○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
改正NPO法の質問をさせていただきたいと思います。
この法案につきましては、NPO、ボランティア関係者の皆様、また実際に寄附をしたいという納税者の皆様の声、また今回、地方自治体に自治事務が移管されるわけでありますが、地方自治体の声も踏まえながら超党派で進めてきたものと理解しております。
今回、まず第一条のところから質問をさせていただきたいと思います。
第一条に、目的のところでございますが、公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けるとされております。この公益という言葉の意味、これは行政が判断する公益というものではなく、行政とは異なる多様な価値観に基づく活動を含め、いわゆる市民公益を意味していると解しております。つまり、行政が公益性を判断するのではないというのが法の趣旨でないかと私は考えておるんですが、立法者の考えを聞かせていただければと思います。
○衆議院議員(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。
お答えする前に一言、この議員立法におきましては、実は超党派の議員連盟がございまして、本当に超党派で、全党が参加をしていただいたところで内容も決定いたしました。そのことについて改めて感謝の言葉を申し上げておきたいと思います。
特に、谷合委員におかれましては、私と一緒に事務局を預からせていただき、しかも、NPOで活動された御経験を基に、先ほど牧山先生がおっしゃった仮認定を五年以上の法人にも適用するというのは、これは谷合委員のリーダーシップでできましたので、改めて感謝を申し上げたいと思います。
その上でお答えを申し上げますが、まさに御指摘のとおりでありまして、今回、認定法人になりますので、公益の増進に資するという言葉が入りました。これは、市民からどれだけ支援を受けているかどうかで判断する、まさに役所が決めるのではないということが明らかになっております。それがいわゆるパブリックサポートテストでございます。
一つは、昔からありますように、収入の五分の一以上が寄附であるという相対値基準、それから今、玄葉大臣もおっしゃっていただきました、百人以上から三千円以上の寄附をいただければよいという絶対値基準、さらには、これは画期的なのですが、地方公共団体が条例で個別に指定できる。これは、市民の代表が議会でありますから、地方の議会がまさにパブリックサポートテストを行うという意味でありますので、御指摘のとおり、公益性は行政が行うものではありません。
○谷合正明君 どうもありがとうございます。私の方からも岸本議員のリーダーシップに心から敬意を表したいと思っております。
次に、法全体の運用につきまして確認させていただきたいと思います。
このNPO法ですが、これは市民が行う自由な社会貢献活動の発展のために、例えば法令に基づかない行政指導、これできる限り排除していこうと。ただ一方で、情報公開を通じて法人の健全で適正な運用を確保していくということが法の趣旨として大事なところではないかと思っておりますが、この点は新しい改正NPO法でも変わらないということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○衆議院議員(岸本周平君) この点につきましても確認させていただきたいと思います。
まさにNPO法は、所轄庁の恣意的な介入を排除して、市民による監視によってその適正性を担保していくという視点に立って立案されております。今回、十二年がたちまして提出されました議員立法も全く同じ趣旨でございます。
なお、NPOを育てていくという観点もありますし、そのような意味では、所轄庁がNPO法人に立ち入る際、これは必ず原則として検査を行う職員は立入りの理由を記載した書面を事前に提示しなければいけないなど、きちんとした配慮も行っておりますし、また、情報開示につきましては市民が誰でも情報開示を求められる、しかもその中身は、海外送金の有無でありますとか役員報酬、助成金などについてきちんと情報公開ができるようになっております。
○谷合正明君 是非、立法者の意思をしっかり受け止めて、行政府におきましてはこうした改正NPO法の今後の取扱いをしていただきたいと思っております。
次に、財源措置について玄葉担当大臣に伺います。
先ほども岡田委員の方から質問がございました、認定事務が都道府県に移管されます。先ほども、新たな事務が生じるということで、所要の地方財政措置を要求していく、適切な措置を検討していくということでございますが、改めて確認しますが、例えば東京都などの不交付団体に対する措置はどうしていくのか、また、事務移管に係る地方負担の総額はどの程度と認識、把握されているのかということについて質問させていただきます。
○国務大臣(玄葉光一郎君) これは先ほども申し上げましたが、地方財政措置を要望したいと思っていますが、いわゆるスタートアップ支援など、そういった様々な支援のありようというのがあり得るのではないかというふうに思っておりまして、その点について適切に検討を加えたいというふうに思いますし、じゃ、地方負担の基になる事務量って一体どのくらいなんだということだと思うんです。
その事務量について、認定法人申請するかしないかということをその法人等に今まさにアンケート調査をしているということでございまして、せっかくなので申し上げますと、現時点では全国で、現時点ですけれども、職員数百十三人程度の事務量を現在のところで見込んでいるという状況にございます。
○谷合正明君 ありがとうございます。
次の質問に移ります。NPO法第五条についての質問でございます。
この第五条につきまして、このように規定されております。それは、「特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業を行うことができる。」とあります。支障がない限りという条文を、所轄庁によっては、一年から二年という短い期間でその他事業で赤字を出したら法令違反している疑いがあると指導される場合がございます。例えば、介護とか福祉の本体事業がありながら、バザー等その他事業をしている、そうしたその他事業が赤字を出している場合は法令違反しているんじゃないかという行政指導が来るということでございますが。
ただ、社会情勢等も、経済情勢も含めて、その他事業も一年、二年で黒字を出したくても出せない場合も十分想定できるわけでございまして、それをもって法令に違反している疑いがあるとするのは、ここは過度な指導ではないかと私は思っておるんですが、まず立法者の見解というものを確認させていただければと思います。
○衆議院議員(岸本周平君) 今、谷合委員の御指摘がございましたが、少し背景から御説明をしたいと思うのですけれども。
実は、NPOが非常に発達しているアメリカでは、NPOをノンプロフィットと言う意味は、利益を出さないという意味ではないんですね。ノンプロフィットというのは配当しないという意味でありますので、アメリカのNPOは非常に効率的に運営されます。そして利益を出します。利益を出して、職員に十分な給料を払った上、余ったものは再投資をする、それがノンプロフィットであります。フォープロフィットは配当するというだけの意味でありますので、アメリカのNPOのかなりのものは自分のところで株式会社を持っております。株式会社の社長と理事長が同一人物であることが通常でありますけれども、そのようにして大きな活動をしているわけであります。
ですから、今回、二回目の議員立法で改正をするわけですけれども、できれば日本のNPOもそういう心構えで今後もやっていただきたい。その意味で、丼勘定でやるのを改めていただいて、複式簿記、活動計算書にしていただくというようなところまで踏み込んでおりますのは、そういうところで大きくなっていただきたいという意味であります。
その意味で、このその他事業も、そこで何か収益を上げていかれるということであって、例えば本体が二十万円のプラスで、三百万円その他事業でもうかっているというのはなかなかあり得ないでしょうし、それはもう特別にやっていただく。あるいは、三百万円の赤字が出ている、これも何かおかしいわけであります。一方で、バザーをしたりとかフリーマーケットをするということで、それがその他事業であって、若干の赤字が二年連続で出たということになってそれで取り消すというのは、これはいかにも趣旨を逸脱していると思います。
ただ、そこは所轄庁の方々にもこういったNPO法改正の大きな趣旨を理解していただくように、内閣府も御努力をいただき、我々政治家も努力をして、もう少し大きな目で所轄庁が対応していただくようにしていただくことを強く期待しております。
○谷合正明君 立法者の意思を尊重していただきたいというふうに思っております。
NPO法第五条第二項について質問させていただきたいんですが、先ほどの質問とかかわるところもあるんですが、「その他の事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。」とあります。このその他事業と本体事業、二つの会計は一枚の活動計算書、今は収支計算書となっておりますが、活動計算書においても当然区分されなければならないと考えるわけですが、ただ、貸借対照表上まで区分することは求められていないと理解しますが、政府の見解を聞かせていただきたいと思います。
○大臣政務官(逢坂誠二君) 今の御指摘でございますけれども、法律上、その他の事業について利益を生じた場合、本来事業のためにその収益を使用しなければならないという規定がございまして、それらを明確にする意味で貸借対照表においても分けてもらった方がよいのではないかということで、法の規定ではないんですけれども、そういうことをより確実にするためのツールとしてこれまで活用してきたという経過があるというふうに認識をしております。
ただ、今先生御指摘のとおり、その貸借対照表を分離するというのは、これはなかなか骨の折れる作業だというふうに私も認識をしておりますので、今後におきましては、この法の目的がちゃんと達成されるように、仮に貸借対照表を分離しなくてもよい方法があるのかどうかを、先ほど申し上げました内閣府に立ち上げた研究会の中での検討課題の一つに取り上げてみて、わざわざ分離する必要もないということであれば、その方向も探ってみたいというふうに思います。
○谷合正明君 是非、これからの研究会の中で検討がなされるということでございますので、本当にNPOを実際される側の立場に立ってみると、結構煩雑な作業に、そのために人を割かなきゃいけないという何か本末転倒のようなことも発生しかねない問題でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
この点について、もし立法者の方から御意見があれば、よろしくお願いします。
○衆議院議員(岸本周平君) この点につきましては、今、逢坂政務官のお答えのとおりでありますが、立法者といたしましては、例えばその他事業から特定非営利活動事業への繰入れが適切に行われているということがフローの方で分かれば、活動計算書で分かれば、これを貸借対照表でまで明らかにする必要は全くないというふうに考えております。
○谷合正明君 それでは、最後の質問をさせていただきます。
条例個別指定が今回盛り込まれております。PST要件の一つで、この度、条例による個別指定というものができます。現在、これは国が認定を告示で行っていることも踏まえますと、地方税法第三十七条の二で定めるように、条例本体に法人の名称あるいは所在地を明記することまで縛りを設けることは適当ではなく、具体的な議決内容は地方議会の判断に委ねるべきという声が地方から寄せられておりますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○大臣政務官(逢坂誠二君) 実は私、この法案化の作業に当たって自治体の皆さんとの窓口役を主にやらせていただいたんですが、その中でも、今、谷合委員から御指摘のあった件、随分議論になりました。
その際に、我々あるいは自治体の皆様にもいろいろと議論をして御理解をいただいた点が二つございまして、一つは、今回の条例指定の重み、その及ぼす効果でございます。それは、自分の自治体の住民税だけではなくて、他の自治体にも影響を及ぼすということでございます。だから、自分のところのことだけの判断ではないという大きさがあるということ。それからもう一点が、条例で指定をすれば国税にまで影響が及ぶということで、これは、ちょっと言葉は過ぎるかもしれませんけれども、場合によっては条例の上書き権の先取りのようなイメージに取られるほどの効果を持つのが今回の条例指定の内容でございます。
そういったことを考えてみますと、条例以外の手法でやるよりも、そこの自治体の意思として明確に条例で決めていただくということがよいのではないか。さらに、手続は慎重であるべきであろうと、これほどの効果を持つものでありますから。その意味で、条例において法人の名称、所在地までを明記した議決というものをお願いしたいと考えた次第でございます。
○谷合正明君 時間が参りましたので終わりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。