【No.8 2010年3月8日】
表皮水疱症の少女の闘い(1)‐署名活動のはじまり
表皮水疱症という難病を知ったのは昨年11月。
岡山県玉野市役所の一室で、「表皮水疱症友の会」玉野支部代表である藤原美和さんからお話を伺った。
全国に1000人近い患者さんがおられ、うち500人は重度の患者。
そのうちの一人が藤原さんの9歳の長女だ。
表皮水疱症とはわずかな接触や刺激によって、全身の皮膚や粘膜に水疱やただれができる遺伝性疾患。皮膚がとても弱く、出血もしやすく、生死にかかわることから、全身をガーゼで手当てし、包帯を巻いている。「ガーゼや包帯は皮膚の一部です」と、藤原さん。
1回につき9メートルの包帯約10本を使用。これを1日2回交換する。
ガーゼと包帯を取り換えるのに、娘さんに付きっきりで時間もかかる。「娘のために私が病気で倒れるわけにはいかなかった」と藤原さんは振り返る。
介助の大変さだけではない。3歳までの幼児の時は、デリケートな皮膚を守るため特別なガーゼを使うので毎月20万円程度、8歳ぐらいまでだと毎月15万円、今でも毎月10万円ぐらいの負担をしているという。
難病に指定されているため医療機関での治療は公費助成があるが、藤原さんはじめ患者、家族の皆さんの悩みは、そのガーゼや包帯が自己負担となっており、負担が重くのしかかることだった。
ガーゼや包帯は、皮膚を守るというよりも、いのちを守るために毎日必要なのに、なぜ保険適用でないのか。経済的負担が重荷になって、一番使いたい種類のガーゼをあきらめる患者もいる。ガーゼを当てている時にかゆみを我慢できなかったり、ガーゼを皮膚からはがす時、強烈な痛みが伴ったりするから、非固着性のシリコンガーゼが望ましいのだが、高価なのだ。
そこで公費助成を求め、患者・家族の方が署名を開始したのが、昨年6月。このとき玉野市在住の藤原さんをサポートしたのが、公明党玉野市議団だった。党員も快く署名に協力してくれた。長女の同級生や家族、地域の皆さんも全力で応援してくれた。
(谷あい)