4月12日、非核保有12カ国による「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合が広島で開催されました。これには、谷合議員もプログラムの中のNGO会議に出席しました。
このほど、公明新聞に記事が掲載されましたので転載します。
(岡山事務所)
核なき世界へ 広島から発信
被爆者の声を聞き、悲惨さ胸に刻む
国境越え、次代に受け継がれる平和への願い
非核保有国12カ国による「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合が12日、広島市で開かれました。日本での開催は初めて。この関連で、外相らと被爆者や市民などの意見交換や「ユース非核交流プログラム」などが行われ、「核なき世界」へ誓いを新たにしました。
『外相に訴え』
『児童・生徒が言葉を託す』
11日に行われた各国外相と市民代表らとの意見交換会。「理性がなければ平和はありません! 人の命は大切にしないといけない。戦争は絶対に許せません!」。被爆者代表で出席した広島県被団協の坪井理事長は訴えました。
12日には、地元の園児ら約700人が各国の国旗を振る中、外相らが原爆死没者慰霊碑へ。松井一実広島市長が「皆さんが今立っている場所は当時、4400人が過ごしていましたが(原爆投下により)一瞬にして亡くなりました。二度と核兵器を含む戦争をしないとの思いを込めて献花をしてもらえればありがたい」と語り、外相らは献花しました。
その後、市内の小中学生から「平和メッセージ」と千羽鶴を手渡されました。メッセージには「戦争や核兵器の恐ろしさを忘れず、平和の大切さを世界中に伝えること。それが、この広島の街に生まれ育った者としての責任だと思います。平和な世界をつくりましょう」など、平和への思いがつづられています。
続いて一行は、広島平和記念資料館を見学。被爆直後の悲惨な市街地や大やけどを負った市民の写真を見て回りました。案内役の志賀賢治館長は「コンクリート製の建物は残りましたが、熱線によって木造家屋は燃え尽きました」と当時の惨状を伝えました。
同日午後には、被爆者の小倉桂子さんが各国外相らを前に、英語で被爆体験を。小倉さんは「被爆者の誓い」として「一人一人は小さな力で、一滴の水のようにすぐ消えてなくなるかもしれない。でも、力を合わせれば、やがて海として、皆さんのところに届く。私たちは絶対に諦めないで続けていく」と叫びました。
終了後、各国外相らが小倉さんに歩み寄り「心を動かされた」と握手を交わし、平和への誓いを胸に刻みました。
『青年が交流』
『各国の高校生ら活発に議論』
「ユース非核交流プログラム」では、日本やオーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、フィリピンなどNPDIメンバー国出身の青年が国境を越えて交流しました。
12日午前、一行は、広島平和記念公園を訪れ、原爆ドームへ。続いて、外相らと被爆体験を聴講した後、広島平和記念資料館を見学しました。
カナダ代表の女性(17)は「原爆の威力や戦争の悲惨さを肌で感じた」と感想を。オランダ代表の女性(20)は「私たちは決して忘れてはいけない。核廃絶への道のりは長く、厳しいが、ヒロシマ(の願い)はやり遂げられる」と強調していました。
昼食で広島風お好み焼きを食べて交流を深め、午後はグループディスカッションを行いました。各国の青年が自国の核軍縮の現状を紹介した後、グループごとに議論を開始。すぐに打ち解けた様子で、笑顔も交えて語り合っていました。
核廃絶への道筋として「米オバマ大統領のヒロシマ訪問を」「核軍縮への理解を青年層に広げる」「核兵器の非人道性について学校教育で教えるべきだ」などと結論をまとめました。
終了後、ドイツ代表の男性(16)は「(核軍縮に向けて)まだ希望の端緒も見えない。外相会合を土台に僕たち若者は成果を積み上げなければならない」と決意。議論に加わった広島の高校生らは「国や言葉が違っても理解し合える」と手応えを語りました。
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被爆者の願いを直接“継承”する一幕も。11日に行われた「各国外相と被爆者や市民との意見交換会」後の記者会見で、ユース非核特使の松岡朱音さん(17)が「平和活動を私たちが継承していく」と抱負を述べると、広島県原爆被害者団体協議会(広島県被団協)の坪井直理事長が握手を求め、こう伝えました。
「後を頼むぞ」
『公明が推進』
『サミット開催など提唱。NGOとの連携めざす』
“平和”を党是に掲げる公明党は、核廃絶推進委員会(浜田昌良座長=参院議員)を党内に設けて議論を重ねるなど、核廃絶への取り組みを進めてきました。
今回のNPDI外相会合についても、浜田座長が2012年4月の参院予算委員会で取り上げ、核軍縮の問題を日本が主導的に議論していくために広島、長崎で開催するよう提案し、開催が決定しました。今月2日には、山口那津男代表が党推進委や広島、長崎の地方議員と共に岸田文雄外相に要望書を手渡し、同会合で国際社会を結束させる触媒としての役割を日本が十分に果たすよう要請。原爆投下から70年を迎える来年に「核廃絶サミット」を広島、長崎で開催するよう訴えました。
会合の期間中、党推進委の谷合正明事務局長(参院議員)らは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)共同代表の川崎哲、ティルマン・ラフの両氏と懇談し、核兵器の廃絶に向けた政府と非政府組織(NGO)との連携などで意見交換しました。
『NPDIとは』
将来的な核廃絶を目標に日本とオーストラリアが主導して2010年に発足した非核保有国による国際会議。核拡散防止条約(NPT)体制の見直しに向け「核リスク」の低減に関する取り組みを提案してきた。参加国は日豪のほか、カナダ、チリ、ドイツ、メキシコ、オランダ、ナイジェリア、フィリピン、ポーランド、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の計12カ国。
(公明新聞:2014年4月27日付より転載)