○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
我が国では、毎年のように、地震、台風、火山、集中豪雨、大雪など、一旦起こってしまいますと甚大な被害をもたらす、そういう自
然災害が起きております。その中でも、今後想定されます首都直下地震や南海トラフ巨大地震津波など、大規模災害へのハード、ソフト
両面の対策は喫緊の課題であります。
例えば、今日は高知県のお二人の先生が質問されていますが、高知県の話をしますと、高知県では、南海トラフ地震が起きた場合、最
大で死者四万二千人、避難者は四十三万人と被害を想定しています。高知県では、これまでも津波避難タワーを目標の九割まで設置する
など、津波避難を最優先した取組を進めてまいりました。さらに、防災・減災を着実に進めるために、昨年八月に国土強靱化地域計画で
あります高知県版の強靱化計画を策定しまして、今後の施策の方向性が取りまとめられたところであります。このような動きはほかの県
にも広がっていると承知をしております。
一方、ただ、課題を挙げるとすれば、どこの都道府県も同様かと認識しておりますが、県レベルでの地域強靱化計画は策定が進んでお
るんですが、市区町村の動きはまだまだこれからというところではないかと思います。大規模災害のリスクの高い県でも同様な進捗状況
ではないのかなと推察するわけでありますけれども、国土強靱化基本法では各自治体が地域計画を策定することが求められております。
まず、国土強靱化地域計画の策定状況、特に市区町村レベルにおきます状況につきまして、内閣府からその状況について尋ねたいと思
います。
○政府参考人(河村正人君) お答えいたします。
地域計画につきましては、現在、二十二都道県、それから十三の市区町村で策定済みということでございます。それから、二十五の府
県、二十七市町村で策定中というふうに承知をいたしております。
以上でございます。
○谷合正明君 今数字をぱっと言われましたけれども、全体が千七百以上の自治体の中で、策定、都道府県の方はおおむねカバーしてい
るんだと思いますけれども、市区町村の割合は恐らくパーセントでいうと二%、三%ぐらいの話ではないかなと思っております。
担当大臣であります加藤勝信国土強靱化担当大臣はこの状況をどう認識されているのかということをまずお伺いしたいのと、実際、大
規模災害による最悪の被害を回避するためには、国とやはり自治体との連携も必要でありますし、自治体同士の横の連携も必要になって
くると思います。更に言えば、地域現場、生活現場というのは国ではなくむしろ県、県ではなくむしろ市区町村にあるわけでありますか
ら、それだけ市区町村版の地域計画の重要性というのは論をまたないわけであります。また、中身についても、住民から見て分かりやす
いような地域計画でないといけないのではないかと考えております。
そこで、地域計画の必要性に鑑みまして、技術的な助言など市区町村レベルの計画策定を国としても応援していくべきではないかと考
えますが、加藤国土強靱化担当大臣に取組について伺いたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 国土強靱化の取組は、そこで住んでおられる住民の皆さんの生命や財産を守るということにおいて非常に重
要な取組でもありますし、また一方で、そうした取組を通じて地域の経済にも、発展にも資すると、こういうふうにも指摘をされておら
れます。
それぞれの地域で主体的に進めていただくことが重要でありまして、国土強靱化基本法第十三条では、地域の計画については定めるこ
とができると、こういう規定になっております。それを踏まえて、都道府県では、今全ての都道府県において策定済みあるいは策定をし
ていただいている。
ただ、今委員御指摘いただきましたように、市区町村においては、多分千八百弱あるわけでありますから、それに対して四十というこ
とでいえば二%から三%ということで大変低い水準でもございますし、私も委員も岡山でございますが、岡山では岡山市のみしかまだ策
定をしていない、こういう状況、まあほかのところもほぼ同じような状況でございまして、しっかりとこれは地域計画を是非策定をして
いただきたい、こういうふうに思っております。特に、人口が多くて各種機能が集中することなど、大規模自然災害による影響が甚大な
政令指定都市等にまずは積極的に働きかけを行っていきたいと考えております。
今御指摘ございましたけれども、地域計画策定ガイドラインの策定や説明会の開催、あるいは専門家、我が内閣官房の人間を派遣をし
て行う出前講座などもやらせていただいておりまして、そういったことを通じて計画の必要性とともに策定手法をよく知っていただく、
あるいはそれをサポートしていきたいというふうに思っております。
また、加えて、やはり策定をするメリットということをしっかりと御説明をしていく必要があると思っておりまして、関係府省庁にお
いて関連する交付金や補助金で地域計画の実施にのっとったものはより応援をしていくということを考えさせていただいておりまして、
具体的には、平成二十七年三月以降に策定された地域計画については、平成二十八年度、すなわち来年度ということでございますが、か
ら順次適用されていくということでございます。これが適切に運用されるよう関係府省庁に働きかけるとともに、支援の効果等について
同時に見える化をして、その結果を地方公共団体に周知をしていく、こういうことを通じて市区町村でもこうした地域計画を早く作って
いく、こういった機運を是非促していきたいと思っております。
○谷合正明君 法律上はもちろん義務化ではないわけでありますが、この議員立法の趣旨としては、当然、市区町村レベルの地域計画の
重要性というのは、立法者の方は恐らくその重要性というのは認識していて、当然これが、速やかに計画が策定されることを期待してい
るわけでありますので、是非大臣におかれましては、今申し上げた、政令市をまず最初にという話もありましたしメリット措置というこ
ともありましたけれども、しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。
災害については、広域連携というものが非常に今重要になっておりまして、国土交通省でも広域地方計画を取りまとめたところであり
ますけれども、例えば中国地方と四国という、もう圏域を越えて防災の強化、ネットワークを図っていくということが今主流になってい
るのではないかと思いますが、そういう動きを鑑みましても、この国土強靱化の地域計画というのが本当に早く策定されるべきであると
いうふうに考えております。
それでは、地方自治体もそうなんですけれども、加えて、社会全体でこの国土強靱化に取り組んでいく上で大事なのは民間部門の取組
であります。企業など民間部門の主体的な取組が重要になってまいります。
企業の事業継続に関する計画、BCPと呼びますけれども、BCPを認証する国際標準規格、ISO22301を取得した国内企業は
二百社程度にとどまっていると聞いております。国際標準規格の取得に取り組めるのは、大企業であれば取り組めるんだと思うんですけ
れども、なかなかそういう企業ばかりでありませんから、もう少し我が国の実情に合わせた形でBCP策定への方策を考えるべきではな
いかと思います。
また、民間企業にとりまして、防災に取り組むことがどういう経済的メリットがあるのか、それを実感していただくことも重要である
と考えます。先ほども高知県での防災産業という話もございましたけれども、まさに高知県では、強靱化計画の中において、防災を強化
するだけでなく、防災関連産業の振興など地域活性化の政策を連動させたことが一つの特徴となっています。
特に地方においては、災害に対する脆弱性に加えて、人口減少問題だとか地方経済の衰退といった課題も同時に抱えているのが実情で
ございますから、強靱化への取組を、地方創生ですから、経済成長につなげていくということも、今後、民間の取組の裾野を広げていく
ためにも重要であると考えます。
以上、民間企業の取組を促進していくために政府としてどのように対応していくのか、加藤大臣に伺います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘があり、先ほど御答弁申し上げましたように、こうした国土強靱化の取組というのは地域の経済の
成長、発展にも資するものというふうにも認識をしております。また、そういう中で、国や地方公共団体のみならず、民間企業等々が取
り組んでいただくということが大変重要であり、その促進を図っていきたいと考えております。
そういう中で、今委員御指摘がありました事業の継続性ということに関しては、ISOの基準というのがあるわけでありますけれども
、これは非常に高い水準であり、なかなか取得に当たっては多額の費用が掛かるというふうにも承知をしているわけでありまして、そう
いう意味でも、言わばそこまでいかなくてもまずその手前ということで、災害発生時に個々の企業等が自らの事業を継続をしていく、そ
うした中で被害の拡大、また迅速な復旧復興にもつなげていく、こういう観点で事業継続に積極的に取り組んでいる企業等を国土強靱化
貢献団体として第三者が評価、認証する仕組みを構築することとしております。
こうした取組の更なる普及促進をまず図っていきたいと思いますけれども、同時に、そうした取組があるということはまだまだ周知さ
れていないわけでありますので、周知広報を努めながら、また、こうした認証制度によって認証されたことが実際のビジネスの中で活用
されていかなければならないわけであります、そういったことも含めてしっかり取組をさせていただきたいと思っております。
また、そうした事業継続の取組に加えて、国土強靱化に役立つ商品やサービスを開発し提供していただく、また帰宅困難者への支援等
の社会貢献をする、様々な形で企業もあるいは民間団体もお考えをいただいております。こうしたことを取りまとめた民間の取組事例集
、これを作成をし、周知し、また必要に応じそれを改訂をするという形でしっかりと広報に努めていきたいと思っております。
いずれにしても、災害に強くしなやかな国づくりに向けては、もちろん国、地方公共団体、さらには民間等、まさにオールジャパンで
取り組んでいくことが必要だと思います。
○谷合正明君 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に移ります。世界津波の日の制定に関してであります。
昨年十二月、国連総会で、十一月五日を世界津波の日として制定することが全会一致で採択されました。今後、津波の脅威についての
関心が国際的に高まり、その対策が進むことが期待されますので、そういう意味で大変喜ばしいことではないかと思っております。これ
をてこに、一層国内の防災意識の向上、また国際防災協力に努めていくべきであると考えております。
その一つ目の国内における防災ということについて河野大臣に伺いたいと思うんですが、特に防災教育の重要性というのはよく指摘さ
れるところであります。これ、児童生徒への防災教育の重要性というのはよく指摘されるんですけれども、当然、子供だけじゃなくて地
域全体、住民全体の防災意識を高めていく必要があるわけです。国民一人一人が津波災害の備えがどうなっているのか常に振り返ってい
くことが大切であると思っております。家庭や職場、学校ですとか、よく使うような施設とか、あるいは公共交通機関ですとか、様々な
、多様な主体を巻き込んだ形で、身近なところから具体的な防災訓練というのを地道に展開していく以外にないんじゃないかと思うんで
す。
昨日も、首都直下地震に備える応急対策活動計画が取りまとめられまして、国民への協力要請というのも入ったところでありまして、
ますます防災訓練であるとか防災教育というんですかね、これの重要性というのは高まっているんだと思います。とはいえ、なかなか、
その重要性は理解するけれども参加するまでに至らないという人も結構多いわけでございまして、今回の世界津波の日制定をてこにしま
して、大臣が先頭に立って津波などの大規模災害への防災の取組の裾野を広げていただきたいと思っております。
大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) ありがとうございます。
本当に大勢の皆様のおかげで国連で津波の日が採択されることになりまして、これを一つのきっかけに、国内はもとより海外にも、こ
の津波防災の大切さ、日本が先頭に立って訴えていかなければならないというふうに思っております。
津波は、とにかく早く高いところへ逃げるというのが、これが一番の基本でございます。そういう意味で、様々な地域や職場の防災訓
練の中でこうしたことを取り入れていただいたり、今、八月に行おうと思っております防災国大、正式には防災推進国民大会、略して防
災国大というふうに申し上げようと思っておりますが、今年は東京で開催をさせていただきますが、そうした中でしっかりと取組をやっ
てまいりたいというふうに思っております。
今日は高知県の話が多いんですが、前回、高知県に視察に行きましたときに、南国市、土佐市の防災津波タワーを拝見をいたしました
が、日頃からそこの辺りを散歩をしていただいて、大体どこからだったらあの津波タワーまで何歩で行ける、何分で行けるというのを、
もう何というんでしょうか、散歩の中の感覚で大体分かるようになっている方というのが結構いらっしゃるということでございますので
、南海トラフあるいは首都直下地震、津波が来るぞと分かっているときには、ただただ津波タワーを整備しましたというだけでなく、そ
こら辺を散歩に使っていただくとか、あるいは行事のときにその津波タワーを使っていただいて、日頃からそこへ行く、その道筋、距離
感というのが分かっているというのが非常に大事だと思っておりますので、そうした取組をいろんなところへお知らせをして、高知県だ
けでなく各地でそういうことに取り組んでいただきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 大臣の答弁を聞いていまして、やはり防災というのも訓練というのも、年に一回やればいいという話ではなくて、やっぱ
り生活のふだんの中に溶け込ませるというのが非常に重要なんだなというふうに思いましたし、八月に防災国大ですか、あるということ
でございますから、しっかり大臣の発信力を生かしてどんどん引っ張っていただきたいというふうに思っております。
次に、国内の話だけじゃなくて、海外への発信について外務省に伺いたいんですけれども、国連の制定するいわゆる何とかの日という
のは、私、数えたことはないんですけれども、恐らく毎日何かしらあるんだと思うんですね。毎日のようにありますから、何といいまし
ょうか、国外に向けての発信というものを国連任せにせず、我が国が計画的、主体的に取り組む必要があるんじゃないかなと思うわけで
あります。
実は、昨年秋に、私は中東のパレスチナのガザ地区行ったんですけれども、中学生の子供たちが津波という言葉を、日本語をそのまま
知っておりまして、東日本大震災があったということもよく知っていたんですね。もちろんあの地域は津波が起きる地域とは思えないん
ですけれども、そのぐらい、何というか、この津波ということが今回の国連で全会一致で採択されたということは、津波の危険性のある
国のみならず、それを超えて共有されたという話でありますから、今回は、この津波の日を一つのきっかけにしまして、是非その普及に
ついて努めてもらいたいと思っているんです。
〔委員長退席、理事山谷えり子君着席〕
二点目は、実際に、この津波の日は、昨年仙台で開催された国連防災世界会議での成果ですとか、あるいは秋の国連総会で全会一致で
採択された二〇三〇年に向けた持続可能な開発のための目標、いわゆるSDGsですけれども、これらの実行を後押しするものでありま
す。したがって、大臣所信でも我が国の防災技術や防災体制を世界と共有するというふうに述べられているんですけれども、具体的に取
り組んでいくということが求められていくんだと思います。
以上申し上げましたけれども、外務省に、国際社会へのこの度の世界津波の日、この発信についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(豊田欣吾君) お答えいたします。
世界津波の日を制定する決議につきましては、先ほどからお話がありましたように、昨年三月の第三回国連防災世界会議のフォローア
ップといたしまして、昨年十二月の国連総会におきまして百四十二か国の共同提案国を得て採択されたところでございます。これを受け
まして、日本といたしましても、津波に対する意識向上のための啓発活動、あるいは津波対策の強化等に取り組んでいく所存でございま
す。
今週でございますけれども、まさに現時点におきまして、二階俊博議員を始めとする有志国会議員の方々が今後の取組について発信す
べくニューヨークを訪問されていると承知しております。
外務省といたしましても、有志国会議員の方々に加えまして、津波関心国や国連国際防災戦略事務局等とも連携いたしまして世界各地
におきまして啓発イベント等を行い、我が国の知見、経験や津波防災の重要性について精力的に発信をしていく考えでございます。
○谷合正明君 もちろん政府任せにいたしませんので、我々国会としても、国会議員がこういう取組を世界に発信していきたいと。海外
に出張する際には、こういうちょっと、世界津波の日が制定されたということを意識しながら我々も取り組んでいきたいというふうに思
っておるわけであります。
〔理事山谷えり子君退席、委員長着席〕
さて、次の質問なんですが、南海トラフですとか首都直下型地震のような、そういうとき、緊急災害対策本部が立つような災害だと思
いますが、こういう災害のときに我が国から例えば海外の医療機関とかに救助要請するということはなかなか想定しづらいと思います。
我が国は基本的には自己完結でできるんだと思います。とはいえ、実際、東日本大震災であるとか阪神・淡路大震災のときは海外から人
や物の支援のオファーというのがあったと思います。
そういうときにどういう、特に医療チームについてお伺いしたいんですけれども、海外からの医療チームの受入れをどういうふうに検
討して、受入れ体制、どのように政府内に置いていくのかということをまず確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(加藤久喜君) お答えいたします。
大規模な災害が発生いたしまして甚大な被害が発生している場合は、災対法に基づきまして今お話のございました緊急災害対策本部を
設置をいたしまして、政府が一体となって人命救助等の災害応急対策を実施するという形になります。
お話のありました海外からの支援の受入れでございますけれども、今申し上げました緊急災害対策本部事務局、ここに内閣府、法務省
、外務省等の関係する省庁の人員を派遣をいたしまして、海外支援受入れ班というものを設けまして、その中で調整をしながら受入れに
ついて調整を図っていくということでございます。
○谷合正明君 ちょっと、過去、どういう国からどういう活動があったのかという、簡単に実績を紹介してください。
○政府参考人(加藤久喜君) お答え申し上げます。
海外からの、東日本の実績でございますけれども、イスラエル、ヨルダン、タイ、フィリピン、四か国の医療チームが、三月の二十九
日以降、宮城、福島、岩手の各県に、それぞれ十日間から二十四日間程度、医療活動を実施をしたところでございます。
内容でございますけれども、イスラエルのチームは主に内科系の検査診断、ヨルダンチームはエコノミークラス症候群等の検査診断、
タイチームでは内科と小児科の診療、フィリピンチームは在日フィリピン人とその家族に対する心のケアを行ったということでございま
す。
○谷合正明君 なぜこういう質問しているかというと、実は昨年、徳島県を訪れる中で次のような要望をいただいたんですね。それは、
日本の医師免許を持たない外国人医師が実際被災地で医療行為を行う際にスムーズに行えるようにしてもらいたいという要望だったんで
すね。
というのは、これ補足しますと、昨年、徳島県と高知県はそれぞれ、民間の医療NGOである、岡山に本部があるAMDAと連携して
おりまして、南海トラフ巨大地震を始め大規模災害発生時において医療救護活動をするという協定を結んでいるわけですね。AMDAは
、避難所等においてボランティア医師や看護師による医療救護活動を行うという内容でして、早期段階での緊急医療の提供や避難所等で
の災害関連死を防ぐため、長期的、継続的な支援が期待できるというように県としては捉えております。
ところが、AMDAのような国際医療NGOの中には、医師が必ずしも日本人のみならず、国際的なネットワークがありますので、場
合によっては日本の医師免許を持たない外国人医師もいわゆる被災地で活動するということも考えられるわけですね。医療通訳の手配が
整うとか、そういう条件も必要だとは思いますけれども、そういうことが実際起こり得るんだと思います。しかし、医師法上、外国の医
師資格を有する者であっても、我が国において医療行為を行うためには我が国の医師免許を持っていなければならないとなっております
。
そこで、昨年、地方から国への提案の中に、日本の医師免許を持たない外国人医師が被災地で医療行為を行う際に、その違法性を阻却
できるようにとの項目があったところでございます。今後、緊急災害対策本部が立つような大規模災害の際に無用な混乱を避けるために
、政府の対応、見解というものを確かめておきたいと思っております。
○政府参考人(梅田珠実君) お答えいたします。
医療の提供は、患者の生命、身体に直接影響を及ぼすものであることから、医師法によりまして、外国人医師であっても日本の医師免
許を有していなければ日本で医療行為を行うことは認められておりません。しかし、東日本大震災や阪神・淡路大震災など緊急的な大災
害の際には、日本の医師免許を有していない外国人医師が被災者に対して必要最小限の医療行為を行ったとしても、医師法違反の違法性
が阻却され得ることを示す事務連絡を発出してまいりました。このことは、政府派遣の医療チームであってもNGOチームであっても同
様でございます。
今後、大規模災害が起こった場合には、昨年十二月に閣議決定されました平成二十七年の地方からの提案等に関する対応方針に従いま
して、同種の事務連絡を可能な限り迅速に発出するよう努めてまいりたいと考えております。
○谷合正明君 分かりました。違法性が阻却されるということで、明確にしていただきました。
なお、外務省さんにお尋ねしたいんですけれども、日本はよくアジアとかアフリカで災害が起きたときに真っ先に国際緊急援助隊チー
ムを派遣したりするわけですけれども、そこで医師、自衛隊の医務官なんかも活動するんですけれども、そのときに医師法上というか医
師免許の問題で問題になるようなことはないと私は認識しているんですけれども、そこはどういうロジックで違法性が阻却されているの
かということを確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(豊田欣吾君) お答えいたします。
我が国は、海外において大規模災害が発生した場合、国際緊急援助隊の派遣に関する法律に従いまして、被災国政府からの医療活動の
支援要請に応じて国際緊急援助隊医療チームを派遣しているところでございます。この点、派遣は不測かつ緊急時に行われるため、被災
国における被災国内の法令を明示的に確認しているわけではございませんが、被災国政府からの支援要請に基づく派遣であり、したがい
まして、同チームによる医療行為が被災国政府から認められたものであることを踏まえれば、その要請の範囲内での活動を行う限りにお
きまして被災国との関係で問題が生じることはなく、実際にもこれまで派遣した被災国との間では問題は生じてございません。
なお、WHOの災害時における外国医療チーム用ガイドラインにおきましては、外国医療チームのメンバーが自国における適切な医師
免許を有することを求めております。我が国医療チームは当然にこれを遵守し、派遣時には医師免許証の写しを携行しているところでご
ざいます。
○谷合正明君 分かりました。要請主義に基づいている限り、違法性というのはないんだということでございました。
以上、国土強靱化計画、世界津波の日の取組、国際的な医療受入れ体制について質問をさせていただきました。国のみならず、県や市
町村、民間企業、住民など、関係する主体者が縦の連携と横の連携を図り、状況によっては国際的な連携も図りながら防災力を高めるべ
きであると申し上げまして、質問を終わりたいと思います。