○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
総理、連日の集中審議、大変お疲れさまです。
私もいただきました十分でまず質問させていただきますのは、これまで我が国が国際社会でイニシアチブを発揮してまいりましたESDの取組、また人間の安全保障の取組について伺いたいと思います。
来年の十一月に、名古屋、岡山市におきまして、ESD、国連持続可能な開発のための教育の十年が最終年を迎えることを受けまして、ESDに関するユネスコ世界会議が開催されます。ESDの十年というのは、二〇〇二年、ヨハネスブルク・サミットにおきまして当時の小泉総理が提案したもので、持続可能な開発のために何といいましても教育が極めて重要であるというものであります。
実は、岡山の京山地区では、一人の百歩より百人の一歩を合い言葉に、公民館を拠点とした地域密着型の環境教育活動などが展開されています。また、被災地でも、東日本大震災の経験や教訓をESD推進に生かす試みもあります。このポストESDをにらみまして、日本が独自の取組というものを積極的に今後国際社会にアピールする必要もあると考えております。
しかし、そうした一部自治体で積極的な取組も行われているんですが、ESDという言葉自体がほとんど国民に浸透していないというのが実情であります。我が国がサミットにおいてこのESDを提案したときに、安倍総理は当時官房副長官として実際に現地に行かれてこのESDの実現に尽力されたというふうに承知をしております。
そこで、質問いたします。
来年のESD世界会議におきまして、名古屋また岡山会合におきましては、関係閣僚の出席を要請するとともに、総理のリーダーシップの下、広報啓発等、国民の関心を高めるなど、これまで以上に政府一丸の取組をするべきであると考えておりますが、総理の同会議成功に向けた決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、谷合委員が御指摘になったように、確かに二〇〇二年、ヨハネスブルク・サミットに私も同行しておりまして、ESDの十年という提案を会場で聞いておりました。そのときには確かに報道もされたわけでございますが、残念ながら、現在では認識が高いとは言えない状況、残念なことだと思います。
持続可能な開発のための教育の十年は我が国が提唱して国連総会決議が採択されたものでありますが、その最終年となる来年、我が国で開催される、名古屋市、岡山市で開催される世界会議に向けて、今後とも引き続き政府を挙げて周知、普及活動にしっかりと取り組んでいく考えでございます。
来年の世界会議では、この十年間を総括をし、その先の取組の進め方について議論を行う予定でございます。会議を主催する我が国として主導的な役割を果たせるように、関係大臣の出席も含め、しっかりとした対応をしてまいります。
○谷合正明君 動きを是非加速化していただきたいと思います。
人間の安全保障について伺います。
個人の生命と尊厳を守ることに主眼を置きました人間の安全保障は、我が国の国際協力の基本方針の一つとなっております。貧困や飢餓、感染症から人間を守ることや防災等の分野で支援を着実に推進していくことは、我が国のODAが相手国の人々にとって真に裨益するものとなるだけでなく、我が国の外交基盤の強化につながると私は考えております。
この人間の安全保障という概念が報告書によって世界に発信されてから、実は今年でちょうど十年の年になります。人間の安全保障委員会の共同議長の緒方貞子さんも、先週、国連でまさにこの人間の安全保障についてスピーチをされまして、今後ともこの理念の普及と実践を主導する決意を述べられております。
そこで、安倍政権の外交の重要な柱としてこの人間の安全保障を今まで以上に強く推し進めていくと、それとともに、ポストミレニアム開発目標を作っていく際にも、日本がイニシアチブを発揮していくという必要があると考えております。総理の見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 人間の安全保障は、人間一人一人に焦点を当て、人々が持つ豊かな可能性を実現させることを目指す、日本がまさに育んできた理念であります。安倍政権においても、人間の安全保障を外交の重要な柱として積極的に推進をしていく考えでございます。
〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
ポストMDGsの策定は、今後の国際協力の在り方に大きな影響を与えるものであります。我が国は、全ての人が基礎的な保健・医療サービスを受けられるようにすることや防災を主流化していくことを人間の安全保障に直結した新たな課題として重視をしています。これらの課題に対応可能な効果的なポストMDGsの策定を目指し、日本として国際社会の議論を主導していかなければならないと、このように決意をいたしております。
○谷合正明君 外交上、この財政的貢献だけでなく、国際協力ですね、この理念とかアイデアというものが我が国からの貢献ということでますます着目されておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それで、六月の一日から横浜で第五回アフリカ開発会議、TICADⅤが開催されます。これは五年置きに開催されておるんですが、日本とアフリカの連携を進めていく上で今最も重要な会議であります。アフリカは、御案内のとおり今大変急速な経済成長を遂げております。経済的なパートナーとしての重要性が一層高まっている。ただ、一方で、依然として様々な開発課題抱えております。
そこで、三点強調したいと思います。一つは、アフリカへの投資を促進すると同時に、先ほどの人間の安全保障に基づいた支援、協力を強化していくこと。もう一つは、実は日本の総理はこの七年間アフリカを訪れておりません。この総理のアフリカの外遊というものを実現していくべきであります。そしてもう一つ、NGOや企業といった連携強化が必要でありまして、是非、現地で汗を流す、そのような民間の方々に直接会って生の声を聞いていただきたいということであります。
そうした私の要望を踏まえまして、TICAD会議を目前に控え、総理のアフリカに対する思い、今後のアフリカ外交の在り方についての所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TICADの開催が六月に予定されているわけでございますが、このTICADⅤ、残念ながらこのTICADⅤも、十分に国民的な関心が高いかと言われたらそうではないわけでございますが、まさにアフリカは、豊富な資源と、そして今目覚ましい成長が期待されている地域であります。と同時に、今委員が御指摘になったように、様々な課題が集中している地域でありまして、言わばこうした地域、我が国の企業も高い関心を寄せているわけでございますが、日本がこういう地域においてこそしっかりと存在感を示して、そうしたアフリカの地域が抱えている様々な課題を解決をしていくために大きな貢献をしていく必要があるだろうと思います。こうしたアフリカとの関係強化は我が国の国益にも資するものであろうと、このように思います。
TICADは、二十年に及ぶ長い伝統と国際機関、NGOなどの市民社会、民間企業にも広く開かれた世界的に比類なきフォーラムとしてアフリカ各国の首脳も高い期待を寄せておりまして、我が国の対アフリカ外交の最大の行事であります。TICADⅤに向けては、官民連携の推進に向けた民間企業との対話を重ねております。また、NGOなどの市民社会との対話も重視をしております。TICADⅤでは、人間の安全保障の考え方をも踏まえた日本ならではの対アフリカ支援の具体的方策を示し、会議を成功に導きたいと、このように思います。
七年間、残念ながら日本の、前安倍政権も含めてアフリカを訪問しておりません。その後、私も含めて一年間という短い期間になっておりましたので、どうしても外交訪問先として後になって結局行けないということになってしまいましたので、是非私はアフリカを訪問したいと、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 最後、森の防潮堤構想をお伺いしたいと思ったんですが、時間が切れましたので、しっかりこれを推進していただくことを要望して、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。