○谷合正明君 公明党の谷合です。
行政監視委員会では、毎国会、総務省の行政評価局の調査結果の報告を受けて、またその報告に基づいて質疑も行っているところでございます。これは参議院の独自性ということを考えていく上でも極めて重要な取組であると私は思っております。
その総務省の行政評価と政策評価と並びまして、連動したPDCAサイクルが一つあります。それは行政事業レビューでございまして、行政事業レビューは行革推進本部の方でこの事業を担当しているということでございますから、今日は有村担当大臣にこの行政事業レビューの改善につきまして質問をしたいというふうに思っております。
今、政府におきましては国の全ての事業、約五千の事業につきまして各府省が行政事業レビューシートを作成しております。国からの資金の流れ、資金の受取手を把握して、事業改善に向けた自己点検の結果と併せてオープンにする行政事業レビューの推進に取り組んでおります。このことは、私ども公明党といたしましても行政の見える化を推進しております。これをしっかりと、この取組を評価するとともに、更なる改善というものを期待しているわけでございます。
そこで、まず最初にお伺いしますけれども、予算執行の透明化と併せて、行政事業レビューを実際にどのように具体的に成果に結び付けたのか、無駄の削減につなげたのかということも重要だと思っておりますが、行政事業レビューの具体的な成果とまた今後の取組について大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(有村治子君) 谷合委員にお答えいたします。
安倍内閣は発足以来、行政事業レビューの改善を行い、無駄の撲滅に取り組んでおります。行政事業レビュー、御指摘のとおり、改善を不断に行って、その効力、実効力を高めていくことが肝要だと思っております。
平成二十六年度には、行政改革推進会議の下で、地方創生や女性活躍といった安倍内閣の重要施策も聖域としないという立場を明確にいたしまして、結果として、各省庁が出した予算の概算要求時からの削減額は一千億円となりました。また、各府省が所管する、あるいは深い関係を持つ公益法人百七十四基金全てにその在り方の適正性の再点検を求めまして、昨年十月以降、新たに三千億円を超える国庫返納を確保したところでございます。
無駄を生み出す構造に切り込むためには、今年度また新しい取組として、今までやってきた秋のレビュー、公開プロセスなどで取り上げたテーマが経年でどうなっているのか、本当に政策効果が複数年度見たときに上がっているのか、どのように改善できるのかということを検証する新たな取組を開始いたしました。現在、具体的には後発医薬品の使用促進について審査、調査を進めているところでございます。
このように、行政事業レビューそのものの精度を上げながら、全体としてそのレビューの意思決定あるいは予算効果に対しての効果性を高めていくということに力を入れていきたいと考えております。
○谷合正明君 我が党といたしまして、三月二十七日に、行革推進本部公会計・行政評価委員会といたしまして、更なるこの行政事業の改善につきまして提言をさせていただきました。有村大臣に直接手交をしたところでございますけれども、それに関連して質問していきたいと思うんですけれども。
行政事業レビューと、もう一つの政策評価ということで冒頭申し上げましたけれども、行政事業レビューの対象というのは事業そのものであって、政策評価というのは政策、施策に対する評価であると。行政事業レビューは行革推進会議が中心となって進められておりますし、政策評価は総務省が所管していると。総務省の方は、これは法律に基づいてやっているわけであります。行政事業レビューは法律に基づいていないと、そんな違いもあります。その違いもあるんですけれども、これらの取組、更なる成果を上げていくためには、結局やっぱり両者が有機的に、また緊密に連携し合っていくことが極めて重要ではないかというふうに思っています。
この点につきまして、政策評価におきましては、目標管理型の政策評価、いわゆる定性的な目標じゃなくて定量的な目標をしっかり掲げて政策をフォローしていくということなんですけれども、その中では、行政事業レビューシートとの共通化を図る、共通番号ですね、番号を付与してしっかり連携強化に向けた取組をしているわけでありますけれども、行政事業レビューにおきましては、やはり単に事業そのもの単体に注目するのではなくて、その上位にあります施策あるいは国の重要な戦略の中での事業の位置付けというものを明確にしていく必要があるんだと思うんですね。
ですから、木を見て森を見ずというような行政事業レビューになってはいけないんだと思うんですけれども、事業と政策、施策、戦略等との整合性、事業の優先順位を点検していくべきではないかと思うんですけれども、大臣の見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(有村治子君) 大事な御指摘をいただいていると認識をしております。
今年三月、御党公明党から申入れをいただきました際にも、事業レビューと政策評価の連携強化をすべしと、大変具体的に、また改善の伸び代があるところを御指摘いただいたと思っております。
御紹介いただきましたとおり、五千の事業を対象とする行政事業レビューは行革事務局が、またその一方で、その事業五千の上位の五百の政策を対象とする政策評価は総務省が、それぞれ制度を所管しております。この両者の連携を一層強化してレビューにおいての政策評価のデータなどを活用することによって、上位の政策との整合性、事業の優先順位を意識した点検を行うということが極めて大事だというふうに認識をしております。また、そのときには、御紹介いただきましたように、定量的な目標をしっかりと定めていただくということも各府省挙げて徹底していただくように努めてまいりたいと存じております。
○谷合正明君 次に、行政事業レビューシートに記載される成果目標について伺ってまいりたいと思います。
〔委員長退席、理事石井みどり君着席〕
事業の成果、有効性の的確な点検を通じPDCAサイクルの実効性を強化するためには、適切な成果目標、アウトカムが設定されるということが重要であります。しかしながら、行政事業レビューシートにおきましては、アウトカムとアウトプットが混同している例、あるいはアウトカムが記載されていない例というのが見受けられるわけであります。この点については改善の余地が大きいと思っております。
アウトカム、アウトプットというのは、よく私も混同してしまうんですけれども、例えば交通安全の推進という施策があれば、その交通安全の推進という施策を構成する歩道の設置という事業があるとすれば、歩道を年度内に何メートル設置するというのがアウトプットであって、その成果として交通事故件数が減少するということがアウトカムだというふうによく言われます。
今日は、お手元に参考に資料をお配りさせていただいております。これは平成二十五年度の文部科学省の国立博物館施設整備に関してのレビューシートなんですけれども、平成二十五年度、平成二十六年度をちょっと比較して図を作ってみたわけでありますが、平成二十五年度のときは、成果指標それから活動指標、このアウトプット、アウトカムのところですけれども、本来アウトカムのところはアウトカムらしい成果指標を書かなきゃならなかったんですけれども、実はアウトプットと同じことが書いてあったんですね。改修を行う箇所数、これがアウトカムにも出てきますし、アウトプットにも出てきたということであります。やはり改善する必要があるということで、平成二十六年度の行政事業レビューシートにおきましてはアウトカムのところは入館者数ということで、変わったわけでございます。
そこで、こうしたことがほかにも、私、全部シートをチェックしたわけじゃありませんけれども、このようにやはり適切な成果目標、アウトカム、これを設定していくことが極めて重要ではないかなというふうに思っているわけでありますけれども、有村担当大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(有村治子君) これも御党公明党からいただいた申入れで具体的に御指示いただいたところでございます。全くもってここは改善の余地があると、そして改善に向かって一歩を踏み出しております。
やはり、税金の効果的な再配分や無駄の撲滅を実行していくためには、個別の事業について具体的、適切な目標が設定され、その達成やいかんということで厳格な点検が行われることが重要だと考えております。
そういう意味では、御指摘いただきましたとおり、国費などの資源、予算や施策を投入して行政が生み出した第一義的、直接的な効果、インプットに対するアウトプットは何なのか、また、行政活動そのもの、アウトプットによって結果的に社会にどのような成果や最終的な効果、効用をもたらしたのかということを指示するアウトカムとを混同しているような事例がまだまだあります。これは早急に改善していかなければなりません。
このため、今年三月の行政改革推進会議において、適切に定量的な成果目標の設定を徹底すること、また、自己点検を厳格化するための改善策を取りまとめました。
このため、実務的な周知徹底を図る観点からも、現在、行革事務局として、各府省の行政事業レビューの担当者、会計担当者が多いというふうに伺っておりますが、アウトプットとアウトカムの違いを含め、適切な成果目標の設定の仕方、また、そのレビューのありようということに対して研修を実施しております。
御指摘を踏まえて、今後とも各府省における実効力を高める努力を努めていきたいと思っております。
○谷合正明君 この点につきましては、国の事業を委託、受けてやっているNPO団体等からも、やはり国の方はどうしてもアウトプットの成果を要求してきて、アウトカム、本来目標にしていかなきゃならないものが結構追求されないまま事業消化を求められることがあるということで、やはり国の事業レビューシートでありますけれども、これがしっかり改善されるということは、ほかの分野というか、いわゆる国の事業を一緒にやっているようなNPO団体等にもこれは極めて私は効果があると思っております、ということは一点お話しさせていただきたいと思います。
〔理事石井みどり君退席、委員長着席〕
今日は、日本年金機構の不正アクセス事案に関連しまして、厚生労働省の審議官に来ていただいております。
本案件は極めて百二十五万件という膨大な個人情報の問題でありますから、この短時間で全容を明らかにできるということではないんですけれども、このPDCAサイクルという観点の中、今日はちょっと私自身、厚生労働省にただしておきたいことが一つあります。
それは、厚生労働省審議会部会で年金機構の個人情報保護の取組が五年連続C評価であったというふうになっているわけであります。C評価というのは、実は五段階で下から二番目ということでありました。計画をやや下回るということが五年も続いているということなんです。
私は、これ信じ難いんですけれども、なぜ五年も連続してC評価のままこれが放置されてきたのかということを、監督官庁であります厚生労働省から、まずこの事実関係と今後の対応について伺っておきたいと思います。
○政府参考人(樽見英樹君) 日本年金機構の業務実績に係る評価ということでございますけれども、毎年度、年金機構が策定いたします年度計画の達成状況について、その実績報告それから自己評価というのを出していただきますけれども、それを基に私ども厚生労働省で評価を行いまして、社会保障審議会の年金事業管理部会、今先生がおっしゃいました審議会の部会というのはこれでございますけれども、そこに諮問いたしまして決定をしているところでございます。
御指摘のとおり、個人情報保護に関する事項については、五年連続C評価ということになっております。判定基準は、S、A、B、C、Dの五段階ということでございますので、Cは計画をやや下回っているということで、下から二番目ということになるわけでございます。
私ども厚生労働省としては、年金機構に対しまして、個人情報の適正な保護あるいは管理というところに向けて確実な取組の実施を図るということを指示をしているというところでございます。
なぜ五年連続でCになっているのかということでございますが、この社会保障審議会年金事業管理部会でこの評価について諮問して御審議を経て決めているわけでありますけれども、そこでの個人情報保護の取組についての議論、どんなことが出ているかといいますと、ポイントは、個人情報の漏えい、漏えいといっても今回のことではなくて、典型的には、郵便物をたくさん年金機構は送っているわけでございます。郵便物をたくさん送っているわけでございますが、それが、例えば宛名が間違っちゃって別の家に届いてしまうといったような誤配送、これの件数がなかなか毎年減らないということで、このC評価になっているというところでございます。
具体的には、個人情報漏えいの再発防止策の徹底、これはどういうことかといいますと、ファクスは使わないとか、それから封入、封緘、封筒に物を入れるときには担当した人の確認印を必ず押すとか、あるいは送付物についてダブルチェックするとか。社会保険庁時代に比べましてこういうところをしっかりやろうということで取り組んでいるわけでございますけれども、実は個人情報の漏えい件数が二十五年度までなかなか減っておらないということでC評価ということになっているということでございます。
今後も日本年金機構におきまして、こうした誤送付の防止に向けた発送プロセスの見直しというものを今進めているところでございますので、これをしっかりやっていただく。それから、何よりも今回は百二十五万件と大変大きい数の情報流出ということを招いてしまいました。これの事案の検証と再発防止に全力を尽くすように私どもとしても指導いたしまして、個人情報保護を徹底するよう強く取り組んでまいりたいと思います。
○谷合正明君 時間が限られておりますので、続けて審議官にちょっと確認したいんですけれども。
私は、要するに問題意識は、評価をしているのにそれがなぜ改善されないんだということなんです。この評価、勧告、勧告権はないのかもしれませんが、この実効性の問題と、もう一つは、今回は個人情報保護の問題なんだけれども、通知送付のところが指摘されて五年間C評価だという話だと思うんです。しかしながら、情報セキュリティーの方はどうなのかと。情報セキュリティーの方は確かにこれ指摘ないんですけれども、それは問題がなかったから指摘がないのか、あるいはただ単に見落としていたから指摘がないのかという、極めて大事な点だと思うんですね。
ですから、その評価、勧告の実効性を今後どうしていくのかということと、情報セキュリティー対策の評価もしっかり検証する必要があるのではないかということでございまして、審議官に改めて答弁願いたいと思います。
○政府参考人(樽見英樹君) まさにPDCAということでございまして、この個人情報、先ほど申し上げた専ら議論になっている誤配送というところについては、二十二年度にスタートしてから、二十二、二十三、二十四と実は増加をし続けたという状況がございます。ただ、二十五年度から減少へ転じておりまして、これは先ほど申し上げたような複数人のチェックとか確認印を押すとかファクスは使わないといったようなことを徹底し始めて減少し始めておりますので、こういうものについて引き続きしっかりやっていくということで、二十六年度の評価を間もなくやるわけでございますけれども、そういう中でのチェックをしていこうというふうに考えております。
それから、情報セキュリティー対策についてもこの評価の中に入っておるわけでございます。評価の視点という中に、例えばアクセス制御あるいはアクセス内容の監視、セキュリティー対策の順次の実施といったようなことをちゃんとやっているかということが入ってございます。
したがいまして、私どもとしてもそういうものについては見ているということでございまして、ただ、結果的に申しますと、例えば今回の情報の流出のことにつきまして、例えば情報にパスワードが掛かっていなかったというようなところがございます。この辺については反省すべきところというふうに思っておりますので、私どもも含めてこれからますます気を付けてやらなければいかぬというふうに思っているところでございます。
○谷合正明君 最後に一言、監督官庁としてしっかりと日本年金機構、特に情報セキュリティーの対策については評価、検証をしっかりしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。