○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
まず、大臣としての決意を伺っていきたいと思っているんですが、私は二週間前に会津若松に行きまして、大熊の町民の方、被災され、避難されている方にお話を聞いてまいりました。その際に、本当にいつ戻れるのか戻れないか、ここをはっきりさせてもらいたいという声をたくさんちょうだいいたしました。賠償のこともさることながら、まずここを、事故の収束の状況を本当に説明してもらいたいと。私は、そのときに避難者の方と話をして、これまで政府の方とか東電の責任者、しかるべき方とこういう話をされたことあるんですかと聞きましたら、いや、初めてですと、国会議員とも話すのも初めてだと。思ったのは、コミュニケーションですね、住民、被災住民とのコミュニケーションというものが本当に圧倒的に不足しているんだなと。
細野大臣の所信の中にも、事故の収束に向けた取組について被災者の皆様に説明することが必要であると、分かりやすい情報発信に尽力しますというふうに書いてあるんですが、実はこのことがまだまだできていない、まだまだというよりは全くできていないと思った方がいいと。
もちろん、毎週福島行かれていて、いろんな首長さん、いろんな地元の方とお話しされていると思いますが、ただ圧倒的にまだ全く情報に接することができない、そういう方がいらっしゃるということを考えると、私は、細野大臣がこれから取るべき道というのは、まさにこの住民とのコミュニケーションをいかにやっていくのか、大臣又はチーム細野としてどうやっていくのかというところが極めて大事ではないかと思っていますが、まず冒頭にその辺りの決意を聞かせていただければと思います。
○国務大臣(細野豪志君) これまでの政府の対応が本当の意味で地元の福島の皆さんにしっかりお伝えできていたか、また地元の皆さんの御要望が本当にしっかりと承ることができていたかということで問われれば、それはもう本当に反省をするところが多々あると思っております。
私自身も、事故が起こりました三月十一日から何度か現地に行って首長さん方には説明はしてはおったんですけれども、とにかく一刻も早くまた東京に戻ってこっちの作業をという思いでやってまいりましたので、地元の住民の皆さんとの接点というのは補佐官時代極めて限られておりました。
その反省も含めて、この三週間連続で福島に入っておりまして、今週末も行きますので、四週連続現地に入るということをやらせていただいて、改めてもっともっと地元の被災者の皆さんのお気持ちを聞かなきゃならないなというのを感じたところです。
特にそのとき重要なのは、避難所に行ってきたんですけれども、皆さん本当に言いたいことが山ほどあって、すごくそういう気持ちをため込んでおられると。そこを、行ってすぐ出てしまうのでは受け止めることができませんので、事前にちょっと調整をいたしまして、避難所に少なくとも一時間ぐらいいようということで、随分それで被災者の皆さんの気持ちが少し分かったという部分がございました。
ですので、全ての被災者の皆さんと接するのはなかなか現実的には難しいという面がありますけれども、まずは被災者の皆さんに寄り添ってしっかり話を聞かせていただくと。こちらから伝えたいことよりは、向こうの、もう本当に被災者の皆さんの気持ちをまず聞かせていただくというところから第一歩をスタートしたいと思います。その気持ちがあった方が、むしろ事故の収束に向けてもみんなやはり努力できるんですね。そこを私はこれからも大事にしていきたいと思っております。
○谷合正明君 保安院とか経済産業省の信用が失墜しているとか、そういったことをストレステストを導入をする際の理由として総理も言われておるんですけれども、保安院とかそういう問題じゃないと。もうまさに政府に対する信用である、また国会に対する信用というところに、今本当にこの福島、この東日本大震災の問題というのはあるんだと思います。ですから、その辺りが私は菅総理の感度というのがちょっとずれているんじゃないかなと思って、まあ別に細野大臣に言ってもしようがないんですけれども、思っているわけです。
具体的な質問に行きますが、昨日総理大臣が脱原発依存の記者会見をされましたが、この内容については協議をされていたのか、事前に細野担当大臣はこの内容について知っていたのか、あるいは協議していたのか、この辺り教えていただければと思いますが。
○国務大臣(細野豪志君) 総理の様々な会見であるとか情報発信というのは、これは総理の周辺で様々なスタッフがおりますので、そこを中心に準備を進めておりますので、記者会見の詳細について事前に把握を私自身がしていたということではありません。
ただ、個別のエネルギーの政策についての判断、例えば今回のストレステストの導入の経緯であるとか、あとは省エネルギー、節電の在り方であるとか、そういうことについては個別にいろんな総理との話はしておりました。昨日はそういったものを、これまでの経緯を総合して、総理としてああいう情報発信になったものというふうに思っております。
○谷合正明君 今、個別にストレステストの協議もしてきたと言われましたが、七月六日に総理がストレステストの導入を表明されておりますが、前日の七月五日に、報道ベースですが、細野担当大臣と海江田大臣が総理の執務室に呼び出されたと。このときに初めてこの導入の話を知ったのか、それともその以前からこのストレステストの協議をされてきたのか、経緯がちょっと見えないものですから、ちょっと教えていただきたいと思っております。
○国務大臣(細野豪志君) ストレステストの導入そのものについても様々な議論はその少し前から行われておりました。玄海の問題が非常に大きくなりましたので、この玄海の問題を一つの契機として、国民の皆さんの不安をどう解消するのかということについては、その前の何日か協議をして、そして六日の総理の発言になったというふうに承知しております。
○谷合正明君 ストレステスト、EUがこれをやるというふうに決めたのが、三月二十五日のEUの首脳会議の時点でこれは確認が文書でなっておりまして、六月二十四日のIAEAの閣僚会合の中で、議長総括サマリーにストレステストをIAEAとして今度やっていくべきじゃないかということが出ておりますが、ということは、どの時点なんでしょうね。やはりこのIAEAの議長サマリーが出たことで、それから議論が始まったということで認識はよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) IAEAの例の閣僚会合で出てきたその声明については、それは非常に重いものと政府としては受け止めておりましたので、それは一つのきっかけになったというふうに考えております。
○谷合正明君 ですから、七月六日に導入を表明されるまで、総理御自身が指示が遅れたというふうに言われているわけですから、やはりなぜもう少し日本が、当事国である日本がこのテストの導入を直ちに取り入れるという話にならなかったのか。あるいは、保安院の安全確認に不満があるというのであれば、より早期にこの日本独自のテストという議論が出なかったのかと。先ほどの宮沢委員からの質問とかぶるわけでありますが、この点が私の疑問でもあるわけです。ここがしっかり説明ができていない中での導入表明であり、統一見解になったということであります。
ところで、総理が統一見解をした後にいろんなところで、この統一見解で国民の皆さんが納得できるルール作りを指示し、その方向でまとめることができたと思っていますと、ある意味これで国民の理解が進んだんだという自己評価をされているんですが、私は、その理解が進むかどうかというのは、中身がきっちり示されて、またその一次評価、二次評価の時期が、いつやるんですかという、その中身がいつ出されるんですかということがはっきり示されない限り全くその理解は進まないものだと思うんですが、こういう総理の理解に対して細野大臣は率直にどう思われたんでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) 総理の発言も恐らく、谷合委員がおっしゃったように、それが導入をされるということが決まったということだけですぐに国民の理解がなされるという趣旨で総理がおっしゃったのではなくて、それがきっちり実施をされ、そして公開をされ、透明性が確認をされるということを見越して、そういったプロセスがあるということを前提におっしゃったのではないかと思います。
したがって、私の今の時点での率直な思いを申し上げると、まだ国民の理解を得たとは全く思っておりませんので、その一連のプロセスの中で理解をしていただく、そのために努力をしていくということだろうと考えております。
○谷合正明君 それでは、一次評価の中身はいつまでにこれ決まるものなんでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) この一次評価は二回に分けるわけです。すなわち、まずはチェック項目ですね、そのテストの問題の方です、これがまず出されて、これが安全委員会にかかります。安全委員会というのは、かかった議事については全て公開になっておりますので、保安院の側から安全委員会に出された時点で国民の皆さんに見ていただくことができるようになると思います。そこのまず安全委員会として確認をするという作業があって、その次に、じゃ具体的にそれに対して事業者がどういう回答を出すのかというのがあり、それを保安院が確認をした上でもう一度安全委員会に付されるわけですね。そこをもう一度チェック、安全委員会が実質的に見るということになりますので、公開対象になります。
ですから、その一連のプロセスの中で、安全委員会のそれぞれの会合が一回で終わるとは限りませんので、テスト問題の方で一回で終わるのか二回かかるのか、さらには評価そのものについて一回、二回になるのか、そこは安全委員会という独立性の高い五人の合議制による機関でございますので、そこの皆さんの議論を通じてどうなるかということについての実質的な様々な議論も公開で行われることになろうかと思います。
○谷合正明君 私がちょっと聞きたいのは、保安院が今評価項目とか計画を作っているということですが、これがいつできますか。
○国務大臣(細野豪志君) 今鋭意努力をしていると、かなり保安院としては急ピッチで作業を進めているというふうに聞いておりますが、まだいつ出せるかということについての報告は受けておりません。
○谷合正明君 決まっていない中身について聞いても分からないかもしれませんが、EUのストレステストでは、例えば飛行機の事故であるとかテロリストのアタックであるとか、そういったこともストレスとして検査するわけですけれども、これまで日本は、そういうテロリストのアタックということを想定、多分原子力発電は事故想定はしていないはずなんです。この辺りは、テロリストのアタックなんかはどうされるんですか。これは保安院とか安全委員会で判断できる話なんでしょうかね。
○国務大臣(細野豪志君) 谷合委員御指摘のとおり、核物質防護というのは極めて大事でして、日本はこれまでそこについて万全だったかと言われれば、実は、特に米国などと比較するとまだ課題を残していたというふうに思っております。
ヨーロッパについてもそういった努力が行われているというのは私も聞いてはおるんですけれども、ちょっと私の事前に確認をしている範囲でいうと、そういったテロに対する項目は、ヨーロッパではそれはストレステストの項目に入っていないようなんですね。ストレステストとはまた別に設けられているということのようです。
どちらかというとストレステストというのは、例えば自然災害、さらにはそれに伴う機器の様々な不具合、そういったものについて科学的に検証するものでございますので、恐らく日本のストレステストもそういったものになってくるのではないかというふうに考えております。
○谷合正明君 ストレステストが、一次評価が中身、項目が決まって、今後その作業が進んでいくと思うんですが、先ほども質問出されましたが、今度は安全基準からどれくらいの余裕があるのかと。ここは、最終的には四者の担当大臣の決断で、判断で再稼働するかどうかは決まっていくという話であります。この中身はまだ不明確であると。また、ストレステスト自体、このテスト自体が超法規的措置であり、また閣議決定もされていないというものだと思います。
私がお聞きしたいのは、今この政府がやろうとしているものは、たとえ新しい体制あるいは政権交代になっても、これは引き継がれるものなのか。それが引き継がれるものとすれば、どういう担保でそれを保障するのかということを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細野豪志君) 一次評価、二次評価の在り方については四大臣の連名の形で、失礼しました、三大臣ですね、実質的には総理も加わっておられますので四人で合意をした形で、こういう形で確認をされております。したがって、国民の本当の意味での不安を取り除くという意味では、これは基本的に、それこそ新しい内閣の下でも継続的に実施をされるものであると考えております。
その担保は何だと、保障は何だということになるわけですが、一つは、やはり安全委員会という独立性の高い原発についての専門家集団、そこが今回具体的に実質的に関与するという形になりました。この安全委員会の要請、判断というのは極めて私は重いものだというふうに思っておりまして、こうした組織が関与することによって、ストレステストというものがこれから、二次評価も含めると若干時間が掛かると思いますので、その間もしっかりとなされるということが必要だし、そういうことになるだろうと考えております。
○谷合正明君 時間になりましたので、終わります。