○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
海上交通安全法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
まず、この度の法案で定められます指定海域につきましては、当面、新海上交通センターの整備により一元的な海上交通管制が構築される東京湾を指定していくと、そういうことが想定されているわけでありますけれども、その新海上交通センターでありますが、今、横浜の第二合同庁舎に整備中であり、平成二十九年度中に運用開始予定となっていると聞いております。東京湾の湾内の船舶交通の安全を更に確保するために、現在の東京湾海上交通センターと四つの港内交通管制室を統合してその機能を一元化するとしているわけであります。
そこで、特に非常災害時においての話なんですが、船舶を適切に誘導するための必要な措置をこの新海上交通センターについて行うということなんですけれども、その災害対応というんですか、災害に強い設備やシステムを構築する必要があるんですけれども、その対策は万全であるのかということと、仮に新海上交通センターが被災した場合に、ここは一元化していくわけでありますから、一元化することによる脆弱性というのもあると思います。仮に被災した場合のそのバックアップ機能、この辺りについてはどう担保されているのか、その点について伺います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 新東京湾海上交通センターが整備される横浜第二合同庁舎にありましては、大規模地震にも十分耐え得る構造となっています。
同センター内に設置する管制データを処理する装置などについても、機能喪失防止のため、二重化整備をするとともに、電源についても非常用電源装置を整備することとしております。また、船舶交通の動静を把握するためのレーダーやAIS信号の受信設備、船舶との通信を行うためのVHF無線電話の送受信所についても、東京湾周辺に分散して設置し、カバーエリアを二重化することにより、万が一被災した場合でも必要な機能を維持することが可能となっております。
さらに、万が一機能が完全に喪失した場合には、現在の観音崎における海上交通センター内に残される設備を使用した管制業務を実施することを想定しています。さらにそこも破壊されたということになりましたら、必要に応じ、AIS受信機等の仮設や、レーダーやあるいはVHF送受信機設備を搭載した巡視船艇を現場に配備して、これらを活用することにより管制業務の維持に努めていきたいと、このように考えております。
○谷合正明君 特に、万が一の場合ということもあり得ますので、バックアップ体制というのはしっかりとしていただきたいというふうに思っております。
そこで、先ほども東京湾以外の湾内についてどうなのかという質問、やり取りがございました。私も、伊勢湾、大阪湾の指定海域の指定についてどうなのかということをお尋ねしようと思ったんですけれども、質問が同じなんですけれども、もし、例えば、今後調査をしていくというふうに答弁、先ほど長官もあったんですけれども、その調査の具体的な内容、どういうものを今後していこうとされているのか。また、東京湾と伊勢湾、大阪湾と、それぞれ、例えば混雑度等がもう違うとは思うんですけど、その辺の現状はどうなのかということも併せて、伊勢湾、大阪湾のこの指定についての今後のスケジュールについて、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 現状でございますが、例えば混雑度を東京湾を一とした場合に、大阪湾は約〇・五、そして伊勢湾は約〇・三五といったような状況になっております。
ただ、それだけではなくて、例えば現在、船舶の通航の実態あるいは地形がどのようになっているか、そして船の流れ、船舶がどのように動いているか、あるいはどこで漁船が操業しているか、あるいは湾内の水深はどのぐらいあるのかとかいったことを全て調べた上で、あるいは災害発生時の船舶の安全確保のためにはどこに避難をさせたらよいのかといったようなことが主な調査の事項となると考えております。
○谷合正明君 分かりました。
そこで、伊勢湾、大阪湾と同様に背後地に多くの工業地帯を抱えていまして、また、船舶交通がふくそうしている海域というものがございまして、それは瀬戸内海でございます。瀬戸内海は海上交通安全法の適用海域でもございます。もっとも、瀬戸内海は、東京湾とか伊勢湾、大阪湾に比べて海域も広く、一元的な管制運用の構築には課題もあることは私どもは認識をしているんですが、さはさりとて、その瀬戸内海はじゃ、どうでもいいのかというわけじゃないと思いますので、瀬戸内海の海難事故の現状とその対策についてはどうされるおつもりなのか、この点について確認したいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
東京湾のように著しく海上交通がふくそうする海域では、非常災害時に船舶交通が一層混雑し衝突などのリスクが高まることから、今般、東京湾を指定海域とすることとしており、今後、同様のリスクが考えられる伊勢湾、大阪湾についても指定を検討しているところであります。
一方、お尋ねの瀬戸内海における海難発生状況につきましては、平成二十七年は五百八十七隻であり、そのうちプレジャーボート、漁船などの小型船舶が全体の約七割を占めております。また、小型船舶の事故原因としては見張り不十分が最も多く、約三割を占めております。
こうした小型船舶の事故を未然に防止するためには、操船者自らが安全意識を十分に持ち、適切な見張りの実施といった関係法令で定められている事項を遵守することが重要であると考えております。このため、海上保安庁では、船舶に直接訪問したり、あるいはマリーナ、漁協などにおける各種講習会などの機会を捉えて海難防止に関する意識の啓発を努めているところであります。
○谷合正明君 瀬戸内海につきましては、物流のいわゆる海上交通の拠点のみならず、プレジャーボートのような観光、レジャーを目的とした活用が一体となっているわけですね。特に瀬戸内海については、これから観光立国ということにおいてこの瀬戸内海を生かした観光政策を進めていくということでありますから、今回の法案とはちょっと趣旨が外れるかもしれませんが、特に安全対策についてはきめ細やかにやっていただきたいと。小さい船舶、たくさん瀬戸内海にあるわけでありますけれども、そうした対応もしっかりやっていただきたいと思っております。
次に、その船舶ということでいいますと、AIS、船舶自動識別装置についてお尋ねしたいと思います。
このAISの普及促進、それから義務化の検討についてお尋ねしたいんですが、AISというのは船舶の位置や速力などの情報をVHF帯の電波で送受信する装置であると。船舶間及び船舶と陸上の航行援助施設との間で自動的に情報交換が可能なものであるということでありまして、この装置がありますと、一元的な海上交通管制の効果を最大限発揮させるとともに、非常災害時においても船舶交通の安全性の向上を図るということにおいては非常に有用なものであると思います。
しかし、AIS、船舶自動識別装置につきましては、現在は国際航海に従事する旅客船でありますとか、国内航海に従事する場合は総トン数五百トン以上の船舶に限定してその搭載が義務付けられているということでございます。
本法案の提出の背景となりました交通政策審議会海事分科会の船舶交通安全部会の答申、平成二十八年一月の答申ですけれども、ここにおいてもAISの普及促進が盛り込まれているところであります。このAISの普及を進めるため、具体的にどのように取り組み、どのようなスケジュールで行っていくのか。また、AISを搭載義務化する船舶の対象についてどのように検討していくのか、この点について併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(坂下広朗君) お答え申し上げます。
現在、委員からお話ございましたように、我が国におきましては、総トン数五百トン以上の内航船にAISの搭載を義務付けておるところでございます。これまでに、搭載義務のない船舶にもこのAISを普及させるための横断的な取組として、総務省による免許手続の簡素化、水産関係団体によりますAISを搭載した漁船に対する保険料の一部補助等の措置に加えまして、普及促進のための啓蒙活動を関係省庁が連携をしながら講じてまいっております。また、AISの搭載を義務付ける対象船舶の拡大も検討することとしてございます。
AISを搭載した船舶でございますが、これ大幅に増加をいたしますと、特にふくそう海域では通信が混雑をして適切に情報を送受信できなくなるおそれがあるということが指摘されておりますので、今年度、このような影響に関する調査を行いながら、AISの搭載義務の対象船舶の拡大について検討することにしております。
○谷合正明君 お伺いしておりますと、日本国内でいうと五百トン以上なんだけれども、例えば韓国なんかで五十トン以上に引き下げたところ、かえってふくそうする海域においては通信が混雑してしまったという弊害もあったということなので、我が国の実情に合わせた形でしっかりと、対象を拡大していくというんだけれども、しかし、実情に合わせた形でやっていくべきだというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、航路標識の耐震補強、耐波浪補強等について伺いたいと思います。
これ、東日本大震災においても航路標識が大きな被害を受けたわけでございます。地震、津波によりまして、東北地方一帯の灯台などの航路標識が倒壊であるとか傾斜であるとか流出等の被害を受けました。
今後、南海トラフ巨大地震並びに首都直下地震を始めとする大規模地震・津波等の発生時においては、当然、海上輸送ルートの安全を確保していくということが極めて重要でございますから、こうした航路標識の安全性というのも極めて重要であります、安全性というか強度がですね。したがいまして、今後、この航路標識の耐震補強、耐波浪補強をしっかり着実に進めていくことは重要であろうと思います。
今後、この防災対策についてどのように進めていくのか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
海上保安庁では、今後予想される大規模地震・津波等の発生時において海上輸送ルートの安全確保を図るため、国土強靱化基本計画や社会資本整備重点計画に基づきまして、航路標識の耐震補強、耐波浪補強及び太陽光発電を導入した自立型電源化を進めているところでございます。
これまでの整備状況は、平成二十七年度までに、耐震補強が必要な航路標識二百二十九基のうち百八十三基を、耐波浪補強が必要な航路標識三百六基のうち二百四十七基を、自立型電源化が可能な航路標識五千二百四十四基のうち四千五百四十六基の整備を実施しているところであります。
今後とも、航路標識の防災対策について、耐震補強及び耐波浪補強は平成三十二年度までに、自立型電源化は平成二十八年度までに計画的に整備を進め、海上輸送ルートの安全確保に努めてまいります。
○谷合正明君 平成二十八年、平成三十二年に目標ということですけれども、その目標というのは一〇〇%ということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 耐震補強及び耐波浪補強につきましては、平成三十二年度までに一〇〇%を達成したいというふうに考えております。
ただし、自立型電源化につきましては、平成二十八年度末までに行いますが、これは一〇〇%はなかなか難しいと考えております。と申しますのも、太陽光パネルを置ける土地があるかとか、あるいは、太陽光発電で発電した電力で十分な電力が供給できるかといったような問題があるからでございます。
○谷合正明君 いずれにしましても、南海トラフ巨大地震、首都直下型地震のおそれがあるわけでありますから、この目標にしっかりと完遂できるように取り組んでいただきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わります。