○谷合正明君 公明党の谷合です。
まず、私も、日々昼夜を分かたず現場で、特に海上保安庁の現場の職員の方が我が国の領海警備を通じて我が国の主権を守ると、そういう任務に当たっていただいていることというのは本当にその労をねぎらいたいと思いますし、敬意を表したいと思っております。
昨日、国会で香港の活動家の尖閣諸島の上陸の映像がビデオ公開されまして、私も視聴をいたしました。率直に言って、上陸を防げないものなのかなと、全く私は現場に行ったこともありませんし、ビデオを見た中での感想でありますから、本当はいろいろ困難な部分があったのかもしれませんが、そういう率直な、感想としては持ちました。
大臣、我々は三十分の編集物を見たわけですね。巡視船の中から撮った映像というのは見ておりません。遠目から見た映像を見させていただいたわけでありますが、大臣は、この三十分の編集物に加えて、例えば逮捕の瞬間であるとか、あるいは別の角度の映像というのは御覧になられたんでしょうか。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 全てを見たわけではありませんけれども、ほかの部分も見させていただいている部分もございます。
ただ、今まで活動家の関係のビデオについては、海上保安庁としても出していなかったと、情報公開はしていなかったというのが現状であります。そういう中で、今回三十分に編集したという中で皆様には御提供させていただいたということであります。
○谷合正明君 それで、御覧になられた感想というのはどんなものでしょう、大臣。率直にどのように思われたのかということを披露していただきたいと思います。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回は大変荒波でもあったということで、尖閣に向かうときに波が高くて、当日は東から風が強く吹いておりまして、この同船が魚釣島に接近しているときは向かい風でございまして、船体が大変動揺が大きくて接舷を伴う規制というのも大変厳しい状況の中での放水ですとか、放水規制また接舷規制も強行したところでございます。
たまたま皆様に見ていただいたものは、手法が余りにも分かると今後の海上保安庁の対応について支障が出るということで、元々は海上保安庁としてはビデオを公開しないという方針を立てていたわけでありますけれども、捜査も終了したということも含めて、今回は捜査手法の部分を少しカットさせていただく中で三十分に編集をしたものを提出をさせていただいたということでございます。
放水規制についても、あれではというお話がございましたが、実は相当やっておりまして、ほかのものは余りにもちょっと出せない部分もあるということでございまして、そのことについては御理解をいただきたいというふうに思っております。こういう手法をやったんだという部分だけ国民の皆様に理解をしていただくために出したものであります。
○谷合正明君 状況の説明は分かるんです。答弁書を読んでいただくと分かるんですけれども。率直にどのように大臣が思われたのかというのを、率直な思いを披露していただきたかったなと思っているわけでして、これ、次また彼ら再上陸するというような旨も、報道によりますと再上陸するんだと言っておりますが、これ再上陸阻止できるというふうに大臣は思われますか。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回も上陸はさせないという基本方針の中でしっかりと対応していただきましたけれども、残念ながら強行されました。今回の教訓も踏まえてしっかりと対応していきたいというふうに思っておりますし、上陸をさせないという基本方針は変わりはありません。
○谷合正明君 上陸させないという基本方針だと、再上陸をさせないという方針で次も臨んでいくということだと思いますが、質問の順番ちょっと逆になりますが、日米安保の第五条、よく引かれますけれども、尖閣は日米安保の範囲内だと。ただ、この日米安保の第五条というのは、日本国の施政の下にある領域というふうに書いてありまして、当然日本国の施政にあることが大事でありまして、そのためには当然国境警備というものをしっかり行っていくことが当たり前といったら当たり前なんですけれども、ですからその再上陸を阻止するためにいかなる手段を講じていくかと。今大臣の方からの答弁は今回を教訓にということでありますけれども、もう少し具体的に再上陸を阻止するためにいかなる手段を講じてどのような体制を構築していくのか、どういう考えなのかということを答弁していただきたいと思います。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁では、従来より尖閣諸島の周辺海域に大型巡視船等を常時配備をしており、情勢に応じて哨戒体制を強化するなど厳正かつ的確に警備を実施しております。私からは、今回の事案をしっかりと検証した上で、様々なケースを想定して今後の警備体制や警備手法等に関する検討を行うよう、既に海上保安庁長官に指示をさせていただいたところであります。
今後とも、緊迫化する国際情勢等を踏まえ、海上保安体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期していく所存であります。
○谷合正明君 今回、海上保安庁は、警告、進路規制、放水規制、接舷規制と、取るべき手段は取ってきたという説明があったわけでありますけれども、そのプロセスが何かプラスアルファで加わることはないと思うんです。
ですから、何が次、教訓として、何というんでしょうかね、巡視船の数を増やすのかとか。ただ、今回三隻もいながらやっぱり難しい部分があっただろうと思いますので、本当、具体的に再上陸を阻止するために何ができるのかと。極端な話、いや、実は強行的にやられると難しいんですというお話なのか。その辺、ちょっとお答えいただきたいんです。
○政府参考人(鈴木久泰君) 具体的な今後の手のうちを御説明するわけにまいりませんが、今回の教訓として一番我々想定外だったのは、彼らが本当に座礁も辞さずというような形で真っすぐ島に突っ込みまして、本当に岩礁に乗り上げるような形で船を止めて、そこからもうすぐに、ちょっとだけ泳いで渡るぐらいの形で上陸をいたしました。また、そのままバックをして、また向きを変えて逃げていったのでありますけど、これはビデオでも映っておりますが、これは想定外でありまして、とても私ども巡視船ですと、あんなことをすると本当に壊れかねないというようなやり方であります。どうも中国の漁船は、結構そういう港が多いらしくて、かなり船底なんかも強くできておるということのようでありますけれども、そこは想定しておりませんでした。
ですから、そういう事態も十分今後想定をして、しっかり早め早めの対応を考えていくというふうなことを検討するべきだと考えております。
○谷合正明君 続いて、先ほどの遠方離島について、これ尖閣が含まれるという話がございましたけれども、尖閣以外に具体的な場所というのはどこを検討されているのでしょうか。全体に何か所ぐらい検討されているんでしょうか。
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
告示で指定いたします遠方離島は、警察機関が存在せず、かつ警察の方が自らの船艇や航空機で迅速に行けないというような遠方離島を考えておりますが、これを、本島以外に附属島みたいな小さい島や何かもたくさんありますので、海域を緯度、経度で指定しまして、そこにある離島というような形で、陸域というような形で告示をしようと考えております。
そうすると、例えば尖閣なんかはまとめて一つの海域ということで指定をするわけでありますけれども、そういった海域が今検討しておりますのは二十海域ぐらいあるかなと。例えば、南鳥島とか沖ノ鳥島とか長崎の男女群島という、五島列島のはるか沖合にありますが、そういったところを含めて二十個ぐらいの海域を指定しようと考えております。
○谷合正明君 その対象の区域は、この対象の範囲は、これ絶えず見直しをしていく必要もあるとは思うんですね。一回決めて終わりというわけじゃ、当然そうではありませんから。その見直しのためのモニタリング等、また時期的なスケジューリングを含めてどのように考えていらっしゃるのか、答弁していただきたいと思います。
○政府参考人(鈴木久泰君) この遠方離島につきましては、今後の領海警備情勢等を勘案しつつ、その範囲とか、あるいは警察との連携の在り方等について、時宜に応じてしっかりと見直しをしていくということで考えております。
○谷合正明君 それと、今回の法律案で、最後に確認しますけれども、今回の法律案が施行されますと現行の第二十七条、第二十八条、第二十七条というのは関係行政省庁の連絡、協議、協力の規定であります。また、第二十八条は指揮系統の規定がありますけれども、ここに基づく運用というのは実際どのように変わるのかということをちょっと確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(鈴木久泰君) 現行の海上保安庁法二十七条、二十八条では関係行政庁との協力等について定めておりますけれども、これは例えば海上保安庁と警察がそれぞれの見解に基づいて共同して警備や捜査を行うという場合について定めたものでございます。
これに対し、今回の改正は、遠方離島上における犯罪に対して海上保安官が自ら対処できるように陸上における捜査権等を付与するものでありまして、これを使いまして、もちろん警察とも連携をしながら、しっかりこの遠方離島上における犯罪に対応してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 もう一つ、尖閣の話題とは違うんですが、朝鮮半島の有事の際に大量の避難民が発生するという想定が、これは一九九四年の内閣安全保障室で大量避難民対策についてというところから議論されているというふうに承知をしております。今、差し迫って北朝鮮の方から避難民が来るという状況にはないかもしれませんが、しかしながら、大量の避難民が発生した場合に、通常、海上ルートで日本に来るということを想定するのであれば、身柄の保護から様々なステップがあるわけですね、応急物資の支給であるとか、身体検査の実施とか、上陸手続とか、入管、税関、検疫、保護施設の設置、運営、庇護すべきか否かのスクリーニングと、様々なプロセスがあるわけでありますが、大量の避難民が発生した場合に対応できるのか、まず内閣審議官の方に尋ねたいと思います。
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
内閣官房におきましては、我が国に大量の避難民が流入した場合を想定いたしまして、関係省庁と連携して対応の方策を検討してきているところでございます。また、その対応方策につきましても、情勢の変化に応じ、随時見直しを実施してきているところでございます。
基本的な手順について若干具体的に申し上げますと、第一段階として避難民の身柄の保護、それから水、食料等の応急物資の支給、それから身体検査の実施等を行います。それから第二段階として、入管、税関、検疫による上陸手続を行うと。第三段階として、収容施設の設置及び運営、そして我が国が庇護すべき者等に当たるかどうかについていわゆるスクリーニングを行うといった対応を取ることを想定しているところでございます。
これらの対応を適切に行うためには関係機関との緊密な連携が肝要でありまして、連携の在り方については今後も引き続き検討してまいる所存でございます。
以上でございます。
○谷合正明君 そこで、海上保安庁の役割、体制であります。
北朝鮮の体制崩壊に伴って、実は毎月、例えばの話です、毎月数千人という単位で海上ルートで避難してくるんではないかと。この毎月数千人というのはすごい数で、実はインドシナ難民のときは年間で最大数百人規模だったわけですね、ボートピープルというのは。その規模をはるかにしのぐ数を想定しなければならないというわけであります。
じゃ、海上保安庁が対応できるのかということなのでありますが、ちょっと確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(鈴木久泰君) 今、内閣官房の方からもお話ありましたように、政府全体としてこの避難民の対応について検討しておりますが、海上保安庁としては、その第一段階の避難民の身柄の保護、身体検査、応急物資の支給といったところを、特に、今委員御指摘のように、海上からやってくるわけでありますので、海上保安庁を中心になってこれを対応せにゃいかぬと考えております。したがいまして、必要な勢力を投入して、関係省庁とも十分連携しながらこれに対応するということで考えております。
○谷合正明君 日本海の余りにも広大なエリアを海上保安庁の船が対応できるのかというと、まあそう簡単に、しかも小舟で来られた日にはそうそう簡単に対応できないのではないかなと思っております。
小舟の話をしましたけれども、ついここ近年においても小型の木造船で我が国の領海に入ってきたのかな、北朝鮮からですね。ところが、この小型の木造船というのは巡視船のレーダーではなかなか捕捉できないというふうに承知をしております。これ、仮に小型の木造船が不審船であったとか、あるいは領海領土に侵入を目的に来るということであれば、海上保安庁の巡視船が今後そうした小型の木造船に対してどのように捕捉、対応ができるのか、ちょっと検討状況を教えていただきたいと思いますが。
○政府参考人(鈴木久泰君) 委員御指摘のとおり、我が国の周辺海域は極めて広大でありまして、レーダーに映りにくい小型木造船を発見することは困難な状況でありますが、海上保安庁では、平素から関係機関と連携して北朝鮮関連情報の収集、把握や巡視船艇、航空機による厳重な哨戒に努めております。
ただ、我々の力だけでは限りがありますので、不審な船舶をできるだけ確実かつ早期に発見できるように、海事・漁業関係者や沿岸住民等の協力も不可欠でありまして、平素から一一八番緊急通報という、一一八番に掛けると、消防とか警察のように私どもにつながるという、これを呼びかけておりまして、実際に、昨年の九月に九人の脱北者が小型の木造船で能登半島沖に流れ着いた事案では、一一八番通報により我々が早期に把握、対応した事態もございました。
こういうものを活用しながら、何とか早期に発見して、しっかりこれに対応するということでやってまいりたいと思っております。
○谷合正明君 最後に確認しますが、その避難民が純粋な避難民であればいいんですけれども、一部例えば武装避難民ということも想定しなければならないわけでありますが、その際に、最初にやはり海上保安庁がそこを、武装しているかどうかというところの確認をすることになるんだとは思うんですが、海上保安庁のそうした体制、あるいはそのリスクは大きくないのか、そういったことについて御答弁いただければと思います。
○政府参考人(鈴木久泰君) 事態の個別具体的な状況によりますけれども、一般的には、相手船の外観調査等を入念に行い、不測の可能性も考慮して必要な装備、勢力を整えて、安全を確保した上で相手船を停船させ、必要な検査等を行うということでやっておりますが、北朝鮮の不審船に対応する体制としては、不審船対応ユニットというのを、二千トンと千トンと二百二十トンの高速船二隻、四隻をワンユニットとして三ユニット、日本海側と九州西方海域に用意しておりまして、こういうのでしっかり体制を整えて対応してまいりたいと考えております。
○谷合正明君 時間が参りましたので終わりますけれども、あくまでも今回の海上保安庁の改正法案というのは一つのステップにすぎなくて、これからの本当に我が国の領海領土を守っていくという部分においては、しっかりと党派を超えて事に当たっていかなければならないということを決意させていただきましたし、政府においてもしっかりと万全の体制で次の再上陸の阻止の体制をしっかりとしいていただきたいと思います。
以上です。