○谷合正明君 公明党の谷合です。
本日は、高橋参考人、また成田参考人、ありがとうございました。
本日は、国の統治機構に関する調査会が発足しまして初めての参考人質疑でございまして、まず、私どもの基本的な考え方を表明させていただいた上で、お二人の参考人に御見解を賜りたいと思います。
憲法の骨格を成します恒久平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義の三原則は、人類の英知ともいうべき優れた普遍の原理であり、平和、人権、民主の憲法精神を国民生活と日本社会の隅々まで定着させ、開花させる闘いに全力を尽くすというのが公明党の基本的立場であります。統治機構改革につきましても立脚点は同じであり、特に国民主権の徹底という視点が重要と考えております。
この数年、私自身、行政監視委員会や憲法審査会に所属してまいりましたが、統治機構の問題に関して常にこの視点で質疑に臨んでまいりました。行政監視委員会では、事業仕分、検察の不祥事、これは村木さんの冤罪事件のことでありますけれども、また原発事故に関しまして、行政の組織、人事の在り方という観点から議論を行ってまいりました。また、憲法審査会では、東日本大震災の経験を踏まえまして、統治機構の在り方について議論を行いました。
これらの重大問題への対応におきまして、内閣は十分に機能しておらず、議院内閣制の下、国会は内閣を適切に統制できていないのではないかと。特に、東日本大震災と原発事故では統治機構が機能不全に陥っていたのではないかと厳しい批判もあったところでございまして、改革の必要性を痛感しているところでございます。
通常時、非常時を通じまして十分に機能する統治機構をつくらなければなりません。非常時において適切に対応するためには、通常時においても統治機構が円滑に機能するよう仕組まなければならないと考えます。そのため、内閣機能を強化するとともに、国会の監視機能の強化を図る必要があります。強い内閣と強い国会を目指すべきと考えております。
内閣が法律を誠実に執行するよう国会が適切に統制を行うというのが憲法の建前でありますが、実態は官僚主導になっているという点がありまして、そこに注意をしなければなりません。内閣主導の行政を実現するためには、特に官僚機構に対する国会の常時監視が重要と考えております。
秘密保護法の取扱いにつきましても、今後、国会法や議院規則の改正によって保護措置を定め、これまで政府が国会に出せなかった情報の提供を可能にするなど、国会によるチェック機能向上へ力を注ぐなど、強い内閣と強い国会という視点で仕組みを構想する必要があると考えています。
なお、二院制の在り方につきましては、先ほどのお話がございましたけれども、参議院の行政監視機能の強化というものが共通の認識になりつつありまして、この議論を更に深めて具体化する必要があると考えます。
特に、我が会派といたしましては、参議院から国政に進出してまいりまして、伝統的にこの行政監視強化というものを訴えてまいりました。昭和四十五年、今から四十三年前の議事録をひもときましたら、当時の峯山参議院議員が行政管理庁の中にある行政監察局の機能の在り方、機能の仕方について政府に追及をしておりました。この行政監視機能の強化という課題は古くて新しいものとも考えております。
以上、長くなりましたが、基本的な立場を表明させていただきましたが、そうした以上の論点を踏まえまして、お二人の参考人に御所見を伺いたいと思いますし、特に具体策があれば御教示をいただきたいと思っております。
以上です。
○参考人(高橋和之君) 今述べられた強い内閣、強い国会という考え方は、まさに私が考えてきたことでありまして、その意味で非常に心強く感じました。内閣と国会との関係で、もっとめり張りを付けた、両方の役割分担をきちっと考えていった方がいいということであります。
その観点から、先ほどお話しさせていただきましたように、内閣がイニシアチブを取る、アクションを取ると。それに対して、国会は基本的にはコントロールという役割ですね。こういう役割分担で考えていく必要があるんではないかなと考えております。そういう観点から、先ほど述べさせていただいた意見を参考にしていただければ幸いであります。
以上です。
○参考人(成田憲彦君) ただいま広範な御指摘がございましたが、官僚制の問題が一つ柱であったかというふうに思っております。
官僚制につきましては、政官関係というのは非常に各国とも問題になっている点でございまして、例えば、これについてはポリティカルアポインティーを増やすとかいうような案がいろいろ出されておりますが、官僚と政治のかかわり方についてはアメリカモデルとイギリスモデルというのがございまして、アメリカモデルは官僚がオプションを提起して政治が選択するというものでございます。日本では割合、官僚の役割はこういうふうに理解されておりますが、それに対してイギリスモデルは、政治が基本方針を出して官僚がそれを実現するというのがイギリスモデルでございます。
それで、具体的な政策内容として適当かどうかということは抜きにしまして、一応形式論的に言いますと、民主党政権になりまして、鳩山内閣で普天間の移設は少なくとも県外にと、こういうことを言ったわけです。イギリスモデルでいいますと、政治がそういうことを言い出すと官僚が必死にそれを実現しなければいけないというのがイギリスモデルでございます。
したがいまして、日本はしかし必ずしもそういうふうになっていない。その根源は何かということをいろいろ考えますと、非常に奇異に感じられるかもしれませんが、国家公務員法九十何条か百条辺りのところで公務員は国民全体の奉仕者であるという規定がございます。これは実は私はかなりくせ者だと思っておりまして、政権なんてすぐ替わるんだから政府に従ったってしようがないと、我々は国民全体に奉仕すると。
イギリスでは国家公務員法はありません。なぜかというと、国家公務員法を作ると公務員機構が独立の王国になってしまうということです。ですから、イギリスの場合は上級官吏は政府の奉仕者です。ポリティカルアポインティーではなくて政府の奉仕者。それは、官僚の中立性というものが実現されている。どうして実現されているかというと、やはり政権交代があるということで、官僚をまず中立化させるためには政権交代というものを根付かせていくということが一つです。
それからもう一つ、日本の官僚機構の問題の一つは、縦割り行政は省庁別対応ということがやはり根っこにある。そのために省益を図るというビヘイビアをするということが基本であると思いますので、私は、今回の内閣人事局の構想は、構想どおり機能すれば改革としては優れたものではないかというふうに思っております。
それから、参議院の行政監視機能でございますが、イギリスでは小委員会あるいは省別委員会というのを置きまして、各省を監視する委員会を置いております、特別委員会ですが。日本は常任委員会も併せた機能を持っておりますので、法案のみならず、行政監視、それは単に大臣を呼んで追及するということではなくて、実態を各常任委員会で調査をするということを積極的にやる必要があるんだろうというふうに思います。
それから、付け加えますと、参議院はともすれば衆議院のまねをしたがるというのが私の印象でございまして、例えば党首討論を衆議院でやると言ったら、参議院もやるというふうになりました。しかし、衆議院で党首討論をやるのなら、政権の所在は衆議院が優先するんだから、党首討論は衆議院でやると、それなら参議院は行政監視をやるということで、やっぱり参議院の独自の役割というものを発見して見出していくということが大切なことではないかというふうに考えております。
以上でございます。