○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
参議院では、故山本孝史議員の遺志を受け継ぎまして、当時の厚生労働委員会の理事を中心に超党派の自殺対策を推進するための有志の会が設立をされました。昨年秋、衆参全議員に呼びかける形で自殺対策を推進する議員の会が発足をされました。その折、安倍総理にも対策の一層の推進を申入れを行ったところでございます。
今、資料を配付させていただいているところでありますが、我が国の自殺は、一九九八年以降、年間三万人の自殺を数えておりました。一昨年、十五年ぶりに年間三万人を下回ったところであります。二〇〇九年から四年連続して減少しており、二〇〇六年、自殺対策基本法ができて対策を進めてきたことの効果がようやく表れてまいりました。
しかし、中高年以降の世代の自殺率が減少傾向にある中で、若年世代の自殺率は高止まりしたままであります。一昨年から少し減少しておりますが、それでも自殺が急増した九八年と比べて二〇%近く高いままでございます。資料にもありますが、二十代、三十代における死因の第一位が自殺であります。そしてまた、諸外国と比べましても我が国の若年世代の自殺率は突出して高いというのが統計的にも表れております。
極めて深刻な問題と捉えまして、安倍政権におきましては国を挙げてこの問題について優先的に取り組むべきであると考えますが、まずこの若者自殺の高止まりの原因と、この現状に対する受け止め方を厚生労働大臣並びに文部科学大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(田村憲久君) 委員おっしゃられますとおり、自殺でありますが、平成十年から大幅に増えて、最近の傾向は全体では三万を切って減ってきておるわけでありますが、二十代に限りますと、平成九年、つまりその増大する前と比べても、今、更に増えておる傾向があるわけであります。
社会のいろんな状況の変化というものはあるんだというふうには思いますが、とにかく社会全体でこれは総合的な対策を組んで、自殺というもの、特に若い人たちの自殺というものを防いでいかなければならぬわけでございまして、厚生労働省といたしましてもそちらの方向にしっかりと力を注いでまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、十代の若者自殺率は近年増加傾向にありまして、児童生徒の自殺について依然として大変に憂慮すべき深刻な事態だと考えます。児童生徒が自ら命を絶つということは、理由のいかんを問わず決してあってはならないことであり、自殺予防に向けた取組は教育上の大変重要な課題であるというふうに思います。
文科省では、児童生徒の自殺を防止するため、これまで教員向けのマニュアルや、学校、教育委員会等が行う個別の自殺事案に係る背景調査の指針や実態調査の実施に関する通知の発出、また、教育委員会担当者や校長などの管理職等に対する地域別の研修会の実施などの取組を行ってまいりました。
現在、有識者会議におきまして、児童生徒に対する自殺予防教育の在り方や背景調査の指針の見直しについて検討を進めているところでありまして、児童生徒の自殺予防に資する取組を更に強めてまいりたいと思います。
○谷合正明君 今文部科学大臣から取組についても言及をしていただきました。
そこで確認ですが、文部科学省のこの児童生徒の自殺数の統計データと、それから警察庁が発表するこの統計データに数字の乖離がございます。平成二十四年度の文科省で児童生徒の自殺数は百九十六人、一方、警察庁では平成二十四年で三百三十六人と、百人以上の開きがございます。この乖離がある理由とこのギャップについての認識について、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 乖離の理由でありますが、内閣府・警察庁の統計は、警察が検視や事情聴取の結果を集計しているのに対し、文部科学省調査では、学校が遺族からの報告等により確認できた結果の報告を集計したものであるということで、両調査の件数が異なるという数字になっているわけでございます。
文科省としては、学校や教育委員会等を通じまして、児童生徒の自殺の実態をより把握していくことが重要であると考えております。このため、昨年実施した調査から、警察等の関係機関と連携し、警察により自殺と判断されたものを把握した場合は自殺として計上するなど、可能な限り客観的な事実に基づき記入するよう留意事項を示すとともに、警察庁等の都道府県別の小中高校生の自殺者数のデータ供給を受け、各都道府県教育委員会にそれを情報提供し、調査の参考とするなどの取組を行い始めたところでございます。
引き続き、警察等の関係機関と連携して、できるだけ実態把握できるように努めてまいりたいと思います。
○谷合正明君 対策となる基礎が統計データだと思いますので、違いがある理由は分かりますけれども、余りにもギャップがあるということが問題だと思っております。
それに関連しますけれども、先ほど背景調査の件について有識者会議で今議論されているということでありました。この背景調査におきましては、いじめを起因としない自殺についてもしっかり背景調査を徹底すべきであると、私もそう思っておりますが、大臣としてもそういう考えであるということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、子供の自殺予防対策を充実させるためには、自殺の背景となった可能性のある事実関係に関して、いじめの問題に限らず、全体的な傾向を把握することが必要であるというふうに考えております。
このため、平成二十三年六月より、児童生徒の自殺事案等について、亡くなった児童生徒の個人の状況や置かれていた状況、環境を学校で把握することができた情報を基に回答するよう求める調査を実施しておりまして、できる限り多くのデータを収集するよう努め始めたところでございます。
また、平成二十三年三月に作成した子どもの自殺が起きたときの調査の指針について、現在、各自治体における運用状況等を踏まえ必要な見直しを行っているところでありますが、この指針の中でも、自殺が起こってしまった際に学校が必ず行うべき調査の内容等を含めて検討を重ねておりまして、できるだけ早く結論を得たいと考えております。
○谷合正明君 続きまして、自殺の未遂者の方に、伺いたいと思います。
自殺未遂者が再び自殺を試みる可能性というのは、自殺未遂者以外の者と比べて著しく高いというのがもう統計的に明らかであります。特に、それは若年の女性において傾向が高いわけであります。
そこを踏まえまして、厚生労働省といたしましてもしっかりとその未遂者対策をすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 自殺未遂歴のある方の自殺者というのは割合が多いという話でございました。全体で見ますと、男性が一五%、女性は三〇%でありますが、男性は若くてもそれほど平均と変わらないわけでありますけれども、女性は男性と比べて高いという部分と、さらに、今言われた若い女性、二十代の女性は更に四五%ぐらい、このような数字が出ておりますから、非常に高い数字が出てきております。
やはり、救急搬送等々をされたときの精神科医療というものが、これが重要であるわけでありまして、救急医療、精神科医療に従事される方々に関して、自殺未遂された方々に対してのいろんなケアをする、そんな研修をしっかりやったりでありますとか、それから、救命救急センターに精神科医の診療、こういう体制をしっかりと整えている場合には財政的な支援をさせていただいているところであります。
いずれにいたしましても、救急搬送時にしっかりと精神科の診療ができるように、そういう体制を整えていき、自殺の予防、これがしっかり整えられるようにこれからも努力をしてまいりたい、このように考えております。
○谷合正明君 間もなく東日本大震災の発災から三年を迎えます。阪神・淡路大震災では、この発災三年で自殺のいわゆるリスクが高まったと言われております。
そこで、今、被災地における震災関連の自殺の数と、また対応について福岡政務官にお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(福岡資麿君) 委員御指摘のとおり、東日本大震災に関連する自殺の把握は平成二十三年六月から実施をいたしておりますが、自殺者は、平成二十三年の六月から十二月までが五十五人、平成二十四年が二十四人、平成二十五年が三十八人、平成二十六年一月が、これ一月のみですが四名となっております。一昨年減少した自殺者が昨年増加をしたということは、極めて憂慮すべき事態だというふうに感じております。
政府が定めた自殺総合対策大綱においては、当面の重点施策として、大規模災害における被災者の心のケア、生活再建等の推進が盛り込まれており、関係省庁においてはその大綱に基づく取組を実施をしております。
内閣府におきましても、復興庁及び被災三県に東日本大震災に関連する自殺の状況を伝えつつ、地域自殺対策緊急強化基金というものがございますが、これを通じまして被災地の取組を支援しているところでございまして、基金事業を通じて取組をより一層強化してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 政務官、三県別にデータというのは分かるんでしょうか。
○大臣政務官(福岡資麿君) お答え申し上げます。
岩手県、平成二十三年十七名、平成二十四年八名、平成二十五年四名、平成二十六年は一月のみですが、これはゼロ名というふうに承知しています。宮城県、平成二十三年二十二名、二十四年三名、二十五年十名、二十六年一名ということです。福島県におきましては、平成二十三年十名、二十四年十三名、二十五年二十三名、二十六年三名というふうになっております。
○谷合正明君 今聞いて明らかになりましたけれども、やはり福島県の数というのが心配でございます。ここはしっかりと対応していただきたいと思っております。また、別の視点では、名取市というところでは、私が承知しているところ、自殺者というのが今のところゼロであるということで、そうした好事例もしっかりと周知、シェアしていくように要請したいと思います。
ところで、厚生労働省の研究班の調査で、被災三県で子供たちの三割弱がPTSDを抱えているというデータが出たところでございます。改めまして子供の心のケアというのが極めて大事だと思います。この対応について、改めて大臣、対応を聞きたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 被災地の子供たちでありますけれども、近親者を亡くされたお子さんが多いわけでありまして、喪失体験をされる中においてやっぱりストレスが非常にあられるということで、心のケアが大変重要であります。
従来より児童精神科医によります巡回相談等々も行ってきたわけでありますし、また、なかなか福島の子供たちは外に出れないというような状況もございましたので、そのような意味で、大型遊具、これを設置いたしました。これは安心こども基金から使ったわけでありますが。それに加えて、二十六年度からでありますけれども、やはり親を亡くされたお子さんに関しましては相談援助をしっかりやっていく。これは、体もそうでありますし心もそうであります。
あわせて、仮設住宅のお子さん方が安心できるそういう環境づくり、これも進めていかなきゃなりませんし、大型遊具も、今までは福島だけでしたけれども、ほかの県にもこれを広げていこうという取組、さらには、避難所で生活されております子供をお持ちの家庭に関しまして、やはり生活でありますとかそれから育児、こういうものの支援、さらには、専門機関、こういうものに対してしっかりとつないでいけるような、そんな情報提供も含めて対応していくというようなことを含めて、この被災地の子供たち、大変心が傷ついておられます、対応をしてまいってきておる次第で、また二十六年度はそういうような形で対応してまいりたい、このように考えております。
○谷合正明君 特に、子供たちと接する時間の長い学校の先生方、この先生方の役割というのは非常に大きいと思うんですけれども、今、逆にその先生方がストレスを抱えていわゆる心のケアが必要ではないかというふうに指摘もあるわけでありますが、この点について、文部科学大臣、この心のケアの対応について、子供たちのみならず、それに対応する先生や教員たちへの対応というのはどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 学校教育は教員と児童生徒との人格的な触れ合いを通じて行われるものであり、教員が心身共に健康を維持して教育に携わるということは極めて重要でありますが、平成二十四年度においては精神疾患による病気休職者数が四千九百六十名という大変高い水準にありまして、御指摘のように、教員のメンタルヘルス対策の充実、推進を図ることがこれは喫緊の課題であるというふうに思います。
文科省としては、教員本人のセルフケアや管理職等のラインによるケアなどの予防的取組、それから試し出勤等の再発を防止するための復職支援に係る取組などを通じまして、教員のメンタルヘルス対策の充実、推進について一層積極的に取り組むよう各教育委員会に対して指導しているところでございます。
特に、被災地の教員の心のケアについては、平成二十三年十一月に被災三県の教育委員会等に対して副大臣通知を発出いたしまして、休暇取得の促進や、頑張り過ぎている先生が結構いるわけですね、休んでほしいと、心のケアに対する配慮等を通じた教員のメンタルヘルス保持に向けた一層の取組をお願いをするとともに、緊急スクールカウンセラー等派遣事業について教員のカウンセリング等にも活用してほしいと、子供たちだけでなく教員の活用もしてほしいということを求めたところでございまして、今後とも教員のメンタルヘルス対策については一層充実、推進してまいりたいと思います。
○谷合正明君 やはり、発災三年たちます、特に被災地に対する自殺対策であるとか心のケアというのはしっかりやっていただきたいと思いますし、また全国的にも、若年の自殺対応についても、これは国家を挙げて、国を挙げて、総力を挙げて取り組むべきであると改めて申し上げたいと思います。
次に、話題が変わりますが、CLTについて、林業、農林業についてお伺いしたいと思います。
先日、都内で、将来の、二〇三〇年の家というコンセプトである住宅展示会がありまして、これは産官学連携してやったわけでありますが、その住宅の多くが木造住宅でありまして、しかもその木造住宅に使われているのが国産CLTでありまして、まさに将来を見越して大学や産業界がこのCLTに着目しているということが私は非常に印象的でございました。
そこで、このCLT、クロス・ラミネーティッド・ティンバーですけれども、この利点は何か、耐震性や耐火性について大丈夫なのか、また普及への鍵は何かということについて、林農林水産大臣にこの普及拡大に向けての決意を併せてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 今委員から、クロス・ラミネーティッド・ティンバー、都内の展示会でしょうか、使われていると、心強くお聞かせいただきましたが、直交集成板といって、集成材を縦横に張り合わせることによって強度を出すと、こういうものでございまして、断熱性、耐火性、また強度共に優れておるとされております。ヨーロッパでは九階建ての集合住宅、商業施設にも構造材としても使われている、こういうことでございまして、コンクリートと比較して重量が軽くなるということで、基礎工事が非常に簡単であるということ、それから加工してから現場に搬入することができるということで、建物の完成までの期間が短縮されるということで非常にメリットがあると、こう言われております。
もちろん、木材の新たな需要の創出を通じて林業の成長産業化につながるということで、CLTの品質等の基準を定めたJAS規格をまず昨年十二月に制定いたしました。建築関係の一般的な基準の策定に必要となる強度のデータの収集、どれぐらい負荷を掛けたら最後は折れてしまうかと、そこまでは大丈夫だと、こういうデータですね、それからCLTを用いた建築物を実証する取組、こういうものに対して支援を行っておるところでございます。
国交省と密接に連携をして、早期に実用化して林業の成長産業化につなげていきたいと、こういうふうに思っております。
○谷合正明君 是非、大臣におかれましては、私行ったところでありますが、岡山県真庭の方にもお越しいただいて、CLTのその現場も見ていただきたいと思っております。
ところで、二〇一〇年に施行されました公共建築物木材利用促進法でありますけれども、これは国が整備する低層建築物は原則木造化するということでありますが、実績はどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(鈴木千輝君) 国が整備した低層建築物の実績についてお尋ねでございますが、三階建て以下の建築物としてお答えさせていただきます。
平成二十三年度に国が整備した低層建築物の総数は五百六棟となっております。このうち木造化されたものは三十一棟となっております。同様に、二十四年度につきましては、総数で四百六十二棟、そのうち木造化されたものは四十二棟となっております。
○谷合正明君 やはり低迷しているわけでございます。やはりここは木造を国産材活用するために積極的にやっていただきたいわけでありますが。
そこで、これから、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックがございます。これはいろいろなところから提案もあるところなんでありますが、是非この施設について可能な限り、森林大国日本であります、その日本の首都で、東京で木が見えるアピールをしていただきたいと。バンクーバー・オリンピックでは、今日配付資料にありますけれども、施設そのものが木造で造ったということで大変そのメッセージ性があふれるものだったわけであります。東京オリンピック・パラリンピックの担当大臣であります下村文部科学大臣にその点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の主要施設の整備に木材を利用することは、国内外の多くの方に対して、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供し、木材の特性や木材の利用の促進についての理解を醸成する効果を図るいいタイミングでもあるのではないかと思います。
また、このことにより、木材の利用を拡大し、地球温暖化の防止、環境型社会の形成、森林の有する国土の保全など多面的機能の発揮、山村など地域の経済の活性化にも貢献するものと考えます。
今後整備される各施設については、建築に要する費用、整備される設備の性格や利用形態など様々な要件を考慮しつつ検討されることになります。東京都では、選手村のオリンピックビレッジプラザの設計には日本の伝統的な建築様式を取り入れ、木材を使用する予定というふうに聞いております。国立競技場においても内装は木材を活用するというふうになっておりますし、東京都が整備するその他の施設についても法律の趣旨に基づき木材の利用が図られるよう、より連携して推進してまいりたいと思います。
○谷合正明君 是非、ほかにもいろいろなところで工夫があると思うんですね。在外公館で一層国産材を使っていくという取組もあります。
森林についての質問をさせていただきますが、森林、里山、両者一体ということで、この里山について更に触れさせていただきたいと思います。
今、やはり鳥獣害被害に大変苦しんでおります。いよいよ環境省も従来のこの保護から管理へということで方針転換をされたところでございます。やはり、当面過剰な個体数を適正なレベルに抑えていくということは大事であります。鹿、イノシシは十年間で半減するという目標があります。この目標は結構でありますが、やはりネックとなるのはその対策でありまして、特に狩猟ができる担い手ですね、わな、銃、これができる、取扱いができる者が三十五年連続で、銃の狩猟者でありますが減少しております。特に高齢化していると。若い世代で狩猟ができる人を育成しないとこの目標というのは絶対到達できないと私は思いますが、まず北川環境副大臣にこの点についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(北川知克君) ただいま委員の方から御指摘の鳥獣捕獲の担い手の減少、また高齢化との御心配の中での御質問でありました。
確かに鳥獣捕獲の主たる担い手である狩猟者の数というものは年々減少傾向でありまして、昭和四十五年に約五十三万人であったものが、この四十年間の間に六割減少をしてきております。平成二十三年には約二十万人となったところであり、また、狩猟者に占める六十歳以上の割合、これも六割を超えておりまして高齢化が進展しているという現実があるわけでありまして、まさに委員御指摘のとおりであります。そして、生態系や農林水産業への鳥獣被害が深刻化している中で、これらの被害の防止のためには鳥獣捕獲の担い手の育成が極めて重要な課題であると認識をいたしております。
環境省におきましても、鳥獣被害の現状や鳥獣の捕獲が社会的意義を有することについて国民への普及啓発を行うとともに、農林水産省等の関係機関とも連携しつつ狩猟免許取得促進のためのイベントの取組などを行っているところであり、このうち狩猟の魅力を発信するフォーラムにおきましては来場者の六割以上が四十歳までの若い世代であるなど、狩猟に対する若い人たちの関心が高まってきているのかなとも感じておりますが、しかし、今後、鳥獣の捕獲等の一層の促進とその担い手の育成に向けまして、まず、鳥獣の捕獲等を行う事業者が、その安全管理体制や従事者の技能、知識に関し一定の基準に適合していることについて都道府県知事の認定を受けることができる制度の創設や、そして網猟とわな猟の免許の取得年齢の引下げ、二十歳から十八歳というような、このようなものを含む鳥獣保護法の改正案を今国会に提出をすべく、現在検討を行っているところであります。
○谷合正明君 実は、捕獲した鹿やイノシシというのは、これは食肉の利用ということでジビエということで利用するところが増えてまいりましたけれども、ただ、その利用は、捕獲した鹿、イノシシのうちの全国平均で二%程度でございます。このジビエをこれから振興していくということを考えますと、ネックになりますのは、牛や豚というのは、いわゆる家畜の場合はと畜場法の対象となっていて、その衛生管理の全国的な基準があるわけでありますが、野生動物におきますと全国統一の衛生管理のガイドラインみたいなものはないわけでありまして、各県によってガイドラインを自主的に作って対応しているということでございます。
しかしながら、ジビエを将来的に六次産業化等で振興していこうということであれば、消費者に信頼して、また信用して受け入れてもらうためにも、私は、厚生労働省において全国統一の衛生管理のガイドラインの基準作りというのを今後作っていくべきであるというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 私も以前林業をやっておりましたので、獣害、これ大変な課題であります。
今、県において野生動物をジビエという形で食用にしていくというような動きがあるわけでありますが、食用に供する肉というものは、今委員がおっしゃられましたとおり、屠殺から解体、流通、そして販売と、これ一連でやはり衛生管理というものをしっかりやっていかなければならぬわけであります。
食品衛生法にのっとって、やはり許可された施設で、これは野生動物といえどもそこで処理をしなきゃいけないわけでありますけれども、一方で、野生生物、動物の場合は、なかなか、屠畜、屠殺自体、屋外で行うわけでございますので、独自のといいますか、衛生管理をしなきゃならぬということでございまして、盛んな一部の都道府県では、今おっしゃられましたみたいに、独自のでありますけれども衛生管理に関するガイドライン、こういうものをお作りでございます。
そこで、厚生労働省といたしましても、厚生科学研究におきまして、野生動物の病原微生物、これの汚染実態調査、こういうものをやっておりまして、この結果をしっかりと我々は踏まえた上で野生動物の衛生管理に関するガイドラインというものを作ってまいりたい、その上でしっかりと安全対策を進めてまいりたい、このように考えております。
○谷合正明君 今大臣の方から前向きな答弁もございました。
そこで、農林水産大臣にお伺いしますけれども、地域で持続可能なジビエを振興していくためには、やはり川上から川下までというんでしょうか、捕獲から販売までの連携した取組というのが必要なんですけれども、やはり農林水産省といたしましてもこうした地域の動きを後押ししていく必要があろうかと思っております。
ジビエは、鳥獣害対策で捕獲という入口に対して食べるという出口とも言われておりまして、国を挙げて今後積極的な個体数調整に取り組むわけでありますが、これ野生動物の捕獲後も考えていかなきゃいけないと思っております。そのうちの一助になるかもしれませんこのジビエ振興について、改めて農林水産大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) まさに御指摘のように、鳥獣被害対策の一つとしても捕獲鳥獣の食肉をジビエに利用していくことは大変重要だと考えておりますし、たまたま、先々週か先週か、都内で毎日ではないんですが提供していらっしゃる、名前がしゃれていて、エゾシカフェというんですけど、そこへ行ってエゾシカをいただいてきましたけれども、そういう例を増やしていかなきゃいけないと思っておりますし、最近は、長野県の鹿肉を活用して、これJR東日本なんですが、猟友会が捕獲した鹿を地元の食品メーカー、社会福祉法人が加工、製造を行って、信州ジビエ鹿肉バーガーということで秋葉原や大宮などの首都圏の駅で期間限定で売ると、こういう工夫もしていらっしゃると。
いろんな事例が出てきておりますので、我が省としても、鳥獣被害防止総合対策交付金というのがございます、ここで捕獲鳥獣の食肉処理加工施設の整備、販売面、この強化を目指す取組を支援をすると。それからもう一つは、狩猟者、加工事業者、販売事業者などの関係者が、今まさに委員がおっしゃっていただいたように、連携をしながら、先ほどのバーガーのようなジビエ商品の開発、販路開拓、いわゆる六次産業化の取組について、これは六次産業化の支援対策として、この御審議いただいている予算の中では二十六億八千万ほど概算決定しておりますが、こういうような事業を活用して、まさに捕獲した鳥獣を地域の資源として捉えて、実需者の方々が求める形で供給、販売を戦略的に取り組んでいくと、これを支援することによってジビエの振興努めてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 どうもありがとうございます。
質問をいたしませんが、そのほかにも大臣に、農福連携ということもこれからしっかりと推進もしていただきたいと思っております。
最後の話題になりますけれども、NPDI、広島でこの四月に核兵器を持たない十二か国から成る軍縮・不拡散イニシアチブの国際会合が開かれるわけでございます。今年二〇一四年は実は、核廃絶、核を減らしていくという意味では、核のない世界を目指していくという意味では二〇一四年というのは非常に重要な年になっております。この広島外相会合もそうでありますし、NPTの準備会合もございます。また、来年には広島で、今、広島市が軍縮会合をということで呼びかけも行っているところでありますが、改めてこの核廃絶、軍縮・不拡散について我が国の強力な世界を巻き込んだ取組というのが必要ではないかと思っているわけであります。
先般、メキシコにおきまして核兵器の非人道性に関する会合がございました。この会合では日本からも代表団は送ったわけでありますが、この会合でメキシコが宣言をするわけでありますが、この宣言について、まず外務大臣がどのように評価をされているのかということを端的にお伺いしたいと思っております。
○国務大臣(岸田文雄君) 二月の十三日と十四日行われましたメキシコでのこの核兵器の人道的影響に関する会議、この会議は、核兵器の非人道性に関して科学的見地から専門家が知見を深めると、こういった意味で大変重要な機会であったと認識をしております。また、その会議で発出された議長総括ですが、核兵器のない世界の実現という目標については我が国としましても共有をしております。その中で、この議長総括では法的拘束力のある規範作りを志向するという考え方が示されました。この点につきましては、拡大抑止政策を含む安全保障政策と両立する形で段階的に核軍縮を進めるという、この我が国のアプローチとの整合性につきまして検討すべき論点はあると認識をしております。
いずれにしましても、我が国としましては、この核兵器のない世界、こういった大きな目標に向けて、現実的かつ実践的な取組、これを着実に重ねていきたいと考えております。
○谷合正明君 外務大臣の方からは、法的拘束力のある規範作りということについては検討していかなければならないと、斬新的な核のない世界を目指していくためには、あっ、漸進的なそのアプローチのためには検討しなければならないというこれまでの日本政府の立場が表明されたわけでございます。
そこで、今、この非人道性の議論でありますが、核廃絶をしっかりもっともっと前に進めようという急進的なグループと、もう一つはどちらかというと漸進的にやっていこうじゃないかというグループに、場合によっては二つに二極化されてきているのではないかという議論もあるわけでありますね。この非人道性の議論というのが実はこの分断を促進させるものであってはいけないのでありまして、是非、この非人道性というテーマが、急進的なグループと漸進的なグループ、これをしっかり橋渡しするような役割になっていかなきゃならないと。
昨年、実は我が国は、国際会合の中で、ニュージーランドが主体となった決議、それからオーストラリアが主体となった決議、核のない世界を目指すという意味で、非人道性のその決議について両方に署名した。それは唯一、両方署名した国は唯一日本であるということなんですね。
そういうことで、実はこの広島外相会合で日本がどういう宣言をリードしていくのかということが非常に注目を浴びているわけでございます。改めて、広島の出身の大臣であります岸田大臣に広島外相会合における大臣の決意というものをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器使用の悲惨さを最もよく知る国として、核兵器のない世界に向けて国際社会をリードしていく道義的責務を負っていると考えております。
御指摘のように、我が国が昨年十月の国連総会第一委員会においてニュージーランドとそしてオーストラリア、それぞれが主導した核兵器の人道的結末に関するこの二つの共同ステートメント、共に参加したのもこれもまた一つの我が国の姿勢を示す表れであると思っております。
今年の四月十一日と十二日、第八回NPDI外相会合を開催いたします。被爆地で開催されるということで、まずはNPDIメンバー国の外相に集まっていただき、被爆の実相に触れていただくと同時に、核兵器のない世界に向けた政治的意思を発信する、こうした貴重な機会になると考えております。
その際に、今、非人道性に対する認識について御指摘がありましたが、そもそもこの非人道性に関する認識というのは、現実、国際社会には核兵器を保有する国、また核兵器を保有しない国、様々な立場の国がありますが、こうした様々な国々の存在する国際社会を結束させる触媒にこうした非人道性に対する認識がなるという考え方があります。是非、こうした非人道的側面に対する考慮ですとか認識、これをもうしっかりと議論を深めていくことによりまして、こうした国際世論をしっかりリードしていく、こうした道筋をつくっていきたいと考えております。
NPDI外相会談第八回目の会合におきましては、その直後に、二〇一五年のNPT運用検討会議、この最後の三回目の準備委員会が予定されております。この三回目の準備委員会の委員長、モレイ委員長も広島にお招きをしております。是非、NPDI外相会談においてしっかりとNPT運用検討会議準備委員会に有益な提言ができるように、しっかり努力をしていきたいと考えています。
○谷合正明君 メキシコでの国際会議の成果を受けまして、我が国としまして、今後、核保有国とまた拡大抑止に依存する国々を巻き込む議論を是非我が国が主体的にやっていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。