○谷合正明君 公明党の谷合でございます。
まず、食料・農業・農村基本計画、五年に一度の改定ということで、長い時間を掛けまして議論をした末にこの基本計画が取りまとめられました。まず、大臣始め関係各位、農林水産省の皆様に敬意を表したいというふうに思っております。
さて、その基本計画の中に、新型コロナウイルス感染症を始めとする新たな感染症への対応が記述をされたところでございます。以前、この委員会の中でもそうしたやり取りをさせていただいたところでございます。大事なことは、どんな事態にありましても食料の安定供給の確保、これが基本なんだというふうに思います。
先般、政府によりまして新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針というのが取りまとめられまして、その中では、食料品等の増産や円滑な供給を関連事業者に要請するというふうに入っております。当然、今も農林水産省としてそういう対応をしていただいているというふうに承知をしておりますが、今後、仮に、よく言われておるように緊急事態宣言が発出されるような状況になるのか、また、発出されなかったとしても、総理も長い闘いだというふうに言われておるわけでありまして、そういう状況にあったとしても食料品の安定的な供給について支障はないんだと、そういう体制ができているんだと、また、それがしっかり国民に伝わっていかなければならないというふうに思います。
一方で、我が国の場合はこの緊急事態宣言は要請ベースですから、ヨーロッパとかに見られるような強制的に罰則を決めて外出できないとか営業できないとかいうようなことはできないんですけれども、ただ、この宣言がなされると相当な抑止効果があるのではないかなと思います。例えば、交通機関等々様々な影響があるのではないかと。
午前中にもやり取りありましたけれども、食料の安定供給のためには、当然、生産者のみならず、食品産業、加工業やまた物流、小売、最終的には、そういうところは川上から川下までがしっかりと事業継続されていなければならないと思うんですけれども、食品の円滑な供給を要請するだけじゃなくて、そういう事業継続ができるような環境をつくっていくということが大事じゃないかなと。特に多くの人と接触せざるを得ない人をどう守っていくのか。マスク一つ取りましても、食の衛生関係者は、食品の関係でマスク必要ですけれども、今のところ医療とか介護とか、そういうところに優先配布されておりますけれども、まだまだこういうところまでは優先配布ということにはなっていないわけであります。
まず、お伺いしますけれども、今このコロナウイルス感染症対応を全力で挙げていただいていると思いますが、この緊急事態宣言がなされた場合、食料品の円滑な供給体制、これについてどうなっているのかについて確認したいと思います。
○政府参考人(岩濱洋海君) お答えいたします。
三月十三日に新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律が成立したところでございます。農林水産省新型インフルエンザ行動計画でも、お尋ねの緊急事態宣言のような事態では、法第五十条の関連で食品等の物資及び資材の供給、法五十一条の関連で備蓄の活用等について検討し、食品の安定供給に努めることが記載されております。委員御指摘の御懸念については、新型インフルエンザ等対策特別措置法において緊急事態が宣言された場合でも、食品等の生活必需品の売場は事業継続が可能となっております。
その上で、農林水産省では、同法が施行される三月十三日の同日に、国民への食料供給を安定的に確保する観点から、酪農家、水田・畑作農家、食品製造業及び卸売市場等のサプライチェーン全般にわたります事業継続に関するガイドラインをそれぞれ取りまとめまして、農政局、業界団体を通じて全国の関係者への周知に努め、事業継続のガイドラインを示させていただいております。
農水省としては、このような食品に関するサプライチェーンの安定的な事業継続に加え、主食でありますような米や食糧用小麦の備蓄の活用及び国内生産、そして輸入を適切に組み合わせて、引き続き消費者に対する円滑な食料供給を確保してまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 事業継続が可能であるということは、そう私も承知しているんですけれども、ですから、その事業継続がしっかりできるように、特にその川上から川下までいろんな今後影響が、まあ想定しない影響もあるかもしれないというときにあって、しっかりと継続できるような配慮を是非農水省からもしっかりアンテナ張ってやっていっていただきたいというふうに思っております。
また、基本計画の新たな感染症への対応のところには、国産農産物の消費拡大運動などによる内需の喚起、また、国産原料への切替えや経営改善などの中食、外食、加工業者対策などを機動的に講じていくとあります。基本計画でありますから、今後十年を見据えた計画であります。こうした中期的な展望に立った取組は大事でありますけれども、喫緊の課題でもあります。今回の新たな経済対策ではこうした観点が反映されていくと考えておりますけれども、その見解を伺いたいと。
また、総理が先週の土曜日の会見でこう言いました。中小企業への現金給付を検討と、このような趣旨で発言されましたけれども、今まさに具体化作業を進めているところと承知しておりますけれども、こうした経営が苦しくなる、厳しくなっているところ、これ、農林水産業、食品産業でもあるところはあるわけでありますから、そうしたところに漏れがないよう対象にして調整していただきたいと思いますけれども、併せて見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) この機会に、やはり地産地消も含めた内需の拡大ということが大変求められると思っています。地域のものをやはり、例えば農産物でも、全てキュウリでも真っすぐであるわけではありません。そういったものを含めて、地域の助け合いの精神を今こそ、人・農地プランとは若干違うかもしれませんが、発揮するときが来ているんだろうと思います。そういう国産原料への切替えにつきましては是非進めたいと思っています。
今回、進めるに当たって、この非常時のときだけ一過性で切り替えて、それでまた通常の商流が戻ったら元に戻すということであれば、余り我々としては応援しがいがないなというふうに思います。ですから、国民に対する加工食品の供給という視点だけに立てばそういうこともあるかもしれませんが、しかし、将来につながるような支援ということがそれに加われば更に実効性は高いものになりますので、そういった方向性も、先生の御指摘を踏まえながらしっかり、もう明日は金曜日でありますので、週末に向けても検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。
それから、総理がおっしゃいましたその給付金制度につきましては、今まさに政府の中で検討されているということでありますけれども、我々としては、農林水産業、食品産業も対象になるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○谷合正明君 是非、一過性じゃない、将来にわたるそうした取組を進めていただきたいと思います。
また、その基本計画の中には、食料品の安定供給について消費者に分かりやすく情報を提供というふうにあります。特に今は買占めの話題がこの質疑の中でも出ておりますけれども、農林水産省のこの点について対応はどうであるのかと。私もホームページ等は見させていただいているんですけれども、主要食糧の主要在庫や供給の状況ということがどうなっているのか。
また、諸外国でよくロックダウンという言葉、定義はいろいろありますけれども、報道になって心配の向きもあるんですけれども、ただ一方で、例えば今日も、私の知り合いでスイスの方いますけれども、ただ、外出できないけれども、生活必需品はちゃんとあると、購入できると、食料品はしっかりあるんだ、スーパーにもしっかりあるということでありました。むしろそういうパニックになることが怖いというふうに言われておりました。
となると、やはり過度の買占めというのが、このパニックになるということは控えていかなきゃならないと思うんですけれども、そもそもなぜ過度の買占めがいけないのか、控えないといけないのかということがなかなか伝わっていないのではないかというふうに思っております。これ、消費者にとっても回り回って不利益になる結果になるからだというふうに私は思いますけれども、そうした情報も併せて提供していく必要があるのではないかと思っておりますが、この点についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(加藤寛治君) お答えいたします。
一部の食料品において店頭等で品薄状態になっていることは承知をしておるわけでございますけれども、農林水産省といたしましては、卸売業者や食品メーカーに対し在庫と増産により円滑な供給を要請をしまして、通常以上の供給を確保をいたしておるところでございます。
我が国の主食である米については、安定的な食料供給という観点から、政府備蓄米が約百万トン、民間在庫が約二百七十万トンの在庫がございます。そうしたことから、いつでも安心して御飯を食べていただける状況にございます。また、外国産小麦につきましても備蓄が約九十三万トンございますので、皆様方への供給が不足する心配はないと考えております。
一方、食料品を必要以上に購入をするということは一時的な品薄状態につながるとともに、食べ切れずに食品ロスの発生を引き起こすこともございますし、また、通常以上の製造供給体制を強いるなど、事業者や物流へ過度な負荷を掛けることになりますので、国民の皆様方には正しい情報に基づきまして冷静な対応をお願いをしておるところでございます。
今後とも、小売事業者とも連携をしながら、状況を丁寧に把握をしまして必要な対応を迅速に講じるとともに、消費者への啓発チラシを活用するなど、関係省庁とも連携をいたしまして、国民の皆様の理解を促すよう情報発信に努めてまいりたいと、このように考えております。
○谷合正明君 先ほど、過度の買占めがなぜいけないのかということについて触れていただきました。
私、今、配付しておりませんけど、手元に米の販売数量ですとか小売価格の資料を持っているんですけれども、二月末に、実は政府が一斉休校の発表をしたときに、あのときに米の販売数量が一気に伸びたわけですね。その発表の前の週は七百トン余りの販売数量だったのが、その発表のあった週の一週間は一気に引き上がって、千トンぐらい行くんですね。また一週間後には元に戻ると、平常時どおりに戻りました。これ、食料、在庫や備蓄が十分、供給力が十分あるということでこういう動きにつながりました。
販売数量が一気に伸びるこの状況の中で、当然これ価格も釣られて上がっているんですね。このちょうど二月の末の一週間だけぽんと価格が上がって、また価格下がってですね。ですから、今回はどういう影響になるか私分かりませんけれども、結局、食料品が十分供給、在庫がある中でこういう過度な買占めがあると価格の面にも大きく結局影響あって、これは消費者にとっても私は不利益なんだというふうに思っております。その意味でも、情報提供というのはいろんな多様なアングルから提供していただきたいというふうに思っております。
その中で、今回、情報伝達におけるメディアの役割というのは大きいなというふうに思っております。例えばテレビ報道でも、繰り返し大臣が言われているとおり、在庫は十分あるので、落ち着いた購買行動を呼びかけていただいておりました、アナウンサー等がですね。ただ一方、テレビ報道でそういう呼びかけているその映像自体は、スーパーの商品棚、空の商品棚を映像に、背景にして流しているわけですね。これは逆効果ではないだろうかと私も思うんです。そういう声も実際にありました。ただ、そのエビデンスありませんけれども、それは検証する価値はあるんじゃないかなというふうに思います。
例えば、自殺報道に関するものは、WHOが自殺予防のメディアの関係者のための手引というものを作っているんです。昔ですと、自殺があると多分その遺書を映像で流しているときもあったんです。ただ、それは自殺を誘引するということで、結局そういうことはやめようというガイドラインを作っているんです。それは厚労省のホームページでも掲載しております。
買占めに関する報道に関してはそこまでのまだ知見が集められていないということはあると思うんですけれども、メディアも当然そんなあおる意図もないんです。ですから、情報提供元の農林水産省と、今回の報道の自由にも十分留意しながらも、メディア側とともにリスクコミュニケーションの向上に努めていくべきではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
三月二十五日の東京都の外出自粛要請を受け、都内の一部のスーパー等において食料品の欠品が生じた状況についての報道がなされたことは承知をいたしております。国民の皆様に冷静な購買行動を取っていただくためには、食品の供給能力についての正確な情報提供を図っていくことが重要と考えております。
都の外出自粛要請の翌日の三月二十六日には、農林水産大臣から、在庫は十分であり、買占めは不要である旨の国民の皆様に呼びかけを行っていただいてございます。また、農林水産省のホームページやツイッターなどを通じ、関係業界団体のサイトへのリンクを掲載し、品目ごとの供給状況や潤沢な倉庫を有する冷凍倉庫の画像情報についても紹介をいたしました。メディア各社に対してもこのような情報を紹介し、冷静な購買行動を呼びかけるような報道を依頼したところでございます。このような取組の結果、ツイッターでの投稿は約二百三十万件の閲覧がございましたとともに、各種テレビのニュースや新聞において大臣の呼びかけが多数取り上げられたところでございます。
報道の内容を制限することは困難でございますが、農林水産省としては、引き続きメディアとも協力し、国民に対してスピード感を持って適切な情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
トイレットペーパーのときもそうだったんですね。やっぱり最初は商品棚にないというのでびっくりしましたけど、ただ、工場の倉庫にいっぱい積んである映像が流れたときにやっぱり安心感が増えてきたということもありますので、よくやっていただきたいと思います。
さて、東京オリンピック・パラリンピックがこのコロナウイルスの関係で延期になりました。一年延期ということであります。このオリンピック、パラリンピックに向けまして、例えばGAPの食材を選手村で提供するであるとか、各県産材を国立競技場に、これは既にもう使われておりますけれども、やっております。また、国産の花を例えばビクトリーブーケで使うであるとか、そもそも聖火リレーの各地域においては沿道に花を並べようとか、いろんな様々な取組を企画をされていたわけであります。
このオリンピックを契機に一次産業を応援して世界中にPRする機会を設けていたところなんですけれども、このオリンピック、パラリンピックの延期に伴う影響はあるのか、またこの延期に対して農林水産省としてどのように受け止めているのかについて、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) 大変残念なことでありますが、なくなったわけではないということをまず皆様方と共有をさせていただきたいと思います。
GAPはお金も掛かることでありまして、自己負担も伴いながらGAPを取っていただきました。そして、世界のアスリートの皆さん方に、オリパラ両方ですね、日本の食を広めるチャンスということで意気込んでいらっしゃった方に対しては、そのテンションをやはり失わないようにしていただくことがやはり求められるんだろうと思います。
ビクトリーブーケにつきましては、花の業界の皆さん方が、自分たちがその実費については全部見るんだと、オリンピック委員会にも、全く、準備委員会にも迷惑を掛けないからということから話が始まって、その線でずっとやってきたんですけれども、これが一年延びるということになると、更に実費も何も出さないで皆さん方の御厚意に甘えますというのは、ちょっと無理があるのではないかと私は思っております。
三十一日にスカイプでお話を伺ったときも、これまでは自分たちの花の業界の底上げのために自腹でもやらせていただきたいということであったけれども、一年延びるとなると正直しんどいですという率直な言葉も聞かれました。
ですから、その言葉を受け止めて、今回の経済対策で何かできるのかも含めて考えさせていただきたいと思いますし、木材利用も随分進めてまいりました。
ですから、今後、まだ、新しい実施本部も発足させるということでありましたから、大会組織委員会と、この一年後、七月の二十三日でしたかね、ちょっと日にちがあれですけれども、七月の開催に向けて、また遜色のないしっかりとした、復興五輪という、そういう意義も踏まえた上の対応を農林水産省としては考えていきたいと考えております。
○谷合正明君 まずは終息が第一だと思います。その上で、中止になっているということではありませんから、しっかりと、今大臣からのメッセージというものをしっかり受け止めさせていただいたところであります。
基本計画で、実は、前回までは基本計画の副題というんですかね、というものが入っていなかったというふうに承知をしております。食料・農業・農村基本計画というだけなんですけれども、今回は「我が国の食と活力ある農業・農村を次の世代につなぐために」という副題が入りましたけれども。まず、今回新たに副題が入った理由とその趣旨、さらには前回の基本計画には入っていないんだけれども今回の基本計画に新たに盛り込んだもの、主なもの、どういうものがあるのか、先ほどコロナウイルスのことは分かっておりますけれども、どういうものがあるかということについて確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(浅川京子君) お答え申し上げます。
基本計画の検討を担った食料・農業・農村政策審議会企画部会の御議論の中で、新たな基本計画を国民の皆様に分かりやすく御理解いただくために内容を象徴するサブタイトルを付けてはどうかという御提案をいただきまして、今回新たに副題を付けさせていただきました。
今回の見直しの中では、農業者の減少や高齢化が深刻化する中で、地域をいかに維持し、次の世代に継承していくのかという視点が重要であるということから、この審議会の企画部会とも相談の上、「我が国の食と活力ある農業・農村を次の世代につなぐために」という副題を付けたところであります。
副題にもありますように、今回のポイントということですけれども、地域の次世代への継承とそのための生産基盤の強化であるというふうに考えておりまして、新たに、経営規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化ですとか、新たな輸出目標を掲げ、大臣を本部長とする司令塔組織の下での更なる輸出拡大、また、中山間地域等直接支払等の見直しや関係府省と連携した農村政策の推進、また、農林漁業体験機会の増大や食育、地産地消など、食や農とのつながりを深める国民運動の展開といったところを今回の基本計画に盛り込んだところです。
また、国内生産の状況を評価する指標として食料国産率目標の設定、また、食料自給力指標については、農業労働力や農業技術を考慮するとともに将来の見通しを今回提示するといった点についても新たなところでございます。
○谷合正明君 新たに盛り込んだところについてまた触れさせていただきたいと思いますが、スマート農業について。
これは、前回もあったと思うんですけれども、今、このスマート農業、もう本当にいろんなところで言葉を聞きます、いろんなところに予算が付いているということなんですけれども。私も、このスマート農業自体に目的があるんじゃなくて、スマート農業を手段としてどうしていくのかということが問われていくんだと思います。
その意味で、今回は基本計画で、特に、私ども公明党も、小規模家族経営の農家、また、中山間地など条件不利地域で営まれている農業、その日本の特徴である多様な営農形態に光を当てるべきであるというふうに訴えてまいりました。その中で、スマート農業というのはまさにこういったところに光を当てていくし、そういうところを引っ張っていく可能性があるものであります。ですから、そのスマート農業をやること自体が目的じゃなくて、スマート農業とは手段だということは、私が申し上げるのはそういう趣旨であります。
実は、先週は本当は沖縄の南大東島を訪問してサトウキビの農家をお尋ねする予定であったんですけれども、このような状況で視察を取りやめさせていただきましたが、この地域でもスマート農業を活用してサトウキビ産業の更に生産性向上に努めているということであります。
まず、改めて聞きますけれども、この条件不利地域あるいは小規模農家等、こうしたところでスマート農業をどう推進しようとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
省力化が急務とされる家族経営や条件不利な棚田などが存在をする中山間地域の農業の維持強化にはスマート農業の展開が重要と認識をしているところでございます。
このため、農林水産省では、令和二年度スマート農業実証プロジェクト、これは全国で五十二か所認定をしているわけですが、その中の三十一か所が中山間地域、この三十一か所の中の五か所は棚田の地域ということでございます。こういった棚田や中山間地域を対象に、小型で自動走行のトラクターや田植機、傾斜地でも対応できるリモコン式の草刈り機、一筆ごとの水田管理が可能となる自動水管理システムなどの実証を展開することとしております。さらに、家族経営の農家がスマート農業を導入する際に初期投資に掛かるコストを低減し、導入しやすい環境を整備するため、新たにスマート農機のシェアリングやリースなどを組み入れた実証を行うこととしております。
今後とも、実証結果を参考にしつつ、小規模家族経営の農家や中山間地域でのスマート農業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○谷合正明君 引き続いて、そういう中山間地域等での農業についてお伺いしたいんですけれども、地域政策、よく産業政策と地域政策と、これは車の両輪だということで、今回の基本計画にもうたわれております。これまでもこの農政の一つ、車の両輪だということは基本中の基本みたいなところであるんですけれども、今回、この地域政策については従来よりも厚みを増して記載されているのではないかなと。
具体的には、例えば地域資源を活用した所得と雇用機会の確保、中山間地域等を始めとする農村に人が住み続けるための条件整備、さらには、農村を支える新たな動きや活力の創出のこの三つの柱を継続的に進めるために関係府省で連携した仕組みづくりということが書かれております。
先ほど、新しい基本計画の部分ということで、関係府省で連携という言葉が出てきたんですけれども、まさにこの関係府省の連携なんですけれども、農林水産省だけではできない、これからは関係府省としっかりやらなきゃならない。ただ、農林水産省が手を引いたわけじゃない、当然。農林水産省がリードしなければ関係府省も付いてこないわけでありますから、ここは、関係府省との連携というのは言うはやすしで、これしっかりやっていかないと、本当にこの意味での地域政策というのはうまく回っていかないんじゃないかというふうに思っております。この点について、農林水産省としての決意をお伺いしたいと思っております。
○国務大臣(江藤拓君) 確かに書くのは簡単ですけど、実行するのはなかなか難しいと思います。
私の地元の話をして申し訳ないんですが、椎葉村というところはとてもいいところです。観光客も平家まつりのときにはたくさんお越しいただきますが、なかなかの道でございまして、国道が、残酷の酷と書いた方がいいような道でございまして、離合するのにバックしなきゃいけないようなところが何か所もありますが。
ということであれば、その地域がですね、次の世代に、このすばらしい観光資源も持っている、人柄もすばらしい、そして様々な地域の資源も持っています。そこにアクセスできないということであれば、これはやはり国土交通省のような役所と連携していくことも大事だと思いますが、観光資源を民泊その他を生かしてこれから更に伸ばしていくには観光庁との連携も必要になってくるでしょうし、景観を守るということであれば環境省との連携も必要になってくると思います。
棚田の方を皆さん方と御議論をさせていただいたときにもこのことは常に意識をさせていただいたことでありますが、地域を守っていくのは決して農林水産省だけの役目ではなくて、国家としてやるべき大きな仕事だというふうに考えさせていただいておりまして、そのことをこの基本計画の中に盛り込ませていただいたつもりでございます。
先生がおっしゃるように、農林水産省は決して後ろに下がるものではありません。我々が地域政策においてはリーダーシップを取って、そして、これだけのすばらしい資源があって、これだけのアクセス網さえできればもっと生かされ、この地域が守られるということを、横串をしっかり刺して他省をリードしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
それでは、食料自給率についてお伺いしたいと思います。
食料自給率のカロリーベース目標は、この度、前回と同様に四五%ということになりました。様々、この食料自給率の特にカロリーベースにつきましては、その達成については難しいという指摘もある中で、今回、数値目標が維持された理由というのはどういうものなのでしょうか。また、この従来の取組の検証というものはどういうものだったんでしょうか。さらに、今回、カロリーベースあるいは金額ベース、そして飼料自給率、そして食料国産率、この食料国産率はそれぞれカロリーベース、金額ベースにそれぞれに該当していくということなんですけれども、いろいろな指標が出てきておりますけれども、カロリーベースというものが基本であるという理解でよろしいのでしょうか。
○国務大臣(江藤拓君) 供給カロリーベースが基本であるということは間違いありません。ほかの数字についても、しっかりとした数字であるというふうに自信は持っておりますが、それぞれの多角的な検証に耐えられるようにこれは出させていただくものだという御理解をいただければ結構だと思います。
今回、カロリーベースが維持されたということは、どうしてもやはりこの四五%、本当はもっと上の目標に向かって、独立国家、しかも島国である日本としては、努力する目標としてこれ到底下げられるものではないと。現実に即した数字を出せというような御議論もあることは承知をいたしておりますが、しかし、それでもこれをやっぱり達成するための努力は決して怠ってはならないものだというふうに考えております。
食料・農業・農村政策審議会でも御議論をいただきました。麦、大豆につきましては、国内の市場が伸びているにもかかわらずまだ一二%、六%と自給率が低く、湿田が多いということでもあって、日本は、まだまだ基盤整備が進んでいないこともあって単収が伸び悩んでいるというような御指摘もいただきました。それから、野菜、果樹に当たっては、どうしても作業時間が長い、収穫時に労働力が集中的に短期で必要になってしまうという欠点があって、労働生産性の向上を図らないとこれ以上はなかなか伸ばすのが難しいというような御提言もいただきました。畜産物についても、なかなか省力化等に資するような先端技術の普及、こういったものがまだまだ十分じゃない。いろいろ機械は開発されました。妊娠を知る、発情期を知る機械とか万歩計みたいなやつとかですね、いろんなものが開発されましたが、いろんな課題が挙げられております。
こういったものをしっかりやらせていただいて、関係者が総力を挙げてこれを全体としてしっかりと理解した上で、食料自給率、それから食料自給力、その向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
○谷合正明君 大臣、率直な御答弁ありがとうございます。
次は輸出について伺う予定だったんですけれども、もう答弁が出ておりますので、ちょっと次に飛ばさせていただきたいと思います。
最後、最後というか、国民への理解ということでお伺いしたいんですけれども、この基本計画は、我々、ここの場で議論している者だけでもありませんし、また農業関係者、農政関係者だけでもなくて、国民のためのものであるというふうに私はもう常々思ってまいりました。こうした基本計画、これは計画だけじゃなくてこれ実行していくわけですけれども、この実行には、今後の農政の考え方をしっかり分かりやすく伝えて国民的な理解を得ていく必要があるというふうに思っております。
副題にありますとおり、まさに次の世代につなげていくということが大事なんだというふうに思いますから、国民の理解、とりわけ若い世代に対しても工夫してこういう基本計画の理念というものを伝えてほしいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
新たな基本計画で示した施策などを進め、基本計画で掲げた目標を達成していくためには、基本計画の内容を分かりやすく説明し、国民の皆様に農業、農村が直面している現状や課題への御理解を賜ることが重要と考えてございます。また、国民全体で農業、農村を次世代につないでいくためには、とりわけ若い世代の方からの御理解と御支持が重要と認識をしているところでございます。
このため、農林水産省としては、パンフレット、広報誌やフェイスブックなどのSNSのほか、本年一月からは当省で始め、大変好評をいただいている動画配信、BUZZMAFFなどの様々な媒体を活用した情報発信や、子供から大人までの世代を通じた農林漁業体験、食育、地産地消といった施策について、消費者、食品関連事業者、農業協同組合を始めとする生産者団体を含め、官民が協働して推進する国民運動を通じて、若い世代の方々からも共感が得られるようにしてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 動画のBUZZMAFFについては、私も最近見るようになりまして、九州農政局の若手二人がよう頑張っているなと、再生回数もすごい伸びているなというふうに思っております。藤木政務官におかれましても、しっかりとリードして頑張っていただきたいというふうに思っております。
最後の質問にします。SDGsについて伺います。
私はSDGsの重要性というのを何度も訴えてまいりました。今回の基本計画には是非このSDGsをしっかりと反映すべきだということも訴えてまいりましたので、今回、基本計画にこのSDGsのことが大分盛り込まれているなというふうに思って、評価をしております。何か所このSDGsという言葉が出てくるのかなと数え始めたんですけど、何かいっぱい出てくるものですから途中で諦めましたけれども。ただ、大事なことは、例えば食品ロスの削減という個別の政策、これも極めて大事ですけれども、このSDGsという観点を農政の横串として刺していくということが大事ではないかというふうに思っております。
この国連の持続可能な開発目標、SDGsの達成に農政がどう貢献していくか、この観点について、最後、決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) これ、日本という国が世界に対して果たしていくべき大きな責任の一つだと思っております。サステナビリティーということは、これは、農業は特に農地とか水などの自然界の物質循環、これを利用して営まれるものであるということでありますから、経済、それから社会、環境の要素、これをしっかりバランスを取っていくということが求められていく、それがSDGsの理念そのものを実現していくということにつながるというふうに思っております。
施策の推進に当たっての基本的な視点の一つとして、この農業分野の基本的考え方は今回の基本計画にも書かせていただきました。たくさん書かせていただきましたので、いかに重要視しているか分かっていただけると思いますが、しっかりと先生おっしゃるように横串を刺して、これからの政策立案、実行にもこれを生かしていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 しっかりよろしくお願いしたいと思います。
終わります。ありがとうございました。