2022年10月21日 1面
参院予算委員会は20日、岸田文雄首相ら全閣僚が出席して予算の執行状況に関する総括質疑を行い、公明党の谷合正明参院幹事長と佐々木さやか氏が質問に立った。谷合氏は、ウクライナ人道支援やエネルギー価格高騰対策のほか、新型コロナウイルス治療薬について早期審査の重要性を強調。佐々木氏は、通園バスの安全装置設置に向けた助成を訴えた。
【総合経済対策】谷合氏は、岸田首相が公明党の山口那津男代表との合意に沿って、電気・ガス料金の負担軽減策を講じる考えを国会質疑などで明らかにしていることに触れ、燃油価格激変緩和対策事業の来年1月以降の継続についても、明確な答弁を求めた。岸田首相は「激変緩和措置を続けるよう、総合経済対策を詰めている」と答えた。
【ウクライナ支援】ロシアによる侵略を受けるウクライナへの人道支援について谷合氏は「冬の寒さ対策が急務だ」と強調。党調査団としてウクライナ政府高官から住宅、暖房インフラの復旧支援の要請を受けたことなどに言及しながら、支援の実施を求めた。岸田首相は「公明党からの提言を参考にしつつ、総合経済対策の中で越冬支援、生活再建支援を検討する」と応じた。
また谷合氏は、最大の避難民受け入れ国であるポーランドを巡って、政府開発援助(ODA)の対象外であっても二国間支援による連携強化を図るよう提案した。林芳正外相は「避難民支援を効果的に実施する観点から検討していきたい」と答えた。
■コロナ飲み薬で厚労相「緊急承認も念頭に審査」
【新型コロナ対策】国産飲み薬の実用化に関して谷合氏は「重症化リスクがない人や無症状者でも服用できる重要な切り札だ」と述べ、迅速な承認審査を迫った。加藤勝信厚生労働相は「緊急承認も念頭に、速やかな審査を進めていきたい」と応じた。
【マイナンバーカード】谷合氏はマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関して、取得手続きの簡素化や取得できない人に対するきめ細かい対応を要望した。岸田首相は「カードの(申請)手続き・様式の見直しを進める。手元にカードがない人が保険診療などを受ける際の手続きについても、遺漏のないよう関係府省に検討を指示した」と述べた。
■園バス安全策実現早く
【園バスの安全対策】通園バスに取り残された子どもが死亡した事件に関して佐々木氏は、置き去りを防ぐ安全装置の設置を義務付けるとした政府の緊急対策に言及。複数の保育園を巡回する送迎バスや認可外保育施設のバスも含めて、国の支援により「早期に実現を」と訴えた。
岸田首相は、いずれのバスも義務化の対象にする考えを表明。財政措置については「事業者の負担が実質的にゼロとなるような定額補助を行う方向で調整している」と説明し、安全対策を「スピード感を持って着実に実施する」と述べた。
【消費者被害防止】佐々木氏は、悪質な霊感商法など消費者被害の防止に向け、地域での見守りを強化する必要性を指摘した。岸田首相は「(地域の)見守りや消費生活相談の体制強化を通じて、霊感商法や悪質な寄付の要請などの問題解決につなげたい」と応じた。