○谷合正明君 公明党の谷合です。
今日は、お二人の加藤一彦参考人、加藤秀治郎参考人におかれましては、本当にありがとうございます。
私の方からは、参議院の特性を生かしての権能について伺いたいと思います。
従前話題になっている決算機能であるとか行政監視機能というのとちょっと関連の話なんですが、参議院の特性が何を指すのか、何に由来するものであるかということに着目するんであれば、それは憲法上、議院の構成については、参議院も全国民の代表である点、選挙された議員によって組織されるという点で、これは衆議院と変わりがないんですね。違いがあるとすれば、それは任期が六年間で長く、また解散がないということが挙げられるということだと思います。そこで、加藤一彦先生からも、長期的、総合的な視点での国政の取組が可能とされるので、そういうことを期待されたいというお話もございました。
また、衆議院とは違いまして、参議院の場合は、憲法上、内閣総理大臣の指名で決定的な権限を有しておりません。また、政権と距離を置いた立ち位置にあると考えられますので、その意味からも行政監視機能あるいは決算審査機能を発揮するということが期待されております。何も行政監視機能というのはお金の問題だけではございませんで、法律の誠実な施行の監視であると思っております。
そこで、加藤一彦先生にお伺いしたいのは、参議院がこうした取組をこれまでも努力してやってきてはいるんですが、この取組がどのように映っているのか。先生の方からは、決算であったり行政監視であったり、あるいは国政調査権の発動、ここら辺が大事だという話もございましたが、先ほど答弁で不足されているようなところがあればそこを加えていただいて御答弁いただきたいのと、あともう一つは、例えば、参議院においては長期的な視点ということにおいては例えば数年度にわたる長期的検討を要する事項を重点に審議をするとか、衆議院では次年度予算に直結する短期的事項に重点を置いて審議をするとか、そういったことも考えられるのかなと思うんですが、この点についてどうお考えになられますかと。
それから、加藤秀治郎先生には、行政監視機能とか決算審査機能というものが、仮に一院制になったときに十分にそうした機能が、果たしてそういう仕組みが構築できるのかということを教えていただきたいというふうに思っております。
よろしくお願いいたします。
○参考人(加藤一彦君) 今御指摘の中で、国政調査権について私先ほど言及したと思いますが、この国政調査権というのは各院がそれぞれ行使できる重要な権能なんですね。そのときに、参議院の方で国政調査権をもうちょっと積極的に使うことはできませんかという問題提起であります。
その際に重要なのは、少数派の野党に配慮した形での国政調査権の発動形式は考えられ得るんではないのか、要するに少数派調査権というものであります。例えばというふうに言いますが、例えば、院の三分の一以上の賛成があれば国政調査権及び議院証言法に基づいたきちんとした調査権を行使できるような方法というのは考えられないだろうかというのがあります。ただし、一つだけ条件があります。それは、参議院のメンバーが良識の府のメンバーであるという自覚があることが前提です。
あともう一つは、恐らくは今後、皆様方も考えなければならないと思うんですけれども、行政監督をやっていくと、結局、組織は人の問題になります。であるならば、国会承認案件の人事権、これ参議院独占することができるかという論点に結び付くと思います。現在では両議院一致の議決になっております。そのため、せんだって変なことが起きたことは皆様方御承知のとおり。あれを一つの院、しかも参議院サイドの方で握るということも、恐らくは行政監督の中の組織上の人物に対する一番強い権限であろうかと思われます。これも先ほど私申し上げましたとおりの条件が前提です。
以上です。
○参考人(加藤秀治郎君) 行政監視の機能などが一院制の場合どうかということですが、私は、現在でもそうでありますが、議会の中での野党がどう機能できるかという問題であって、これは一院制、二院制かというのとストレートに来ない問題で、むしろ日本の国会の在り方をゆがめてきたというのは、野党が野党としての役割を十分に果たせていないというところに問題があったんだと思うんですね。
それで、一番、五五年体制の下で大きな問題だったのは、野党が、先ほど申し上げましたように、批判するよりもいろいろ阻止をしたりするというところに機能があったわけで、やっぱり政権交代がないことが随分日本の国会をゆがめてきたんだと思います。そういう意味で、野党の在り方ということを政権交代のある議会の中で考えて、どう確立するかということを考えた方がいいんではないかなと思っています。
それで、あとはチェックの機能ですが、司法がかなり今までと違って積極的になり始めましたので、そういうところの方もかなり期待ができるところなんではないかなと思います。