2022年12月28日 1面
■外務省、2次補正で拠出決定
標準的な薬が効かない薬剤耐性結核の治療支援として外務省は、ウクライナから多くの避難民を受け入れている隣国のモルドバに対して、日本製の有効な抗結核薬を供給するための拠出を決めた。公明党国際保健(グローバルヘルス)推進委員会(委員長=古屋範子副代表)が政府に要請し、2日成立の2022年度第2次補正予算に事業費が計上された。
供給されるのは、国内の大手製薬企業が開発した抗結核薬「デラマニド」。国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)を通じ、モルドバ政府の要請に応じて調達・供与される。今回の供給を端緒にして、同国での薬剤耐性結核治療の一層の普及をめざす。
ロシアが侵略するウクライナは、世界保健機関(WHO)が指定する薬剤耐性結核「高まん延国」の一つ。新規患者数の約3割が薬剤耐性の強まった結核とされる。
多くの避難民が逃れたウクライナ周辺国では、感染を調べる結核スクリーニングが手薄になり、難民キャンプでのクラスター(感染者集団)などが問題化。とりわけ経済事情の厳しいモルドバは、治療薬などの医療資源に乏しく、支援の緊急性が高まっている。
公明党は、ウクライナ周辺国の政府と連携した、避難民らへの支援を精力的にリード。今年9月には党調査団がモルドバなど東欧3カ国を訪れ、医療・保健分野などのニーズを探った。
10月12日には党国際保健推進委員会が、世界の結核終息をめざす国際組織「ストップ結核パートナーシップ」(STBP)と意見交換。同27日には秋野公造財務副大臣(公明党)に対し、モルドバへの抗結核薬の供給が進むよう国際機関への拠出などを促していた。