○谷合正明君 公明党の谷合です。
私からは、国連北朝鮮人権調査委員会についてまずお伺いいたします。
今年三月に国連人権理事会におきまして、拉致問題を含む北朝鮮における人権問題を調査、査察する国連調査委員会、コミッション・オブ・インクワイアリー、これが全会一致で設立されました。私も予算委員会で取り上げて、この調査委員会が決してその調査委員会からダウングレードするような委員会にならないようにということでしっかり働きかけを行っていただきたいというような趣旨の質問もさせていただきました。ともかく、政権交代後この安倍政権の中で、この調査委員会が全会一致で設立されたということは極めて私は大きな意義があると思っております。
そこで、この調査委員会なんですが、まず、この組織、どのような組織なのか、どんな活動を行っていくのか。実際、三月に設立されたわけでありますが、今日どのように、今日動いているのか。また、これまでも実は国連に毎年特別報告者が北朝鮮の人権状況を報告していたと思います。したがいまして、その特別報告者はこの調査委員会の設置によってどのような位置付けになっていくのか。
まず、調査委員会の組織の全容を御答弁いただきたいというのが一点と、もう一点は、やはりこれまでも北朝鮮側は特別報告者の北朝鮮入りをやっぱり拒んできてまいりました。ということから考えると、調査委員会が設置されてもなかなか北朝鮮は調査団を受入れはしないだろうという、これは当然そうなるであろうと推測されるわけであります。そこで、したがって、その調査の実効性には限界があるという指摘もあります。しかしながら、私は、じゃ意味がないのかというと、そういうことじゃないと思いますから、まず、岸田大臣にはその調査委員会の組織のありようをお答えいただくとともに、今後、日本政府としてこの調査委員会をてこに拉致問題をどのように解決していくのかという外交方針というか、大臣の主導的な役割の見解について御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 本年三月のこの人権理事会における北朝鮮人権状況決議によって設置されました調査委員会ですが、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況全般を調査することを任務としており、マルズキ北朝鮮人権状況特別報告者を含む三名の委員で構成をされております。活動期間は来年の三月までとなっておりまして、この来年の三月に開催される第二十五回人権理事会に最終報告を提出する予定になっております。このマルズキ特別報告者、この調査委員会の一員として、これまで特別報告者としての知見や経験を生かし、この調査委員会の活動に貢献することを期待されております。五月に他の二名の委員が人権理事会議長によって任命をされました。調査委員会は近く活動を開始すると承知をしております。
我が国としては、同調査委員会が早期に訪日をし、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況を調査することを期待しており、調査委員会の活動に最大限協力していく考えでおります。そして、今委員御指摘のように、この調査委員会、北朝鮮に入国することが難しいのではないか等々、調査に限界があるのではないかという御指摘がありますが、しかし、こうした調査委員会の活動により、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況、これは様々な関係国に調査を行うことによってこうした人権状況がより明らかになり、そして国際社会として人権状況の改善に向けた具体的行動を取るよう北朝鮮に対して促すことにつながる、こうした可能性についてはしっかり大事にしていきたいと存じます。こういったことによって、国際世論を喚起する、こういった効果も大いに期待できるのではないか、このように思っております。
是非、こうした期待をするとともに、最大限この調査委員会に我が国としても協力をしていきたいと考えております。
○谷合正明君 古屋国務大臣にお伺いします。
大臣も、調査委員会の設置に関して、記者会見で、これを非常に高く評価する、また調査委員会の設置自体に圧力の一つとして効果があるという考えを示しておられます。
調査委員会、拉致問題以外の幅広い人権問題も扱うこととなりますが、調査委員会の設置が拉致問題の解決に資する圧力としてどの程度期待することができると考えられるのか、拉致担当大臣の見解を改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(古屋圭司君) この委員会の設置は、私、党で拉致の責任者をしているときからも強く関係者に要請をしていました。そして、去年の七月に特定失踪者藤田進さんの弟さんの藤田隆司さんにジュネーブに行っていただいて、ここの強制的失踪作業部会のメンバーの皆さんとヒアリングというか、意見表明させてもらったんですね。そうしたら、日本の政府の認定の拉致被害者というのは承知しておられたけれども、これは藤田さんから聞いた話ですが、特定失踪者という方々に対してはほとんど認識なかった。そういう意味では、非常に行ってもらった効果がありましたね。それから、今年三月に増元さんが同じように行っていただいて、熱く訴えていただきまして、そういったことが、私、奏効して、コンセンサスで今回調査委員会が立ったと。これは、やはり国連もこの拉致問題というものを大きく取り上げていくというきっかけになると思うんですね。
そういう意味では、私は、北朝鮮に対する圧力の一環、要するに、圧力を掛けるのが目的じゃなくて、先ほども申し上げた、手段なんですよね。要するに、会話を引き出していくためのそういった取組、ある意味では、私がよく申し上げているのは、北朝鮮包囲網、その一環としてこの国連の調査委員会が立ち上がったということは極めて私は意義が大きいというふうに考えております。
○谷合正明君 古屋大臣の昨年からのお取り組みに本当に敬意を表したいと思っております。
改めまして、手段としての圧力という話もありましたが、今回、国連安保理決議による制裁措置と我が国独自の対北朝鮮制裁措置、そしてアメリカとの協力に関して追加制裁措置ということで措置が発表されたところであります。
そこで、特に米国との協力ということについて、今日は政務官お越しいただいておりますが、その中に、アメリカと歩調を合わせて、例えば一団体及び四個人の資産凍結等の措置を講じていると。そこで指定された団体である朝鮮貿易銀行が指定されているわけでありますけれども、これが北朝鮮にとってどのような機能を持つ銀行なのかとか、また先ほどもありました中国の四大バンクの一つの中国銀行もこの朝鮮貿易銀行との取引を停止したということが報道されているわけでありますが、まずは政務官の方に、米国と歩調を合わせたこうした措置についての政策的な意味を説明していただくとともに、この朝鮮貿易銀行が北朝鮮にとってどういう機能を持つ銀行なのか、そして中国銀行が取引を停止したことについて、これは識者の見方も分かれておりますね、いろいろ抜け穴があるんじゃないかと言われておりますが、政府としてはどのような意味を持つと考えているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(若林健太君) 今先生御指摘いただきましたように、我が国は四月の五日、北朝鮮をめぐる問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に寄与するため、御指摘の朝鮮貿易銀行ですね、を含む一団体、四個人に対して資産凍結の措置を講じました。
国連決議、制裁決議、それに加えてこの措置をとった。このことは、二月の日米首脳会談において北朝鮮に対する制裁について日米の間で協力をしていくということで一致したことを受けて、協議した結果としてこういった措置を行ったということでありまして、日米が共同してこうした措置を踏み切ったということについて大変意義のあるものだというふうに承知しております。
この朝鮮貿易銀行ですけれども、北朝鮮の対外的な金融取引の窓口を担っている銀行でございまして、北朝鮮の核関連その他大量破壊兵器関連及び弾道ミサイル関連計画等に関与しているというふうに認識をしております。
中国銀行についての御指摘がございました。中国銀行等、中国の銀行がとったとされている措置について、我が国の政府としてそれについてコメントを出す立場にはありませんけれども、しかし、中国は御案内のように北朝鮮にとって最大の貿易相手国でもありますし、中国を含む国際社会が北朝鮮に対して国連安保理決議を着実かつ全面的に実施していくということは極めて重要でありまして、我が国としては、引き続き、こうした中国の動き等も含めて、関係各国と緊密に連携して対応していきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わります。どうもありがとうございました。