2018年07月14日 1面
平成に入って最悪の被害となった西日本豪雨は、13日までに死者が13府県で192人、安否不明者が4県で48人となった。最初の大雨特別警報が出てから1週間。避難所には約5800人が身を寄せる。国土交通省の13日午後1時時点のまとめでは、被災による通行止めは高速道路が7路線7区間、補助国道を含む国道が39路線63区間。鉄道は、JR貨物を含む10事業者24路線が運休している。=関連記事2、3面
■健康、住まいの確保が急務
公明党の山口那津男代表は13日、甚大な被害が出た広島市、岡山県倉敷市に入り、被災状況を調査するとともに、住民や避難者を激励。視察後、記者団に「被災者の多様なニーズに応じた細やかな支援に万全を期す」と強調した。
山口代表は、大量の土砂で複数の家屋が流された広島市安佐北区口田南へ。胸をえぐるような被害の爪痕が残る現場で、谷史郎副市長は「土砂や災害がれきの処理、暮らしの再建を急いでいる」と説明した。
同じ場所で、酷暑の中、流れ込んだ土砂の片付けに追われていた食堂経営の登田精治さん(70)は「まるで“津波”だった。地域のためにも店を続けたい」と話した。山口代表は「公明党が力を合わせて頑張りますから、何でも言ってください」と励ました。
続いて山口代表は、東区馬木の被害状況を調査したほか、松井一実市長と意見交換し、緊密に連携して被災地支援に取り組むことを確認。松井市長は、私有地内の土砂撤去や、より大きな次の災害に備える「改良復旧」の考えに立った国の対応を求めた。
一方、広範囲で浸水被害が出た倉敷市真備町で山口代表は、伊東香織市長と共に、避難所となっている市立二万小学校を訪問。
山口代表は「お体は大丈夫ですか」「心配なことは何ですか」と声を掛け、避難者の話にじっくりと耳を傾けた。この地域では罹災証明の受け付けが同日始まったが、自宅が全壊した女性は「高齢で、どうやって家の整理をしたらいいのか」と不安を口にした。また、女性や高齢者にも使いやすいトイレ設置や、健康確保への要望が寄せられた。
この後、山口代表ら一行は、高梁川水系の支流・小田川の堤防決壊現場で、西日本豪雨犠牲者の冥福を祈って黙とうをささげた。県立倉敷まきび支援学校では、鍵本芳明県教育長、佐藤一法学校長から学校再開に向けた課題を聞いた。
視察後、山口代表は「自治体が先々の財政に不安を感じることがないよう国に対応を求めていく」と力説。また、今後の課題として、高齢者など移動困難者の避難のあり方を挙げ、「よく検証し、教訓を全国で生かしていくべきだ」との考えを述べた。
この日の視察には、党「平成30年7月豪雨」対策本部の斉藤鉄夫本部長、谷合正明副本部長、赤羽一嘉事務局長、山本ひろし事務局次長の衆参国会議員、県議、市議が同行した。