【No.5 2010年2月26日】
「ちょっと議員さん、聞いてください!」「こんな問題があるんです!」
25日、都内の専門学校で実施されている「訓練・生活支援給付制度」の視察をしていた時のひとコマ。私と鰐淵参議院議員は、複数の受講生から直接呼び止められました。
訓練・生活支援給付制度は、3か月単位の職業訓練を無料で受講でき、かつ条件を満たす方には月最高12万円が支給されるコースです。昨年の夏以降は、長期失業などして失業保険を受けていない方も対象になっています。
この制度は、2年前、私が党雇用格差是正対策本部の事務局長をしていた時に、当時の舛添大臣に申し入れしたことがきっかけで生まれた制度です。生活保護、失業給付のどちらにも対象にならない求職者を救うセーフティネットとして注目され、今の政権でも、雇用対策の中心になっている制度です。
私は受講生の声を聞きました。
「3か月の職業訓練が終わるが、就職が決まっていないので、今後の行き先がない。」
「訓練が終わった途端に、給付も終わるので、家族を養えない。」
「職業訓練と就職支援がつながっていない。」
「職業訓練コースの申込者が多く、希望してもコースを受けられない。」
「保育資格を取得するには3か月のコースでは短すぎるので、長期コースが必要だ。」
「企業側にこの訓練コースの認知が全くなく、修了したことがアピールポイントにならない。」
「給付の対象要件が複雑すぎて、ハローワークの人でも正確に説明できない。」
「心のカウンセリングを必要とする人もいるが、そうしたケアは提供されていない。」
「来年4月からは本制度が恒久化されるが、その仕組みが一切現場に伝わっていない。」
「事業仕分けの結果、雇用能力開発機構主催の職業訓練コースが4月から取りやめになってしまった。仕分けするのは結構だが、現場で行き先がなく苦しんでいる人のことを分かっているのか。」
そうした受講生の声を聞きながら、なぜ、私たち議員が呼び止められたのかが分かった気がしました。
家族を養いながらの受講は皆必死です。この制度を活用して就職したいと皆、望んでいます。だからこそ、制度の改善を訴えたかったのだと思います。
突然、職を失うことがどれほど大変なことか。ましてや家族を養いながら職を失うことがどれほど大変なことか。リストラされた経験のある私は、痛いほどわかります。
リストラされたことがない、ハローワークに行ったことがない、確定申告もしたことがない、お金に困ったことがないという、今の総理はじめ有力政治家に、仕事を求めて必死になっている人の気持ちがどれだけ分かるのか。
最近は鳥取、島根をチベットに例えて場内から笑いを取ろうとする軽薄な政治家がいました。人を傷つけることを何とも思わない、庶民感覚のない政治家が、政権や党の中枢にいる今の政権では未来がありません。
良い政治をしようと思えば、良い政治家を選ばなければならない。やはり日本政治の根本治療のために、行きつく先は政治家改革だと確信しています。
(谷あい)