○谷合正明君 公明党の谷合でございます。
両公述人におかれましては、本日、大変にありがとうございます。特に、前泊公述人におかれては、昨年に引き続きの公述人ということで大変感謝を申し上げたいと思います。
冒頭に、五百旗頭公述人から質問をさせていただきたいと思います。
公述人、防災復興庁の創設ということを言及されまして、実は私、今日この場でその質問をしようと思っていたところでございました。というのも、平成を振り返ったときは、ポスト冷戦時代という点と、もう一つは、国内に目を転じれば、やはり阪神・淡路大震災と東日本大震災を経験した時代だったということだったと思います。
安全保障という視点は、もう当然これは防災・減災、復興というのが今後我が国にとって大変大事な観点だと思っておりまして、公述人は、復興構想会議の初代議長を務められましたし、また熊本地震のときも復旧・復興有識者会議の座長も務められました。
昨年は、地震ではございませんけれども、集中豪雨等ございまして、私もその当時は政府側にいました。復旧については相当力を入れるんですけれども、その復旧はその都度その都度やっているような感じがありまして、やはり防災ですとか復旧復興というものを一元的に扱う機関が必要じゃないかというふうにも感じておりました。
党としましても、復興庁の後継組織の在り方については、震災復興を成し遂げるとともに、国の防災・減災、復興の司令塔的な役割を担うべきということで既に発信をしているところでございます。具体的なところは今後なんですけれども、まず、そうした司令塔機能創設についての評価とともに、こういうことをやろうとすると恐らく省庁の、縦割り省庁の抵抗というのもあろうかと思うんですが、こうした機関を成功させるための鍵というものは何でしょうか。
○公述人(五百旗頭真君) 大変共通の関心を持っていただいているのをうれしく思います。
事が起こってから政府はえらいこっちゃと、つまり、メディアが政府は何をしているという声の下で、頑張っていますと、遅いと言われながらやるというのがこれ日本の常なんですよね。
どうして起こってからなのか。起こる前はなかなか分かりませんが、しかしながら、一定の備えをした方が、起こってから大事業をするより、大土木事業で町の形態を全部変えるようなものをすればそれは安全性は増しますけれども、十年の期間ということの無駄も非常に多いし、それから、そういう大土木事業じゃなくて、事前に非常に危ないところについては専門家がプライオリティーをつくってここはこうするようにというふうにした方がいいと。そういう全体の司令塔が、分権的な日本は、その瞬間の人命救助の、第一線部隊もそうですけれども、総務省が他方で自治体間の広域支援についてお世話してくださり、大分それも進みかけましたけれども、やっぱりできないんですね。もう地元、当事者に任せるよみたいなところも出てしまう。そうすると、熱心にやる自治体、被災を予想される自治体、いっぱいやっているところある。だけど、ぼんやりしているところもあると。何をぼうっとして生きているんだと叱られるようなことを平気でほったらかしているところもある。そういうことでいいのかと。やはり日本全体として、これだけ頻繁に必ず来る災害であるならば、それに対して統合的、合理的な対処ということをなぜしないのか。
〔理事山下雄平君退席、委員長着席〕
これは国民にとって非常に必要なことだと思いますので、その被災の瞬間の危機管理的なものと、それから事前に備えをして軽減していくという努力、両方を併せて、さらには、起こった後の復旧復興を含めて対処の全体的司令塔ということが不可欠な日本ではないのか、災害列島ですから、と思います。
○谷合正明君 続きまして、北朝鮮問題について五百旗頭公述人にお伺いしたいと思います。
昨年、史上初の米朝首脳会談が行われました。その際、朝鮮半島の完全な非核化が両首脳によって署名されたところでございますが、公述人はもう昨年の時点で、北朝鮮が核とミサイルを潔く捨てるのは万やむを得ない事態における最後の選択で、完全な非核化を回避する金委員長のゲームが展開されるだろうというようなことでいろいろと述べられておりました。今、その金委員長の思惑どおりかどうかは別として、状況としてはそれに近いような状況でもあろうかと思っております。
安倍総理は、今回、第二回目の米朝首脳会談、合意見送りになったことを受けて、国会でも質疑でやり取りされまして、総理としては、今後日本が主体的に取り組むことが重要である、次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならないと決意をしている、あらゆるチャンスを逃さないと答弁されております。
非核化交渉と拉致問題の解決に向けて、その展望と日本の役割について御所見を賜りたいと思います。
○公述人(五百旗頭真君) 北朝鮮という国は大変にたくましい国で、かつて社会主義圏があったときに、ソ連、中国という両超大国を手玉に取るように競争させながら、両方を北朝鮮に貢献させるというふうなことを非常に上手にやった。ところが、冷戦終結とともに、何とソ連も中国もライバルの韓国と国交を結ぶというので、裏切られたんですね。その瞬間に、日米ともし北朝鮮が国交を結べれば、クロス承認であって両方いいわけですね。で、日本にアプローチをしてきて、金丸訪朝団が行って、ある程度行くかと思いましたけれども失敗してしまったと。その後、小泉さんのときにまた、それはブッシュ・ジュニアの大統領のときに、悪の枢軸という指名で非常に危機感が強まったときに、また日本にアプローチしたわけですよね。
日本の場合には、つまりアメリカとの関係が直接難しいときに、日米関係が緊密なので、そこをチャネルとして使うという意味が北朝鮮の利益としてあるとともに、日本の場合には戦後処理の問題がありますので、韓国に対しても五億ドルというのを六五年に、それに見合うものが北朝鮮にも予定されているわけですね。そういう有り難いものというのはほかに余りないので、それが北にとってはいつか使うべきものということになると思うんです。
今、アメリカとの間で二度首脳会談したけれども、非核化についてはないと。北朝鮮の場合には、核の問題で派手に脅かして自分の方を振り向かせて、そして安全保障の対話を親玉のアメリカとやりたいというのがあるんですね。それが必ずしもうまくいかないというときには日本を言わばバイプレーヤーとして使うという可能性がないではないので、それ自体の問題、容易ではありませんけれども、北朝鮮の方も事と次第によっては応じる可能性はなくはないと思っています。
○谷合正明君 それで、朝鮮半島の非核化ですとか、あと拉致問題の解決考えたときに、日本、韓国との関係いかにすべきかということだと思っていまして、文化、人的交流は活発で、この人的往来は過去最高を更新しているというふうにも私も聞きました。
一方で、特に昨年秋以降、韓国内での未来志向に、関係に逆行する動きが続いておりまして、領土問題、歴史問題、レーダー照射事案も発生しておりまして、国民感情が相当悪化していると。外務省としては、両政府が懸案事項を含む日韓関係の管理に努めつつ未来志向の関係構築で一致としておりますけれども、状況は本当極めて厳しいのではないか。これまでも、このような韓国国内世論向けに反日政策を打ち出すこともあったと思うんです。今回、局面がちょっと違うんではないかなとも感じます。
今年はG20開催、また北朝鮮の動向もございますが、日本政府は外交上、この日韓関係をどう管理すべきなのかについても併せて御所見を伺いたいと思います。
○公述人(五百旗頭真君) ありがとうございます。
大事な問題で、大変難しい最近の状況ですけれども、韓国の場合に、根深く日本の、日韓併合ですね、植民地支配に対する反感というのがあって、それが全ての出発点みたいになっている。
私は日韓フォーラムの日本側議長なんかもしていて、お付き合いする、そういう人たちは非常に物分かりいいんですね。そういう人には、過去の問題があるからといって今この不適切な振る舞いを自らに許しちゃいけないよと、過去のことがどんなにあっても、現在と将来はそれとして大事にする心構えがなければ将来は開けないということは言うんですけれども、多くの韓国の人にとって、おっしゃったように、地域との共通とか、あるいは分野分野の付き合いとか、あるいは学生のキャンパス・アジアとか、そういうところではすごくいい協力関係、いい雰囲気あるんですね。
しかし、全体として、政治に関わる、歴史に関わることになると全面的なブレーキが起動しちゃうと。非常に良くないところで、それを何とか超えなきゃいけないと思うんですが、日本に対するブレーキが根源的に強いのに加えて、中国に対する、何というんですかね、大きな存在としての、儒教の大宗主国としてのそういう思いというのが、反発がありながら、それが強いですね。
それから、不思議なことに、北と南を比べると韓国の方がはるかに立派だと私は思うんですけれども、北に対するコンプレックスがあるんですね。そういう不思議な歴史的に形成された国民感情があって、今、北との融合、民族の融合というのと、それから日本に対するこの微妙なものというのが結び付いて非常に厄介な状況になっているけれども、逆に言うと非常に浮動的だと、一貫してそれを貫けるようなものではない。アメリカとの関係、日本との関係、そして北、中国との関係も彼ら実に不安定なんですね。
そういう中で、その言わば反映として日本に対してひどい振る舞いをしたりということありますけれども、それを絶対的と思わずに気長に付き合うほかないなと思っております。
○谷合正明君 ちょっと時間が少なくなりました。前泊公述人にお伺いします。
県民投票の結果はありのままに真摯に受け止める必要があると思っておりますが、一方で、この投票率五二%、すなわち四八%の方は投票に行かなかった。この行かなかった方の投票行動をどのように認識すればよいのか、最後お伺いしたいと思います。
○公述人(前泊博盛君) とても大事だと思います。
声なき声もしっかりと拾っていく政治にしていかなければならないと思っていますけれども、行かなかったことに対しては、前回の九六年の県民投票の際もあったんですけれども、自民党は投票に行かない運動をしました。いわゆる県民投票そのものを形骸化してしまおうという運動もあったんですね。そういう中でいうと、一〇%程度の減少で済んだというところでいうと、私、五〇%を切るのではないかというふうに思っていました。私の予測、外れましたけれども。それからもう一つ、その行かなかった人たち、投票に行った人たちの数字とほぼ同じような比率だというふうに私見ています。
それから、投票に行った人たちの中で反対だけが今強調されていますけれども、賛成をしている人たちの意見も非常に重要だと思います。これは、出口調査の結果を見ると、この賛成に回った十一万票のうち、これは一九%ですけれども、普天間が固定化されるからもう埋立てをした方がいいというような判断、これは五割ぐらいいます。それから、もう建設が進んでいるので日米両政府にあがなえないということで、諦め感から三割が賛成をしています。そして、中国脅威論、北朝鮮脅威論、そして抑止力は必要だという意見は二割ぐらいです。
つまり、本来、政府がしっかりと、なぜこの基地が、辺野古が必要なのかということを説明をしてくれないためにこの程度の議論になってしまっている。実質的な反対意見がもう九割以上を占めているということになってしまいます。賛成の意見の中に本当に必要性について答えているのは二割程度、ここら辺が非常に重要なポイントだというふうに思っています。
○谷合正明君 終わります。ありがとうございました。