2023年06月03日 1面
コロナ禍で顕在化・深刻化した孤独や孤立の問題に対して、その予防と、当事者や家族らへの適切な支援を総合的に推進するため、5月31日に成立した「孤独・孤立対策推進法」。同対策を規定した「世界で初」(小倉将信孤独・孤立対策担当相)の法律で、公明党が国会・地方議員を挙げて実態を調査し、政府に対策強化を提言した内容が大きく反映された。
推進法は、基本理念で孤独・孤立について、人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得るものであり、当事者の問題は「社会全体の課題」であると明記。省庁横断的な取り組みを推進するため、首相を本部長とする対策推進本部を内閣府に設置し、対策の指針となる重点計画を作成するとした。当事者などへの相談支援のほか、国による自治体や支援団体への支援、調査研究の推進にも努める。
自治体に対しては、支援団体を含む官民が必要な連携・協働を図るための「地域協議会」を設ける努力義務を課す。来年4月1日から施行する。
■実態調査を基に公明、法整備提言
孤独・孤立を巡っては、コロナ禍でDV(配偶者などからの暴力)や児童虐待、困窮、ひきこもり、孤独死などの課題が一層顕在化した。
さらに、孤独・孤立は健康悪化や経済の不安定化、社会保障給付費の増大などをもたらす恐れもあることから、かねて対策に取り組んできた公明党は2021年2月、社会的孤立防止対策本部(本部長=谷合正明参院幹事長)を設置。有識者らとの意見交換とともに、孤立の実態などの聞き取り調査を全国で計1039件実施した。
同年5月には菅義偉首相(当時)らに提言を申し入れ、社会的孤立は「個人ではなく社会の問題」だとして、施策を継続的・総合的に実施するための法整備の検討を強く求めていた。
■対策恒久化へ大きな一歩、地域での推進、公明に期待/認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 大西連理事長
コロナ禍で顕在化した孤独・孤立の問題について、一過性ではなく、恒久的な取り組みとして法律で定めたことは大きな一歩だ。ともすると、個人に帰結する問題と受け止められがちだが、苦しい状況にある人や、苦しくなったときに対する社会のあり方として「みんなで支え合える方向をめざしていこう」とのメッセージを出せたことにも重要な意義がある。
今後は、各自治体でどのように取り組むのかについて議論を重ね、財政的な措置も含めてしっかり決めてもらいたい。NPOなど民間が実施する活動への支援なども確立させていく必要がある。
公明党はコロナ禍前から、社会的孤立対策に関心を持って取り組んできた党だ。今回の法整備への尽力にも感謝したい。津々浦々で住民の声を聴いている公明党だからこそ、地域での取り組みの推進に向けてリーダーシップを発揮することを期待したい。