○谷合正明君 公明党の谷合です。
医療法等の一部を改正する法律案について、特に医療に関する広告規制の見直しについて質問したいと思います。その中でも、この規制を執行していく上で、その人的体制をどうしていくのかということについて質問したいと思っております。
まず、現在、都道府県等の衛生主管部局では、医療広告に関して、国民からの苦情相談の対応だけでなくて医療機関など広告を行う者からの相談にも対応することとなっています。今回の法改正やネットパトロール事業によるウエブサイトの監視の強化を受けまして、医療機関によってはホームページを作り直すということも出てくるかと思います。
規制の具体的内容については今後省令やガイドラインで示されるということでありますが、当然、それらを遵守していくことは当然なんですが、それらを全て理解した上でホームページを作成していくということは、特に小規模な医療機関などには負担も大きく、公開しようとするホームページが法令に適合しているか否か判断に迷うケースも生じるのではないかとも思われます。今回の法改正に伴いまして、ホームページ作成などについての基準を分かりやすく示して医療機関等への十分な周知期間を確保することは当然でありますが、ホームページ広告を行うに当たっての医療機関側からの相談が増えることも考えられますので、そうした相談にきちんと対応できる体制を整えておく必要があると考えます。
前回の審議では、広告規制の執行に当たっては地方自治体との連携など体制の強化が必要であると指摘されたところでございます。そこで、改めて規制の執行体制、とりわけ実際に法執行を行う者の体制について伺いたいと思います。
広告規制の執行に当たっては、都道府県等に置かれた医療監視員、医療監視員が医療機関に対して報告徴収や立入検査を行い、必要に応じて指導し、指導に応じない場合には是正を命ずることとなっています。
平成二十七年七月、二年前に発出された美容医療サービスのホームページに関する消費者委員会の建議では、厚生労働省及び都道府県等における指導監督の執行体制にも目を向けるべきと指摘がなされております。建議によりますと、厚生労働省において美容医療サービスに関する業務に携わっている職員は平成二十五年の四月時点で一人しか配置されていないと。また、都道府県については、東京都の場合、保健所等に医療監視員が配置されているものの、このうち保健所に配置されている専任の医療監視員は一保健所当たり三人程度とのことであります。
そこで、現在、厚生労働省において美容医療サービスに関する業務に携わっている職員と都道府県における医療監視員の配置状況を確認したいと思います。また、現在のその人員の配置状況を、今後法執行に伴いましてそれが十分なものと考えているのか、厚生労働省の認識を問いたいと思います。
○政府参考人(神田裕二君) 現在、医療広告等の業務に携わっている職員の体制についてのお尋ねでございますけれども、国の職員としては現在二人の職員で担当しているということでございます。もちろん、課長、私どもも当然直接関わって内容等については議論いたしております。今後、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
自治体についてのお尋ねがございましたけれども、先ほど、東京都では保健所に配置されている職員というのは一保健所当たり三人程度しかいないんじゃないかということが建議に書かれているということでございますが、専任の職員は確かに二十八年の四月ですと七十三人ということですので、そのようなことかと思いますけれども、兼務の医療監視を行っている職員というのが東京都ですと四百四十七人という実態でございまして、全国的に見ましても、医療監視の専任の職員は限られておりますけれども、兼務を含めますと全国で一万人を超える職員が医療監視員として任命されているところでございます。
今回の改正によりまして、先生御指摘のように、ウエブサイト等についても立入検査ですとか報告徴収もできますし、是正命令などの業務も出てまいります。それから、関係者からの問合せ、相談等に対応するという業務も出てまいりますので、適正な指導を行えるようにする体制を確保していくというのは重要な課題であるというふうに考えております。
私どもも、都道府県等の医療広告を行う担当者を集めた会議を開催いたしまして、指導等に必要な情報共有を行うなどの支援を行ってきているところでございますけれども、人員配置等を含めて、地方公共団体において必要な体制が構築できるよう、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 先ほど、都道府県の医療監視員については、専任は少ないけれども、併任、兼任でやっているという話がございました。その医療監視員でございますけれども、広告規制の執行のみならず、管轄区域内の病院及び診療所全体に対する医療監視を担っているところであります。今回の改正案と関連するところでは、特定機能病院やそのほか医療機関への立入検査、指導監督などを行うのも医療監視員であります。医療安全の確保のため、また今回の法改正の実効性を確保するためにも重要な役割を担う人材と言えます。
そこで、医療監視員とは具体的にどのような業務を行っているのか、その法的位置付け、役割、求められる資質について説明を願いたいと思います。
重ねてでございますが、関連して、その医療監視員は実践的な検査スキルをどのように身に付けるのか、都道府県等において医療監視員の人材育成はどのように行われているのか、実情を説明願いたいと思います。医療監視員の育成のために、また国が行っている取組についても示していただきたいと思っております。
○政府参考人(神田裕二君) 医療監視員につきましては、医療法の規定に基づきまして医療機関に対する立入検査等を行う職員でございまして、当然、医事法制等に関する知識が必要になるものでございます。今回の改正によりまして規制対象に追加されますウエブサイト等についても同様に都道府県の医療監視員が指導等を担うことになってまいりますので、先生御指摘のように、その資質を確保していくということは非常に重要であるというふうに考えております。
私どもの厚生労働省では、毎年、各ブロックごとに都道府県等の医療広告の担当者を集めた会議を開催いたしまして、平成二十八年度は、今回の改正を検討いたしました医療機関のウエブサイトの取扱いを議論した検討会の取りまとめの内容でございますとか、消費者庁に寄せられた美容医療に関する消費生活相談の概要を周知するといったことですとか、違反広告の事例報告会を行いまして、担当者間で指導内容とかその根拠について共有するといった指導に必要な情報共有を行った上で、新たな規制の導入を見据えて積極的な指導を実施することを依頼しているところでございます。
本年度も同様の会議を開催する予定でありまして、引き続き、指導に必要な情報提供、情報共有を行うことによりまして、都道府県等の職員が適切な指導が行うことができるように、私どもとしても、研修等、こうした機会を通じて、その資質の向上に努力していきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 医療の安全の確保の観点から、そうした医療監視員をしっかりと育てていくということは極めて重要なポイントだと思いますので、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
医薬品ネットパトロールとの関係をまたお尋ねしたいと思います。
法改正による広告規制の見直しとともに、今年度から予算事業によるネットパトロールが行われます。
他方、インターネットにおける無承認医薬品の販売に対しては、既に平成二十六年度からネットパトロール事業が行われています。この事業は、厚労省が、違法サイトの検索、発見に実績のあるサイバー犯罪の専門会社に委託して、違法サイトの削除等をプロバイダーに依頼するものでありまして、これまでに約二千五百サイトが削除されたというふうに国会質疑等でも明らかにしていただいております。この医薬品のネットパトロールを通じて医療法に違反すると考えられる医療機関の違法な表示が見付かった場合には、医薬食品局から医政局に情報が入り、医療法違反については医政局で対処するようになっているという話も聞いております。
そこで伺いますけれども、今回新たに開始される医療広告のネットパトロール事業は、実質的には既に行われている医薬品のネットパトロール事業を拡大する形になるのか。医薬品と医療機関とで縦割りになることなく相互に情報を共有する体制を取るべきと考えますけれども、それぞれのネットパトロール事業の今後の運用の仕方について確認させてください。
○政府参考人(神田裕二君) 先生御指摘のとおり、医療機関のウエブサイトについては、今年度から、厚生労働省が委託した専門機関が不適切なウエブサイト等を発見してその情報を医療機関の監督権限を有する地方公共団体に通報することによって、地方公共団体がウエブサイト等の記載を適正化するネットパトロールによる監視体制を構築する事業を実施することとしております。
一方で、インターネットによる未承認医薬品の販売につきましては、平成二十六年四月から、インターネットの違法サイトの検索や発見に実績のあるサイバー犯罪の専門調査会社に委託をして、違法サイトの削除等をプロバイダーに依頼しているインターネットパトロール事業を実施しているところでございます。
ただ、それぞれの趣旨、目的、対象が異なっておりますので、一体として行うというよりは、それぞれに専門性を有するようなところに委託をするということではないかというふうに考えております。
ただ、従来から既に先行して実施しております未承認医薬品の販売のインターネットパトロールにおいて医療機関のホームページガイドラインなどに違反する事例を把握した場合には、医薬・生活衛生局から医政局の方に情報提供をいただいておりまして、それを踏まえて指導するなどの取組を行っているところでございます。
今後、それぞれのネットパトロールにおきまして医薬品医療機器法や医療機関のホームページガイドラインあるいは改正されました医療法などに違反する事例が判明した場合には、関係部局間で情報共有を行うなど、連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
○谷合正明君 ちょっと残された時間で、サイバーセキュリティー対策についてお伺いしたいと思います。
今回の法案の中に特定機能病院におけるガバナンスの強化というのが盛り込まれておりまして、私も特定機能病院を訪れていろいろとお話をさせていただいたんですけれども、法案とは直接関係ないんですが、そのときちょうどイギリスで、イギリスを中心に病院、医療機関に対するコンピューターシステムのサイバーテロが発生したところでありまして、その特定機能病院では、高度で最新の設備を持つ病院でございますんですが、そのような攻撃を受けるおそれがあるのかどうかというのも話をしたんですが、やはり細心の注意を払っているという話でした。
特に、医療系の設備に関してはインターネットと接続しないよう徹底していくという話もありましたが、そこで、今回のそのイギリスを中心としたサイバーテロの攻撃のうち医療機関への攻撃や影響の実態や、我が国でも被害があったのかどうかについて確認したいと思いますし、病院の設備を管理系と医療系に分けるとすると、特に医療系においては外部のネット環境とつなげないようにすることが大事だというふうに認識しておるんですが、一部医療機器、医療機械においてはネットと接続しないといけないものもあるやに聞いておりまして、その医療機器のサイバーセキュリティー対策をしっかりと講じていく必要があると考えますけれども、その点についても併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(武田俊彦君) ただいま御指摘のありました医療機器の安全管理対策について答弁をさせていただきたいと思います。
御指摘のサイバーセキュリティーでございますけれども、まず、厚生労働省といたしましては、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインというものが作成されておりまして、医療に関わる全ての情報システムについて情報アクセス制限や不正ソフトウエア対策などの安全対策を実施するように医療機関に対して求めているところでございます。
医療機関で使われている医療機器に関しましては、医療機器単独で直接インターネットにつながるというものはほとんどないと承知をしておりますけれども、医療機関におきまして、医療機関内の情報システムに接続している医療機器も含め、情報システム全体としてネットワーク上からの不正アクセス対策などの技術的安全対策が取られている状況というふうに承知をしております。
そして、個々の医療機器に関してでございますけれども、医薬品医療機器法に基づく医療機器の基準といたしまして、使用環境等を踏まえて適切にリスクマネジメントを行って機器の設計、製造などを行うことを求めておりますので、個々の医療機器の販売業者に対しまして、ネットワークに接続される医療機器であった場合につきましては、不正アクセスなどのサイバーリスクの危険性を評価し、暗号化通信を用いるなどの不正アクセス対策を実施するほか、使用者である医療機関に必要な情報提供を行うことを私どもとして求めているところでございます。
医療機器の製造販売事業者が行うこれらのリスクマネジメントに関して適切な対応を促すため、現在、厚生労働省では医療機器のサイバーセキュリティーの確保に関するガイダンスの取りまとめに取り組んでいるところでございます。今後とも状況の把握に努め、必要な対応を考えてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 時間参りましたので、英国のサイバーテロの影響はどうだったのかお尋ねしたかったんですけど、そこは譲りまして、質問を終わりたいと思います。
以上です。