2022年8月20日 1面
公明党の山口那津男代表は19日夕、来日中の米IT大手マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏と衆院第2議員会館で会談し、新型コロナへの対応をはじめ、全世界で保健衛生の向上に取り組む「グローバルヘルス」の強化に向け、緊密に連携することで一致した。ゲイツ氏は、世界最大の慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の共同議長。「全ての生命の価値は等しい」との理念で全世界の病気や感染症と闘い、貧困根絶などに取り組んでいる。山口代表との会談は、今年1月にオンライン形式で行って以来、2回目となる。
席上、ゲイツ氏は「国際保健の取り組みがパンデミック(世界的大流行)で巻き戻されてしまった」と指摘。感染症対策を前に進めるため、来月に増資会合が予定される「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)」への日本のさらなる貢献が重要な役割を果たすと述べたのに対し、山口代表は「岸田文雄首相に強く伝えたい」と応じた。
山口代表は「あらゆる感染症をなくす取り組みを世界が力を合わせて行っていくことが大切だ」と強調。ゲイツ氏が感染予防効果の高いワクチンを開発・普及する意義を訴えたのに対し、山口代表は官民連携でワクチン開発に取り組む国際団体「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」に対する日本の財政支援を継続する必要性を語った。
一方、広島で来年開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)について両氏は、将来のパンデミックへの対応を議題にする必要性を共有。新たな感染症の発生に備え、流行を早期に抑え込む国際的な即応チームの設置をゲイツ氏が提唱していることを巡り、山口代表は「素晴らしいアイデアだ。G7、WHO(世界保健機関)などがリーダーシップを取ってシステム化することが重要だ」との見解を示した。
ゲイツ氏はまた、日本政府が政府開発援助(ODA)の基本方針を定めた「開発協力大綱」の改定を検討していることに触れ、日本のODA予算の拡充を強く望んだ。
両氏はさらに、ポリオ(小児まひ)根絶に向けた協力深化も確認した。
最後に、ゲイツ氏は「公明党とのパートナーシップに感謝している。これからより強固なパートナーシップを組んで一緒にできればと願っている」と締めくくった。
会談には、公明党から石井啓一幹事長、竹内譲政務調査会長、古屋範子副代表、谷合正明国際委員長(参院幹事長)、岡本三成衆院議員、高橋光男参院議員が同席した。