2020年1月30日 1面
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効して2月1日で1年になる。相互に関税を引き下げた結果、輸出では自動車や和牛、輸入ではワインが伸びた。国内自動車メーカーなどが恩恵を受け、消費者もより手頃な価格で欧州産品を楽しめるようになるなど自由貿易の拡大で国内外の経済活性化を後押ししている。公明党は国内農家への対策に万全を期しながら、EUへの輸出拡大に向けた条件整備を進めるよう政府に求めてきた。
日欧はEPAで、日本側が約94%、EU側が約99%の貿易品目で関税が撤廃されるほか、知的財産権の保護や電子商取引など幅広い分野のルールも整備した。発効により、世界貿易額の4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生。政府は日本の実質GDP(国内総生産)を約5兆円(約1%)押し上げる効果があると試算している。
輸出では乗用車への10%の関税が段階的に引き下げられ、発効8年目に撤廃される。牛肉や日本酒の関税は即時撤廃された。財務省の貿易統計によると、2019年2〜11月の輸出額は、自動車が前年同期比19%増加。和食ブームを追い風に和牛が28%増、日本酒は5%増となった。
輸入については、関税が撤廃されたワインが12%増加した。750ミリリットルのワイン瓶が1本当たり100円程度安くなったことに加え、販売店の宣伝が奏功した。そのほか、豚肉やチーズの輸入も増えている。
一方、EUを離脱する英国とは今春にも貿易交渉を始める。今年末まで経済・・社会への影響を緩和する「移行期間」に入るため、当面の間、英国は日欧EPAの枠内にとどまる。日英交渉では、自動車関税の撤廃時期などが焦点になりそうだ。
■国内の生産基盤拡充を/党対策本部長 谷合正明氏
日欧EPAの発効により、巨大な自由貿易圏が誕生し、自動車など輸出の拡大に効果が出ています。また、ワインやチーズなど輸入品の価格が下がり、消費者にもメリットが生まれています。
公明党は政府に対して国内生産者の基盤強化を図り、生産コストの低減・品質向上や経営安定対策などを要請。2019年度補正予算案には、和牛の輸出拡大に向けた増産対策や国産チーズの競争力強化など3250億円が計上されました。今後も、輸出強化を図るとともに現場の声を踏まえた国内対策の充実に全力を注ぎます。