○谷合正明君 公明党の谷合です。
今年は、夏以降、九州北部豪雨、また台風十五号、十九号等、災害が相次ぎました。特に、十五号、十九号を中心としましたこの台風被害、農林水産被害は、五日の朝の時点ですけど、もう二千五百億円を超えていると。
被害は広範囲にわたっておりますし、被害額というものは日々積み重なっているような状況でして、全容はまだはっきりしないところもあります。改めまして、この被災された皆様に、特に農林水産業者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。政府におかれましては、既に台風十五号などを対象とした農林水産被害に対する支援策は発動をして公表されております。
また、大臣、午前中の答弁の中でも、なりわいの支援ということでパッケージを、これは農林水産業者のみならず商工業者を含めた支援パッケージを政府として近いうちに発表するというふうな話もございました。これは、農林水産業者、また商工業者からすると大変命綱でございます。私自身も、昨年西日本豪雨災害を地元の地域で経験した者として、やはりこうした政府の支援策なければ復旧復興というものが難しいということはよく痛感したところでございます。その意味では、政府においては、対策を講じ発表するのみならず、その後の対応というものが非常に大事であると思っております。営農意欲が失われないように被災農家にしっかり寄り添っていただいて、また、災害査定など市町村の現場にもしっかりと目くばせしていただきながらこの対策を講じていただきたいということをまず冒頭申し上げたいと思います。
その上で、昨年の西日本豪雨では、気象庁は地球温暖化が一つの要因として多量の雨、雨量が降ったというふうに一つ分析をされておりまして、この災害、近年の多発しているこの災害と地球温暖化との因果関係に初めて言及したというふうに私は認識をしております。二十一世紀も約二十年が経過するところでありますけれども、政府として、どうしてこのような災害が頻発するのかということをよくよく検証しなきゃならないというふうに思っております。
地球温暖化対策など総合的な、また省庁横断的な防災対策というのは、これは農林水産省一省だけではできません。しかし、農林水産省としてやれることというのはたくさんあるんだというふうに思っております。例えば、防災・減災、国土強靱化であります。これは、昨年の西日本豪雨でありますとか北海道胆振東部地震や相次いだ災害を受けて、改めて三か年の緊急対策を講じていこうということになったわけであります。しかし、この三か年の緊急対策でこれで全て終わるかというと、決してそういうことではありません。この緊急対策終了後もしっかり必要な予算を確保して、国家百年の大計として、こうした防災・減災、国土強靱化を中長期的な対策を講じていくべきではないかというふうに考えています。ため池の管理ですとか農業用水路の維持管理、耕作放棄地の対策、山林の管理ですとか、また再生可能エネルギーの普及ですとか国際協力など、農林水産省が平時からリードしなければならないことはたくさんあると思っております。
今般、食料・農業・農村基本計画も五年の見直しの時期を来年迎えるわけでありますけれども、私は、災害に強いという農林水産業をどう構築していくかというのは一つこの基本計画の中でもしっかりと主流に据えていくべきではないかと、そのぐらい農林水産省として災害にしっかりと意識を特化した取組をしていただきたいというふうに考えているところでございます。まず冒頭に、江藤大臣のこの災害対応に対しての決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(江藤拓君) 委員におかれましては、もう一年二か月も副大臣も御経験をされておられるので、農政全般にわたって大変知見のある方でもいらっしゃいますし、今、部会長も党の方でされているということでありますので、今後ともいろいろと御指導をいただきますように、よろしくお願いしたいと思います。
今御指摘いただいたことは、もう要点は全て委員がおっしゃったと思いますけれども、改めて申し上げますが、委員おっしゃったように、三か年終了した後もこれは決して終わるものではないということだと思います。今回は余りにも河川の氾濫が多くの箇所で起こり過ぎてしまいました。そして、水の恐ろしさというものも改めて日本国民が痛感したところでありますから、この国土強靱化、そして災害に強い農業をつくる闘いというものはこれからも続くと思います。
先ほどお話ありましたように、ため池とか治山施設、漁港とか、それから再生可能エネルギーも、例えば小水力発電とかそういうものも含めて、我々のできることはたくさんありますので、取り組ませていただければと思います。
温暖化対策についても、これはトランプ大統領の直近の発言があったりして非常に話題になっておりますが、しかし、日本としてはきちっとした対応をこれからやっていかなければ、産業革命から温度二度以内でしたかね、たしかそうだったと思いますけれども、という目標を達成するのはなかなか難しいんだろうと思います。
委員の御指摘のとおり、これはもう国家百年の大計だと思います。山を治め水を治めることが国家を治めることの基本だというのは昔からこの国は変わりませんので、御指摘のように、この食料・農業・農村基本計画をこれから見直すに当たっては、災害に強い農業を確立するにはどうしたらいいのか。それは、もちろんため池とか公共利用施設を整備することも大事ですけれども、例えば、今回茨城とか千葉とかに行かせてもらうと、今まで台風災害を想定していないハウスなんですよ。二十ミリ以下の細いパイプのハウスがほとんどでした、十九ミリとかですね。原形復旧が基本です、災害復旧は。しかし、この際、やはり来年ももしかしたらあるかもしれないということも考慮して、二十ミリ以下の細いパイプのハウスをもう一回リビルドするよりも、災害に強いようなハウスに、高収益化にもつながりますので、そういったことにも支援をしていきたいと考えております。
○谷合正明君 原状復旧ではなく、災害の前以上に強靱化した対策を必要としておりますので、是非よろしくお願いしたいと思いますし、あるいは、今すぐということじゃないんですけれども、被災を受けた地域というのは、例えばスマート農業の先進地域のモデル地域とかそういうことも、やはりこういう希望を示していくということも大事だというふうに思っております。
とはいえ、現状でこの例えば台風十九号被災地に参りまして、私も長野県の千曲川流域を発災後に訪問をいたしました。大臣とほぼ同じ場所を回らせていただいております。JAの長野の全中の皆様にも、また、実際に農家の方にも御同行いただきまして、状況を視察をさせていただきました。今御質問したいのは、特に果樹の再生の支援をどうしていくかということなんであります。
これは、昨年も、西日本豪雨では特に愛媛県のミカンの樹園地がこれ山ごと崩れるというような大きな被害もありました。今回の台風十五号の支援措置でもこの樹園地の再生ということで、昨年、また今回十五号等、適用している対策というのはあるわけであります。改植に必要な苗木代、あるいは改植してからやはり数年は実がならないという、収穫、商業ベースではできないというわけでありますから、未収益の期間に必要な肥料代とか農薬代を支援していくと。
ただし、例えば、これ今四年間なんですよね。ということで、リンゴを植え替えて、じゃ、リンゴすぐ四年でできるかといったら、なかなかそういうわけじゃないとなると、じゃ、大苗で一年でも早く収穫できるような支援をしていこうということで、昨年来、私もいろんな現場で農家の方と話をしているわけでありますけれども、さはさりながら、今回の災害では、従来の支援策ではなかなか再生という意味では不十分ではないかというふうに痛感をしているわけであります。リンゴ園全域が浸水している場合に、この再生に大規模に改植を行っていくという必要があると。そのときの未収益期間の収入確保に向けた取組というものは、既にもう大臣がいろいろなところで、問題認識はもう共有しているということでいろんなところで言われているのは承知しております。
改めて、こうしたことが支援パッケージの中に盛り込まれていくというふうに私は信じておりますけれども、現時点で言える範囲で、この果樹園の再生に向けた農水省としての今回の取組についてお話しいただければと思います。
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。 台風十九号による果樹の被害対策でございますが、委員御指摘のとおり、十月二十五日に公表いたしました支援対策におきまして、被害を受けました果樹の植え替えや果実が実るまでの未収益期間に係る経費などを支援することとしているところでございます。
しかしながら、また、委員が御指摘のとおり、今回の災害では河川の氾濫により広範囲で浸水被害が発生したため、被災した果樹農家は経営面積の大部分を植え替えざるを得なくなり、その場合に長期にわたり収入が途絶えてしまうといった従来にない事態が生じていると理解しております。このため、現行の十アール当たり二十二万円の未収益期間の経費への支援だけでは今回の災害に対応するには厳しいというふうに考えております。
総理指示を踏まえまして、被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージにおいて講じる支援策でございますが、この支援策が被災された農家に引き続き営農意欲を持ち続けていただけるような内容になるよう、最後までしっかりと検討し、努力していきたいというふうに考えております。
○国務大臣(江藤拓君) 役所的にはここが限界でありますが、しかし、今委員が信じておりますということをおっしゃっていただきました。
この未収益期間、いかに農業という現場から離れずに生きていけるかということについては真剣に考えなきゃなりませんので、我々なりにしっかりとそういうものをまとめたつもりであります。御期待に応える内容になっているのではないかと考えております。
○谷合正明君 ありがとうございます。
午前中は、紙委員からも軽トラの話も出ました。本当に様々、農家に寄り添った、これは農林水産省だけじゃないかもしれません、経済産業省の支援も併せて、農家の皆様にこういう政府としては対策があるんだよということを一省にとらわれることなくしっかりと対策を講じていただきたいし、また周知をしていただきたいと思います。
さて、次の質問に移ります。
農業次世代人材投資事業について伺いたいと思います。
大臣の所信の中にも、次世代の担い手を育成、確保していく必要がある、若者、女性を始め多様な人材の育成、確保を進めるという所信がございました。農業次世代人材投資事業は、私はそういう意味では極めてこの核となる事業ではないかと考えておりまして、これまでも総理は、特に農業分野では四十代以下の新規就農者が二万人を超えるのが四年連続だと。二〇一八年、先般公表した数は二万人を下回りましたけれども、新規就農者の数は二万人を超えるような数字がずっと続いてきていますが、一つは、この農業次世代人材投資事業、青年就農給付金、かつてはそう言っていましたけれども、そうした事業があるおかげだったというふうに思っております。
ただ、今年、特に、私は地元岡山ですけれども、岡山の農家の方とか自治体の方々から、この次世代人材投資事業の対象と必ずなるような若手の農家がいるんだけれども、予算がなくなりそうで、しっかり国から配分されるかどうかが心配だという声が特に上がってきてまいりました。
現時点でこうした声にしっかりお応えできるような状況になっているかどうか、また今後の見通しについてどうなっているのかということについて事実関係を伺いたいと思います。
○政府参考人(横山紳君) 今年度の農業次世代人材投資事業についてでございます。
農業次世代人材投資事業について、当初予算額を上回る御要望をいただきまして、委員からも御指摘がございましたように、現場からは予算が不足しているんじゃないかということで、心配の声をお掛けしたところでございます。
このため、改めて地方自治体の方に必要額の調査ということを行いました。その結果を踏まえまして、本年の九月末に追加の配分をいたしております。その結果といたしまして、要望額に対しては九八%の配分ということになっております。残額として、まだ残りの二%、これは約四億円になりますが、がございますけれども、この部分につきましても、就農状況、その新規就農者の方々の就農状況の確認ができ次第、追加配分を実施してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 来年度以降も、こうした事業、若い世代の就農支援、特に中山間地域ではこの事業に対する期待の声も強いものでございますから、この事業というのは、継続されるのは継続されるものとしてしっかり強化していただきたいと考えておりますけれども、その方針について伺いたいと思います。
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
地域では、農業者の減少、また高齢化が進んでいく中で将来の農業を持続的に維持していくためには、どうしても若い新規就農者の確保、また育成が極めて必要だということは考えております。
新規就農に当たっては、特に、技術の習得であったり就農初期の資金の確保が大きな課題となっており、農業次世代人材投資事業では、就農準備段階や経営開始直後の青年就農者に資金の交付を行い、新規就農の後押しをしているところでございます。このほかにも、農業法人等における雇用就農の研修の支援であったり、長期無利子融資の青年等就農資金を活用した機械、施設等の取得の推進なども支援を行っているところでございます。
このような取組の結果、青年層の新規就農者が増加をし、近年、およそ二万人で推移をしており、一定の成果が出ているものだと考えているところでございます。特に、人手不足が深刻化している中山間地域等においては農業次世代人材投資事業が重要な役割を担っていると認識をしており、今後も、本資金が真に支援を必要とする方々に効果的に活用されるよう、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○谷合正明君 是非、藤木政務官、よろしくお願いしたいと思います。
豚コレラ対策について質問をさせていただく予定ではございましたけれども、時間の関係上、改めて機会いただければ質問をしたいと思っております。ただ、問題意識だけはお伝えしたいと思っております。
防疫指針が改定されまして、養豚へのワクチン接種が可能になったということでありますけれども、豚コレラ対策という意味では、もう本当に正念場を迎えているんだと思っております。飼養衛生管理の徹底、これがやっぱり基本だというふうに思っております。これをしっかり徹底していくとともに、野生イノシシの感染を撲滅しない限り感染拡大を防げないというふうに考えておりまして、改めて、この豚コレラ対策について決意を伺いたいというふうに思っております。
同時に、一方、今回、その指針ではワクチン使用による流通制限を生きた豚などに限定しておりまして、精肉や加工品は域外流通を認めているわけであります。ただ、種豚あるいは精液流通にはそういう意味では支障を来してしまうおそれがあるということで、この点についても、現場からは今後どうなるのかという不安の声も上がってきてはおります。こうしたこともしっかりと対策を講じていただきたいと思います。
また、畜産という関係で申し上げると、人類の脅威として、今後、薬剤耐性、AMRというものが今非常に医療の世界でも、また畜産の世界でも指摘をされているところであります。二〇五〇年には全世界で一千万人の死亡が推定され、対策を何も講じなければということなんですけれども、こうした薬剤耐性対策のためには、人と動物の人獣共通感染症への危機管理対応、これワンヘルスと言いますけれども、この対策をしっかりやっていくということが極めて大事だと。こうしたことについて、また機会をいただければ質問したいというふうに思っています。
今日、この後、同僚の議員が災害被災地を回っての質問を改めてさせていただきますので、私の方としては質問をこの辺りで終わりたいと思います。
ありがとうございました。