○谷合正明君 公明党の谷合です。
日本では当たり前のものが途上国では新鮮であったり、また宝であったりするということがよくあります。昨年、参議院の招待でウガンダから上院議長一行が来られました。ウガンダに戻られて現地の日本の大使館にいろいろお話しされたわけですが、日本に来て何に一番関心持ったのかというと、それは時間の正確性だったと。新幹線が定時定刻に出発するといったところに大変感銘を受けられた。
これは、ODAの現場でも納期という言葉もあるわけでありますが、ほかにも、有名な話では母子保健手帳とかございます。これは、いろんな国で今、日本の経験が生かされております。そのほか、最近でありますと、公民館というのも今ユネスコが着目いたしまして、持続可能な開発のための教育をつくっていくために日本の公民館というのが有用ではないかといったことも調べているわけであります。そうしたことは、今、今日の参考人の皆様、また外務省、JICAの方からもそうしたことは報告があったと思います。
そこに加えまして、ODAが六十年、私は新たなステージに来ているのではないかなと思うことがあります。それは、むしろ国連とか途上国での知見や経験が日本国内に役立てられるのではないかと。
相互扶助という観点から更にもうちょっと踏み込んで、今、日本では、例えば東北の大震災で、いまだに仮設住宅にたくさんの方がまだ暮らしております。三年たっても、ここまで仮設住宅に暮らすということは実は大変な状況でございます。また、限界集落における課題もございます。ディーセントワークというのも、何もこれは国外の問題じゃなくて国内の問題でもあります。そして、子供の貧困や、女性の登用というのもむしろ途上国より日本の方が遅れていたりするわけでございます。
その意味では、例えば人間の安全保障という概念はありますけれども、それは開発途上国だけではなくて日本国内に当てはまるということで、私はこれから新たなステージに来ているのではないかなと。つまり、日本と途上国が分断されるわけじゃなくて、国内、国外の問題は、共通の課題を取り組むことによって共通の利益を拡大していくというこの方向性が、私は今後必要なODAのパラダイム転換、発想の転換になっていくのではないかなと思っております。
そこで、今私は注目しているのが、来年仙台で開かれます国連の防災会議であります、近藤参考人の方からも言及いただきましたけれども。この防災会議で、世界が改めて日本を見習ってほしいと思う反面、日本もこの会議でいろんなことを学んでほしいというふうに私自身は思っておるわけでありますが。
近藤参考人にお伺いします。
この防災会議に対して、日本政府に対する期待であるとか役割、また日本のODAの役割、期待というのは何であるかということを改めて御所見を伺いたいと思います。
○参考人(近藤哲生君) 御質問ありがとうございます。
日本は、度重なる大きな災害を迅速に乗り越えてきた、世界の模範となる防災国家です。その日本の国民の皆様の御決意、コミュニティーを回復することへのコミットメントを是非世界に示していただきたい。そのために、僅かな財政的な支援でいいかと思います、そういった現場で日本の復興に携わられた方が、世界で様々な災害に遭っている地域にそういったお話、体験、知恵、教訓といったものを話しに来ていただきたいと。そういった場をつくることは国連としても是非させていただきたいと思いますし、人の移動ですから当然お金も掛かりますし時間も掛かりますが、そういったこと、それを最小限にとどめながらも、是非交流を進めていただければと思います。
以上でございます。
○谷合正明君 端的にお答えいただきましてありがとうございます。
もう一問、近藤参考人にお伺いします。それは、人材の確保という点でございます。
先ほども青年海外協力隊のお話が、中西委員の方から話がありました。ややもすると、青年海外協力隊、NGOあるいは国連のスタッフというのは、そういう援助機関の中でのキャリアを積むだけしかないというか、つまり、国外で積んだキャリアがなかなか日本国内で生かされない。逆もまた同様でして、日本国内で、例えば医師の方が海外に出ようと思っても、海外で医師を三年やってしまうと日本の国内に戻れないということもあったり、私はこれから、国内、国外の人材をしっかり双方向に橋渡ししていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
国連の日本人職員という観点でお伺いしますけれども、国連の日本人職員の数はまだ財政の支出規模に比べるとまだまだ足りないというふうに私は承知しているわけでありますが、この質と量の確保という点について、日本政府が取るべきアクションというのはどういったものがあるでしょうか。近藤参考人にお伺いします。
○参考人(近藤哲生君) 国連におきまして活躍されている日本人の職員の方々、最近大変に増えてきているというふうに実感しておりますが、やはり日本が行っている財政的な貢献度からいえば、もっともっといてもいいと、もっと前面で日本の旗を振ってほしいというふうに思います。
ただいま、例えばUNDPですと、八十五名の邦人職員がおります。これ、十二年間でほぼ倍増してまいりました。この陰には日本政府の、特に外務省の皆様の応援で、邦人職員を増やすためのアクションプランというものにUNDPは署名をいたしまして、例えば日本への採用ミッションの派遣、あるいは、同等の能力を持った人がいた場合、日本人、特に女性に活躍していただく場を設けていきたいというアクションプランがございまして、これで実現を目指しておりますのは、二〇一六年までに、現在おります日本人職員を八ないし一〇%増加していくということについてUNDP側は日本政府と合意をしております。このようなプラクティスをほかの国際機関にも当てはめていけば、日本人職員をより増やすことができるのではないかと思います。
以上でございます。
○谷合正明君 最後に、二分残っているので、木原政務官にお伺いします。
アクションプランというキーワードが近藤参考人から出ました。これを各国際機関としっかり結んでいくことが日本人職員を増やしていく具体的なステップだと思いますので、しっかりと、外務省におかれましてもその取組をしっかりしていただきたい、邦人職員を増やしていく、質と量を確保していくということをしっかりやっていただきたいと、その決意を伺いたいというふうに思います。
ちょっともう一つ、あと女性の登用というような話がありました。これは質問ではないんですが、今百数十か国日本の大使館がありますが、その中に当然大使がいます。その百何十人いる大使で、女性大使何人いるか御存じでしょうか。一人です、もう答えますけれども。やはりこれは余りにもちょっと私は少な過ぎるのではないかと思いますので、そうした面についても外務省としてこれから何か取組をされるべきではないかと思いますが、政務官の御決意を伺います。
○大臣政務官(木原誠二君) 冒頭、援助国と被援助国、双方が学び合う必要があるというお話を、先生からお話をいただきました。
先日、アフリカの女性起業家の皆さんにお越しをいただきまして、外務省からは何か話をしろと、こういうことでありますが、実はアフリカの方が女性の登用が進んでいるという現実もございます。そういう意味でいいますと、私ども、やはり学ぶべきことはしっかり学んでいくということが大変重要だろうと思います。その機会において、日本の女性の大使何人いるのかということも聞いた都合上、知っておりますし、非常に愕然といたしました。そういう意味では、これからその点はよく努力をしてまいりたいと、このように思っております。
なお、国連の職員につきましては、委員御指摘のとおり、やはり我々の拠出に見合っただけの人材はまだできていないというのが状況でございます。私どもJPOの定着率を上げていく、あるいは、先ほど近藤参考人からもお話ありましたとおり、合同ミッションを送っていただいて、そこになるべく多くの日本の方に参加をしていただくといったようなこと、これからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思いますが、アクションプランにつきましてもしっかりと取り組ませていただきたいと。是非、また御指導、御協力をいただければというふうに思っております。
○谷合正明君 終わります。