2021年1月29日 1面
新型コロナウイルス感染症への対策を加速する2020年度第3次補正予算は、28日夜の参院本会議で採決され、自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決、成立した。立憲、共産などは反対した。一般会計の追加歳出は21兆8353億円。本会議に先立ち参院予算委員会は同日、3次補正に関する総括質疑を実施。公明党の谷合正明参院幹事長と三浦信祐氏が、新型コロナウイルスワクチンの接種体制や心のケアの充実、休業支援金の申請期限延長などを訴えた。採決前には杉久武氏が賛成討論に立った。
■ワクチン接種、手順分かりやすく
同予算はコロナ禍の克服に向けた公明党の主張が数多く反映されている。感染防止策では、医療提供体制の強化を後押しする都道府県向けの「緊急包括支援交付金」に1兆3011億円を増額。コロナ患者を受け入れる病床や宿泊療養施設の確保のほか、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターの配備など自宅療養者への支援にも活用できる。
全国民が無料でワクチン接種を受けられる体制整備や接種の実施、PCR検査・抗原検査の充実のほか、時短営業に応じた飲食店への協力金などに充てられる「地方創生臨時交付金」を1兆5000億円積み増す。脱炭素化やデジタル改革を促す支援、防災・減災、国土強靱化の推進なども盛り込まれた。
参院予算委の総括質疑で谷合氏は、ワクチンの円滑な接種に向け、接種の手順や場所、スケジュールなどを国民に分かりやすく説明するよう要請。さらに、ワクチンの安全性・有効性について正確な情報提供に努めることや、接種全般の問い合わせに応じるコールセンターの運用に万全を期すことも求めた。
河野太郎行政改革担当相は、ワクチンの接種券を住民に発送する際、医師の診断を受けるための予診票を同封する案を検討していると表明。国のコールセンターについては「来月の設置をめざす」と明かした。
新型コロナの影響で休業を余儀なくされた中小企業の労働者に支給する休業支援金について谷合氏は、シフト制の職場で働く非正規労働者を中心に、制度の周知が進んでいないと強調。申請の相談体制を拡充するなど周知徹底の強化とともに「申請期限を3月末まで延長すべきだ」と主張した。田村憲久厚生労働相は申請期限について「延長の方向で検討する」と応じた。
一方、三浦氏は、コロナ禍における心のケアに関し、遠隔でのメンタルヘルスケアの充実と心の健康をチェックできるアプリの開発・普及推進の必要性を強調。テレワークの普及も踏まえ、産業医などによるオンライン相談の普及を求めた。田村厚労相はガイドラインを通じ、オンライン相談を推進していくと述べた。三浦氏は、自治体の奨学金返還支援制度の活用を力説。菅義偉首相は「地域経済の活性化や人手不足の改善につながる重要な施策だ」と推進する考えを示した。
このほか、杉氏は賛成討論の中で、医療現場への支援が強化されるよう3次補正の迅速な執行を求めた。