているわけでございます。そして、何よりも日本の山、その木材を適切に使う、消費していくことが日本の山の環境を守ることができる、そういうメリットも私は期待をしているわけでございます。
そこで、改めましてこの国産材のラベリングに対する考え方を伺います。国産材にラベリングすることが、国産材を消費していくことが国民にとってどういうメリットがあるのか、林野庁の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(前田直登君)
お話にございました国産材のラベリングの問題でございますが、近年、環境ですとか安全、健康、こういったことに対します消費者意識が高まっておりまして、言わば木材製品につきまして原産地ですとか加工方法、こういった情報を求めるという消費者の声が高まっているところでございます。こういった中で、国産材の需要を拡大していくというためには、こうした消費者のニーズに適切に対応し、消費者が木材、特に国産材を選択できるよう促していくことが重要というふうに考えております。
こういった中で、林野庁といたしましても、平成十五年度から表示すべき内容や供給体制などを検討いたします業界の自主的な取組、これを支援してきたところでございまして、このような取組を踏まえまして、本年三月三十日でございますが、木材関連業者から構成されます木材表示推進協議会、これが設立されたところでございます。これを受けまして、業界におきましては平成十七年度から自主的なラベリングに取り組むということにしているところでございまして、このためのパンフレットの作成ですとか配布、そういった普及につきまして私どもも支援してまいりたいというように考えている次第でございます。
今後とも、消費者ニーズに対応いたしましたラベリング木材の流通 の促進が図られるように私どもといたしましても努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
○谷合正明君
近年は、そのラベリングの話でございますけれども、国産の木材、木造注文住宅を注文したい、その需要拡大がございます。産地ブランド、地材地消の取組も地方自治体によって熱心に行われると、地方自治体だけじゃなくてNPO等によりましても非常に活発に行われているところでございます。国内の木材の地材地消を進めるために、とりわけ川下のグループに対して、私は今後支援をしっかりしていくべきではないかと思います。
そこで、その支援策につきまして、まずいわゆる地域材利用の促進方策につきましてお伺いいたします。
○大臣政務官(加治屋義人君)
地域材の需要の大部分は建築業でございまして、地域材の利用を進める上で住宅建築への利用の推進は大変重要なことだと思っております。
このために、農林水産省としましては、森林所有者から住宅生産者までの関係者が一体となった家造り、地域材を低コストで安定的に供給できる体制づくりなど、住宅における地域材利用の推進に努めてきているところでございます。
また一方では、地方自治体においても、地域材の地産地消を推進するために低利融資や柱材の提供など地域材を活用した住宅建設促進への取組が行われておりまして、最近大変成果 を上げてきているのも事実でございます。これらに対して特別交付税措置が講じられているところでございます。
今後とも、関係省庁と連携をしつつ、住宅における地域材の一層の促進に努めてまいりたいと思っております。
また、先ほど島村大臣からお話ありましたけれども、先般、大臣の肝いりで住宅メーカーをお招きをされまして、国産材の利用拡大を何としても協力をしてほしいと、こういう会をつくっていただいて、私ども、その場に出させていただきましたけれども、感じましたことは、やはりそれを各都道府県ごとに都道府県自らがこういうこともやっていくことも必要だよね、そういうことを感じておりますので、都道府県に対してもこういうPRをさせていただきたいと思っております。
○谷合正明君
その関係省庁との連携ということで現場の方から話があったのは、木材を切ってから製材所まで届けるのは林野庁と、製材所から住宅、そこは経済産業省でやっていると、住宅は建てるのは国交省が面 倒を見ている、その縦割りの弊害を本当になくしてほしいと。特に、今、国交省辺りが、この木材に関して言えば、国産材に関して言えば本当に頑張っていると。私は農林水産省こそがこれを本当にしっかりリードしていただきたいと、日本の山を守っていただきたいと思っております。
次に、森林整備の負担につきましてお伺いいたします。全国の自治体におきましては森林整備の保全のために県民税に五百円を上乗せするという動きが目立っております。二〇〇三年四月に全国で初めて導入した高知県、私の岡山県でもこの四月からおかやま森づくり県民税というものが導入されました。
そこで、時間もございませんので、まずこの各自治体の森林整備の目的税をどれだけ、法定外の目的税がどれだけ進んで検討されているのかという状況と、そしてこの自治体の動きに対する評価、政府の評価を率直に伺います。
○政府参考人(前田直登君)
お話にもございましたけれども、現在、各都道府県におきまして森林整備のための財源を確保する独自課税についての取組が見られるところでございます。平成十五年には高知県で、これも住民税に一律五百円上乗せしというような形でやっているわけでございますし、また、今お話ございましたけれども、平成十六年には岡山県で、またさらに本年の四月からは鳥取県など六県で導入されているところでございます。来年度には福島県など四県で導入予定というように承知しておりまして、さらに北海道など二十七都道府県におきましては現在検討が行われているというような状況にあると承知しております。
このような地方自治体におきます取組、この動きにつきましては、今後の森林吸収源対策を推進する上でも国民的な理解の促進、あるいはその支援意識の醸成につながるということで評価しているところでございます。
○谷合正明君
最後に、大臣に伺います。
このように地方の自治体では、この森林を守るといった動きが非常に活発になっております。一方で、国の方では、環境税の導入の議論がなかなか進まないといった現実もありますが、こういった地方自治体でここまで頑張っている、二十七都道府県で検討中でもあるという話でありましたが、最後に森林吸収源対策として環境税をどのように使う、それよりも環境税導入に対する決意を大臣に最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君)
お答えいたします。
森林は地球温暖化を防止する上で重要な役割を果たしておることは論をまちませんが、京都議定書では、我が国の温室効果 ガス削減目標六%のうち、森林による吸収量として三・九%分を計上することが認められております。
この吸収量を確保するため、農林水産省としては、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十か年対策を策定いたしまして、健全な森林の整備保全あるいは緑の雇用対策など総合的な取組を進めているところであります。
しかしながら、現状の森林整備水準で今後とも推移した場合、森林の言わばCO2吸収量 は二・六%程度と見込まれまして、目標とする三・九%の吸収量の達成は難しい状況にあります。
このため、一般財源はもとよりでありますが、環境税などの安定的な財源の確保が必要と考えており、その実現に向けてこれからも積極的に取り組んでいきたいと、こう考えております。