2020年4月28日 1面
政府は27日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う緊急経済対策を盛り込んだ、歳出総額25兆6914億円の2020年度補正予算案を国会に提出した。これを受け衆参両院は同日、本会議を開き、麻生太郎財務相による財政演説に対する各党代表質問を行い、審議入りした。公明党から北側一雄副代表、谷合正明参院幹事長がそれぞれ質問に立ち、“コロナ危機”に立ち向かうため、家計、事業者、医療への支援策について、迅速かつ円滑な実施を求め、政府の見解をただした。=3面に質問と政府答弁要旨
■医療崩壊防止へ現場のサポート最優先
北側副代表は、5月6日に期限を迎える緊急事態宣言の解除の判断について質問。安倍晋三首相は「解除の可否は専門家の提言をいただきながら判断したい」と述べ、現段階では人と人との接触機会を8割削減する取り組みの徹底に全力を挙げる考えを示した。
全ての人に1人当たり10万円を支給する「特別定額給付金」に関して北側副代表は「いかに迅速に給付できるかが重要だ」と力説。事業の主体となる市区町村を支援するとともに、申請方法などの周知徹底を求めた。安倍首相は「5月中のできるだけ早い時期を目標に給付できるよう準備を進めている」と答弁。「ホームページやコールセンターなどによる分かりやすい周知に努め、一日も早く手元に届けるよう全力で取り組む」と述べた。
また北側副代表は、中小企業・小規模事業者支援について、緊急経済対策の中に民間金融機関を通じた実質無利子・無担保の融資制度など数多くの対策が盛り込まれたと強調。「申請手続きの簡素化、人員確保などの体制強化を図り、迅速な融資、給付を」と訴えるとともに、最大200万円を支給する持続化給付金の早期支給を強く求めた。
安倍首相は、日本政策金融公庫による実質無利子・無担保での融資は既に15万件超に上っていると報告。「5月1日にも民間金融機関で同様の融資の受け付けを開始できるようにする」と述べるとともに、持続化給付金について「5月8日にも給付することをめざし、スピード感を持って対応していく」と答えた。
逼迫する医療の崩壊を防ぐため、北側副代表は、過酷な環境で働く医師や看護師への支援は「待ったなしの最優先課題だ」と訴えたのをはじめ、陽性反応を確認するPCR検査の体制強化を強く要請。加えて新型コロナウイルスへの対応急増により、がんなどの重篤患者への治療や救急医療体制に深刻な問題が生じているとして、医療機関の役割を明確にすることや地域全体で医療を支える必要性を訴えた。
■家庭での学習環境整えよ
一方、参院本会議で谷合氏は、感染拡大に伴う学校の臨時休業の長期化により、「特に受験生やその保護者から、学習の遅れや学習環境の格差に不安の声が上がっている」と指摘。オンライン学習の環境整備など、児童・生徒の学力確保に向けた対策を訴えた。
安倍首相は、補正予算案に盛り込まれた「1人1台の端末の早期実現や、通信環境の整備を推進する」と答えた。
また、谷合氏は、大学生や高校生の就職活動に関し、内定取り消しなど新規採用人数を抑制する動きがあると指摘し、さらなる対応強化を主張。これに対し安倍首相は、雇用調整助成金に特例を設け、新入社員を助成対象にしたとして、「官民を挙げて、雇用を守る決意で全力で対応する」と応じた。
特別定額給付金の支給を巡って谷合氏は、DV(配偶者などからの暴力)被害者への対応や、給付金を狙った詐欺対策を求めた。