○谷合正明君
公明党の谷合正明でございます。前回に引き続きまして、よろしくお願いいたします。
まず初めにお伺いしますのは、今回の一連の台風によります漁業被害についてであります。特に、十六号、十八号のときは瀬戸内海、広島県のカキの養殖、また岡山県の方でもカキ、またノリの養殖がかなり被害を受けておりました。私も十六号の直後に岡山県の沿岸部行きまして、そのノリの養殖又はカキの養殖のこの被害というのも、これ本当にひどいなということを痛感をいたしました。漁業従事者の方に聞きますと、もうこれで養殖やめてしまおうかと思うぐらいに被害が大きかったと聞きました
まずその第一点目に、その広島、岡山を中心にしました養殖被害について、実態とその対応策についてお伺いいたします。
○政府参考人(田原文夫君)
お答えいたします。
台風十六号あるいは十八号等の一連の台風によります広島県あるいは岡山県のカキ、ノリ等の養殖の被害の現時点におきます数字でございますけれども、まず広島県のカキの方でございますが、養殖施設関係で約十三億円、それからカキ本体といいますか、水産物関係では五十四億円、合計六十七億円。それから、岡山県のノリ養殖につきましては、加工施設で約二億円の被害が発生しているというふうに聞いております。
こうした被害に対しましては、私ども天災融資法ということで、低利な資金の円滑な融通を行うという方途を取っておりますほか、災害復旧事業の早期実施でございますとか、漁業共済金の早期支払、こういったことに取り組んで漁業者の方々の早期復興に支援を行っているところでございます。
○谷合正明君
是非よろしくお願いいたします。
そして、続いて林業の、前回も風倒木の被害について質問させていただきましたが、それ以来、やはり岡山、兵庫県の林業従事者の方からたくさんの声を聞きました。例えば、伐採しても実際使い道がないので困っていると、また今回、風倒木ですね、倒れた木、外見では使えそうだけれども、中を見ると、いったん切ってみると、やはり材木としては使えないというようなことも聞きました。また、兵庫県の方では、宍粟郡というところでは、昨年は雪の重みで木が倒れるというような被害もあったというふうに聞いております。
今回の風倒木の処理におきまして、実際に作業中、その林業従事者が、プロの方が亡くなってしまったということも直接私伺いました。いろいろな話を伺っているわけでございますけれども、来年の梅雨どきまではできるだけ処理したいという声があります。今回、樹齢五十年を超えるような人工林が倒れている中で、やはり熟練の伐採技術者の方によらないとできないわけでありますが、今回の被災地域は広大にわたっておりますし、またその時間も掛かるということで、処理に相当な時間が掛かります。
前回の委員会では、早期に伐採、搬出、跡地の造成を進めると言われておりますが、まず何よりも、その今回の二十三号を中心としまして激甚災害の指定を要望するものでございますが、現場からは再三、二次災害のおそれもあるので、現場写真などを残すことによって、査定が、是非査定が終わる前に事前のその処理、着工を認めてほしいという声が上がりましたが、政府の見解はいかがでしょうか。
○政府参考人(前田直登君)
確かに先生御指摘のように、風倒木被害につきましては、二次災害の防止、それからさらに、被害を受けた森林の有しますいろいろな公益的な機能を発揮しているわけでありますんで、そういった公益的機能の確保を図るために、早期に被害木を伐採、搬出し、跡地造林を進めること、大変重要だというふうに考えております。
激甚災害の関係では、指定を受けました場合には、高率の助成を受けられる森林災害復旧事業、これを活用することができるところでございます。台風二十三号につきましては、現在、その指定に向けた被害額の調査を急いでいるところでございます。
御指摘の査定前の話でございますが、この森林災害復旧事業につきましては、人家ですとか道路に被害を及ぼすおそれがあるといった場合など、被災森林の復旧上、緊急にやむを得ないというような場合には事前着工ができることとされておりまして、早期に復旧が図られるよう適切に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○谷合正明君
もう一つ要請が上がっているのが林業用の大型機械の話なんですが、今回、大きな面積を処理するために、どうしても人手、マンパワーだけでは対応できないと。例えば、激甚災害では、伐採、搬出、造林、倒木の引起し、また作業路の開設に補助対象となっておりますが、この中に林業用の機械の補助を入れるという措置はできるのかどうか、この件につきましても見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(前田直登君)
林業用機械につきましては、林業・木材産業構造改善事業等によりまして国庫補助の対象とされているわけでありますけれども、激甚災害法に基づきまして補助率をかさ上げするということができるということにつきましては、直接被害を受けたものに限ると。すなわち、林業機械でも、その機械自体が被害を受けた場合、そういう場合には補助率のかさ上げをして対応することができるわけでありますけれども、復旧を行うための機械というのは補助率のかさ上げの対象にはなっていないということでございます。
風倒木処理のための林業用機械につきましては、補助事業の活用のほかに、各地域の方で林業機械化センター等、こういったところでリース用として林業機械保有しておりますので、こういったものの活用が図られるように対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○谷合正明君
先ほど小川議員の方からもありましたが、こういったものがより良く使いやすい方向に改良していただけるように激甚以外の枠組みでも充実していただきたいと思います。是非とも、その現地の林業従事者の方が涙をのむようなことは避けていきたいと私も思っております。
引き続きまして、現在の日本のこの山林、森林について、ちょっと大きなところで質問をさせていただきたいと思います。
大きなところといいましても、今年に入りましての一番国民の関心というのは、クマがたくさん出没しているということでございます。クマとクマの周囲の環境に何が起きているのかということにつきまして、新聞を見ましても連日、専門家の意見がたくさん載っているわけであります。
環境省によりますと、今年の四月から十月二十日までにツキノワグマに襲われた死傷事故が八十一件と昨年度の五十一件を大きく上回っております。このツキノワグマが、東北地方から中部地方の比較的高標高のブナ・ミズナラ林に生息するとされておりますが、そこにえさがなくなったので人里に下りてきているのではないかと言われております。
なぜ急に相次いで人里近くまで下りてくるようになったのか。相次ぐ台風の影響も取りざたされておりますが、具体的に環境の変化があったのか、あるいはこれまでの林業、植林の在り方について、森林開発等に問題があったのかどうか、クマがすめる森が減ったことなど人災的な面はないのか、様々な説はありますが、現在「フところ、国民に関心のある分野でございますので、是非ともこの件につきまして環境省の方からお伺いしたいと思います。
○政府参考人(福井雅輝君)
本年夏以降、北陸地方を中心にしましてツキノワグマの出没が例年になく増加をして、人に対する被害も発生しているところでございます。
出没増加の原因としましては、本年に特徴的なことといたしましては、台風や猛暑の影響、それからブナやミズナラ等の広葉樹の木の実の不作の年に当たることなどによりえさが少なくなっているということ、また人間社会における近年の変化、具体的には、山村の過疎化、高齢化による人の活動の減少、まきや炭などを使わなくなったことによる里山の自然林化、また収穫残渣の放置や生ごみの不適切な処理により、クマが人里へ接近しやすくなっていることなどが専門家からは指摘されているところでございます。
環境省では、今回の出没増加の原因の解明に向けて現在調査を行っているところでもおります。また、先月二十九日には、都道府県の担当者に対して専門家から助言を行う会議なども開催したところでございます。
○谷合正明君
是非、早急に調査をしっかりしていただいて、環境省のみならず、農林水産省とともに今後の森林造成に当たっての在り方について検討していただきたいと思います。
そこで、今後の森林造成に当たりまして、公明党の方では次のように主張しているわけでございます。
我が国の森林の約四割が人工林で、その大部分がスギ、ヒノキ、カラマツなど少数の針葉樹によって占められております。しかしながら、広葉樹は、資源が乏しくなる一方で構造材、内装材、工芸材等としての利用も進み、早晩需給が逼迫して経済的価値を高めるばかりか、生物多様性の保全、美しい景観や保健休養の場の提供など多面的機能を発揮します。今後の森林造成にあっては、例えば長期育成複層林施業の在り方を一層改善するなど、伐期の長期化、また広葉樹の導入、複層林化等の積極的な推進を通じて、多種多様な森林を整備する必要があると思われます。
そこで、質問でございますが、そもそも、全国の森林をきちんと、先ほどもありましたが、理想の形に整備するためにはどのくらいの予算が必要であると見込まれているのか、大きな話であると思いますが、お伺いいたします。
○政府参考人(前田直登君)
先生からもお話ございましたけれども、災害の防止ですとか、あるいは水源涵養といった森林の持っています多面的な機能、こういったものを持続的に発揮させていくというためには、やはり私ども、重視すべき森林の機能に応じて、立地条件に応じて、多様な森林の整備、保全、これを図っていくことが必要であるというように考えている次第でございます。
このため、平成十三年、三十七年ぶりに林業基本法を改定いたしまして、森林・林業基本法、新たな森林・林業基本法を制定したわけでございますが、そういった中で、森林につきましていろいろ機能区分を行う、それに基づいて様々な施業をやっていくということで、例えば具体的には、水土保全林、ここにありましては下層植生の発達等を図るための複層林施業の導入、こういったものを積極的に推進しますとともに、森と人との共生林、こういったところにおきましては生物多様性の確保、こういったことにも配慮しながら、広葉樹の整備あるいは針広混交林化、こういったことを進めているというような状況にあるわけでございます。
そういった中で、私ども、平成十六年度予算におきましては、森林整備に必要なということで、予算額千八百二十五億円、さらに治山事業も含めました林野公共事業全体で三千百七十二億円計上しているところでございまして、今後とも、地域のニーズに合った多様な健全な森林、こういったものの整備が図られるように必要な予算の確保に努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○谷合正明君
広葉樹の整備というお話が出ましたが、今回の台風被災地の現場、岡山県県北なんですが、スギ、ヒノキだけでなく、今後、広葉樹林ももう少し広めたいという要望がございまして、その広葉樹林植栽に関しまして、例えば高率助成などの措置、ほかの枠組みでも結構でございますが、どういったことが可能なのか、ものがあるのか、お伺いをいたします。
○政府参考人(前田直登君)
広葉樹林につきましては、先ほどからも出ておりますけれども、生物多様性の保全あるいは美しい景観あるいは保健休養の場の提供というようなことで大変優れた面を有しておりまして、森林の持っております多面的な機能、これを一層発揮させていくためには、針葉樹だけでなくて、広葉樹あるいは針広混交林、こういった整備を推進していくということが重要であるというふうに考えている次第でございます。
このため、針葉樹のみならず、広葉樹の植栽あるいは保育、針広混交林化のための抜き切り、こういったことに対して助成を行っているところでございまして、特に、例えば造林未済地、こういったところにおいて地方公共団体が広葉樹を含む郷土樹種の植栽を行う場合、国と県で実質補助率を七二%出すとか、あるいは森林施業計画に基づきまして広葉樹の植栽を行うといった場合には実質補助率で六八%といった高率の助成水準を適用いたしておりまして、その推進を図っているところでございます。
また、今般の台風によります風倒木被害、激甚災害の指定を受けた場合につきましては、高率の助成、これは三分の二以上でありますが、これを行います森林災害復旧事業による森林の復旧、この場合にも広葉樹を植栽することが当然可能ということで対応しているところでございます。
○谷合正明君
その森林整備のためには、何といいましても、林業の活性化対策が重要でございます。長年、国産材が外材に押されまして需要が伸びないというのが実情でございました。食料自給率が四〇%といいましても、林業に関していえばもっと、木材自給率はもっと低いと。しかし、我が国の林業の不振の原因というのは、安価な外材輸入によるものでなくて、国産材が品質また安定供給の側面で劣っていたということが大分明らかになってまいりました。
今こそ国産材時代の確立を是非とも築いていきたいと公明党としても考えているわけでございますが、その中で、木材の地産地消ということにもつながるのでありますが、地域材の利用について一つ提案をさせていただきたいと思います。
地域材の利用が地域の森林整備を助けるということでは、ある意味、災害対策ともつながってくるのではないかと私は思っております。もしそうであるならば、例えば被災地における住宅再建、今、新潟県が話題になっておりますけれども、災害対策の一環として地域材を活用してもらうためにメニューを作成するなどの支援策を講じることも考えていいのではないかと思っております。
我が国では、全国で約一千四百万戸の住宅で耐震性が不足しているという推測もございます。今後、東海地震ですとか南関東直下型地震などのおそれもある中で、住宅の耐震化は災害による犠牲者を減らす上でも最も重要な対策でございます。そこに地域材、地域材を利用してもらえる仕組みを作っていけば、森と町の防災機能がともに強化されていくことにつながるのではないかと思います。
そういった総合的な防災対策の一環として地域材を防災に役立てていく支援の在り方を検討していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。農林水産大臣に是非ともよろしくお願いいたします。
○国務大臣(島村宜伸君)
御趣旨、全く賛成なんですけれども、私、専門でございませんので、よくこれを検討いたしまして進めたいと思います。
ただ、私は従前から、この森林の整備といいましょうか、あるいはこれからの植樹の推進といいましょうか、このことには極めて熱心な男でございますから、前回農林水産大臣を務めておったころからこのことについてはあなたと同じ趣旨のことを言い続けてきておりますので、これから是非取り組ましていただきたいと、こう思います。
特に、今回の台風等で大分やられましたので、もう一回、言わば健全な森林づくりということを基本に取り組みたいと思っておりますので、またいろいろお知恵も拝借したいと思います。
○谷合正明君
前向きな御答弁、本当にありがとうございます。
そして、その森林の需要を掘り起こしていくと、その次にやはり重要なのは、次に、次にと申しましょうか、同時に重要なのはそれに携わる人材を育成するということであると思います。これは要望でございますが、緑の雇用、しっかりとこれ推進していただきたいと思います。私も先日聞きましたけれども、ある森林組合で欠員一人募集したところ、五百人の人が集まったという例もございます。そういった関心がすごく高まっております。
また、今、高校生の中で、林野庁が主催されていると思いますが、森の聞き書き甲子園、ああいう取組を通じまして、高校生が実際山林に入って、そのプロの林業従事者の方にいろんな話を聞いたりして、日本の山、森林についてすごく意識を高めるいい機会になっているというふうにお伺いしております。是非とも、長期間にわたるビジョンで、日本の山を守る、育てていく人材を増やしていっていただきたいと要望をさせていただきます。
次に、話は変わりまして、担い手の在り方について、先ほども質問は出ましたので、私はその担い手の中で、今回、いわゆる効率的かつ安定的な農業経営を四十万にするという目標を立てて政府がおられておりますけれども、その中で懸念材料として懸念しているのが、例えば新規参入の農業者について、じゃ、どうしっかり取り込んでいくか、支援していくかというところを私も気にしております。
農水省の方では毎年十一月を新規就農啓発強化月間に定めております。私も農林水産省のメールマガジンを取っておりますので、それによりまして今週からこのキャンペーンが始まったということを知りましたけれども、まず、なかなか私にしてもそのメルマガを通じてようやくそういった強化月間があるということを知ったぐらいでございますので、まず広報活動をもっとこの新規就農についてやっていただきたいと思います。
その中で、公明党の方も、昨年の衆議院マニフェストで五万人の新規就農青年の確保を掲げておりまして、今後とも一層力を入れていく決意であります。
離農する数も増えておりますけれども、就農する数もやはり増えております。その数は離農する数よりも少ないわけでございますが、そういった希望もございます。
また、私には、例えば高校生で、将来農業に従事したいという希望を持っている高校生がおりまして、どうやったら農業に従事できるのか、そういった質問も直接伺ったりします。また、岡山県の方でも、先ほど行ったときに、元々大阪で公務員をやっていたんだけれども、それでいわゆる農業に従事した、新規就農の青年の方もいらっしゃいました。そういった方の目の輝きを見ますと、私も、まあなかなか農業は厳しいという中で、これは本当に先行きが不透明な中でも一寸の光明を見る思いがいたしました。
そこで、まず、その新規就農者に対する政府の支援策について伺います。
政府の支援策としまして各種の就農相談窓口の充実や利便性の向上、さらには、本年の通常国会での法改正によりまして就農支援基金の拡充が図られるなど、大変心強く感じております。
ところで、新規就農後に離農した人に対する調査によりますと、新規就農者に望まれる支援ニーズは、機械や施設設備に対する補助金が最も高く、次いで制度融資の拡充が挙がっておりました。この結果は、農業所得で生計が成り立つまでの間はやはり融資制度よりも補助金を手厚くしてほしいというニーズの表れだと思います。こうした議論が、当委員会でも度々同じ趣旨の指摘がされていたようであります。
そこで、現在、基本計画の見直し作業におきまして農業施策を大規模農家に重点化する方向が打ち出されておりますが、今後の新規就農者に対する支援策はどうなのか、中でもニーズの高い補助事業は拡充されていくのかにつきましてお伺いさせていただきます。
○大臣政務官(加治屋義人君)
谷合先生御指摘のとおりだと思っておりまして、我が国の農林水産業の発展というのはやはりこの就農問題なんだろうなと、そういうふうに思っております。
そういう意味からしまして、やはりこの農業内外から本当にやる気のある人、チャレンジ精神をしっかり持った人、そういう者をしっかり受け入れる、そして、ただ受け入れるだけということじゃなくして、その人たちをしっかり育てていく、やはりこういう施策というのが最も大切なことなんだろうと思っております。そのためにも、就農相談体制の構築とか技術とか経営研修とか就農支援資金の貸付けなど、就農形態や経営がそれぞれ発展段階に応じてきめ細かな施策を取らしていただいているところでございます。
なお、新規就農者が経営を開始する際に必要な機械、設備の整備に対する支援策として、無利子の就農支援資金を設置をさせていただいております。御承知のとおり、農業も基本的には営利を目的に行われることを踏まえるとすれば、最大限の支援策を取っている、こういうことを御理解もいただきたいと思っております。
○谷合正明君
次に、新規就農のもう一つの質問に移らせていただきますが、先ほど農業高校の話が出ましたが、農業者大学校の廃止問題について最後に確認をさせていただきたいと思います。
農業者大学校は、御承知のとおり、地域農業のリーダーとして活躍できる青年農業者を育成することを目的としまして、三十六年前に農水省の機関として設立されました。これまで千百人を超える卒業生も輩出しております。卒業生の九六・六%が就農しているという意味では、農業分野における人材の育成確保の点で非常に意義があったんだと思います。
私は、大学の農学部を出ておりますけれども、大学の農学部を出て就農するという数字は、パーセントは二・六%でございます。道府県の農業大学校におきましても三〇・一%でございますので、やはりそういう意味では農業者大学校のこの存在意義というものはあるんだと私は思います。
ところで、先月の報道によりますと、独立行政法人の業務の見直しということの中で、農水省の方で二〇〇八年度をもって農業者大学校を廃止し、研修機能をほかの独立行政法人に移転するとの提案をしたということがありましたが、最後の質問でございますが、そこで、今回の廃止の提案に至った経緯をお聞かせいただくとともに、移転される研修機能の具体的内容と移転先での定員数の見通し、そして廃止に必要な法改正の時期について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君)
農業者大学校、今は独立行政法人でございまして、先生おっしゃるように、地域でのリーダーたる農業者を育成するということで、現実に卒業生が地域でリーダーとして種々御活躍でございます。 私ども、農業教育の面にとってはこれ重要な役割を果たしてきたというふうに認識をしてきておりますけれども、一方で、独立行政法人の評価という面から見ますと、相当長期にわたりまして定員五十人に対して二十人とか三十人の入学生で、定員割れが相当長期に続いておると、こういうこともございまして、学生一人当たりの費用が年間五百万円以上ということで、非常に高コストになっていると。
さらには、専門の教授陣持っていない、外部から教授を招いておりますので、指導スタッフを整えていないではないか、あるいは類似の民間あるいは公営の学校ができているではないか等々の厳しい評価を受けまして、今の農業者大学校は廃止やむなしという判断をしたわけでございます。
ただ、このことが、地域リーダーとして活躍をされている卒業生から、誇りを傷付けられた、やる気をなくしたとか、あるいは農林水産省は一体農業教育をどのように考えているのかというきついおしかりもいただいているわけでございます。私どもは、これを国が関与するのにふさわしい教育内容に発展をさせていきたいということで、高度な技術を身に付けて、これを生かすことのできるような農業者の育成という観点から現在検討をしております。
具体的には、農業・生物系特定産業技術研究機構、いわゆる生研機構でございますけれども、ここの先端的な技術開発を行っておりますので、その技術教育を中心に、新たな研修教育を農業者に実施できないかということで検討を始めたわけでございます。いろんな方から御意見を伺いながら内容を固めていきたいと思っております。
法律の時期につきましては、独立行政法人全体の見直しの時期がいつになるか、これに合わせまして考えていきたいというふうに思っております。