○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
今日は、三法案のうち、海上運送法の一部を改正する法律案と海洋汚染、海上災害防止改正案、この二つについて質問をいたします。
まず、海洋汚染、海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案の方から行きます。最初、省エネ技術を核とした我が国海事産業の国際競争力強化という視点に立って質問をしたいと思います。
今回、二酸化炭素の排出、放出規制というものが、昨年七月のMARPOL条約改正において国際海運に初めて導入されることとなったわけでありますが、条約改正によりどのような効果が期待できるのかということで、一つは、何も対策を取らない場合と比べてCO2の観点でどういう効果があるのかということと、我が国海事産業の国際競争力強化という観点に立ってどういう効果があるのか、この点について、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 現在、国際海運からの二酸化炭素排出量は世界全体の排出量の三%、およそドイツの全排出量に相当しているというふうに思っております。
今後、大幅な海上貿易量の増大により排出量の増加が予想されておりますが、我が国が主導して策定した今回の条約改正により、二〇五〇年には約十億トンと、現在日本の全排出量に相当する大幅な排出削減が可能となり、地球環境の保全に大きな貢献が期待をされております。
また、国土交通省では、省エネ船舶の技術開発に官民連携して取り組んできたところでありますが、今回の条約改正により我が国の得意とする省エネ技術力を発揮できる環境が整ったことから、我が国海事産業の国際競争力を強化できるものと考えております。
○谷合正明君 それでは、順番逆になるかもしれませんが、海事産業が今後国際競争力を持っていかなければならないということは、逆に言えば世界の造船市場というのは厳しい状況、厳しいというのは日本にとっては厳しい状況だということなんですけれども、現在、世界の造船市場というのはどういう状況になっているのか、日本の立ち位置というのは今どういう状況に置かれているのかということについて、ちょっと端的にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(森雅人君) お答えいたします。
世界の造船市場でございますけれども、二〇〇六年から始まった海運ブームに合わせまして船舶が大量発注されました。また、中国、韓国がこれに呼応する形で造船所の建造能力を大幅に拡大いたしました。その結果、二〇一一年の新造船建造量は史上最高の一億総トン強という大変膨大な建造量となったわけでございます。
一方、あのリーマン・ショック以降、船舶の受注量は大幅に低迷しておりまして、昨年の受注量は六千万総トン以下にとどまっております。その結果、造船所の供給能力、非常にこれ拡大しておりますし、一方で船舶需要は非常に低迷しているということで、大変大きな需給のギャップが生じておりまして、今後の受注見通しも大変厳しいものとなっております。
一方、我が国でございますけれども、我が国もあの海運ブームに乗りまして、二〇〇六年以降、新造船建造量は約二千万総トンという大変高い水準を維持してまいりました。一方、世界造船市場における建造需要の低迷に加えまして、特に最近の円高それからウォン安、この影響も相まって、昨年の新造船受注量は八百万総トン弱にとどまっております。その結果として、我が国造船所が手持ちで抱える工事量は平均いたしまして残り一年半程度、一方で受注環境は非常に厳しいということで、大変厳しい事業環境にさらされており、今後更なる受注力の強化が必要とされている環境にございます。
○谷合正明君 今局長から、大変厳しい状況、情勢、報告いただきました。昨年七月に新造船政策検討会において今後の戦略が検討されまして、海外販路の開拓などを進めるということが入っているわけですが、今そういう厳しい状況の中で省エネ規制の導入が決まって、実際にそれを受注に結び付けるという展開、これは期待どおり進むというのは相当、何か聞いていると難しいような気もしたんですけれども、それでは、今後の展開、展望をどのように国交省として図っていくのか、現状をどのように打開していくのかについて、吉田副大臣にお尋ねいたします。
○副大臣(吉田おさむ君) 我が国におきましては、省エネ技術というふうなものが造船業の国際競争力強化で大変重要であるということが認識をされているところでございます。世界に先駆けた省エネ船舶の技術開発を官民連携で今取り組んでいるところでございます。
今回の規制はこのような我が国が得意とする省エネ技術を生かすものでありまして、既に造船各社におかれましては最新の省エネ技術を生かした船舶の市場投入を開始をしておりまして、既に受注をしたということが実現した造船所も出てきているところでございます。
先生の御質問の期待どおりかというと、どこを期待とするかということではありませんが、考えていたように受注は始まっているということで、非常にこれからがますます期待が持てるところではないかなと思っております。
さらに、海外販路開拓につきましても、当面需要が停滞する中、海外での市場の拡大、販売拡大に向けまして、本年四月に船舶投資のファイナンス組成を支援する民間会社、日本船舶投資促進株式会社が造船会社等の出資により設立されたところでありまして、今後の受注拡大、これも期待がされているところでございます。
国土交通省といたしましても、受注力強化のための取組について必要な支援を行っていきたいと考えております。これにつきましては、官民連携トップセールスという言葉がございますように、様々な国際会議等へ出ていったときに、それぞれが日本の造船の売り込みということも引き続きしていくということでございます。
以上でございます。
○谷合正明君 トップセールスで是非やっていただきたいと思います。
最近、新幹線の話題が出たりとかですが、造船の分野についても、これは裾野の広い産業でもありますし、地元の経済、雇用に大きな影響をもたらしますので、しっかりやっていただきたいと思います。私、今岡山におりますので、玉野の地域というのは造船によってやっぱり景気が本当に左右されるわけですね。これは本当に大事な問題だと思っております。
一方、今のは外航の話なんですね、今度、内航海運の方のちょっと話題に転じたいと思うんですけれども。内航海運というのは中小零細企業がほとんどでありまして、省エネ技術というのはなかなかこれは進まないんですね。老朽化した船舶の更新、これどのように進めていくのかということなんですが、ここは局長にお伺いしたいと思いますが、老齢船の代替建造を促していくこと、このためにどういう対策を打っていくのか。また、併せてちょっと現状についても簡単に報告もいただきたいと思います。
○政府参考人(森雅人君) 内航海運は、国内貨物輸送全体の約四割、特に、とりわけ基礎産業物資の輸送では約八割を担うなど、文字どおり我が国の物流の大動脈として日本経済や国民生活を支える役割を果たしております。将来にわたってこのような役割を担い続けることができるように、国土交通省として適切な支援や環境整備を図っていく必要があるものと認識しております。
内航海運の業界の現状につきましては、先生御指摘がございましたとおり、まず非常に零細事業者が多いと。従業員三百人以下の中小企業が実に九九%ということで、ほとんどでございます。また、船齢十四年以上の老朽船の割合が七四%に達するなど、船舶の老齢化が進行しているのが現状でございます。このため、今後とも安全で安定的な内航輸送サービスを確保していくためには、中小事業者が活用しやすい制度を通じて船舶の代替建造を促進していくことが課題だというふうに認識しております。
このような状況に対応いたしまして、国土交通省では、鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度の活用、それから、中小企業投資促進税制等の支援措置によって中小事業者の投資負担の緩和を図るとともに、内航海運組合総連合会が実施している暫定措置事業の着実な推進を通じて代替建造の促進を図っているところでございます。また、船舶管理会社の活用を通じまして、中小事業者同士の協業化の促進により経営の効率化を高めるといった取組にも取り組んでいるところでございます。その結果ということを評価をしていいかどうか分かりませんけれども、平成二十一年度以降、内航船舶の建造が増加に転じております。
今後とも、先ほど申し上げた支援制度や税制上の措置などを通じて、代替建造の着実な進捗、内航海運業界の活性化に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。
次に、海上運送法の一部を改正する法律案に移らせていただきます。
我が国の外航船社による安定的な国際海上輸送の確保を一層推進するため、今回、準日本船舶として認定する制度が創設されるわけであります。
まず確認ですが、準日本船舶の見込み隻数ですね、どの程度なのかということなんですが、準日本船舶は外航日本船舶の必要隻数四百五十隻を補完するものとしてその果たす役割が期待されているとのことなんですが、これは国交省としては多数の業者が積極的に手を挙げてもらいたい、そして申請してもらうということが望ましいと考えているんだと思うんですが、どのくらい確保できる見込みがあるのかというのをまず確認したいと思います。
○政府参考人(森雅人君) お答えいたします。
今回の法改正を踏まえまして、今後、制度の詳細を関係当局と調整の上、詰めていくことになりますけれども、現在の日本船舶・船員確保計画の認定を受けてトン数標準税制の適用を受けている外航船社が十社ございます。この十社が今回の準日本船舶の要件となっております自社海外子会社に所有させている船舶、かつその船社が自ら運航しているいわゆる仕組み船という船でございますけれども、こういった船舶は平成二十三年現在、約五百隻ございます。
先ほど申し上げましたように、今後、制度の詳細が詰まっていく状況を踏まえて各船社が準日本船舶として申請をするかどうかという判断をすることになりますので、この五百隻の中から船社が判断する準日本船舶の申請が行われるというふうに認識しております。
なお、先ほど先生がおっしゃいましたように、平成十九年度に交通政策審議会において、非常時を含む安定的な海上輸送の確保のために最低限必要な日本船舶数として約四百五十隻という評価をしていただいております。これも一つの目安として、今後、準日本船舶の認定を進めていきたいというふうに考えております。
○谷合正明君 制度の詳細は今後詰めていくということでありました。しっかりと関係事業者、関係団体から意見聴取、連携協力というものをしっかり進めていただきたいと思います。
そこで、今度は外航日本船舶と、準日本船舶の制度が創設されるということについて、その関係について伺いたいと思います。
この外航日本船舶、日本船舶については、これは平成十九年が一番下で、それからトン数標準税制も創設されることで九十二から百三十六隻ですか、平成二十三年度で、増えてきました。数は少ないとは思いますが、これは一応反転攻勢を掛けたということであります。
今回、新たに準日本船舶の制度を創設するということで、その準日本船舶が外航日本船舶の必要隻数を補完するものとはいえ、現在その外航日本船舶が増加傾向である中で外航日本船舶の増加のペースアップに影響はないのかと、外航日本船舶のペースアップが維持できるのか否かと、この点についてお伺いしたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(羽田雄一郎君) 外航船社のうち十社は、日本船舶・船員確保計画に基づき、平成二十一年度から五年間で日本船舶を約二・一倍に増加させることとしており、平成二十年度より日本船舶は増加に転じております。他方で、東日本大震災後の状況を踏まえ、日本商船隊による我が国への安定輸送、経済安全保障を早期に達成する必要が認識されたため、今般、日本船舶を補完するものとして一定の外国船舶を準日本船舶として認定する制度を設けるものであります。
本法改正後の日本船舶・船員確保計画の認定に当たって、平成二十四年度税制改正大綱において、この計画の拡充を前提に、日本船舶増加のインセンティブにも十分配慮しつつ、トン数標準税制を一定の外国船舶に拡充されるとしていることも踏まえて、日本船舶の更なる増加を図ってまいりたいと考えております。
○谷合正明君 日本船舶の増加とともに日本人船員の増加を図っていくということが極めて重要であります。しかし、日本人船員数というのは、御案内のとおり、相当に減少しておりまして、これは昭和四十九年がピークだったというわけでありますが、外航、内航、漁業含めて全て減少しております。かつ、年齢構成を見ても、五十歳以上の割合というのが平成二十二年度は四三%ということで、これからの担い手というんですか、若い世代の船員の確保というのが極めて厳しい状況になりつつあるということであります。
そこで、優秀な若者が海事関係の進路を選択できるようにするにはどうしたらいいのかと。それは、船員養成機関や海事産業、業界あるいは学校教育の現場、様々連携して総合的にやっていくわけでありますし、それを国がバックアップしていくということが極めて重要なんだと思いますが、改めて、今回の法案は安定輸送と経済安全保障の確立ということを掲げておりまして、その意味においては、船舶だけでなくて船員の確保をどのように具体的に進めていくのか、ここをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大臣政務官(室井邦彦君) お答えをさせていただきます。
先生御指摘のとおり、非常にこの問題は重要で、今後の海運業におきましても重要なポイントでありまして、海事局といたしましても、特に育成に長期間を要する船員の確保、育成は喫緊の課題であり、将来の我が国における安定的な海上輸送の確保を図るための優秀な日本人船員、特に御指摘がございました若年船員確保のために育成を図っていくことが重要であると考えております。
そのために、商船系大学などの船員教育機関における座学教育と航海訓練所における乗船実習等を組み合わせる形で国が責任を持って船員の養成等に努めているところであります。また、平成二十年度に導入いたしましたトン数標準税制に関連し、外航船社に日本船舶・船員確保計画を策定させることによりまして、日本人船員の確保、増加を図るとともに、同計画の拡充により更なる増加を図っていきたい、このように考えているところであります。さらに、平成二十年度は、内航海運事業者等が日本船舶・船員確保計画に従って船員を計画的に確保、育成する場合に資格取得費用の一部を助成をする、このような支援措置を講じているところであります。
以上でございます。
○谷合正明君 伸びていく産業には必ずそこは若者が付いていくわけでありますから、しっかりとこの海事、海運産業を成長産業にしていくんだという国交省の気構えでやっていただきたいと思っております。
時間はあと三分、四分残っておるんですが、もう質問したいところは終わりましたので、終わりたいと思います。
今日は、海水というか海の話をしてまいりましたが、塩水だけじゃなくて雨水の方も極めてこれからは重要な観点ではないかなと思っておりまして、本法案の審議終わったら雨水の関係の法案がまた話題になると思いますが、いろいろと皆さんの御配慮もいただきまして今日に至ったということもありますので、感謝を申し上げたいと思っております。
以上、私の方からの質問とさせていただきます。