谷合正明参院議員に関する記事が、このほど公明新聞に掲載されましたので、転載します。
ジビエの味わい――地方資源を利活用/<上>/農山村おこし
今、ジビエ(■)がブームを呼んでいる。都心では、ジビエ料理を扱う飲食店が増加し、農山村では、鳥獣被害の防止と地域活性化の一挙両得になるとの期待から、利活用へ向けた試みが進んでいる。ジビエを取り巻く現場の動きを追った。
『工夫一つで絶品料理/衛生管理の指針づくり進む』
「硬い」「臭い」「おいしくない」。牛や豚などの食肉と比べて、そう思われていた野生鳥獣のイメージが大きく変化している。長野県茅野市蓼科の山あいで、シカやイノシシといったジビエ料理を提供する宿泊付きフレンチレストラン「エスポワール」。藤木徳彦・オーナーシェフの自慢の一皿は、シカ肉のロティ(ロースト)だ。
オーブンで焼き上げられた肉を一切れ口に含むと、驚くほどにジューシーで柔らかい。臭みもほとんどなく、野生の獣とはとても思えない絶品だ。「ジビエをおいしくする最大のポイントは、低温でじっくり火を入れること」。藤木シェフは、火加減の工夫でシカ肉のうまさを引き出した。
藤木シェフは自らの店で腕を振るう一方、日本ジビエ振興協議会の会長としても精力的に活動する。ジビエ普及との関わりは、2004年に長野県諏訪地方事務所から「食材の乏しい長野の冬でも、観光客に喜んでもらえる地方料理をイベントで紹介してほしい」と、依頼を受けたのがきっかけだった。
ここで提案したジビエ料理が関係者の間で好評を博したことから、本腰を入れてジビエを使った地域活性化活動を開始。国にはジビエの衛生管理ガイドライン(指針)がなかったため、07年に長野県と協力して県独自の指針を作成。これまであいまいだった地方自治体や猟師、獣肉処理施設の衛生管理に関する責務が明確になり、ジビエ普及への道筋をつけることができた。
すると、駆除した野生鳥獣の活用を長野県に習おうと、県外から衛生指針作りやジビエ料理でアドバイスをもらいたいとの依頼が相次ぐように。助言した県や市町村を含め、現在では34の地方自治体が指針を作成。全国でジビエの利活用が加速した結果、「『ジビエを食べて美肌になろう!』といった特集を組む女性誌もある」(日本ジビエ振興協議会の鮎澤廉監事)ほど、一般に浸透してきている。
一方、国レベルでも全国統一のジビエ衛生管理指針を策定中だ。公明党の谷合正明参院議員らが国会で提案した結果、厚生労働省が狩猟シーズンの秋ごろまでにまとめる方針になっている。「統一指針ができるのは大きな前進」と話す藤木シェフ。ただし、「その上で地方自治体ごとにジビエをおいしく食べる工夫を重ねないと、長期的な地域おこしにはならないだろう」と、地方間の“腕比べ”に期待を寄せている。
(■)【ジビエ】フランス語で「狩猟した鳥獣の肉」を意味し、欧州では高級食材として古くから親しまれている。日本では、シカやイノシシなどの野生動物の個体数が増え、農作物を食い荒らす鳥獣被害が深刻化しているため、駆除を実施しているものの、その大半は活用されずに廃棄されている。
(公明新聞:2014年8月30日(土)付より転載)