○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
東日本大震災事業者再生支援機構法案、いわゆる二重ローン救済法について質問いたします。
まず、発議者、また修正案提出者の皆様の御尽力に敬意を表したいというふうに思います。
この法案は、七月に参議院に野党側が提出をいたしまして、修正決議の後、衆議院において実務者協議を踏まえて再度修正されております。先ほど、時間が掛かったと、遅いという話もございました。これからも、遅い、時間が掛かったことを挽回して、いち早くこの新しい機構が立ち上がるように、ここは政府に要請する部分かもしれませんが、政府においては万全な体制を整えていただきたいということをまず申し上げたいと思います。
そこで、衆議院において修正されている部分がございます。まずこの点を中心に先に確認をさせていただきますが、何といいましても、被災地の再生には中小企業の再生、雇用の場確保、それには二重ローンの解決が必要不可欠であると。更に申し上げれば、事業再生には新たな事業資金、ニューマネーの提供も欠かせないわけでございます。
今回、機構が行う融資、つなぎ融資ということが盛り込まれておりますが、このつなぎ融資等に限定されるということになっております。その範囲をどのように考えておられるのかという点について、まず大口議員に確認をさせていただきたいと思います。
○衆議院議員(大口善徳君) 谷合委員にお答えいたします。
とにかく旧債務の買取り、これは大事なんですけれども、もう一つは事業の再開のためにニューマネーの提供、これがやはり一番大事なことでございます。御指摘のとおりでございます。
それで、十六条には、それこそ出資あるいは保証というものもできるんですね。それに貸付けということもできる規定になっているわけです。ただ、このニューマネーの提供につきましては、貸付けについては、これは民間の金融機関が当然新規のマネーを提供するということとともに、この機構におきましても、今回は限定されたわけでありますが、対象事業者の事業の継続に欠くことができないものに限るということで、つなぎ資金、当面の運転資金、そして事業の継続に不可欠な資金、これは機構で提供するということになったと、これは広くできるだけ解釈をすべきであると、こう思っておるところでございます。
また、ニューマネーの提供ということでいえば、政策金融機関、これがしっかりこれは提供しなきゃいけないということで、六十二条の三項にしっかり規定をさせていただきました。政策金融機関は、これはこの機構の要請を受けて、資金の貸付けに係る審査を行い、対象事業者の事業の再生に必要な資金の貸付けを行うよう努めなきゃならないという形にさせていただきました。
信用保証協会もしっかり、今大体、信金、信組聞いてみますと、信用保証協会の保証があって、それで代位弁済して求償権を信用保証協会が持っていると。ですから、これは機構がその買取りを積極的に働きかけて買取りをすると。とともに、求償権がある間は求償先である事業者に対して保証できないんですが、これ、買取りをすることによって今度保証できるようになります。これをしっかりやっていくということで、今回、衆議院において附帯決議も付されたところでございます。
こういうことで、ニューマネーの提供については全力を挙げていきたいと、こう考えております。
○谷合正明君 このニューマネーの提供について今回衆議院のこの修正というのは極めて重要な意義もあるというふうに認識をさせていただきました。
それで、もう一度旧債務の話に戻りますけれども、買取り価格の問題でございますが、参議院におきましては迅速かつ適正に算定するために修正が行われておりました。この部分が衆議院において再度修正されております。質問が重なりますけれども、この衆議院の修正で、参議院の修正の趣旨、迅速かつ適正に算定していく、この趣旨がどのように反映されて、それがどのように今後実行されていくことが担保されていくのか、この点について確認させていただきたいと思います。
○衆議院議員(大口善徳君) 参議院におきまして迅速性をやれと、大量にこの処理をしていかなきゃいけないということで、被害状況に応じて一定率の掛け目、これを支援基準にすべきと、こういうことであったわけでございます。しかし、被災事業者の事業の性質ですとか規模ですとか、あるいは復興の状況でありますとか担保価値でありますとか、様々個別な事情がありまして、なかなか一律にこの掛け目の率、これを決めるということが実務上難しい、こういうことがあって今回のような再修正になったわけでございます。事業計画、それから復興の見通し、そして経営状況の見通し、また担保物件の価値の見通し、こういうものを総合的に判断をしてやるということになったわけです。
ただ、迅速性ということ、これはもう参議院で御提起されたことでございますので、これは附則の三条にこの買取り価格の算定に関するガイドライン、これを作ると。そして、中小企業再生ファンドのような、産活法の中小企業再生ファンドのように厳格なデューデリをして、そして詳細な事業計画を立ててそこから将来のキャッシュフローを算出するということではなくて、過去の実績を基に簡単な形で将来のキャッシュフローを算出する、それもしっかり簡便なものを作っていくことによってこの迅速性を担保しようと、こういうことでございます。
○谷合正明君 もう一つ、修正部分でございますけれども、新たな新機構が立ち上がっていくわけですが、従前にあります産業復興相談センターと産業復興機構との連携協力、これを図るということが盛り込まれております。
ただ、被災者、被災事業者から見ますと、どこが主体であろうと、我々の、私たちの二重ローンの問題を救済していただけるかどうかという観点、いち早く適正にやっていっていただけるかどうかの観点でございます。
現場で混乱が起きないのかどうか、こうした懸念もあるわけですけれども、ここをどのように今回この役割分担を整理されたのかという点について確認させていただきたいと思います。
○衆議院議員(大口善徳君) お答えいたします。
十一月十一日に岩手県におきましては産業復興機構というのが設立されました。そして、産業復興相談センター、これも各県に設置するということでございます。それと今回の支援機構とのすみ分け、これは重要な論点であったわけでございます。しかし、被災事業者からしますと非常にその辺りの目安ということが大事であるということと、ただ、やはりこの相談窓口を工夫して、たらい回しにならないようにしていかなきゃいけないと思います。
そういうことを前提にいたしまして、この法律におきましては、この支援機構というのは、条文上、大企業又は第三セクターは対象とならないということであるわけであります。その上で、重点的には、小規模事業者あるいは農林水産事業者あるいは医療福祉事業者等を重点的にやると。それから、各県の産業復興機構による支援の対象とすることが困難なものということにつきましては、産業復興機構、産活法に基づくものでありますけれども、大体五年ぐらい継続して一定のキャッシュフローということを見込んでおります。ですから、そういうものが見込めないようなもの等々について対象にし、特に重点的には、今述べましたような小規模事業者等、農林水産事業者等あるいは医療福祉事業者等を重点的に対応していくということでございます。
○谷合正明君 今の整理でございますけれども、政府が六月十七日に策定した二重債務問題への対応方針、これに基づきまして、今、先ほど出ましたが、産業復興相談センター、産業復興機構、これがあるわけですけれども、実際に現時点ではこれはほとんど買取りが進んでいないという状況でございますけれども、今日は経産省から副大臣に来ていただいていますけれども、現在の状況についてどうなっているのか、どうしてこれが今、当初九月に産業復興機構が金融機関が持つ事業者向け債権を買い取るというふうにしていたわけですけれども、どうしてこれまで遅れてきているのか、こうした点についての説明、いただきたいと思いますが。
○副大臣(牧野聖修君) お答えをさせていただきます。
二重債務問題につきましては、私どもといたしましては、各県に産業復興相談センター及び産業復興機構を設立して、それこそ本当に、早期に債権買取り等による被災事業者に対しまして支援を実現すべく、県や地域金融機関と精力的に本当に調整してきたところであります。
岩手県におきましては、九月三十日に岩手県産業復興相談センターが設立されて、十月七日から相談受付が開始されて、十一月十七日の時点では延べ二百九十二件の相談が今寄せられております。さらに、十一月十一日には岩手産業復興機構が設立をされまして業務が開始されたところでありまして、近々債権買取りが進められると、このように思っております。それから、茨城県におきましては、十一月一日に茨城県産業復興相談センターが設立されまして、十一月七日から相談業務が開始をいたしまして、また、宮城県におきましては、十一月十一日に宮城県産業復興相談センターが設立されまして、十一月十六日から実際の相談業務を開始をして、翌十七日の時点では延べ十三件の相談が今寄せられているところです。また、茨城県、宮城県とも、産業復興機構につきましては、現在、早期設置を目指して県と地域金融機関との間で調整中であります。
遅々として進まない点もあろうかと思いますが、当省としては本当に、引き続き、各県における産業復興相談センター及び産業復興機構を通じた被災者、被災事業者の再生支援に一生懸命取り組んでまいりたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○谷合正明君 どうしてこれが遅れてきたのかという認識がもう全く今欠けておったと。
まず、私がこれ聞いたのは、この機構を立ち上げていくわけですが、じゃ、その法案成立後ですけれども、早期に買取り等の業務を開始できるように設立手続とか体制整備を図る必要があるわけですけれども、これを政府としてどのように取り組んでいくのかと。また時間が掛かって、来年の三月十一日までどうなるのか。いや、もっと早くやらないといけない、年明け早々にはやらなきゃいけない、この辺の政府間の認識というのがどうなっているのか。今回の新しい機構の方の担当は平野復興担当大臣されますけれども、今後政府としてどのように取り組んでいくと考えているのか、また業務開始時点に必要な人員の見積りとか確保方法、こうした点について今どう考えているのか、お示ししていただきたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 政府の方は、震災直後から金融機関に対しまして、被災者の厳しい状況に照らしまして返済猶予等の条件変更に弾力的に対応するよう再三要請しまして、金融機関においては多くの債務者に対して約定弁済の一時停止、さらに条件変更契約を締結してきております。
しかし、そろそろもう復興が始まっておりますので、これから新規マネーの需要が出てくると思います。としますと、この二重ローン問題は今まで以上に大きな課題になってくるというふうに考えておりまして、まずは当面、産業復興相談センター、それから産業復興機構、これと連携してしっかりとした対応をしなくちゃならないと考えておりますし、この今審議いただいている法案に基づく支援機構の法案が成立しましたら、こちらの方もできるだけ早く立ち上げまして、この産業復興機構と支援機構が相まって事業者の再生支援ができるように後押しをしていきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 最後にもう一度大臣に確認しますけれども、機構の政府保証枠については当面五千億円とされております。これ早期に予算総則に盛り込む必要があると考えます。政府の方針についてどう考えているか。
また、今後、先ほど需要が、これから二重ローンの、ニューマネーの需要が伸びていくという話ですが、必要に応じてこの政府保証枠の拡大も検討する、そうした考えはあるのか。この点について伺います。
○国務大臣(平野達男君) 五千億につきましては、三党間の協議の中でもそれだけの枠は必要だということが言われております。支援機構設置に合わせて、いずれ仕事をしなくちゃならない、そのための事業枠五千億、これはしっかり確保していきたいというふうに思っています。
一方で、産業復興機構につきましては、御案内のとおり、もう二千億の枠を確保しておりまして、合わせて七千億円の枠が確保できるということで、まずは当面、この枠の中で事業再生支援をしっかりやっていくということになるかというふうに思います。
○谷合正明君 時間になりましたので私の質問は終わりますけれども、これまでの遅れを挽回して、しっかりと被災者のために役立つ機構をつくっていただきたい、つくってまいりたいと思っております。
以上です。